契約書に貼った印紙(収入印紙)に押す消印は、どのようにして押すのでしょうか?また、印鑑がない場合は、どうすればいいのでしょうか?
消印は、契約書の本体と貼り付けた印紙(収入印紙)の彩紋(印刷箇所)とにまたがって押します。印鑑がない場合は、自筆の署名・サインを代用とすることもできます。

このページでは、契約書の作成者向けに、収入印紙を消す消印の押印のしかたについて解説しています。

印紙剤が課される課税文書となる契約書を作成した場合、印紙税を納税するために、収入印紙を購入する必要があります。

この際、単に収入印紙を購入するのではなく、契約書に貼り付けたうえで、消印の押印等により、「判明に印紙を消さなければ」なりません(印紙税法第8条第1項)。

この消し方を間違えると、「30万円以下の罰金」に処されます(印紙税法第23条第1号)。

このため、正しい方法で収入印紙を「消す」必要があります。

このページでは、こうした収入印紙の正確な消し方について、開業20年・400社以上の取引実績がある管理人が、わかりやすく解説していきます。

このページでわかること
  • 収入印紙への消印の押し方。
  • 消印以外の収入印紙の消し方。
  • 「収入印紙へ割印を押す」リスク。




収入印紙への消印の押し方

印紙は「消さなければならない」

一部の契約書は、印紙税の課税対象となる課税文書に該当します。

契約書がこの課税文書に該当した場合、原則として収入印紙を購入し、契約書に「はり付ける」必要があります(印紙税法第8条第1項)。

それだけでなく、何らかの方法により、貼り付けた収入印紙を「消さなければ」なりません(印紙税法第8条第2項)。

印紙税法第8条(印紙による納付等)

1 課税文書の作成者は、次条から第12条までの規定の適用を受ける場合を除き、当該課税文書に課されるべき印紙税に相当する金額の印紙(以下「相当印紙」という。)を、当該課税文書の作成の時までに、当該課税文書にはり付ける方法により、印紙税を納付しなければならない。

2 課税文書の作成者は、前項の規定により当該課税文書に印紙をはり付ける場合には、政令で定めるところにより、当該課税文書と印紙の彩紋とにかけ、判明に印紙を消さなければならない。

消印とは?

この収入印紙を消す代表的な方法が、「消印」となります。

【意味・定義】消印とは?

消印とは、印紙を消すために、課税文書と収入印紙にまたがって押される印章・押印をいう。

印章による消し方は、印紙税法施行令第5条において明確に規定されています。

印紙税法施行令第5条(印紙を消す方法)

課税文書の作成者は、法第8条第2項の規定により印紙を消す場合には、自己又はその代理人(法人の代表者を含む。)、使用人その他の従業者の印章又は署名で消さなければならない。

なお、誤用されがちですが、この消印は、「割印」とは別物です(後述)。

消印の押し方とは?

消印の押し方は、契約書と「印紙の彩紋」=印紙の印刷箇所とにまたがって押します。

具体的には、次の図のように押印します。

消印を押す場所は?

消印を押す場所は、契約書と収入印紙にまたがっていれば、どこでも構いません。

一般的には、上図の左側のように、4つの角のいずれかの場所に押すことが多いです。

もちろん、上部の右側のように、角でなくても問題ありません。

複数の収入印紙に消印を押す方法は?

複数の収入印紙に消印を押す場合は、次の図のように押印します。

左側のように、契約書の本体と複数の収入印紙とにまたがるように押印する方法と、右側のように、契約書の本体とそれぞれの収入印紙にまたがるように押印する方法があります。

いずれにしても、すべての収入印紙について、契約書とまたがるように押印する必要があります。

このため、収入印紙を貼る枚数は、なるべく少なくすることがポイントです。

消印は「判明に」消さなければならない

印紙税法第8条第2項にあるとおり、「判明に印紙を消さなければならない」とされています。

収入印紙を消す目的は、印紙の再使用を防止することですので、少なくと再使用ができない程度には「判明に」押印しなければなりません。

このため、不鮮明な押印の場合は、消印として認められない可能性があります。

また、いわゆる「消せるインク」や「消せる朱肉」も、同様に消印と認められない可能性があります。

消印の押し方のポイント
  • 消印は、契約書と「印紙の彩紋」=印紙の印刷箇所とにまたがって押す。
  • 消印を押す場所は、契約書と収入印紙にまたがっていれば、どこでもよい。
  • 複数の収入印紙に消印を押す場合は、すべての収入印紙について、契約書とまたがるように押印する必要がある。
  • 消印は、収入印紙が再使用されないよう、「判明に」けさなければならない。





消印にはどの印鑑を使うべき?実印以外でも問題ない?

消印に使う印鑑は、次のいずれかのもので構いません(印紙税法施行令第5条)。

消印に使う印鑑
  • 自己=契約書の作成者自身(事業者)の印章(実印を含む)
  • 代理人(法人の代表者を含む。)の印章
  • 使用人その他の従業者の印章
印紙税法施行令第5条

印紙税法施行令第5条(印紙を消す方法)

課税文書の作成者は、法第8条第2項の規定により印紙を消す場合には、自己又はその代理人(法人の代表者を含む。)、使用人その他の従業者の印章又は署名で消さなければならない。

通常は、契約書の署名欄に押印した実印を、そのまま消印として使う場合が多いと思われます。

もちろん、実印を使うこと自体は問題ではないのですが、実は、実印以外の押印であっても、消印としては問題ありません。

印章の範囲については、印紙税法基本通達第65条では、以下のとおり規定されています。

印紙税法基本通達第65条(印章の範囲)

令第5条《印紙を消す方法》に規定する「印章」には、通常印判といわれるもののほか、氏名、名称等を表示した日付印、役職名、名称等を表示した印を含むものとする。

このため、実印以外であっても、さまざまな印鑑(ゴム印等も可)で消印を押印できます。





消印は契約当事者の一方だけが押印すればよい

なお、消印は、次のとおり、一方の契約書当事者だけが押印すれば足ります(印紙税法基本通達第64条)。

印紙税法基本通達第64条(共同作成の場合の印紙の消印方法)

2以上の者が共同して作成した課税文書にはり付けた印紙を法第8条《印紙による納付等》第2項の規定により消す場合には、作成者のうちの一の者が消すこととしても差し支えない。

つまり、収入印紙には、両方の契約当事者の消印は必要ではありません。

このため、収入印紙に相手方の消印が無いからといって、わざわざ郵送等により消印を押印してもらう必要はありません。





消印以外(サイン・署名)の収入印紙の消し方

収入印紙はサイン・署名でも消せる

なお、収入印紙の消し方は、消印の押印以外では、次の方法があります(印紙税法施行令第5条)。

消印に使う印鑑
  • 自己=契約書の作成者自身(事業者)の署名(フリーランス・個人事業者本人のサイン)
  • 代理人(法人の代表者を含む。)の署名(役員のサイン)
  • 使用人その他の従業者の署名(労働者のサイン)
印紙税法施行令第5条

印紙税法施行令第5条(印紙を消す方法)

課税文書の作成者は、法第8条第2項の規定により印紙を消す場合には、自己又はその代理人(法人の代表者を含む。)、使用人その他の従業者の印章又は署名で消さなければならない。

つまり、収入印紙の消し方は、消印の押印だけでなく、個人のサインであっても構いません。

サイン・署名による収入印紙の消し方

サイン・署名による収入印紙の消し方は、消印と同様に、契約書と「印紙の彩紋」=印紙の印刷箇所とにまたがって記載します。

具体的には、次の図のようにサイン・署名します。

サイン・署名によって収入印紙を消す場合も、消印と同様に、「判明に」消さなければなりません。

このため、鉛筆や消えるインクのボールペンではなく、消えないインクでサイン・署名しなければなりません。

なお、サイン・署名による場合であっても、一方の契約書当事者だけがサイン・署名をすれば足ります(印紙税法基本通達第64条)。

このため、印鑑を所持していなくても、サイン・署名により収入印紙を消さなければなりません。





収入印紙に消印を押印しない場合の罰則は?

課税文書の契約書に収入印紙を貼らない場合は「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」

課税文書である契約書に収入印紙を貼らない場合は、印紙税法第22条第1号により、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処されます。

印紙税法第22条

次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

(1)第8条第1項の規定による相当印紙のはり付けをしなかつた者

(2)第11条第4項又は第12条第5項の規定による申告書をその提出期限までに提出しなかつた者

(3)第16条の規定に違反した者

(4)第18条第1項又は第2項の規定による帳簿の記載をせず、若しくは偽り、又はその帳簿を隠匿した者

このため、契約書が課税文書に該当するかどうかの判断が重要となります。

契約書が課税文書に該当するかどうかの判断につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

業務委託契約書の印紙(印紙税・収入印紙)の金額はいくら?

収入印紙を消さない場合は「30万円以下の罰金」に処される

また、契約書に収入印紙を貼ったとしても、「判明に印紙を消さな」かった場合は、印紙税法第22条第1号により、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処されます。

印紙税法第23条

次次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。

(1)第8条第2項の規定に違反した者

(2)第11条第3項又は第12条第3項の規定による表示をしなかつた者

(3)第17条第1項の規定による申告をせず、又は同条第2項の規定による届出をしなかつた者

すでに述べたとおり、収入印紙は、消印=印鑑による方法だけでなく、サイン・署名による方法で消すこともできます。

このため、「印鑑が無いから消せなかった」という言い訳は通用しません。





補足:収入印紙に押す印鑑は「割印」ではない

「割印を収入印紙に押す」は誤用

なお、よく収入印紙に関して誤用されがちですが、収入印紙を消す目的で押す印章は、「割印」ではありません。

割印は、2以上の複数の書面にまたがって押される印章のことです。

【意味・定義】割印とは?

割印とは、2以上の複数の書面が同一であること、または関連することを意味するために、それぞれにまたがって押される、印章が割れた押印のことをいう。

これに対し、消印は、すでに述べたとおり、契約書と収入印紙にまたがって押される印章のことです。

消印と割印の違い

消印と割印の違いは、消印が「契約書と収入印紙」にまたがって押される印章であり、割印が「複数の書面」にまたがって押される印章である点。このため、「割印を収入印紙に押す」は誤用。

「割印を収入印紙に押す」リスクとは?

実は、この誤用自体は、特に契約実務において悪影響があるわけではありません。

しかし、例えば相手方の担当者が経験豊富であった場合、自社にとって間接的な悪影響となる場合があります。

というのも、こうした「収入印紙に割印を押す」という明らかな誤用があった場合、相手方は、(もしかしたら、この人は消印と割印の区別も知らないのでは?)と疑います。

つまり、「収入印紙に割印を押す」という表現によって、相手方に「契約実務の基本的な知識・経験がない」ことが露見する可能性があります。





収入印紙の消し方に関するよくある質問

契約書に貼った印紙(収入印紙)に押す消印は、どのようにして押すのでしょうか?
消印は、契約書の本体と貼り付けた印紙(収入印紙)の彩紋(印刷箇所)とにまたがって押します。
印鑑がない場合は、どのように収入印紙を消すべきでしょうか?
印鑑がない場合は、自筆の署名・サインで、消印の代用とすることもできます。





印紙税の節税は電子契約サービスがおすすめ

印紙税の節税には、電子契約サービスの利用がおすすめです。

というのも、電子契約サービスは、他の方法に比べて、デメリットがほとんど無いからです。

印紙税を節税する方法は、さまざまあります。

具体的には、以下のものが考えられます。

印紙税を節税する方法
  1. コピーを作成する:原本を1部のみ作成し、一方の当事者のみが保有し、他方の当事者はコピーを保有する。
  2. 契約形態を変更する:節税のために準委任契約のような非課税の契約にする。
  3. 7号文書を2号文書・1号文書に変更する:取引基本契約に初回の注文書・注文請書や個別契約を綴じ込むことで7号文書から2号文書・1号文書に変える。

しかし、これらの方法には、以下のデメリットがあります。

印紙税の節税のデメリット
  • コピーを作成する:契約書のコピーは、原本に比べて証拠能力が低い。
  • 契約形態を変更する:節税のために契約形態を変えるのは本末転倒であり、節税の効果以上のデメリットが発生するリスクがある。
  • 7号文書を2号文書・1号文書に変更する:7号文書よりも印紙税の金額が減ることはあるものの、結局2号文書・1号文書として課税される。

これに対し、電子契約サービスは、有料ではあるものの、その料金を上回る節税効果があり、上記のようなデメリットがありません。

電子契約サービスのメリット
  1. 電子契約サービスを利用した場合、双方に証拠として電子署名がなされた契約書のデータが残るため、コピーの契約書よりも証拠能力が高い。
  2. 電子契約サービスは印紙税が発生しないため、印紙税を考慮した契約形態にする必要がない。
  3. 電子契約サービスは印紙税が発生しないため、7号文書に2号文書や1号文書を同轍する必要はなく、そもそも契約書を製本する必要すらない。

このように、印紙税の節税には、電子契約サービスの利用が、最もおすすめです。