参考文献
実務契約法講義[第3版]
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『実務契約法講義[第3版]』(佐藤孝幸著、民事法研究会、平成19年)は、契約実務全般について記述されている理論書です。
著者の佐藤孝幸氏は、弁護士の方です。外資系銀行での銀行業務、米国大手会計事務所にて国際税務コンサルティング業務するなど、海外の民間企業での経験も豊富です(巻末「著者紹介」より)。
本書は、広く契約実務全般について、契約実務の現場の視点で記述されています。また、理論、実例、判例等についても、非常に豊富に記述されています。その意味では、バランスのとれた良書といえます。
実務家の方におすすめの理論書
本書は、タイトルだけを見ると、学術書の一種と思われがちな書籍ですが、実際は、契約実務の現場を踏まえたうえで記述されてる、理論書です。これは、著者の民間企業での経験によるところが大きいものと思われます。このため、本書は、実務家にとっては非常に参考になる書籍です。
本書は、契約についての基本的な解説と、個別の契約の解説に別れています。
基本的な契約の解説の部分は、実践的な実務の視点からの解説となっています。特に、「いかに巧妙に契約文章を書くか」という点にだけに目が行きがちな契約実務において、それ以前の段階、つまり、契約交渉の段階での注意点が解説されています。この点は、他の実務書ではなかなか目にすることができない点です。
このほかにも、契約文章以外の部分について、いろいろと指摘されています。契約実務の専門家はもとより、契約交渉や実際の契約の運用に関わる企業の担当者などにもお勧めです。
請負契約や委任契約の解説に注目
個別の契約の解説は、この書籍の大半を占める、いわばメインの部分に相当します。この箇所では、個別の契約における、実務上の具体的な問題点を、判例やケーススタディを用いて指摘しています。
その中でも、実際にトラブルになりそうな契約内容を具体的に指摘している記述は、リスクを予見し、契約案を起案する際には、非常に役に立ちます。この解説の部分で、一般的な契約の問題点についてはたいてい網羅されています。
特に、業務委託契約の実務という点では、請負契約や委任契約についても詳細の解説されています。請負契約や委任契約は、業務委託契約書を起案・作成する際には、必ずといっていいほど検討しなければいけない点です。本書は、これらの内容を含めて、横断的に契約実務について学ぶことができます。
なお、本書では、類書にありがちな雛形についての記載・解説や、個別具体的な契約文章についての検証は、おこなわれておりません。また、学術書にありがちな、極めて特殊な事例や判例、つまり、実務的にはあまり考慮する必要のないようなことも、ほとんど記載されていません。
本書は、契約実務の入門書として、また、各種個別契約の取り掛かりの実務書として最適の書籍です。ただし、内容は、500ページを超えるものであり、初学者にとっては、読了するには時間がかかるものと思われます。このため、初学者の方は、比較的内容が簡単な入門書をご覧になったうえで、本書を読み進めることをお勧めします。
お勧めの関連書籍
- 原秋彦『リスク・マネージメントの道具としてのビジネス契約書の起案・検討のしかた』商事法務;2002年
- 花野信子『ビジネス契約書の基本知識と実務』民事法研究会;平成20年
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