こんにちは。契約書作成専門・小山内行政書士事務所代表の小山内です。

このページでは、個人事業者・フリーランスとの業務委託契約と雇用契約・労働契約との法的な違いについて解説しています。

業務委託契約と雇用契約・労働契約は、非常に内容が似ている契約であるため、はっきりと区別するのが非常に難しい契約です。

業務委託契約か雇用契約・労働契約かの判断は、実務上は、厚生労働省が定めた『労働基準法研究会報告』(労働基準法の「労働者」の判断基準について)(昭和60年12月19日)を基準として判断します。

これにつきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

労働基準法研究会報告(労働基準法の「労働者」の判断基準について)(昭和60年12月19日)とは

業務委託契約と雇用契約・労働契約では、一方の契約当事者が、受託者(個人事業者・フリーランス)となるか、または労働者となるかの違いがあります。

これにより、当事者間に適用される法律や制度が大きく変わってきます。

特に、雇用契約・労働契約の場合は、労働者は、各種労働法によって強力に保護されます。

このため、特に、委託者として、個人事業者・フリーランスと業務委託契約を結ぶ際には、雇用契約・労働契約とみなされないように、慎重に対応しなければなりません。

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業務委託契約と雇用契約・労働契約の違い一覧表

まず、業務委託契約と雇用契約・労働契約の違いについて、わかりやすく一覧表にしましたので、ご覧ください。

業務委託契約 雇用契約・労働契約
委託者・使用者に提供されるもの 請負契約:仕事の完成
(準)委任契約:委託業務の実施
労働力
受託者・労働者に提供されるもの 金銭(報酬・料金・委託料)+消費税 金銭(報酬・賃金)
契約当事者の関係 企業間の取引関係(理屈のうえでは対等) 労使関係
適用される法律 商法・会社法・独占禁止法・下請法・家内労働法・特定商取引法・各種業法 各種労働法(労働基準法・労働契約法等)
報酬・賃金等の金銭に対する規制 原則としてなし(ただし下請法等の規制あり) 最低賃金法・労働基準法(特に残業代)などの規制あり
報酬・賃金の金額 一般的には労働者の賃金に比べて報酬・料金・委託料は高い 一般的には個人事業者・フリーランスの報酬・料金・委託料に比べて賃金は低い
報酬・賃金等の金銭に対する源泉徴収義務 原則として委託者に源泉徴収義務はなし
(ただし例外に該当する場合が多い)
使用者に源泉徴収義務あり
報酬・賃金等が消費税の仕入税額控除の対象となるか 対象となる 対象とならない
社会保険料等の負担 受託者である個人事業者・フリーランス 労使双方の負担
仕事の諾否の自由 あり なし
指揮命令の有無 なし あり
場所・時間の拘束性の有無 なし あり
業務の代替性の有無 請負契約:あり
(準)委任契約:なし
なし
業務遂行に必要な機械・器具等・費用の負担 受託者である個人事業者・フリーランスの負担 使用者の負担
業務遂行にもとづく損害の負担 原則として受託者である個人事業者・フリーランスの負担 原則として使用者の負担
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【意味・定義】業務委託契約・雇用契約・労働契約とは

【意味・定義】業務委託契約とは

業務委託契約とは、正式な法令用語ではありませんので、明確な定義はありません。

この点につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

業務委託契約書とは?チェックポイントや注意点は?

なお、このページでは、特に注記がない限り、業務委託契約を、民法上の請負契約または(準)委任契約と想定します。

請負契約と(準)委任契約につきましては、それぞれ次のページをご覧ください。

請負契約とは?―当事者の権利義務・ポイントについて解説

委任契約・準委任契約とは?―当事者の権利義務・ポイントについて解説

【意味・定義】雇用契約・労働契約とは

【意味・定義】雇用契約とは?

雇用契約は、民法上の概念です。民法では、雇用契約は、次のように規定されています。

民法第623条(雇用)

雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。

雇用契約の定義

雇用契約とは、労働者が労働に従事し、使用者が労働に対する報酬を支払う契約。

なお、民法上は、この箇所以外に、雇用契約の具体的な要件や定義が明確になっていません。

【意味・定義】労働契約とは?

労働契約は、労働契約法上の概念です。労働契約法第2条の定義規定では、労働契約の定義は明記されていません。ただ、労働契約法第6条で、次のような規定があります。

労働契約法第6条(労働契約の成立)

労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。

労働契約の定義

労働契約とは、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がその労働に対して賃金を支払う契約。

労働契約法での労働契約の定義は、民法上の雇用契約とは若干表現がことなります(特に「使用されて」という部分)。

なお、雇用契約・労働契約につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

雇用契約・労働契約とは?フリーランス・個人事業者との契約の違いは?

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【違い1】委託者・使用者に提供されるもの

業務委託契約 雇用契約・労働契約
委託者・使用者に提供されるもの 請負契約:仕事の完成
(準)委任契約:委託業務の実施
労働力

委託者・使用者に「提供されるもの」による契約の区分は難しい

請負型・(準)委任型の業務委託契約と雇用契約・労働契約で、受託者・労働者から、委託者・使用者に対して提供されるものは、次のとおりです。

提供されるもの

  • 請負型の業務委託契約:仕事の完成
  • (準)委任型の業務委託契約:委託業務の実施
  • 雇用契約・労働契約:労働力

このように、法的な表現としては別々に表現できますが、契約の実態としては、明確に切り分けることが難しいものです。

例えば、クリーニング店で働く人によって提供される、「衣類にアイロンを掛ける作業」が、上記の3つのどれに該当するかといえば、どれにも該当する可能性があります。

このため、単に「提供されるもの」によって、業務委託契約なのか、または雇用契約・労働契約なのかを区別することは非常に難しいです。

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【違い2】受託者・労働者に提供されるもの

業務委託契約 雇用契約・労働契約
受託者・労働者に提供されるもの 金銭(報酬・料金・委託料)+消費税 金銭(報酬・賃金)

業務委託契約と雇用契約・労働契約のいずれも「お金」が支払われる

一般的な業務委託契約では、委託者から受託者に対して、お金(報酬・料金・委託料などの表現となります)が支払われます。

また、言うまでもなく、雇用契約・労働契約もまた、賃金=給料として、お金が支払われます。

ちなみに、労働基準法第24条第1項により、賃金=給料は、通貨で支払われなければなりません(通過払いの原則)。

このように、業務委託契約と雇用契約・労働契約のいずれも、「お金の支払い」という点では一緒ですので、区別がつきません。

業務委託契約の場合は消費税の課税対象

ただし、業務委託契約の報酬・料金・委託料には、消費税が課税されます。

他方、雇用契約・労働契約には、消費税が課税されません。

この点は、業務委託契約と雇用契約・労働契約の明確な違いです。

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【違い3】契約当事者の関係

業務委託契約 雇用契約・労働契約
契約当事者の関係 企業間の取引関係(理屈のうえでは対等) 労使関係

業務委託契約=対等の関係

業務委託契約は、独立した事業者間の契約です。

このため、理屈のうえでは、双方が対等の立場で結ばれるべき契約です。

ただ、実際は、契約交渉上の立場(バーゲニングポジション)は、どちらかが優位の場合が多く、完全に対等ということは、まずありません。

このため、後述する独占禁止法、下請法、各種業法などによって、企業間に著しい優劣の差が出ないように規制されています。

雇用契約・労働契約=上下関係

他方、雇用契約・労働契約は、立場の強い企業と立場の弱い労働者とが使用従属関係となる契約です。

法的には、対応の立場における合意にもとづいて結ぶべき契約とされています(労働契約法第3条第1条)。

ただ、実態として、労使関係が対等になることはまずありません。

このため、労働基準法をはじめとした、各種労働法によって、法律上は、労働者のほうが圧倒的に強く保護されています。

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【違い4】適用される法律

業務委託契約 雇用契約・労働契約
適用される法律 商法・会社法・独占禁止法・下請法・家内労働法・特定商取引法・各種業法 各種労働法(労働基準法・労働契約法等)

意外と多い企業間の業務委託契約に適用される法律

企業間取引に適用される法律の具体例

一般的に、企業間の業務委託契約では、「契約自由の原則」が誤解されて、ほとんど法律が適用されないかのように思われがちです。

ところが、業務委託契約には、意外と多くの法律が適用されます。

具体的には、個人事業者・フリーランスとの業務委託契約において適用される可能性がある法律は、以下のようなものがあります。

個人事業者・フリーランスとの業務委託契約に適用される法律の具体例

業務委託契約では常に独占禁止法・下請法を意識する

一般的な業務委託契約では、独占禁止法が適用されます。

独占禁止法とは?私的独占・不当な取引制限・不公正な取引方法等を禁止した法律

また、契約当事者の資本金の金額や取引内容によっては、下請法が適用されます。

下請法とは?中小零細企業・個人事業者・フリーランスの味方の法律

個人事業者・フリーランスとの契約では、委託者側の資本金が1,000万円を1円でも越えた場合は、まず下請法が適用されると思って差し支えないでしょう。

このため、委託者・受託者どちらの立場であっても、業務委託契約では、独占禁止法と下請法の適用を意識してください。

委託者の資本金が1,000万円以下でも「優越的地位の濫用」に該当する

なお、委託者側の資本金が1,000万円以下の場合は、下請法は適用されません。

だからといって、委託者の側は油断してはいけませんし、受託者である個人事業者・フリーランスの側も、諦めてはいけません。

下請法は、そもそも独占禁止法の「優越的地位の濫用」をより具体化した特別法に過ぎません。

このため、単に形式的に資本金の要件を満たしていない委託者によって、不当な業務委託契約が結ばれている場合は、独占禁止法の「優越的地位の濫用」に該当します。

業務委託契約における独占禁止法の問題につきましては、、詳しくは、以下のページをご覧ください。

業務委託契約では独占禁止法(不公正な取引方法・優越的地位の濫用)に注意

意外と知られていない「業務委託契約のクーリング・オフ」

クーリング・オフ制度をご存知の方ほど意外に思われるかもしれませんが、実は、一部の業務委託契約は、クーリング・オフできます。

一般的に、クーリング・オフは、特定商取引法等の消費者保護の法律によって、消費者が、一方的に契約の申込みの撤回や解約ができる制度のことをいいます。

従って、基本的には、企業間の契約では、クーリング・オフはできません。

ただし、業務委託契約が、特定商取引法の「業務提供誘引販売取引」に該当する場合は、クーリング・オフができます。

この点につきましては、以下のページをご覧ください。

業務委託契約はクーリングオフできる!?

雇用契約・労働契約では労働法によって労働者が強力に保護される

労働法の具体例

雇用契約・労働契約では、各種労働法が適用されます。

労働法とは、労使間に適用されるさまざまな法律群を総称した呼び方であり、個別の法律の名前ではありません。

雇用契約・労働契約に関係するものとしては、次のものがあります。

雇用契約・労働契約に適用される労働法の具体例

法律上は労働者が圧倒的に有利

これらの労働法は、そのほとんどが、労働者側にとって非常に有利な内容なっています。

労働法によって、労使間の立場の格差は、ある程度解消されます。

しかしながら、いうまでもなく、労使関係の実態は、企業側が圧倒的に有利です。

いわゆる「ブラック企業」がなくならないもの、こうした労働法が実際にはあまり機能していない、という面もあります。

民法・知的財産権法などは共通して適用される

なお、契約の一般的な通則が規定されている民法は、業務委託契約と雇用契約・労働契約の両者に共通して適用されます。

ただし、適用される個別の規定は、共通しているものもあれば、どちらかにしか適用されないものもあります。

また、同様に、著作権法、特許法、不正競争防止法などの知的財産権に関する法律も、共通して適用されます。

こちらも、適用される個別の規定は、共通しているものとどちらかだけに適用されるものがあります。

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【違い5】報酬・賃金等の金銭に対する規制

業務委託契約 雇用契約・労働契約
報酬・賃金等の金銭に対する規制 原則としてなし(ただし下請法等の規制あり) 最低賃金法・労働基準法(特に残業代)などの規制あり

業務委託契約の報酬・料金・委託料の決定は原則として自由

企業間取引の業務委託契約では、契約自由の原則により、当事者が合意することで、報酬・料金・委託料を自由に決めることができます。

極端にいえば、当事者が合意していれば、無報酬でもかまいませんし、いくら高額の取引きでもいいわけです。

ただし、下請法が適用される業務委託契約では、著しく低い報酬・料金・委託料は、いわゆる「買いたたき」に該当する可能性があります。

参照:親事業者の禁止行為:公正取引委員会

また、下請法が適用されない業務委託契約であっても、著しく低い報酬・料金・委託料は、「著しく低い対価での取引の要請」に該当する可能性があります。

参照:役務の委託取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の指針

雇用契約・労働契約の賃金(給料)は労働法によって規制される

他方、雇用契約・労働契約の賃金(給料)は、まず最低賃金法によって、最低限の金額に規制があります。

この最低限の金額を上回っている金額で、労使間で合意があれば、自由に決めることができます。

ただし、労働基準法により、割増賃金(いわゆる残業代など)の規制があります。

また、賃金(給料)を引き下げることは、いわゆる「不利益変更」に該当し、事実上できないと言って差し支えないくらい、難しいです。

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【違い6】報酬・賃金の金額

業務委託契約 雇用契約・労働契約
報酬・賃金の金額 一般的には労働者の賃金に比べて報酬・料金・委託料は高い 一般的には個人事業者・フリーランスの報酬・料金・委託料に比べて賃金は低い

個人事業者・フリーランスのほうが労働者よりも多くのお金が支払われる

個人事業者・フリーランスとの業務委託契約では、雇用契約・労働契約の労働者に比べて、多くのお金が支払われます。

一般的に、企業と業務委託契約を結ぶ個人事業者・フリーランスは、専門性の高い技術があります。

このため、この高い専門性に対する対価として、一般的な労働者の給料よりも、高い報酬・料金・委託料が設定されます。

ただし、あくまで「こうあるべき」という話であり、実態は必ずしもそうではありません。

もっとも、委託者が労働者の給料と変わらない程度の報酬・料金・委託料を支払っていない場合、その業務委託契約は、雇用契約・労働契約とみなされる可能性があります。

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【違い7】報酬・賃金等の金銭に対する源泉徴収義務

業務委託契約 雇用契約・労働契約
報酬・賃金等の金銭に対する源泉徴収義務 原則として委託者に源泉徴収義務はなし
(ただし例外に該当する場合が多い)
使用者に源泉徴収義務あり

個人事業者・フリーランスとの業務委託契約の報酬・料金・委託料の源泉徴収

源泉徴収義務の対象となる業務委託契約の「支払」とは?

個人事業者・フリーランスが契約当事者となる業務委託契約の場合、報酬・料金・委託料は、原則として、源泉徴収義務の対象とはなりません。

例外として、所得税法第204条第1項各号・所得税法施行令第320条に該当する支払となる場合は、報酬・料金・委託料から源泉徴収をしなければなりません。

源泉徴収が必要な報酬・料金等の範囲

源泉徴収が必要な報酬・料金等の範囲は、その報酬・料金等の支払を受ける者が、個人であるか法人であるかによって異なっています。

(1)報酬・料金等の支払を受ける者が個人の場合の源泉徴収の対象となる範囲

イ 原稿料や講演料など
ただし、懸賞応募作品の入選者などへの支払については、一人に対して1回に支払う金額が5万円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。

ロ 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金

ハ 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬

ニ プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金

ホ 芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金

ヘ ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金

ト プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金

チ 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

(2)(以下省略)

雇用契約・労働契約における賃金は給与所得として源泉徴収の対象

雇用契約・労働契約における賃金は、所得税法第183条により、源泉徴収の対象となっています。

所得税法第183条(源泉徴収義務)

1 居住者に対し国内において第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(以下この章において「給与等」という。)の支払をする者は、その支払の際、その給与等について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月10日までに、これを国に納付しなければならない。

2 (省略)

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【違い8】報酬・賃金等が消費税の仕入税額控除の対象となるか

業務委託契約 雇用契約・労働契約
報酬・賃金等が消費税の仕入税額控除の対象となるか 対象となる 対象とならない

業務委託契約の報酬・料金・委託料は「課税仕入れ」に該当

一般的な業務委託契約による業務の実施は、消費税法第2条第1項第12号の「課税仕入れ」に該当します。

このため、課税売上げから、仕入税額として控除することができます。

これに対し、賃金は、「給与所得」として、消費税法第2条第1項第12号では、「役務の提供(所得税法第28条第1項(給与所得)に規定する給与等を対価とする役務の提供を除く。)」と、明確に仕入控除税額から除外されています。

ちなみに、労働者派遣契約における料金も、同様に仕入税額として控除できます。

これが、労働者派遣が拡大したひとつの原因とも言われています。

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【違い9】社会保険料等の負担

業務委託契約 雇用契約・労働契約
社会保険料等の負担 受託者である個人事業者・フリーランス 労使双方の負担

個人事業者・フリーランスは自己負担・労働者は労使双方で負担

個人事業者・フリーランスは、独立した事業者ですので、社会保険料(年金保険料・健康保険料)は自己負担となります。

業務中の事故などがあっても、原則として、労災とは認定されません。

なお、労災保険の「特別加入制度」により、個人事業者・フリーランスであっても、一定の条件を満たしていれば、労災保険に加入することができます。

参照:労災保険への特別加入 |厚生労働省

これに対し、労働者は、使用者とともに、社会保険料(厚生年金保険料・健康保険料・雇用保険料・労災保険料)を負担します。

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【違い10】仕事の諾否の自由

業務委託契約 雇用契約・労働契約
仕事の諾否の自由 あり なし

個人事業者・フリーランスは仕事の諾否は自由に決められる

企業間取引の業務委託契約は、双方が独立した事業者です。

このため、少なくとも法的には、個人事業者・フリーランスは、仕事をするかしないか、つまり仕事の諾否については、自由に決められます。

この点について、実態として仕事の諾否の自由がない場合は、その業務委託契約は、雇用契約・労働契約とみなされる可能性があります。

これに対し、労働者は、労働契約にもとづき、原則として、使用者からの業務命令に従う義務があります。

なお、使用者の業務命令権は、労働契約にもとづくものですから、労働者は、使用者と合意した範囲を越えた業務命令には、従う義務はありません。

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【違い11】指揮命令の有無

業務委託契約 雇用契約・労働契約
指揮命令の有無 なし あり

委託者は個人事業者・フリーランスを指揮命令してはいけない

業務委託契約の当事者である個人事業者・フリーランスは、あくまで独立した事業者であり、委託者の労働者ではありません。

このため、委託者は、個人事業者・フリーランスに対して、指揮命令をできる立場ではありません。

委託者が個人事業者・フリーランスに対して求めることができるのは、業務委託契約にもとづく債務の履行です。

にもかかわらず、実態として、委託者が個人事業者・フリーランスを指揮命令している場合は、その業務委託契約は、雇用契約・労働契約とみなされる可能性があります。

使用者は労働者を指揮命令できる

これに対し、雇用契約・労働契約の場合、当然ながら、使用者は、労働者を指揮命令できます。

ただし、この指揮命令についても、労働契約にもとづくものです。

ですから、使用者は、あくまで労働者と合意した範囲でしか、指揮命令ができません。

ちなみに、使用者が、自己の労働者以外で直接指揮命令できる者は、派遣労働者です。

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【違い12】場所・時間の拘束性の有無

業務委託契約 雇用契約・労働契約
場所・時間の拘束性の有無 なし あり

業務委託契約では必要のない時間・場所の拘束をしてはいけない

時間・場所の指定は契約の性質上やむを得ない場合に限る

個人事業者・フリーランスが契約当事者となる業務委託契約では、必要もないのに業務実施の時間・場所の拘束をしてはいけません。

必要もないのに、業務実施の時間・場所を拘束すると、業務委託契約ではなく雇用契約・労働契約とみなされる可能性があります。

時間・場所の拘束をしてもいいのは、あくまで契約の性質上、やむを得ない場合に限ります。

例えば、社内研修のために、個人事業者・フリーランスの講師と業務委託契約を結ぶ場合は、時間・場所を拘束するのは問題ありません。

必要な場所を指定しないと下請法違反となる

なお、委託業務の実施に必要があって、期日、期間、場所を設定するにもかかわらず、業務委託契約書に記載がないと、かえって下請法違反となる可能性があります。

下請代金支払遅延等防止法第三条の書面の記載事項等に関する規則第1条第1項第2号によって、いわゆる「三条書面」には、期日、期間、場所なども記載しなければなりません。

この点につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

下請法の三条書面とは?―業務委託契約書の12の必須記載事項

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【違い13】業務の代替性の有無

業務委託契約 雇用契約・労働契約
業務の代替性の有無 請負契約:あり
(準)委任契約:なし
なし

請負型の業務委託契約は再委託・下請負は自由にできる

請負契約は、「仕事の完成」を目的とした契約であり、その仕事を「誰が」完成させたかは、重要ではありません。

このため、受託者(請負人)が再委託・下請負をすることは、禁止されていません。

逆にいえば、委託者(注文者)として、受託者(請負人)に対して、再委託・下請負を禁止する場合は、その旨を業務委託契約書の作成の際に記載しなければなりません。

なお、建設工事請負契約については、建設業法第22条により、一括下請負(いわゆる丸投げ)が禁止されています。

(準)委任型の業務委託契約は再委託・再委任はできない

委任契約では、契約当事者の信頼関係がベースにあるため、受託者本人が、委託業務を実施するのが原則されています。

このため、受託者以外の第三者に対して、委託業務の再委託・再委任はできません。

これは、民法の代理の規定を根拠としています。

民法第104条(任意代理人による復代理人の選任)

委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。

ただし、これは、「本人(=委託者)の許諾を得たとき」や「やむを得ない事由があるとき」は、再委託・再委任ができるということでもあります。

雇用契約・労働契約では労働者は勝手に他の人に仕事を任せてはいけない

雇用契約・労働契約では、業務命令により、労働者が自ら労働しなければなりません。

当然ながら、使用者の許可を得ずに、勝手に他の労働者や第三者に対して仕事を任せることは、業務命令に違反します。

このため、労働者は、使用者からの許可を得ずに、自分以外に仕事を任せてはいけません。

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【違い14】業務遂行に必要な機械・器具等の負担

業務委託契約 雇用契約・労働契約
業務遂行に必要な機械・器具等・費用の負担 受託者である個人事業者・フリーランス 使用者

個人事業者・フリーランスはすべて自己負担

個人事業者・フリーランスは、独立した事業者として、自らの事業に必要な機械・器具等・費用は、原則としてすべて自己負担となります。

このため、委託業務の遂行に必要な機械・器具などは、すべて自らの費用負担で用意しなければなりません。

また、委託業務の遂行に必要な経費などの費用も、すべて自己負担となります。

にもかかわらず、委託者の機械・器具などを無償で借りて委託業務を実施する場合や、委託者の費用負担がある場合は、業務委託契約ではなく、雇用契約・労働契約とみなされる可能性があります。

労働者は使用者負担

これに対し、労働者が労働に従事するのに必要な費用は、当然ながら、使用者の負担です。

機械や器具などについても、すべて会社の費用負担で用意しなければなりません。

ただし、あらかじめ労働契約において合意していれば、労働者に費用の負担を求めることができる場合があります。

例えば、制服代や、制服のクリーニング代などが該当します。

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【違い15】業務遂行にもとづく損害の負担

業務委託契約 雇用契約・労働契約
業務遂行にもとづく損害の負担 原則として受託者である個人事業者・フリーランスの負担 原則として使用者の負担

個人事業者・フリーランスは自己の業務遂行に責任を負う

個人事業者・フリーランスが受託者となる業務委託契約では、委託業務の遂行によって損害が発生した場合は、原則として、受託者が、民法や商法にもとづき、その損害を賠償しなければなりません。

例外として、請負型の業務委託契約において、委託者の指図に過失があった場合は、その指図によって生じた第三者の損害については、委託者の負担となります(民法第716条)。

これに対し、労働者は、職務への従事によって、使用者や第三者に損害を与えることがあっても、よほどのことがない限り、その損害を賠償する必要はありません。

それこそ、故意に使用者に対して損害を与える行動でも取らない限り、使用者としては、労働者に対して、損害賠償請求は難しいといえます。

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雇用契約・労働契約とみなされない業務委託契約書の作成のしかたとは?

以上のように、業務委託契約と雇用契約・労働契約とは、様々な点で違いがあります。

ただ、これらの多くは、法律上の違いや、理念上であり、契約の実態としては、ほとんど変わらないように見えることがあります。

このため、当事者としては業務委託契約のつもりであっても、ある日突然、税務署や日本年金機構、あるいは受託者から、「この契約は業務委託契約ではなく雇用契約・労働契約です」と主張される可能性もあります。

このため、適法な業務委託契約とするためには、厚生労働省が定めた『労働基準法研究会報告』(労働基準法の「労働者」の判断基準について)(昭和60年12月19日)に準拠した、業務委託契約書を作成する必要があります。

この点につきましては、以下のページをご覧ください。

労働基準法研究会報告(労働基準法の「労働者」の判断基準について)(昭和60年12月19日)とは