寄託契約と委託契約の違いは何ですか?
寄託契約と委託契約の違いは、寄託契約が物品の保管に限った委託の契約であるのに対し、委託契約は、物品の保管も含めた全般的な業務の委託の契約である点です。

このページでは、寄託契約と委託契約の違いについて解説しています。

寄託契約と委託契約は、文字が似ているように、内容も似た契約であり、双方ともに委託の契約の一種です。

これらの寄託契約と委託契約の違いは、寄託契約が物品の保管のみの委託の契約であるのに対し、委託契約が物品の保管も含めたあらゆる業務の委託の契約である点です。

このページでは、こうした寄託契約と委託契約の違いについて、開業20年・400社以上の取引実績がある管理人が、わかりやすく解説していきます。

このページでわかること
  • 寄託契約と委託契約の違い
  • 寄託契約の定義
  • 委託契約の定義




寄託契約と委託契約の違いとは

寄託契約と委託契約は、双方とも委託に関する契約であることは共通しています。

他方で、寄託契約と委託契約は、対象となる業務が、取り扱う業務が物品の保管(寄託)であるか、あらゆる業務(委託)であるかの違いがあります。

寄託契約と委託契約の違い

寄託契約と委託契約の違いは、寄託契約が取り扱う業務内容が物品の保管のみである点に対し、委託契約が取り扱う業務内容があらゆる業務である点。

つまり、寄託契約は、委託契約の一種であるため、寄託契約と委託契約は、包含関係にあると言えます。





【意味・定義】寄託契約とは?

寄託契約は、民法では、以下のように規定されています。

民法第657条(寄託)

寄託は、当事者の一方が相手方のために保管をすることを約してある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。

【意味・定義】寄託契約とは?

寄託契約とは、寄託者(委託者)が受寄者(受託者)に対しある物の保管を委託する契約をいう。

寄託契約の典型的な例としては、倉庫業者(受託者)が、委託者の荷物を預かる契約があります。

企業間の寄託契約は「商事寄託」

なお、企業間の取引としての寄託契約は、商法(第2篇 商行為 第9章 寄託)に規定されている、いわゆる「商事寄託」に該当します。

商法は、民法の特別法であり、一般的な企業間の取引では、民法よりも優先して適用されます。

【意味・定義】特別法とは?

特別法とは、ある法律(=一般法)が適用される場合において、特定の条件を満たしたときに、一般法よりも優先的に適用される法律をいう。

商法第595条

商人がその営業の範囲内において寄託を受けた場合には、報酬を受けないときであっても、善良な管理者の注意をもって、寄託物を保管しなければならない。

業務委託契約として委託者の物品を預かる場合、通常は「其営業ノ範囲内」となります。

ですから、商法第593条以下の規定が、民法の寄託の規定よりも優先して適用されます。





【意味・定義】委託契約とは?

「委託」は慣例として使われる契約用語・ビジネス用語

「委託」という用語は、民法では定義がありませんが、委任契約(民法第643条)や寄託契約(民法第657条)で使われている表現です。

この点について、ビジネス用語としては、慣例として、主に次の意味で使われています。

【意味・定義】委託とは?

委託とは、一般的には、何らかの事柄(主に事業における業務の一部または全部)を他人に任せることをいう。

この点から、「委託契約」とは、一般に次の意味となります。

【意味・定義】委託契約とは?

委託契約とは、何らかの事柄(主に事業における業務の一部または全部)を他人に任せる契約をいう。

この他、契約用語・ビジネス用語としての委託の定義につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

委託とは?契約用語の意味・定義やリスクを簡単に解説

法律用語としての委託の定義は?

他方で、委託は、民法以外の特定の法律等で定義づけられている場合があります。

そのうち、最も重要なものは、下請法における定義です。

【意味・定義】下請法とは?

下請法とは、正式には「下請代金支払遅延等防止法」といい、親事業者に対し義務・禁止行為を課すことにより、下請代金の支払遅延等を防止するなど、下請事業者を保護することを目的とした法律をいう。

下請法における委託の定義は、下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準第2によると、以下のとおりです。

【意味・定義】委託(下請法)とは?

下請法における委託とは、「事業者が、他の事業者に対し、給付に係る仕様、内容等を指定して物品等の製造(加工を含む。)若しくは修理、情報成果物の作成又は役務の提供を依頼することをいう。」

この他、法律用語としての委託の定義につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

【2023年最新】委託とは?法律(下請法・フリーランス保護法等)の定義・意味は?





寄託契約と委託契約の違いに関するよくある質問

寄託契約と委託契約の違いは何ですか?
寄託契約と委託契約の違いは、寄託契約が物品の保管に限った委託の契約であるのに対し、委託契約は、物品の保管も含めた全般的な業務の委託の契約である点です。
寄託契約とは何ですか?
寄託契約とは、寄託者(委託者)が受寄者(受託者)に対しある物の保管を委託する契約のことです。
委託契約とは何ですか?
委託契約とは、何らかの事柄(主に事業における業務の一部または全部)を他人に任せる契約のことです。