このページでは、業務委託契約や企業間取引が下請法の対象かどうかの条件である、契約当事者の資本金区分と業務内容について解説しています。

下請法の対象となる企業間取引や契約は、4パターンです。これらのパターンのうちどれに該当するかは、契約当事者の資本金の金額と業務内容によって決まります。

よって、下請法の対象かどうかは、契約当事者それぞれの資本金の金額と、取引内容のうち業務内容がどのようなものなのかを確認する必要があります。

このページでは、こうした企業間取引や契約が下請法の対象かどうかの条件等について、開業22年・400社以上の取引実績がある行政書士が、わかりやすく解説していきます。

このページでわかること
  • 下請法が適用される当事者
  • 下請法が適用される業務内容

なお、このページは、旧下請法にもとづく解説となります。

下請法は、2026年1月1日の改正下請法の施行に伴い、取適法に改められました。

現行法=取適法の適用条件につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

取適法(旧下請法)が適用される条件とは?




下請法の対象となる契約当事者の資本金の区分

下請法は4つの資本金のパターンと特定の業務内容に該当すると対象となる

下請法では、すべての企業間取引が対象となるわけではありません。

下請法が適用対象となる企業間取引は、委託者と受託者の資本金が、一定の区分のものに限られます。

この資本金の区分には、4つのパターンがあります。

そして、その4つのパターンに当てはまる企業間取引のうち、特定の業務内容のものが、下請法の適用対象となります。

下請法が適用される資本金の区分と業務内容

パターン1
委託者受託者
資本金の区分3億1円以上の法人3億円以下の法人(または個人事業者)
業務内容
  1. 製造委託
  2. 修理委託
  3. 情報成果物作成委託(プログラムの作成に限る
  4. 役務提供委託(運送、物品の倉庫保管、情報処理に限る
パターン2
委託者受託者
資本金の区分1千万1円以上3億円以下の法人1千万円以下の法人(または個人事業者)
業務内容
  1. 製造委託
  2. 修理委託
  3. 情報成果物作成委託(プログラムの作成に限る
  4. 役務提供委託(運送、物品の倉庫保管、情報処理に限る
パターン3
委託者受託者
資本金の区分5千万1円以上の法人5千万円以下の法人(または個人事業者)
業務内容
  1. 情報成果物の作成(プログラムの作成以外のもの)
  2. 役務提供委託(運送、物品の倉庫保管、情報処理以外のもの)
パターン4
委託者受託者
資本金の区分1千万1円以上5千万円以下の法人1千万円以下の法人(または個人事業者)
業務内容
  1. 情報成果物の作成(プログラムの作成以外のもの)
  2. 役務提供委託(運送、物品の倉庫保管、情報処理以外のもの)





下請法の適用対象となる業務内容

下請法の適用対象となる4つの業務委託の内容

下請法では、4つの業務内容を委託する場合に限って、適用されます。

具体的には、以下のとおりです。

下請法が適用される4つの業務内容

下請法は、次の4つの業務に限って適用されます。

そして、これらの総称を「製造委託等」といいます(下請法第2条第5項)。

【意味・定義】製造委託とは?

【意味・定義】製造委託とは?

製造委託とは、「物品を販売し,または製造を請け負っている事業者が,規格,品質,形状,デザイン,ブランドなどを指定して,他の事業者に物品の製造や加工などを委託すること」をいう。

役務提供委託の定義は、下請法第2条第1項で次のように規定されています。

下請法第2条(定義)

1 この法律で「製造委託」とは、事業者が業として行う販売若しくは業として請け負う製造(加工を含む。以下同じ。)の目的物たる物品若しくはその半製品、部品、附属品若しくは原材料若しくはこれらの製造に用いる金型又は業として行う物品の修理に必要な部品若しくは原材料の製造を他の事業者に委託すること及び事業者がその使用し又は消費する物品の製造を業として行う場合にその物品若しくはその半製品、部品、附属品若しくは原材料又はこれらの製造に用いる金型の製造を他の事業者に委託することをいう。

(以下省略)

【意味・定義】修理委託とは?

【意味・定義】修理委託とは?

修理委託とは、「物品の修理を請け負っている事業者がその修理を他の事業者に委託したり,自社で使用する物品を自社で修理している場合に,その修理の一部を他の事業者に委託することなど」をいう。

修理委託の定義は、下請法第2条第2項で次のように規定されています。

下請法第2条(定義)

1 (省略)

2 この法律で「修理委託」とは、事業者が業として請け負う物品の修理の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること及び事業者がその使用する物品の修理を業として行う場合にその修理の行為の一部を他の事業者に委託することをいう。

(以下省略)

【意味・定義】情報成果物作成委託とは?

【意味・定義】情報成果物作成委託とは?

情報成果物作成委託とは、「ソフトウェア,映像コンテンツ,各種デザインなど,情報成果物の提供や作成を行う事業者が,他の事業者にその作成作業を委託すること」をいう。

情報成果物作成委託の定義は、下請法第2条第3項で次のように規定されています。

下請法第2条(定義)

(途中省略)

3 この法律で「情報成果物作成委託」とは、事業者が業として行う提供若しくは業として請け負う作成の目的たる情報成果物の作成の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること及び事業者がその使用する情報成果物の作成を業として行う場合にその情報成果物の作成の行為の全部又は一部を他の事業者に委託することをいう。

(以下省略)

【意味・定義】役務提供委託とは?

【意味・定義】役務提供委託とは?

役務提供委託とは、「運送やビルメンテナンスをはじめ,各種サービスの提供を行う事業者が,請け負った役務の提供を他の事業者に委託すること」をいう。「ただし,建設業を営む事業者が請け負う建設工事は,役務には含まれ」ない。

役務提供委託の定義は、下請法第2条第4項で次のように規定されています。

下請法第2条(定義)

(途中省略)

4 この法律で「役務提供委託」とは、事業者が業として行う提供の目的たる役務の提供の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること(建設業(建設業法(昭和24年法律第100号)第2条第2項に規定する建設業をいう。以下この項において同じ。)を営む者が業として請け負う建設工事(同条第一項に規定する建設工事をいう。)の全部又は一部を他の建設業を営む者に請け負わせることを除く。)をいう。

(以下省略)

ポイントは、カッコ書きのなかで、建設工事が除外されている、という点です。

建設工事に関しては、建設業法で、下請法と同様の規制があります。

下請法における委託とは?

なお、下請法における委託の定義は、下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準第2によると、以下のとおりです。

【意味・定義】委託(下請法)とは?

下請法における委託とは、「事業者が、他の事業者に対し、給付に係る仕様、内容等を指定して物品等の製造(加工を含む。)若しくは修理、情報成果物の作成又は役務の提供を依頼することをいう。」

したがって、多くの再委託(一部の自家使用・自家消費)の企業間取引のうち、次のものは「委託」に該当します。

委託(下請法)に該当する取引
  • 物品等の製造・加工・修理の依頼
  • 情報成果物の作成の依頼
  • 役務の提供の依頼

このため、再委託の業務委託や一部の自家使用・自家消費の業務委託は、下請法における「委託」に該当する可能性があります。

業務内容が下請法の適用対象かどうかわからない場合はどうする?

一般的な業務委託契約では、委託者が本業として行っている事業の一部の再委託を目的とした業務委託の場合は、下請法の適用対象と考えて差し支えありません。

特に、再委託の場合は、下請法の対象となります。

ですから、親事業者の立場として、業務委託契約の業務内容が下請法の適用対象かどうかわからない場合は、適用対象と考えて対処するべきです。

よほど判断に迷うような場合や、どうしても下請法の適用対象とは考えにくい場合は、公正取引委員会に相談しましょう。





会社設立・増資の際は下請法を意識する

「資本金1千万円」が下請法の対象かどうかのボーダーライン

このように、資本金の金額と業務内容によって、下請法が適用されるかどうかが決まります。

特に、資本金が1千万円を1円でも超える法人の場合は、要注意です。

資本金が1千万円を1円でも超えた場合、委託者の立場では、受託者が資本金が1千万円以下の会社や個人事業者となると、下請法の規制対象となる可能性があります。

逆に、受託者の立場では、業務内容によりますが、自身の資本金が3億1円以上か、または5千万1円以上であると、下請法の保護対象とはなりません。

理由がない限り資本金は1千万円にとどめておく

これに対し、資本金が1千万円以下(または個人事業者)の場合は、委託者としては下請法による規制を一切考慮する必要はなく、受託者としては下請法の保護が期待できる可能性があります。

このため、会社設立(いわゆる法人成りを含む。)や増資を検討する場合は、格別の理由がないかぎり、資本金は1千万円までにとどめておくべきです。

ただし、資本金が1千万円であっても、独占禁止法は適用されますので、独占禁止法上の「優越的地位の濫用の禁止」に該当しないように注意します。

業務委託契約における独占禁止法の問題点につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

業務委託契約では独占禁止法(不公正な取引方法・優越的地位の濫用)に注意

ポイント
  • 資本金が1千万円を1円でも超えた場合、業務委託契約の委託者としては、下請法の親事業者として規制対象となる可能性がある。
  • 資本金が1千万円を1円でも超えた場合、業務委託契約の受託者としては、下請法の下請事業者として保護を受けられなくなる可能性もある。
  • 資本金が1千万円以下の場合は、業務委託契約の委託者としては、下請法の親事業者として規制対象となることはない。
  • 資本金が1千万円以下の場合は、業務委託契約の受託者としては、下請法の下請事業者として保護を受けられる可能性がある。





大企業の子会社は資本金の金額に関係なく親事業者になることも

なお、大企業とその子会社との業務委託契約について、その子会社が第三者にさらに再委託する場合、子会社の資本金ではなく親事業者の資本金で下請法が適用されるかどうかの判断をすることがあります。

このように、大企業が子会社を通して第三者に業務委託する際に適用される、下請法上の規制をトンネル会社規制といいます。

トンネル会社規制が適用される場合は、子会社の資本金は考慮されずに、親会社の資本金で、子会社が親事業者に該当するかどうかを判断します。

この際、この子会社のことを「みなし親事業者」といいます。

トンネル会社規制につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

下請法のトンネル会社規制や適用される条件についてわかりやすく解説

ポイント
  • 大企業の子会社は、トンネル会社規制を受けることにより資本金の金額に関係なく親事業者となる可能性がある(みなし親事業者)。





補足:下請法が適用されなくてもフリーランス保護法が適用されることもある

フリーランス保護法とは?

なお、下請法と同様の規制として、フリーランス保護法(新法)があります。

【意味・定義】フリーランス保護法(フリーランス新法)とは?

フリーランス保護法・フリーランス新法とは、正式には「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(別名:フリーランス・事業者間取引適正化等法)といい、フリーランスに係る取引の適正化、就業環境の整備等を図る法律をいう。

フリーランス新法とは?禁止行為・対象・罰則をわかりやすく解説【フリーランス保護法】

下請法が適用されなかったとしても、このフリーランス保護法が適用される場合があります。

フリーランス保護法の適用対象とは?

フリーランス保護法では、主に次の3つの事業者を適用対象としています。

フリーランス保護法の適用対象となる3つの事業者
  • 特定受託事業者:個人事業者または役員が1人だけの法人(いずれも従業員を使用しないものに限る)
  • 業務委託事業者:特定受託事業者に対し業務委託をする事業者(三条通知の明示義務の対象者)
  • 特定業務委託事業者:業務委託事業者のうち、従業員を使用する個人事業者または役員が2人以上いる、もしくは従業員を使用する法人

ここでいう特定受託事業者が、いわゆる「フリーランス」に該当します。

また、業務委託事業者と特定業務委託自称者が、いわゆる「発注事業者」に該当します。

フリーランス保護法の規制内容とは?

フリーランス保護法には、主に以下の7つの規制があります。

フリーランス保護法の7つの規制
  • 三条書面の明示
  • 60日ルール
  • 禁止行為
  • フリーランスの募集広告における募集情報の的確表示義務
  • フリーランスの妊娠・出産・育児・介護に対する発注事業者の配慮義務
  • フリーランスに対するハラスメントに関する発注事業者の配慮義務
  • 30日前の契約の予告解除・予告不更新

これらの規制は、発注事業者の従業員や業務委託の期間によって、課される規制内容が異なります。

具体的には、発注事業者が事業者(≠一般消費者)であり、フリーランスが特定受託事業者(従業員を使用しない個人事業者または一人法人)である場合、従業員・役員の人数と業務委託の期間に応じて、次の4つの区分で規制が課されます。

フリーランス保護法の規制内容
発注事業者の使用従業員・代表以外の役員業務委託の期間規制内容
0人
  • 三条書面の明示
1人以上1ヶ月未満
  • 三条書面の明示
  • 60日ルール
  • フリーランスの募集広告における募集情報の的確表示義務
  • フリーランスに対するハラスメントに関する発注事業者の配慮義務
1ヶ月以上6ヶ月未満
  • 三条書面の明示
  • 60日ルール
  • 禁止行為
  • フリーランスの募集広告における募集情報の的確表示義務
  • フリーランスに対するハラスメントに関する発注事業者の配慮義務
6ヶ月以上
  • 三条書面の明示
  • 60日ルール
  • 禁止行為
  • フリーランスの募集広告における募集情報の的確表示義務
  • フリーランスの妊娠・出産・育児・介護に対する発注事業者の配慮義務
  • フリーランスに対するハラスメントに関する発注事業者の配慮義務
  • 30日前の契約の予告解除・予告不更新

フリーランス保護法は、下請法とは異なり、たとえ発注事業者が個人事業者であっても、(主に3条通知の)規制対象となります。

この他、フリーランス保護法が適用される詳細な条件につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

フリーランス新法(保護法)の適用対象は?事業者・取引(業務委託)や下請法との違いについて解説

下請法の対象かどうかに関するよくある質問

下請法は、どのような場合に適用されますか?
下請法は、資本金の区分と業務内容に応じて、以下の4パターンに該当する場合に適用されます。

  • 委託者の資本金が3億1円以上かつ受託者の資本金が3億円以下(または個人事業者)で、業務内容が製造委託、修理委託、情報成果物作成委託(プログラムの作成に限る)、役務提供委託(運送・物品の倉庫保管、情報処理に限る)のいずれか。
  • 委託者の資本金が1千万1円以上3億円以下かつ受託者の資本金が1千万円以下(または個人事業者)で、業務内容が製造委託、修理委託、情報成果物作成委託(プログラムの作成に限る)、役務提供委託(運送・物品の倉庫保管、情報処理に限る)のいずれか。
  • 委託者の資本金が5千万1円以上かつ受託者の資本金が5千万円以下(または個人事業者)で、業務内容が情報成果物の作成(プログラムの作成以外のもの)、役務提供委託(運送・物品の倉庫保管、情報処理以外のもの)のいずれか。
  • 委託者の資本金が1千万1円以上5千万円以下かつ受託者の資本金が1千万円以下(または個人事業者)で、業務内容が情報成果物の作成(プログラムの作成以外のもの)、役務提供委託(運送・物品の倉庫保管、情報処理以外のもの)のいずれか。
下請法は、どのような業務に適用されますか?
下請法は、次の4つの業務に限って適用されます。

  • 製造委託:物品を販売し,または製造を請け負っている事業者が,規格,品質,形状,デザイン,ブランドなどを指定して,他の事業者に物品の製造や加工などを委託すること
  • 修理委託:物品の修理を請け負っている事業者がその修理を他の事業者に委託したり,自社で使用する物品を自社で修理している場合に,その修理の一部を他の事業者に委託すること
  • 情報成果物作成委託:ソフトウェア,映像コンテンツ,各種デザインなど,情報成果物の提供や作成を行う事業者が,他の事業者にその作成作業を委託すること
  • 役務提供委託:運送やビルメンテナンスをはじめ,各種サービスの提供を行う事業者が,請け負った役務の提供を他の事業者に委託すること(建設工事を除く)