発注と契約の違いは何ですか?
発注は、一般的には、発注者からの契約の申込みのことを意味し、契約は、契約当事者による合意や、契約を成立させることを意味します。
発注と契約の違いは、発注は、それだけでは契約が成立しないのに対し、契約(すること)は、申込みと承諾の両方により契約が成立する点にあります。

一般的に、発注は、発注者からの何らかの契約の申込みを意味します。

【意味・定義】申込みとは?

申込みとは、契約の締結をしようとする意思にもとづき申込者から他人に対して申し入れられる意思表示をいう。

これに対し、契約は、契約当事者による債権債務の発生を目的とした合意を意味します。

【意味・定義】契約とは?

契約とは、2者以上の契約当事者による2つ以上の対立する意思表示の合意であって、債権(場合によっては物権・準物権・身分に関するものも含む)および債務を発生させることを目的としたものをいう。

また、「契約すること」「契約を締結すること」「契約を成立させること」と同様の意味で使われることもあります。

契約は、一方の契約当事者による申込みだけでは成立せず、他方の契約当事者による承諾も必要となります。

民法第522条(契約の成立と方式)

1 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。

2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

【意味・定義】承諾とは?

承諾とは、契約の締結をしようとする承諾者から申込者に対してなされる申込みに対する応諾の意思表示をいう。

このため、発注と契約(すること)の違いは、発注が発注者からの一方的な意思表示である申込みに過ぎず、それだけでは契約が成立しないのに対し、契約(すること)が発注者と受注者による申込みと承諾により契約が成立した点、または契約を成立させる点にあります。

発注と契約の違い
発注契約
契約の成立通常、発注だけでは契約は成立しない。契約は申込みと承諾によって契約が成立した状態、または契約を成立させることを意味する。

なお、場合によっては、発注だけで自動的に契約が成立することもあります。

代表的な例としては、商法第509条による場合があります。

商法第509条(契約の申込みを受けた者の諾否通知義務)

1 商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けたときは、遅滞なく、契約の申込みに対する諾否の通知を発しなければならない。

2 商人が前項の通知を発することを怠ったときは、その商人は、同項の契約の申込みを承諾したものとみなす。

このほか、契約(特に個別契約)の成立につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

業務委託契約における発注書・注文書の使い方は?契約の成立・受発注の手続きについても解説

まとめ
  • 発注は、発注者からの契約の申込みのこと。
  • 契約は、契約当事者による合意や、契約を成立させること。
  • 発注と契約の違いは、発注は、それだけでは契約が成立しないのに対し、契約(すること)は、申込みと承諾の両方により契約が成立する点にある。
  • ただし、場合によっては、発注だけで契約が成立することがある。