納入・納品・給付とはどのような意味ですか?また、それぞれどのような違いがありますか?
納入は、何らかの物、つまり有体物である物品や無体物である知的財産を引き渡すことです。
納品は、何からの物=物品、つまり有体物や金銭を引き渡すことです。
給付は、何らかの有体物・無体物・金銭を引渡すことや、役務(サービス)を実施することです。
これらは、物・金銭・サービスのどれが対象となるのかに違いがあります。

このページでは、納入・納品・給付の定義と違いについて、簡単にわかりやすく解説しています。

納入・納品・給付は、よく似た意味であるあめ、「非常にわかりづらい」と思いませんか?

それもそのはずで、実は、納入・納品・給付は、法律や契約実務で使われているものの、正確な定義がありません。

だからこそ、使う人によって定義がまちまちになり、「納入・納品・給付の意味や違い」もわかりづらくなってしまいます。

このページでは、こうした「納入・納品・給付の意味や違い」と契約書における使い方について、詳しく、わかりやすく解説します。




納入・納品・給付とは?

納入・納品・給付の定義は、以下のとおりです。

納入・納品・給付とは?
  • 納入とは、一般に、債務者がその債務の弁済として、物品または知的財産等の成果物を引渡す行為
  • 納品とは、一般に、債務者がその債務の弁済として、物品を引渡す行為
  • 給付とは、一般に、債務者がその債務の弁済として、物品もしくは知的財産等の成果物を引渡す行為または役務(サービス)を実施する行為

以下、それぞれ詳しく見ていきましょう。





納入とは?

納入=物・知的財産・金銭の引渡し

一般的な用語としては、納入は、次の意味となります。

【意味・定義】納入とは?

納入とは、一般に、債務者がその債務の弁済として、物品または知的財産等の成果物を引渡す行為をいう。

「納入」は、法律・契約書いずれでも使われている用語ではありますが、正確な定義はありません。

一般的な契約用語としては、商品や製品などの有体物や、著作物やソースコードなどの知的財産を引き渡す行為として使われることが多いです。

契約実務では「金銭の納入」=支払い

なお、一部の法令では、金銭の引渡しのことを「納入」と表現することもあります。

しかし、契約用語としては、「○○金の納入」という使い方はしません。

通常、契約実務では、金銭を引渡す行為は、何らかの債務の弁済であることがほとんどです。

このため、納入ではなく「支払い」と表現します。





納品とは?

納品=「品物」「物品」「商品」「製品」等の引渡し

一般的な用語としては、納品は、次の意味となります。

【意味・定義】納品とは?

納品とは、一般に、債務者がその債務の弁済として、物品を引渡す行為をいう。

「納品」もまた、法律・契約書いずれでも使われている用語ではありますが、正確な定義はありません。

一般的な契約用語としては、商品や製品などの有体物のを引き渡す行為として使われることが多いです。

つまり、文字通り、納品は、「品物」「物品」「商品」「製品」等の引渡しに使われる表現です。

他方で、納品は、著作物やソースコードなどの知的財産や金銭などの「品」でない物を引き渡す行為としては使われません。

納品=「品」だけの引渡し

納品は、納入や給付とは異なり、文字どおり「品」だけの引渡しである点に特徴があります。

言い方を変えれば、「品」の納入であるともいえます。

このため、契約実務では、明らかに有体物である「品」の引渡し・納入の場合に限定して使用する表現です。





給付とは?

一般的な用語としては、給付は、次の意味となります。

【意味・定義】給付とは?

給付とは、一般に、債務者がその債務の弁済として、物品もしくは知的財産等の成果物を引渡す行為または役務(サービス)を実施する行為をいう。

「給付」もまた、法律・契約書いずれでも使われている用語ではありますが、正確な定義はありません。

一般的な法律用語・契約用語としては、納入と同様に、商品や製品などの有体物や、著作物やソースコードなどの知的財産を引き渡す行為として使われることが多いです。

ただし、一部の法律(例:下請法等)においては、役務(サービス)を実施する行為が含まれる場合もあります。





納品・納入・給付の違いは?

納品・納入・給付の違いは、その行為の対象となるモノが違う点にあります。

納品・納入・給付の違い
対象納入納品給付
物品
知的財産・データ×
金銭×
役務(サービス)×××(一部の法律では○)





契約実務での納入・納品・給付の使い方は?

契約実務では納入・提供(実施)・支払いを使う

なお、一般的な契約実務では、行為の対象ごとに、次のような使い方をします。

納入・納品・給付・提供(実施)・支払いの使い方
  • 物品の引渡し=納入または納品
  • 知的財産・データ=納入
  • 役務(サービス)=提供または実施
  • 金銭=支払い

このため、対象に合わせて、納入・提供(実施)・支払いの3つのいずれかを使用すれば、間違えることはありません。

もちろん、役務(サービス)について給付を使ったり、金銭について納入の表現を使ったとしても、法的には間違いではありません。

ただ、一般的な使い方ではありません。

納入・納品・給付・提供(実施)・支払いの使い方まとめ

以上をまとめると、一般的な契約実務における対象ごとの用語の使い方は、次のとおりとなります。

契約実務における納品・納入・給付・提供(実施)・支払いの使い方
対象納入納品給付提供(実施)支払い
物品×××
知的財産・データ××××
金銭××××
役務(サービス)××××





納入・納品・給付に関するよくある質問

納入・納品・給付とはどのような意味ですか?
納入・納品・給付の意味は、それぞれ以下のとおりです。

  • 納入とは、一般に、債務者がその債務の弁済として、物品または知的財産等の成果物を引渡す行為
  • 納品とは、一般に、債務者がその債務の弁済として、物品を引渡す行為
  • 給付とは、一般に、債務者がその債務の弁済として、物品もしくは知的財産等の成果物を引渡す行為または役務(サービス)を実施する行為
納入・納品・給付には、どのような違いがありますか?
納入・納品・給付は、行為の対象となるモノに違いがあります。