委託とは、一般的には、何らかの事柄(主に事業における業務の一部または全部)を他人に任せることを意味します。

この委託の意味・定義は、あくまでビジネス用語や契約実務の慣例として使われる用語としてのものです。

法律的には、民法では「委託」の定義がありません。

ただし、一部の法律では、委託について明確に規定されています。

このページでは、こうした法律上の「委託」の用語の意味・定義について、開業20年・400社以上の取引実績がある管理人が、わかりやすく解説していきます。

このページを読むことで、「委託」の意味・定義や、契約書で「委託」を使うことのリスクについて理解できます。

このページでわかること
  • 法律における「委託」の意味、定義。
  • 下請法における「委託」の意味、定義、根拠条文。
  • 家内労働法における「委託」の意味、定義、根拠条文。

なお、法律以外の「委託」の定義や、契約書で「委託」を使うリスク、回避方法等につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

委託とは?契約用語としての意味・定義やリスクについて簡単にわかりやすく解説




ビジネス用語としての「委託」とは?

【意味・定義】委託とは

【意味・定義】委託とは?

委託とは、一般的には、何らかの事柄(主に事業における業務の一部または全部)を他人に任せることをいう。

上記の定義は、あくまでビジネス用語や契約実務の慣例として使われる用語としての定義です。

すべての契約に適用される民法では、「委託」という用語について、明確な定義づけはありません。

ただし、委託は、民法第643条で使われています。

民法第643条(委任)

委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

「委託=委任契約・準委任契約」とは限らない

もっとも、契約書において「委託」という表現をしたとしても、必ずしも委任契約や準委任契約と解釈されるとは限りません。

「委託」という表現が使われた契約(例:業務委託契約など)がどのような契約に該当するのかは、あくまで契約形態が規定された条項により判断されます。

【意味・定義】契約形態とは?

契約形態とは、一般に、その契約や契約書に記載された内容が該当する、法律により定義づけられた契約のことをいう。

【意味・定義】契約形態条項とは?

契約形態条項とは、その契約が(主に)民法上のどの契約に該当するのかを規定した条項をいう。

契約形態とは?その種類・一覧や書き方・規定のしかたについても解説

また、契約形態の規定がない場合は、契約書の記載内容や契約の実態などから総合的に判断されます。




民法以外の法律における「委託」とは?

民法以外の法律でも、「委託」という用語が使われてます。

そのうち、最も重要なものは、下請法における定義です。

【意味・定義】下請法とは?

下請法とは、正式には「下請代金支払遅延等防止法」といい、親事業者に対し義務・禁止行為を課すことにより、下請代金の支払遅延等を防止するなど、下請事業者を保護することを目的とした法律をいう。

また、家内労働法という法律でも、「委託」という用語が使われています。

【意味・定義】家内労働法とは?

家内労働法とは、「家内労働者の労働条件の向上を図り、家内労働者の生活の安定に資するため、家内労働手帳、工賃支払いの確保、最低工賃、安全衛生の措置など家内労働者に関する最も基本的な事項について定めた法律」をいう。

それぞれ、詳しく解説します。




法律の「委託」の定義1:下請法における委託とは?

下請法では4つの「委託」がある

製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託の4パターン

下請法第2条では、次のとおり、細分化された4つ委託の定義があります。

下請法における4つの「委託」
  • 製造委託(下請法第2条第1項)
  • 修理委託(下請法第2条第2項)
  • 情報成果物作成委託(下請法第2条第3項)
  • 役務提供委託(下請法第2条第4項)

そして、これらの総称を「製造委託等」といいます(下請法第2条第5項)。

【意味・定義】製造委託とは?

【意味・定義】製造委託とは?

製造委託とは、「物品を販売し,または製造を請け負っている事業者が,規格,品質,形状,デザイン,ブランドなどを指定して,他の事業者に物品の製造や加工などを委託すること」をいう。

役務提供委託の定義は、下請法第2条第1項で次のように規定されています。

下請法第2条(定義)

1 この法律で「製造委託」とは、事業者が業として行う販売若しくは業として請け負う製造(加工を含む。以下同じ。)の目的物たる物品若しくはその半製品、部品、附属品若しくは原材料若しくはこれらの製造に用いる金型又は業として行う物品の修理に必要な部品若しくは原材料の製造を他の事業者に委託すること及び事業者がその使用し又は消費する物品の製造を業として行う場合にその物品若しくはその半製品、部品、附属品若しくは原材料又はこれらの製造に用いる金型の製造を他の事業者に委託することをいう。

(以下省略)

【意味・定義】修理委託とは?

【意味・定義】修理委託とは?

修理委託とは、「物品の修理を請け負っている事業者がその修理を他の事業者に委託したり,自社で使用する物品を自社で修理している場合に,その修理の一部を他の事業者に委託することなど」をいう。

修理委託の定義は、下請法第2条第2項で次のように規定されています。

下請法第2条(定義)

1 (省略)

2 この法律で「修理委託」とは、事業者が業として請け負う物品の修理の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること及び事業者がその使用する物品の修理を業として行う場合にその修理の行為の一部を他の事業者に委託することをいう。

(以下省略)

【意味・定義】情報成果物作成委託とは?

【意味・定義】情報成果物作成委託とは?

情報成果物作成委託とは、「ソフトウェア,映像コンテンツ,各種デザインなど,情報成果物の提供や作成を行う事業者が,他の事業者にその作成作業を委託すること」をいう。

情報成果物作成委託の定義は、下請法第2条第3項で次のように規定されています。

下請法第2条(定義)

(途中省略)

3 この法律で「情報成果物作成委託」とは、事業者が業として行う提供若しくは業として請け負う作成の目的たる情報成果物の作成の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること及び事業者がその使用する情報成果物の作成を業として行う場合にその情報成果物の作成の行為の全部又は一部を他の事業者に委託することをいう。

(以下省略)

【意味・定義】役務提供委託とは?

【意味・定義】役務提供委託とは?

役務提供委託とは、「運送やビルメンテナンスをはじめ,各種サービスの提供を行う事業者が,請け負った役務の提供を他の事業者に委託すること」をいう。「ただし,建設業を営む事業者が請け負う建設工事は,役務には含まれ」ない。

役務提供委託の定義は、下請法第2条第4項で次のように規定されています。

下請法第2条(定義)

(途中省略)

4 この法律で「役務提供委託」とは、事業者が業として行う提供の目的たる役務の提供の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること(建設業(建設業法(昭和24年法律第100号)第2条第2項に規定する建設業をいう。以下この項において同じ。)を営む者が業として請け負う建設工事(同条第一項に規定する建設工事をいう。)の全部又は一部を他の建設業を営む者に請け負わせることを除く。)をいう。

(以下省略)

ポイントは、カッコ書きのなかで、建設工事が除外されている、という点です。

建設工事に関しては、建設業法で、下請法と同様の規制があります。

下請法における委託とは?

なお、下請法における委託の定義は、下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準第2によると、以下のとおりです。

【意味・定義】委託(下請法)とは?

下請法における委託とは、「事業者が、他の事業者に対し、給付に係る仕様、内容等を指定して物品等の製造(加工を含む。)若しくは修理、情報成果物の作成又は役務の提供を依頼することをいう。」

したがって、多くの企業間取引のうち、次のものは「委託」に該当します。

委託(下請法)に該当する取引
  • 物品等の製造・加工・修理の依頼
  • 情報成果物の作成の依頼
  • 役務の提供の依頼

このため、多くの業務委託契約の業務委託は、下請法における「委託」に該当する可能性があります。

下請法の「委託」は下請法の規制対象となるかどうかの判断基準

下請法は、親事業者(委託者・発注者)を規制し、下請事業者(受託者・受注者)を保護する法律です。

業務委託契約の実務では、下請法が適用されるかどうかが、非常に重要となります。

この下請法が適用される条件は2つあり、1つは契約当事者の資本金です。

もう1つが、委託内容がここで挙げた4つの「委託」に該当するかどうかです。

これらの「委託」の詳細につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

下請法が適用される4つの資本金・業務内容・業務委託契約のパターンとは?




法律の「委託」の定義2:家内労働法の定義

家内労働法第2条では、「委託」を次のとおり定義づけています。

家内労働法第2条(定義)

1 この法律で「委託」とは、次に掲げる行為をいう。

(1)他人に物品を提供して、その物品を部品、附属品若しくは原材料とする物品の製造又はその物品の加工、改造、修理、浄洗、選別、包装若しくは解体(以下「加工等」という。)を委託すること。

(2)他人に物品を売り渡して、その者がその物品を部品、附属品若しくは原材料とする物品を製造した場合又はその物品の加工等をした場合にその製造又は加工等に係る物品を買い受けることを約すること。

2 (以下省略)

家内労働法は、特に、アパレル関係の事業で、在宅のフリーランサーに仕事を外注する場合に、注意が必要な法律です。

家内労働法が適用される場合、委託者は、受託者に対し、「家内労働手帳」という書面を交付しなければなりません。

家内労働手帳につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

製造請負契約書の作成が義務となる場合は?―下請法・家内労働法・特定商取引法について解説




委託の法律における定義に関するよくある質問

委託とはどういう意味ですか?
委託とは、一般的には、何らかの事柄(主に事業における業務の一部または全部)を他人に任せることです。
委託の法律における定義はありますか?
民法では、委託の定義はありません。他の法律では、下請法や家内労働法において委託が定義づけられています。
下請法では、「委託」は何条に規定されていますか?
下請法では、「委託」は、第2条第1項から第5項に、製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託として規定されています。
下請法における委託の定義は何ですか?
下請法における委託とは、「事業者が、他の事業者に対し、給付に係る仕様、内容等を指定して物品等の製造(加工を含む。)若しくは修理、情報成果物の作成又は役務の提供を依頼すること」です。
家内労働法では、「委託」は何条に規定されていますか?
家内労働法では、「委託」は第2条に規定されています。