こんにちは。契約書作成専門・小山内行政書士事務所代表の小山内です。

このページでは、業務委託契約書の記載内容として最も重要な業務内容について、簡単にわかりやすく解説しています。

業務委託契約書を作成する際に、最も時間をかけて検討しなければいけないのが、業務内容そのものと、書き方です。

というのも、業務委託契約は、法的に定義がない契約ですので、そもそも「何をするのか」=業務内容が法律では決まっていません。

このため、業務内容については、すべて業務委託契約書に書いて決めなければいけません。

逆に、業務内容について、業務委託契約書でしっかり規定しておかないと、実際に受託者によって業務が実施された際に、トラブルになる可能性が高くなります。

このページでは、こうした業務内容について基本的な考え方と業務内容の決め方・書き方について、解説しています。

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【概略】業務内容の5つのポイント

業務内容に関する重要なポイントは、以下の5つです。

業務内容に関する5つのポイント

  • 【ポイント1】業務委託契約は法的な定義がない契約
  • 【ポイント2】業務内容=「何をするのか」「ちゃんとしたのか」
  • 【ポイント3】不明確な業務内容のリスク
  • 【ポイント4】業務内容の決め方・書き方
  • 【ポイント5】委託者は下請法違反に注意

以下、それぞれ詳しく見ていきましょう。

【ポイント1】業務委託契約は法的な定義がない契約

業務委託契約は法律上は「存在しない」

まず基本的な点として押さえておきたいポイントは、「『業務委託契約』という契約はそもそも法律上の定義がない契約である」ということです。

「契約」にはいろんな種類がありますが、その多くは、民法で明確に規定されています(いわゆる「典型契約」)。

【意味・定義】典型契約とは?

「典型契約」とは、売買契約、請負契約、委任契約などの、民法に規定されている13種類の契約をいう。

また、民法以外の法律によって規定されている契約もあります(例:労働者派遣法に規定する労働者派遣契約など)。

ところが、「業務委託契約」は、民法でも、その他の契約でも、定義が規定されていません。

つまり、業務委託契約は、「法的には存在しない契約」である、ということです。

このほか、業務委託契約の定義につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

業務委託契約書とは?その定義とポイントを簡単にわかりやすく解説

法的定義がない=すべて当事者が決めなければならない

業務委託契約に法的な定義がないということは、すべての契約内容について、当事者が決めなければならない、ということです。

すでに触れた、民法に規定されている13種類の典型契約は、ある程度の内容が民法で決まっています。

このため、当事者間で合意がない契約内容については、仮に裁判になったとしても、民法(あるいは商法)の規定に従って、契約内容が判断されます。

これに対し、業務委託契約は、すでに触れたとおり、法律では何も規定されていないため、白紙の状態から、すべて内容を決めなければなりません。

当然ながら、当事者間で合意がなければ、仮に裁判になった場合、当事者の主張が激しく対立し、裁判が長期化・不透明化するリスクがあります。

当事者間で合意がない場合の取扱い

  • 典型契約:合意がない部分は、民法や商法などにもとづいて判断される。
  • 業務委託契約(典型契約でない場合):当事者の主張にもとづいて判断される。

業務内容は業務委託契約の最も重要な根幹・土台となる

このように、業務委託契約は、「白紙」の状態から内容を決めていく必要があります。

この際、最も重要となるのが、このページで解説している「業務内容」です。

「業務委託契約」は、文字どおり、何らかの「業務」を受託者に対し委託する契約です。

ですから、まずは、その「業務」の内容が決まらないと、それ以外の詳細な契約条項について、決めようがありません。

このため、業務内容は、業務委託契約においては、いわば根幹・土台となる部分であるといえます。

ポイント

  • 業務委託契約は法律上の明確な定義が存在しない。
  • 業務委託契約では、業務内容を含めて、すべてを契約当事者が決めなければならない。
  • 業務内容は業務委託契約の根幹・土台となる契約条項。業務内容が決まらないと他の契約条項も決まらない。

【ポイント2】業務内容=「何をするのか」「ちゃんとしたのか」

業務内容=「何をするのか」

業務委託契約は、一般的には、受託者がなんらかのサービス・役務(その結果としての製品・成果物)を提供し、委託者がその対価として金銭を支払う契約です。

この、受託者のサービス・役務の内容、つまり「何をするのか」ということこそが、業務内容ということになります。

同時に、業務内容は、契約実務上は、委託者が請求できる権利となり、同時に、受託者が果たすべき義務・債務・責任となります。

このため、業務内容が明確かどうかは、サービス・役務を受ける側=委託者としても、また、サービス・役務を提供する側=受託者としても、非常に重要となります。

業務内容=「ちゃんとしたのか」の判断基準

業務内容が「何をするのか」であるということは、同時に「何をしたのか」、そして「ちゃんとしたのか」を判断する際の基準となります。

一般的な業務委託契約では、受託者からのサービス・役務の実施や、その結果としての製品・成果物の納入があった場合、これらについて検査をします。

業務委託契約の検査(検査項目・検査方法・検査基準)とは?条項の規定のしかた・書き方・作り方は?

検査の工程では、通常は「業務内容」のとおりに業務が実行されたかどうかを検証します。

つまり、業務内容は、検査の基準でもあるわけです。

検査基準としての業務内容につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

業務内容が業務実施後・納入後の検査に与える3つの影響

少なくとも契約形態(=請負型か準委任型か)を明記する

業務委託契約は請負型か準委任型のいずれか

すでに触れたとおり、業務委託契約は、法的な定義がありません。

ただ、一般的な業務委託契約は、実際は民法上の請負契約か(準)委任契約であることがほとんどです。

【保存版】請負契約と(準)委任契約の13の違い

一部、特殊な業務委託契約では、寄託契約や組合契約である場合もあります。

このように、「業務委託契約」というタイトルであっても、実は、その実態は、法律上の定義がある契約の場合がほとんどです。

この点につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

業務委託契約の7つのパターン―請負・委任・偽装請負・雇用・売買(譲渡)・寄託・組合

請負型か準委任型かを検討することで業務内容が見えてくる

業務委託契約の業務内容を決める際には、その業務委託契約が、実は民法上のどの契約に該当するのか、という点を検討します。

すでに触れたとおり、業務委託契約は、実際は請負契約か(準)委任契約のいずれかである場合がほとんどです。

ですから、まずは、請負契約に該当するのか、または(準)委任契約に該当するのかを検討します。

請負契約とは?―請負型の業務委託契約のポイント・当事者の権利義務を解説

委任契約・準委任契約とは?―(準)委任型の業務委託契約のポイント・当事者の権利義務を解説

請負型の業務委託契約では、なんらかの「仕事の完成」が業務内容となり、準委任型の業務委託契約では、「一定の作業・行為・知識・ノウハウの提供」が業務内容となります。

こうした点を検討することにより、業務内容が具体化され、業務内容を決めやすくなります。

なお、契約形態の条項につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

業務委託契約の契約形態とは?条項の規定のしかた・書き方・作り方は?

ポイント

  • 業務内容は、受託者がおこなうべき業務そのもの。
  • 業務内容は、受託者がおこなった業務の検査基準。
  • 業務委託契約は請負型か準委任型のいずれか
  • 契約形態を検討することで、業務内容が見えてくる。

【ポイント3】不明確な業務内容のリスクは?

【リスク1】委託者は受託者の責任を追求できない

「思っていたのと違う」ことはよくある話

業務内容が不明確な場合、委託者にとって大きなリスクとなるのが、受託者に対して、業務の実施に関する責任を追求できなくなる、という点です。

業務委託契約では、実際に業務が実施された際に、「思っていた業務」と違うということがあります。

特に、業務内容に形がない、システム等の開発業務委託契約や、コンサルティング契約では、ありがちな話です。

こうした場合、契約違反(債務不履行)を主張して、「思っていた業務」どおりにやり直しを求めるか、または報酬・料金・委託料の支払いを拒否したくなります。

ところが、実は、業務内容が明確に規定されているかどうか、というのが重要となります。

業務内容を明確に決めるのは委託者の責任

当然ながら、業務内容が明確に規定されていれば、その内容どおりかどうかの判別がつきやすくなりますので、受託者の責任を追求しやすくなります。

これに対し、業務内容が不明確であれば、そもそも「何をするべきなのか」がハッキリしないため、受託者の責任を追求しづらくなります。

一般的に、業務内容を明確に決めるのは、委託者の側の責任です。

特に、下請法が適用される業務委託契約では、下請法にもとづく委託者の義務となります。

このため、業務内容が不明確な結果、受託者の業務の実施に支障が出たとしても、委託者は、受託者に対し、責任の追求はできなくなります。

【リスク2】受託者は際限なく業務の提供を求められる

逆に、業務内容が不明確な場合、受託者にとって大きなリスクとなるのが、委託者から際限なく業務の提供を求められる、という点です。

これもまた、業務内容に形がない、システム等の開発業務委託契約や、(特に)コンサルティング契約でありがちな話です。

コンサルティング契約における業務内容(提案書・企画書・見積書)の決め方・規定のしかた・書き方とは?

受託者の立場としては、業務委託契約で規定していない業務内容は、「契約内容に含まれない」と解釈するのが当然です。

しかし、委託者の立場としては、業務内容が不明確にしか規定されてなければ、「あれもこれも業務内容に含まれる」と、「拡大解釈」します。

こうした「拡大解釈」の大半は悪気がない「誤解」にもとづくものでしょうが、中には意図的に拡大解釈している場合もあります。

このため、受託者としては、「拡大解釈」の余地がないように、明確に業務内容を規定するべきです。

【リスク3】あとで変更・明確化する方が手間がかかる

業務委託契約の中には、当初から業務内容を確定させるのが難しいものもあります。

典型的なものとしては、システム等開発業務委託契約があります。

ソフトウェア・プログラム・システム・アプリ開発業務委託契約における業務内容(仕様書・要件定義書)の決め方・規定のしかた・書き方とは?

このように、当初から業務内容を確定させるのが難しい場合は、業務内容を後で明確化することを前提にして、業務委託契約を結びます。

しかし、この方法で、後から業務内容を明確化させる方法は、結果的に、最初から業務内容を明確化させるよりも手間やコストがかかることが多いです。

例えば、システム等開発業務委託契約では、仕様が後から確定したり、開発が進んでから変更になることはよくあります。

こうした場合、それまでの開発を活かせる形で仕様の確定・変更がある場合は問題ないですが、それまでの開発を活かせない場合は、結果的に、開発につぎ込んだリソースが無駄になってしまいます。

【リスク4】委託者が下請法違反となる

すでに触れたとおり、下請法が適用される業務委託契約の場合、委託者=親事業者には、業務内容を決める義務があります。

下請法が適用される4つの業務委託契約のパターン

より具体的には、委託者=親事業者は、受託者=下請事業者に対して、業務内容が記載された書面(いわゆる三条書面)を交付する義務があります(下請法第3条)。

下請法の三条書面とは?―業務委託契約書の12の必須事項

この点につきましては、後で詳しく触れていきます。

ポイント

  • 業務内容が不明確だと、委託者は、受託者の責任を追求できない。
  • 業務内容が不明確だと、受託者は、委託者から、際限なく業務の提供を求められる。
  • 業務内容を不明確・不確定にしておき、あとで明確化・確定・変更すると、かえって手間がかかることが多い。
  • 業務内容を不明確だと、委託者は、下請法違反となる。

【ポイント4】業務内容の決め方・書き方は?

契約形態で業務内容の決め方・書き方は違ってくる

まず契約形態から決める

さて、実際に業務委託契約の業務内容を決める際には、まずは、契約形態から決めていきます。

もちろん、最初から慣例的に契約形態が決まっている契約(製造請負業務委託契約など)の場合は、検討する必要はありません。

すでに触れたとおり、業務委託契約には、大きく分けて、請負型と準委任型の2種類があります。

それぞれ、請負型の業務委託契約は、比較的簡単に業務内容を決めやすく、準委任型の業務委託契約は、業務内容を決めるのが難しい、という特徴があります。

請負型の業務委託契約は比較的簡単に業務内容を決められる

請負契約は、そもそも「仕事の完成」を目的とした契約です。

このため、仕事の完成形が見えている業務委託契約でないと、契約形態を請負型にはできません。

請負型の業務委託契約の代表的な例は、製造請負業務委託契約や、建設工事請負契約などです。

これらの契約では、試作品や詳細な設計図により、業務内容が明確に規定されます。

準委任型の業務委託契約は業務内容を決めるのが難しい

準委任型の業務は提供を受けないと見えない

これに対し、準委任契約は、「仕事の完成」は目的ではなく、一定の作業・行為・知識・ノウハウ等の提供を目的とした契約です。

準委任型の業務委託契約の代表的な例は、コンサルティング契約や、常駐型のシステム等開発業務委託契約(SNS契約・システムエンジニアリングサービス契約)などがあります。

これらの業務委託契約では、業務=作業・行為・知識・ノウハウの提供を受けてみないと、具体的な業務内容は見えてきません。

言いかえれば、業務の提供を受ける前では言語で可視化できないからこそ、業務内容を明確に決められない、ということでもあります。

あまりにも想定とかけ離れている場合は解約も検討する

もっとも、準委任契約は、いつでも(=特に理由を必要とせずに)解約できる契約です。

(準)委任契約の契約解除・法定解除権とは?委任者・受任者双方について解説

このため、委託者として、提供された業務内容があまりにも想定からかけ離れている場合は、解約も視野に入れるべきでしょう。

ただし、場合によっては損害賠償責任が発生しますので、注意してください。

一義的・客観的に第三者が見ても分かるように規定する

契約形態が決まった場合、実際に提供する業務を想定しながら、実際に業務委託契約書を起案します。

この際、慣例的に業務内容の規定のしかたが決まっている契約(建設工事請負契約における設計図書など)については、その慣例に従って業務内容を決めていきます。

業務内容を決める際に重要なことは、一義的・客観的に、そして第三者が見てもわかるように記載することです。

つまり、誰が見ても、解釈の余地が限りなく少なくなるように規定します。

あえて「やらないこと」や「別途見積」も規定する

また、業務内容を決める場合、「なにをするのか」を決めることも重要ですが、「やらないこと」や「別途見積」とする内容をあえて規定するのも重要です。これは、受託者の側の立場の場合は、特に重要となります。

すでに触れたとおり、業務委託契約の委託者は、業務委託契約書に記載された業務内容について、拡大解釈することがあります。

また、業務委託契約書に書かれていない業務内容も、無償で対応してくれるものと(場合によっては意図的に)「誤解」します。

このため、「やらないこと」をハッキリ規定したり、無償ではなく有償であることを示すために「別途見積」である旨を明記します。

これにより、委託者からの過大な要求を断ることができます。

契約書そのものか別紙(仕様書、設計書等)で確定する

業務内容は、実務上、契約書そのものか、または契約書以外の別紙(例:仕様書、設計書、設計図面、企画書)に記載します。

比較的簡単な業務内容であれば、契約書に業務内容を記載します。

業務内容の分量が多い場合は、別紙にして契約書に添付するか、別の独立した別の書類とします。

なお、独立した別の書類に業務内容を記載した場合は、契約書と同様に、相互に署名または記名押印をして取交わすことが重要です。

というのも、業務内容は業務委託契約の一部ですので、契約書と同じように、法的拘束力をもたせるためにサインが必要となるからです。

各種契約書における業務内容の決め方・書き方

ソフトウェア・プログラム・システム・アプリ開発業務委託契約では仕様書で業務内容を確定する

ソフトウェア・プログラム・システム・アプリなどの開発業務委託契約では、いわゆる「仕様書」で業務内容を確定します。

この「仕様書」ですが、やっかいなことに、現場レベルで、定義が一致せず、しばしば誤解や認識の不一致の原因となります。

比較的規模が大きな案件では、一般的に、次の3種類の書類で、業務内容=仕様を確定します。

システム等開発業務委託契約における仕様書の内訳

  • 要件定義を記載した要件定義書
  • 外部設計(基本設計)を記載した外部設計書(基本設計書)
  • 内部設計(詳細設計)を記載した内部設計書(詳細設計書)

これらの仕様書の詳細につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

ソフトウェア・プログラム・システム・アプリ開発業務委託契約における業務内容(仕様書・要件定義書)の決め方・規定のしかた・書き方とは?

製造請負契約・製造業務委託契約・取引基本契約では試作品と設計図で業務内容を確定する

物品の製造の契約である製造請負契約・製造業務委託契約・取引基本契約では、いわゆる「設計図」で業務内容を確定します。

もっとも、図面だけで業務内容を確定させるわけではなく、量産が前提の物品の製造であれば、事前に試作品を作成します。

また、物品によっては、金型を作成して、その金型を使用して製造します。

このように、物品の製造の契約では、契約書による合意はもとより、実際に物品を製造することで、業務内容を確定します。

このほか、製造請負契約・製造業務委託契約・取引基本契約における業務内容の確定につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

製造請負契約・製造業務委託契約・取引基本契約における業務内容(仕様書・設計図・図面・金型)の決め方・規定のしかた・書き方とは?

建設工事請負契約では設計図書で業務内容を確定する

建設工事請負契約では、いわゆる「設計図書」で業務内容を確定します。設計図書の中心となるのが、設計図面や仕様書です。

設計図面は、ごく小規模な工事(リフォームなど)を除いて、建築士が建築基準法にもとづいて設計し、地方自治体等による開発許可や建築確認の手続きを受けます。

このため、建築士が故意に改ざんをしない限り、建設工事請負契約の業務内容である設計図書に問題が発生することは、滅多にありません。

このほか、建設工事請負契約における業務内容の確定につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

建設工事請負契約における業務内容(設計図面・仕様書・設計図書)の決め方・規定のしかた・書き方とは?

コンサルティング契約では提案書・企画書・見積書で業務内容を確定する

コンサルティング契約では、提案書・企画書・見積書などの書類で業務内容を確定します。

もっとも、ひと口にコンサルティング契約といっても、大手のコンサルティングファームがコンサルタントとなる大規模な案件もあれば、個人の経営コンサルタントによる、比較的小規模な案件まで、様々です。

当然ながら、大規模な案件では、金額も大きくなるため、コンサルティング契約における業務内容についても、それだけしっかり作り込まれた書類で確定されます。

逆に、小規模な案件では、契約書で数行程度規定するだけで、業務内容を確定させる場合もあります。

このほか、コンサルティング契約における業務内容の確定につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

コンサルティング契約における業務内容(提案書・企画書・見積書)の決め方・規定のしかた・書き方とは?

ポイント

  • 請負型の業務委託契約は比較的簡単に業務内容を決められる。
  • 準委任型の業務委託契約は業務内容を決めるのが難しい。
  • 業務内容は、一義的・客観的に、そして第三者が見ても分かるように規定する。
  • 場合によっては、あえて「やらないこと」や「別途見積」となる業務内容も規定する。
  • 業務内容は、契約書そのものに直接記載するか、または別途の書面に記載する。
  • 別途の書面も、契約書と同じく、署名または記名押印し、契約内容の一部として法的拘束力を持たせる。

【ポイント5】委託者は下請法違反に注意

業務内容は下請法の三条書面の必須記載事項

下請法が適用される業務委託契約の場合、業務内容は、いわゆる「三条書面」の必須記載事項です。

下請法は、正式名称を「下請代金支払遅延等防止法」といい、委託者=親事業者を規制し、受託者=下請事業者を協力に保護している法律です。

下請法とは?中小零細企業・個人事業者・フリーランスの味方の法律

業務委託契約では、委託者と受託者の資本金の金額と、業務内容によっては、下請法が適用される可能性があります。

業務委託契約に下請法が適用されるかどうかにつきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

下請法が適用される4つの業務委託契約のパターン

下請法が適用される場合、委託者=親事業者は、下請法第3条にもとづき、受託者=下請事業者に対して、書面を交付しなければなりません。

この書面のことを、「三条書面」といいます。

下請法の三条書面とは?―業務委託契約書の12の必須事項

委託者は、三条書面に「下請事業者の給付の内容」を必ず記載しなければなりません。

契約実務上、三条書面は、単に交付する形式の書面とするのではなく、相互に取交わす契約書にします。

つまり、業務委託契約では、業務委託契約書を三条書面とする形にします。

このため、業務委託契約書に業務内容=「下請事業者の給付の内容」を記載するのは、委託者の義務である、ということです。

受託者が業務内容が理解できるように「委託者」が記載する必要がある

この「下請事業者の給付の内容」ですが、単に書けばいいというものではありません。

「下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準」によると、「下請事業者の給付の内容」については、次のとおり記載しなければなりません。

(3) 3条書面に記載する「下請事業者の給付の内容」とは,親事業者が下請事業者に委託する行為が遂行された結果,下請事業者から提供されるべき物品及び情報成果物(役務提供委託をした場合にあっては,下請事業者から提供されるべき役務)であり,3条書面には,その品目,品種,数量,規格,仕様等を明確に記載する必要がある。

また、特に、システム等開発業務委託契約では、次のとおり、「下請事業者が3条書面を見て『給付の内容』を理解でき,親事業者の指示に即した情報成果物を作成できる程度の情報を記載することが必要である。」とされています。

Q38: 情報成果物作成委託においては,委託内容のすべてを3条書面に記載することは不可能だが,どの程度詳しく書かなければならないか。
A: 委託内容のすべてを記載することは困難でも,下請事業者が3条書面を見て「給付の内容」を理解でき,親事業者の指示に即した情報成果物を作成できる程度の情報を記載することが必要である。
また,3条書面の「給付の内容」の記載は,親事業者として下請事業者に対し,やり直し等を求める根拠となるものでもあるので,必要な限り明確化することが望ましい。

三条書面を交付しないと最大で罰金50万円の犯罪となる

親事業者が下請業者に対し、三条書面を交付しない場合は、50万円以下の罰金が科されます。

下請法第10条(罰則)

次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした親事業者の代表者、代理人、使用人その他の従業者は、50万円以下の罰金に処する。

(1)第3条第1項の規定による書面を交付しなかつたとき。

(省略)

ポイントは、親事業者である法人だけに罰金が科されるのではなく、「その違反行為をした親事業者の代表者、代理人、使用人その他の従業者」にも罰金が科される、ということです。

つまり、会社で50万円を払えばいい、というものではないのです。しかも、50万円とはいえ、いわゆる「前科」がつきます。

ポイント

  • 業務内容は下請法の三条書面の必須記載事項。
  • 業務内容=「下請事業者の給付の内容」を明らかにするのは委託者の義務であり、受託者の義務ではない。
  • 受託者=下請事業者が、業務内容=「下請事業者の給付の内容」を理解できる程度の内容でなければならない。
  • 三条書面を交付しないことは犯罪行為。しかも法人だけでなく個人にも罰金が科される。