- 建設工事請負契約書には収入印紙を貼る必要がありますが、この収入印紙への消印は、契約当事者の双方のものが必要なのでしょうか。
- 契約書に貼られた収入印紙には、契約当事者の片方だけが消印を押印すれば足りるものであり、双方の消印の押印は必要ありません。
このページでは、建設工事請負契約の注文者・請負人の双方向けに、建設工事請負契約書への消印の押印のしかたについて解説しています。
建設工事請負契約書は、請負契約であるため、いわゆる「2号文書」に該当し、収入印紙に消印を押印することにより、印紙税を納税しなければなりません。
この場合における消印の押印は、契約当事者の一方のものだけで十分であり、契約当事者双方の消印は必要ありません。
このページでは、こうした建設工事請負契約書の消印のしかたについて、開業22年・400社以上の取引実績がある行政書士が、わかりやすく解説していきます。
このページでわかること
- 建設工事請負契約書の収入印紙への消印のしかた
- 建設工事請負契約書の印紙税の金額
- 建設工事請負契約書の印紙税の納税義務者
- 建設工事請負契約書の印紙税の合法的な節税のしかた
建設工事請負契約書の消印は契約当事者の双方ではなく一方だけでよい
収入印紙は「消す」必要がある
建設工事請負契約書に限らず、契約書に収入印紙を貼る場合、単に貼るだけではなく、「印紙を消す」ことが必要となります。
印紙税法第8条(印紙による納付等)
1 課税文書の作成者は、次条から第12条までの規定の適用を受ける場合を除き、当該課税文書に課されるべき印紙税に相当する金額の印紙(以下「相当印紙」という。)を、当該課税文書の作成の時までに、当該課税文書にはり付ける方法により、印紙税を納付しなければならない。
2 課税文書の作成者は、前項の規定により当該課税文書に印紙をはり付ける場合には、政令で定めるところにより、当該課税文書と印紙の彩紋とにかけ、判明に印紙を消さなければならない。
引用元:印紙税法 | e-Gov法令検索
ここでいう、「政令で定めるところにより」とは、印紙税法施行規則第5条のことです。
印紙税法施行規則第5条(印紙を消す方法)
課税文書の作成者は、法第8条第2項の規定により印紙を消す場合には、自己又はその代理人(法人の代表者を含む。)、使用人その他の従業者の印章又は署名で消さなければならない。
消印の押印は契約当事者の一方だけでよい
建設工事請負契約書に限らず、契約書への消印の押印は、次のとおり、一方の契約書当事者だけが押印すれば足ります(印紙税法基本通達第64条)。
印紙税法基本通達第64条(共同作成の場合の印紙の消印方法)
2以上の者が共同して作成した課税文書にはり付けた印紙を法第8条《印紙による納付等》第2項の規定により消す場合には、作成者のうちの一の者が消すこととしても差し支えない。
引用元:第1節 印紙による納付|国税庁
つまり、建設工事請負契約書の収入印紙には、両方の契約当事者の消印は必要ではありません。
このため、収入印紙に相手方の消印が無いからといって、わざわざ郵送等により消印を押印してもらう必要はありません。
収入印紙には割印ではなく消印を押す
消印とは?割印との違いは?
なお、収入印紙について、「割り印を押す」という表現は誤用です。
割印は、あくまで2以上の複数の書面にまたがって押される印章が割れた押印のことです。
【意味・定義】割印とは?
割印とは、2以上の複数の書面が同一であること、または関連することを意味するために、それぞれにまたがって押される、印章が割れた押印のことをいう。
これに対し、消印は、印紙税法施行規則第5条でいう「印章」によって印紙を消すための押印です。
【意味・定義】消印とは?
消印とは、印紙を消すために、課税文書と収入印紙にまたがって押される印章・押印をいう。
こうした表現をしてしまうと、相手方に対し、「この人は消印と割り印の違いも知らないのかな?」という印象を与えてしまいます。
ポイント
- 収入印紙は貼るだけではダメ。収入印紙は、消印などで「消す」必要がある。
- 収入印紙を消す押印は、消印であって、「割り印」ではない。
収入印紙への消印(≠割印)の押し方
消印の押し方は、契約書と「印紙の彩紋」=印紙の印刷箇所とにまたがって押します。
具体的には、次の図のように押印します。
消印を押す場所は?
消印を押す場所は、契約書と収入印紙にまたがっていれば、どこでも構いません。
一般的には、上図の左側のように、4つの角のいずれかの場所に押すことが多いです。
もちろん、上部の右側のように、角でなくても問題ありません。
複数の収入印紙に消印を押す方法は?
複数の収入印紙に消印を押す場合は、次の図のように押印します。
左側のように、契約書の本体と複数の収入印紙とにまたがるように押印する方法と、右側のように、契約書の本体とそれぞれの収入印紙にまたがるように押印する方法があります。
いずれにしても、すべての収入印紙について、契約書とまたがるように押印する必要があります。
このため、収入印紙を貼る枚数は、なるべく少なくすることがポイントです。
消印は「判明に」消さなければならない
印紙税法第8条第2項にあるとおり、「判明に印紙を消さなければならない」とされています。
収入印紙を消す目的は、印紙の再使用を防止することですので、少なくと再使用ができない程度には「判明に」押印しなければなりません。
このため、不鮮明な押印の場合は、消印として認められない可能性があります。
また、いわゆる「消せるインク」や「消せる朱肉」も、同様に消印と認められない可能性があります。
消印の押し方のポイント
- 消印は、契約書と「印紙の彩紋」=印紙の印刷箇所とにまたがって押す。
- 消印を押す場所は、契約書と収入印紙にまたがっていれば、どこでもよい。
- 複数の収入印紙に消印を押す場合は、すべての収入印紙について、契約書とまたがるように押印する必要がある。
- 消印は、収入印紙が再使用されないよう、「判明に」けさなければならない。
この他、収入印紙への消印(≠割印)の押し方の詳細な解説につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
収入印紙は消印以外で消すこともできる
消印は実印以外でもよい
一般的に、収入印紙に消印を押印する場合、契約書の署名欄で使用した印鑑を使います。
ただ、すでに触れた印紙税法施行規則第5条により、この他にも、次のとおり、印紙を消す方法が認められています。
印紙を消す方法
- 自己(=法人、個人事業者、消費者など)の印章(=消印)
- 代理人・法人の代表者の印章(=消印)
- 使用人その他の従業者の印章(=消印)
- 自己・代理人・法人の代表者・使用にその他の従業者の署名(=サイン)
4点目にあるとおり、実は、収入印紙は、消印の押印ではなく、サインで消すこともできます。
サイン・署名による収入印紙の消し方
サイン・署名による収入印紙の消し方は、消印と同様に、契約書と「印紙の彩紋」=印紙の印刷箇所とにまたがって記載します。
具体的には、次の図のようにサイン・署名します。
サイン・署名によって収入印紙を消す場合も、消印と同様に、「判明に」消さなければなりません。
このため、鉛筆や消えるインクのボールペンではなく、消えないインクでサイン・署名しなければなりません。
なお、サイン・署名による場合であっても、一方の契約書当事者だけがサイン・署名をすれば足ります(印紙税法基本通達第64条)。
このため、印鑑を所持していなくても、サイン・署名により収入印紙を消さなければなりません。
ポイント
- 収入印紙は、消印だけではなく、署名・サインで消すこともできる。
建設工事請負契約書の印紙(印紙税・収入印紙)の金額は?
一般的な建設工事請負契約書は2号文書
一般的な建設工事請負契約書は、いわゆる2号文書に該当します。
建設工事請負契約書が2号文書に該当する条件は、以下の3つのすべてとなります。
建設工事請負契約書が2号文書となる3条件
- 契約形態が請負契約であること
- 一回的契約(いわゆるスポット契約、単発契約)であること(継続的な契約はものは後述の7号文書となる可能性があります)
- 工事代金の記載があること(工事代金の記載がないものは後述の7号文書となる可能性があります)
このため、一般的建設工事請負契約書は2号文書に該当します。
建設工事請負契約書(2号文書)の印紙税・収入印紙の金額は?
建設工事請負契約書が2号文書に該当する場合、工事代金によって、次の印紙税が発生します。
2号文書の印紙税の金額(不動産譲渡契約・建設工事請負契約書) | ||
---|---|---|
記載された契約金額 | 印紙税額(1通又は1冊につき) | |
不動産譲渡契約書 | 建設工事請負契約 | |
1万円未満 | 非課税 | |
10万円以下 | 100万円以下 | 200円 |
10万円を超え50万円以下 | 100万円を超え200万円以下 | 200円 |
50万円を超え100万円以下 | 200万円を超え300万円以下 | 500円 |
100万円を超え500万円以下 | 300万円を超え500万円以下 | 1千円 |
500万円を超え1千万円以下 | 5千円 | |
1千万円を超え5千万円以下 | 1万円 | |
5千万円を超え1億円以下 | 3万円 | |
1億円を超え5億円以下 | 5万円 | |
5億円を超え10億円以下 | 16万円 | |
10億円を超え50億円以下 | 32万円 | |
50億円を超えるもの | 48万円 |
金額の記載がない取引基本契約書=建設工事請負基本契約書は7号文書
これに対し、金額の記載がない建設工事請負契約書は、7号文書に該当する可能性があります。
7号文書とは、「継続的取引の基本となる契約書」、いわゆる取引基本契約書であって、売買契約や請負契約等の印紙税法施行規則第26条に該当するもののことです。
【意味・定義】7号文書(印紙税法)とは?
7号文書とは、継続的取引の基本となる契約書であって、「特約店契約書、代理店契約書、銀行取引約定書その他の契約書で、特定の相手方との間に継続的に生ずる取引の基本となるもの」のうち、売買契約や請負契約等の印紙税法施行規則第26条で定めるものをいう。
建設工事請負契約書が7号文書に該当する条件は、以下の5つのすべてとなります。
建設工事請負契約書が7号文書となる5条件
- 委託者が「営業者」であること。
- 契約形態が請負契約であること。
- 継続的取引の基本となる契約書、いわゆる取引基本契約書であること。
- 「契約期間の記載のあるもののうち、当該契約期間が3月以内であり、かつ、更新に関する定めのないもの」でないこと。
- 工事代金の記載がないこと(工事代金の記載があるものは前述の2号文書となる可能性があります)。
例えば、賃貸不動産を扱う不動産業者と、賃貸物件の原状回復の工事を請負う建設工事請負基本契約書などが該当します。
7号文書の印紙税の金額は?
建設工事請負契約書が7号文書に該当する場合、4,000円の印紙税が発生します。
7号文書の印紙税の金額 | ||
---|---|---|
号 | 文書の種類 | 印紙税額(1通または1冊につき) |
7 | 継続的取引の基本となる契約書(契約期間の記載のあるもののうち、当該契約期間が三月以内であり、かつ、更新に関する定めのないものを除く。) | 4千円 |
7号文書に該当するかどうかにつきましては、以下のフローチャートでかんたんに判断できます。
この他、建設工事請負契約書の印紙(印紙税・収入印紙)につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
建設工事請負契約書の印紙税の納税義務者は?
印紙税法では印紙税の納税義務者は「作成者」
印紙税法では、印紙税の納税義務者は、課税文書の「作成者」となっています。
印紙税法第3条(納税義務者)
1 別表第一の課税物件の欄に掲げる文書のうち、第五条の規定により印紙税を課さないものとされる文書以外の文書(以下「課税文書」という。)の作成者は、その作成した課税文書につき、印紙税を納める義務がある。
2 1の課税文書を2以上の者が共同して作成した場合には、当該2以上の者は、その作成した課税文書につき、連帯して印紙税を納める義務がある。
引用元:印紙税法 | e-Gov法令検索
このため、収入印紙・印紙税は、契約書を作成したどちらかの当事者、または双方の当事者が負担することになります。
ここでポイントとなるのは、第2項にあるとおり、課税文書を共同で作成した場合は、「連帯して」印紙税を収める義務があります(何をもって「共同」というのかは必ずしも明らかではありませんが)。
つまり、共同で契約書を作成したにもかからわず、相手方がその契約書に収入印紙を貼っていない場合は、理屈のうえでは、国税庁に対して、「連帯して」印紙税を納税させられる可能性もあるわけです。
建設業法では「建設工事の請負契約の当事者」が建設工事請負契約書の作成者
この点について、建設工事請負契約書の作成義務を規定した建設業法第19条では、「建設工事の請負契約の当事者」が建設工事請負契約書の作成者となっています。
また、「相互に交付しなければならない」となっていることから、建設工事請負契約書は、2部作成することとなります。
このため、注文者・請負人の2者で建設工事請負契約を締結する場合は、注文者と請負人の双方が、共同で原本を2部作成することとなります。
この他、建設工事請負契約書の印紙税の負担当事者につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
ポイント
- 印紙税の納税義務者は課税文書の作成者。
- 印紙税は、共同で作成した契約書の場合は、契約当事者が連帯して納税する義務がある。
- 共同して作成したにもかかわらず、相手方が契約書に収入印紙を貼っていない場合は、理屈のうえでは、「連帯して」印紙税を納税させられる可能性もある。
- 建設工事請負契約書は、注文者と請負人の双方が、共同で原本を2部作成することとなる。
補足1:必要な収入印紙を貼っていない場合はどうなる?契約は無効?過怠税・罰則は?
収入印紙が貼られていなくても契約は無効にはならない
建設工事請負契約書に収入印紙を貼っていない場合、どうなるのでしょうか?
まず、契約が有効か無効かということですが、仮に必要な収入印紙が貼られていなくても、契約自体は、そのことで無効になることはありません。
収入印紙を貼っていないことは、税法上問題となるだけであって、民事上の契約内容の判断には、なんら影響を与えません。
ですから、契約自体は、有効といえます(他の理由で無効になる可能性はありますが)。
収入印紙を貼らずに税務調査で発覚したら3倍の負担(印紙税+2倍の過怠税)
次に、印紙税法上の問題ですが、税務調査で建設工事請負契約書に貼る必要がある収入印紙が貼られていないことが発覚した場合、本来必要な印紙税に加えて、その2倍の金額の過怠税を負担しなければなりません(印紙税法第20条第1項)。
ただし、一定の条件のもとで、税務署長に対して自己申告した場合は、この過怠税は、印紙税の10%まで減額されます(同第2項)。
また、収入印紙を貼っているにもかかわらず、消印を押していない場合は、本来必要な税額に加えて、同額の過怠税を負担しなければなりません(同第3項)。
なお、この過怠税は必要経費に算入できませんので、ご注意ください。
課税文書の契約書に収入印紙を貼らない場合は「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」
課税文書である契約書に収入印紙を貼らない場合は、印紙税法第22条第1号により、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処されます。
印紙税法第22条
次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(1)第8条第1項の規定による相当印紙のはり付けをしなかつた者
(2)第11条第4項又は第12条第5項の規定による申告書をその提出期限までに提出しなかつた者
(3)第16条の規定に違反した者
(4)第18条第1項又は第2項の規定による帳簿の記載をせず、若しくは偽り、又はその帳簿を隠匿した者
引用元:印紙税法 | e-Gov法令検索
このため、契約書が課税文書に該当するかどうかの判断が重要となります。
契約書が課税文書に該当するかどうかの判断につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
収入印紙を消さない場合は「30万円以下の罰金」に処される
また、契約書に収入印紙を貼ったとしても、「判明に印紙を消さな」かった場合は、印紙税法第22条第1号により、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処されます。
印紙税法第23条
次次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(1)第8条第2項の規定に違反した者
(2)第11条第3項又は第12条第3項の規定による表示をしなかつた者
(3)第17条第1項の規定による申告をせず、又は同条第2項の規定による届出をしなかつた者
引用元:印紙税法 | e-Gov法令検索
すでに述べたとおり、収入印紙は、消印=印鑑による方法だけでなく、サイン・署名による方法で消すこともできます。
このため、「印鑑が無いから消せなかった」という言い訳は通用しません。
ポイント
- 建設工事請負契約書に収入印紙が貼られていなくても、その契約は無効にはならない。
- 収入印紙が貼られてないことが税務調査で発覚した場合は、本来の印紙税に加えて2倍の金額の過怠税が課される。
- 収入印紙が貼られていても、消印が押されていない場合は、本来の印紙税に加えて同額の過怠税が課される。
- 過怠税は経費算入できない。
- 収入印紙を貼らない場合や消印を押印しない場合は罰則が科される。
補足2:収入印紙が貼られた契約書と貼られていない契約書はどちらを渡す・返す?
相手方から建設工事請負契約書が2部郵送されてきた場合に、片方だけに収入印紙(消印済み)が貼られていて、もう片方は収入印紙が貼られていないことがあります。
この場合、法的にはどちらを返送しても特に問題はありません。
ただし、収入印紙が貼られていない建設工事請負契約書には、収入印紙を貼ったうえで返送するようにします。
なお、ビジネスマナーとしては、収入印紙が貼られていない建設工事請負契約書に収入印紙を貼り、消印を押したうえで返送するべきです。
この点につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
補足3:印紙税は契約当事者のどちらが負担するの?
印紙税は、印紙税法では、課税文書の作成者が納税義務者となっています(印紙税法第3条)。
他方で、民法上は、契約の締結に要する費用は、当事者の双方が折半して負担することとされています(民法第558条、第559条)。
このため、一般的には、建設工事請負契約書を2部作成した場合、収入印紙は、注文者・請負人が折半して負担することが多いです。
ただ、1部しか建設工事請負契約書を作成しない場合の印紙税の負担や、注文請書の印紙税の負担については、どちらの契約当事者が負担するべきなのか、という問題点もあります。
こうした収入印紙の負担につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。
補足4:契約書の収入印紙にはいつ消印を押す?
契約書の収入印紙に消印を押印するタイミングは、通常は、契約成立の時期=契約書に当事者すべての署名、記名押印等をした時点です。
具体的には、対面・郵送によって、以下の時期になります。
2つ契約成立の時期
- 対面での契約締結の手続きをおこなった場合:当事者のすべての署名または記名押印等のサインが完了した時点
- 郵送で契約締結の手続きをおこなった場合:当事者のすべての署名または記名押印等のサインがなされた契約書が当事者に到達した時点
この他、契約書の収入印紙にはいつ消印を押すかにつきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
補足5:印紙税を合法的に節税する方法とは?
印紙税は、課税文書に該当しない限り、発生しません。
つまり、そもそも契約書を作成しなければ、課税文書そのものを作成しないこととなり、印紙税を課税されることはありません。
もちろん、建設工事請負契約書を作成しなければ、取引きの証拠が残りませんし、建設業法第19条や場合によっては特定商取引法に違反します。
このため、電子契約サービスを利用して契約書を電子化することにより、契約の締結と法律の遵守の証拠を残し、そして印紙税を節税することができます。
印紙税の節税は電子契約サービスがおすすめ
印紙税の節税には、電子契約サービスの利用がおすすめです。
というのも、電子契約サービスは、他の方法に比べて、デメリットがほとんど無いからです。
印紙税を節税する方法は、さまざまあります。
具体的には、以下のものが考えられます。
印紙税を節税する方法
- コピーを作成する:原本を1部のみ作成し、一方の当事者のみが保有し、他方の当事者はコピーを保有する。
- 契約形態を変更する:節税のために準委任契約のような非課税の契約にする。
- 7号文書を2号文書・1号文書に変更する:取引基本契約に初回の注文書・注文請書や個別契約を綴じ込むことで7号文書から2号文書・1号文書に変える。
しかし、これらの方法には、以下のデメリットがあります。
印紙税の節税のデメリット
- コピーを作成する:契約書のコピーは、原本に比べて証拠能力が低い。
- 契約形態を変更する:節税のために契約形態を変えるのは本末転倒であり、節税の効果以上のデメリットが発生するリスクがある。
- 7号文書を2号文書・1号文書に変更する:7号文書よりも印紙税の金額が減ることはあるものの、結局2号文書・1号文書として課税される。
これに対し、電子契約サービスは、有料ではあるものの、その料金を上回る節税効果があり、上記のようなデメリットがありません。
電子契約サービスのメリット
- 電子契約サービスを利用した場合、双方に証拠として電子署名がなされた契約書のデータが残るため、コピーの契約書よりも証拠能力が高い。
- 電子契約サービスは印紙税が発生しないため、印紙税を考慮した契約形態にする必要がない。
- 電子契約サービスは印紙税が発生しないため、7号文書に2号文書や1号文書を同轍する必要はなく、そもそも契約書を製本する必要すらない。
このように、印紙税の節税には、電子契約サービスの利用が、最もおすすめです。
- 1 建設工事請負契約書の消印は契約当事者の双方ではなく一方だけでよい
- 2 収入印紙には割印ではなく消印を押す
- 3 収入印紙への消印(≠割印)の押し方
- 4 収入印紙は消印以外で消すこともできる
- 5 建設工事請負契約書の印紙(印紙税・収入印紙)の金額は?
- 6 建設工事請負契約書の印紙税の納税義務者は?
- 7 補足1:必要な収入印紙を貼っていない場合はどうなる?契約は無効?過怠税・罰則は?
- 8 補足2:収入印紙が貼られた契約書と貼られていない契約書はどちらを渡す・返す?
- 9 補足3:印紙税は契約当事者のどちらが負担するの?
- 10 補足4:契約書の収入印紙にはいつ消印を押す?
- 11 補足5:印紙税を合法的に節税する方法とは?
- 12 印紙税の節税は電子契約サービスがおすすめ