下請法の三条書面と五条書類(書面)には、どのような違いがありますか?
下請法の三条書面と五条書類(書面)には、主に保存当事者、記載内容、保存期間、電磁的方法において違いがあります。

このページでは、主に下請法上の親事業者向けに、いわゆる三条書面と五条書類(書面)の違いについて解説しています。

三条書面と五条書類(書面)は、主に内容に細かな点と手元に残る当事者に違いがあります。

三条書面は、下請法第3条にもとづき、親事業者が下請事業者に対し交付しなければならない書面です。

五条書類(書面)は、下請法第5条にもとづき、親事業者が保存しなければならない、下請取引について記録された書面です。

両者は、共通した記載事項が多いです。

このため、契約書を2部作成し、下請事業者に対して交付された原本を三条書面とし、親事業者が保管する原本を五条書類(書面)とするよう、契約実務では運用されることがあります。

この他、保存期間や電磁的方法などに違いがあります。

このページでは、こうした下請法における三条書面と五条書類(書面)の違いや実務上の運用について、開業22年・400社以上の取引実績がある行政書士が、わかりやすく解説していきます。

このページでわかること
  • 三条書面と五条書類(書面)の違い。
  • 三条書面と五条書類(書面)と契約書の関係。
  • 三条書面と五条書類(書面)を兼用した契約書の運用のしかた。




三条書面と五条書類(書面)の違い

記載内容・交付と保存の当事者・保存期間・電磁的記録の可否が違う

三条書面と五条書類(書面)では、主に以下の点に違いがあります。

三条書面と5条書面の違い一覧表
三条書面五条書面
当事者親事業者が作成、下請事業者が交付を受ける親事業者が作成し保存する
記載事項12項目17項目
保存期間下請法上は特に規定なし2年間
電磁的方法下請事業者の承諾が必要条件を満たせば可能(下請事業者の承諾は不要)

以下、それぞれ詳しく見ていきましょう。





違い1【保存当事者】三条書面=下請事業者、五条書類(書面)=親事業者

三条書面と五条書類(書面)は、ともに親事業者に作成義務がある書類です。

そして、三条書面は下請事業者に交付されなければならないものであり、五条書類(書面)は親事業者が保存しなければなりません。

つまり、誰の手元に残るものか、という点で違いがあります。

また、三条書面と五条書類(書面)は、ともに書面または電磁的方法により、交付や保存ができます。

このため、書面で交付・保存する場合は、契約書を三条書面・五条書類(書面)(の一部)として運用することがあります(後述)。





違い2【記載事項】三条書面は12項目、五条書類(書面)は17項目

三条書面と五条書類(書面)の記載事項は、以下のように細かな点で違いがあります。

三条書面の記載事項五条書類(書面)の記載事項
  1. 親事業者及び下請事業者の名称(番号、記号等による記載も可)
  2. 製造委託、修理委託、情報成果物作成委託又は役務提供委託をした日
  3. 下請事業者の給付の内容(役務提供委託の場合は、提供される役務の内容)
  4. 下請事業者の給付を受領する期日(役務提供委託の場合は、役務が提供される期日又は期間)
  5. 下請事業者の給付を受領する場所(役務提供委託の場合は、役務が提供される場所)
  6. 下請事業者の給付の内容(役務提供委託の場合は、提供される役務の内容)について検査をする場合は、その検査を完了する期日
  7. 下請代金の額
  8. 下請代金の支払期日
  9. 下請代金の全部又は一部の支払につき、手形を交付する場合は、その手形の金額(支払比率でも可)及び手形の満期
  10. 下請代金の全部又は一部の支払につき、一括決済方式で支払う場合は、金融機関名、貸付け又は支払を受けることができることとする額、親事業者が下請代金債権相当額又は下請代金債務相当額を金融機関へ支払う期日
  11. 下請代金の全部又は一部の支払につき、電子記録債権で支払う場合は、電子記録債権の額及び電子記録債権の満期日
  12. 原材料等を有償支給する場合は、その品名、数量、対価、引渡しの期日、決済期日及び決済方法
  1. 下請事業者の名称(番号、記号等による記載も可)
  2. 製造委託、修理委託、情報成果物作成委託又は役務提供委託をした日
  3. 下請事業者の給付の内容(役務提供委託の場合は、役務の提供の内容)
  4. 下請事業者の給付を受領する期日(役務提供委託の場合は、役務が提供される期日又は期間)
  5. 下請事業者から受領した給付の内容及び給付を受領した日(役務提供委託の場合は、役務が提供された日又は期間)
  6. 下請事業者の給付の内容(役務提供委託の場合は、提供される役務の内容)について、検査をした場合は、その検査を完了した日、検査の結果及び検査に合格しなかった給付の取扱い
  7. 下請事業者の給付の内容について、変更又はやり直しをさせた場合は、その内容及び理由
  8. 下請代金の額(下請代金の額として算定方法を記載した場合には、その後定まった下請代金の額を記載しなければならない。また、その算定方法に変更があった場合、変更後の算定方法、その変更後の算定方法により定まった下請代金の額及び変更した理由を記載しなければならない。)
  9. 下請代金の支払期日
  10. 下請代金の額に変更があった場合は、増減額及びその理由
  11. 支払った下請代金の額、支払った日及び支払手段
  12. 下請代金の全部又は一部の支払につき、手形を交付した場合は、その手形の金額、手形を交付した日及び手形の満期
  13. 下請代金の全部又は一部の支払につき、一括決済方式で支払うこととした場合は、金融機関から貸付け又は支払を受けることができることとした額及び期間の始期並びに親事業者が下請代金債権相当額又は下請代金債務相当額を金融機関へ支払った
  14. 下請代金の全部又は一部の支払につき、電子記録債権で支払うこととした場合は、電子記録債権の額、支払を受けることができることとした期間の始期及び電子記録債権の満期日
  15. 原材料等を有償支給した場合は、その品名、数量、対価、引渡しの日、決済をした日及び決済方法
  16. 下請代金の一部を支払い又は原材料等の対価の全部若しくは一部を控除した場合は、その後の下請代金の残額
  17. 遅延利息を支払った場合は、遅延利息の額及び遅延利息を支払った

上記のうち、太字の部分が共通する記載事項です。

ただ、基本的には、三条書面の記載事項は下請取引の「予定された取引内容」であり、五条書類(書面)の記載事項は下請取引の「取引の結果」です。





違い3【保存期間】三条書面はなし、五条書類(書面)は2年間の保存義務あり

下請法上の保存義務は五条書類(書面)のみ

三条書面の保存期間は、特に下請法では規定されていません。

このため、親事業者・下請事業者ともに、保存義務や保存期間はありません。

五条書類の保存期間は、記載または記録が終わった日から起算して2年とされています。

下請法五条規則第3条

法第5条の書類又は電磁的記録の保存期間は、第1条第1項から第3項までに掲げる事項の記載又は記録を終った日から二年間とする。

このため、親事業者は、下請法上は、記載または記録が終わった日から起算して2年は五条書類(書面)を保存しておかなければなりません。

三条書面・五条書類(書面)ともに他の法律にもとづく保存義務がある

なお、三条書面は、下請法に保存期間が規定されていないからといって、すぐに廃棄していいものではありません。

同様に、五条書類・五条書類(書面)も、保存期間が2年間だからといって、2年過ぎたら廃棄していいものではありません。

三条書面・五条書類(書面)とも、他の法律でも書類・書面の保存が義務づけられていることがありますし、会計証憑としての保存義務もあります。

このため、そういった他の法律についても考慮する必要があります。

以下は、その代表的な例です。

三条書面・五条書類(書面)の保存期間と根拠条文





違い4【電磁的方法】三条書面は下請事業者の承諾必須、五条書類(書面)は別の条件あり

三条書面の交付の電磁的方法

書面の交付以外の方法とは?

三条書面の交付の電磁的方法としては、以下の3つの方法が認められています。

電磁的方法による3つの三条書面の交付方法

  • 電気通信回線を通じて送信し,下請事業者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法(例えば,電子メール,EDI等)
  • 電気通信回線を通じて下請事業者の閲覧に供し,当該下請事業者のファイルに記録する方法(例えば,ウェブの利用等)
  • 下請事業者に磁気ディスク,CD-ROM 等を交付する方法

このうち、1つがメールによる交付方法です。2つめが、ウェブサイトや電子契約サービスによる交付方法です。

下請事業者の事前の承諾が必須

ただし、上記の3つの電磁的方法による三条書面の交付は、下請事業者の事前の承諾が必須です。

しかも、その承諾についても、細かな条件があります。

下請事業者の事前承諾

電磁的方法による三条書面の交付に必要な下請事業者の事前承諾の条件

なお、下請事業者からの承諾がない場合は、下請法違反となります。

五条書類(書面)の交付の電磁的方法

一方、五条書類(書面)の保存の電磁的方法は、以下の条件を満たしている必要があります。

五条書類・五条書類(書面)を電磁的記録にできる4条件
  1. 記録事項について訂正又は削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認することができること(下請法五条規則第2条第3項第1号)。
  2. 必要に応じ電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に出力することができること(下請法五条規則第2条第3項第2号)。
  3. 記録事項を検索の条件として設定することができる検索機能があること(下請法五条規則第2条第3項第3号イ)。
  4. 業務委託をした日=注文日の範囲を指定して条件を設定することができる検索機能があること(下請法五条規則第2条第3項第3号ロ)。





三条書面と五条書類(書面)を兼用する契約書の作成のしかたとは?

親事業者の契約書=五条書類・五条書類(書面)、下請事業者の契約書=三条書面

契約実務上は、契約書を三条書面と五条書類(書面)(の一部)とすることができます。

通常、契約書は、2部作成し、親事業者と下請事業者がそれぞれ1部ずつ保管します。

ですから、親事業者の手元にある契約書は五条書類(書面)、下請事業者の手元にある契約書は三条書面となるように、契約書を作成します。

ただし、五条書類(書面)に関しては、契約を結ぶ時点では、契約書の記載事項としては馴染まないものあります。

こうした内容については、契約書以外の補充書面や電磁的方法等で対応します。

三条書面の記載事項

下請法第3条と下請法三条規則では、以下の内容が、三条書面の記載事項とされています。

三条書面の必須記載事項

  1. 親事業者及び下請事業者の名称(番号、記号等による記載も可)
  2. 製造委託、修理委託、情報成果物作成委託又は役務提供委託をした日
  3. 下請事業者の給付の内容(役務提供委託の場合は、提供される役務の内容)
  4. 下請事業者の給付を受領する期日(役務提供委託の場合は、役務が提供される期日又は期間)
  5. 下請事業者の給付を受領する場所(役務提供委託の場合は、役務が提供される場所)
  6. 下請事業者の給付の内容(役務提供委託の場合は、提供される役務の内容)について検査をする場合は、その検査を完了する期日
  7. 下請代金の額
  8. 下請代金の支払期日
  9. 下請代金の全部又は一部の支払につき、手形を交付する場合は、その手形の金額(支払比率でも可)及び手形の満期
  10. 下請代金の全部又は一部の支払につき、一括決済方式で支払う場合は、金融機関名、貸付け又は支払を受けることができることとする額、親事業者が下請代金債権相当額又は下請代金債務相当額を金融機関へ支払う期日
  11. 下請代金の全部又は一部の支払につき、電子記録債権で支払う場合は、電子記録債権の額及び電子記録債権の満期日
  12. 原材料等を有償支給する場合は、その品名、数量、対価、引渡しの期日、決済期日及び決済方法

これらの内容は、契約書にすべて記載できます。

このため、三条書面を契約書の形式にする場合は、すべての内容を契約書に記載します。

また、契約締結の時点で明らかでない記載内容については、後日、補充書面の交付や電磁的方法で対応します。

五条書類(書面)の記載事項

下請法第5条と下請法五条規則では、以下の内容が、五条書類・五条書類(書面)の記載事項とされています。

五条書類・五条書類(書面)の必須記載事項

  1. 下請事業者の名称(番号、記号等による記載も可)
  2. 製造委託、修理委託、情報成果物作成委託又は役務提供委託をした日
  3. 下請事業者の給付の内容(役務提供委託の場合は、役務の提供の内容)
  4. 下請事業者の給付を受領する期日(役務提供委託の場合は、役務が提供される期日又は期間)
  5. 下請事業者から受領した給付の内容及び給付を受領した日(役務提供委託の場合は、役務が提供された日又は期間)
  6. 下請事業者の給付の内容(役務提供委託の場合は、提供される役務の内容)について、検査をした場合は、その検査を完了した日、検査の結果及び検査に合格しなかった給付の取扱い
  7. 下請事業者の給付の内容について、変更又はやり直しをさせた場合は、その内容及び理由
  8. 下請代金の額(下請代金の額として算定方法を記載した場合には、その後定まった下請代金の額を記載しなければならない。また、その算定方法に変更があった場合、変更後の算定方法、その変更後の算定方法により定まった下請代金の額及び変更した理由を記載しなければならない。)
  9. 下請代金の支払期日
  10. 下請代金の額に変更があった場合は、増減額及びその理由
  11. 支払った下請代金の額、支払った日及び支払手段
  12. 下請代金の全部又は一部の支払につき、手形を交付した場合は、その手形の金額、手形を交付した日及び手形の満期
  13. 下請代金の全部又は一部の支払につき、一括決済方式で支払うこととした場合は、金融機関から貸付け又は支払を受けることができることとした額及び期間の始期並びに親事業者が下請代金債権相当額又は下請代金債務相当額を金融機関へ支払った日
  14. 下請代金の全部又は一部の支払につき、電子記録債権で支払うこととした場合は、電子記録債権の額、支払を受けることができることとした期間の始期及び電子記録債権の満期日
  15. 原材料等を有償支給した場合は、その品名、数量、対価、引渡しの日、決済をした日及び決済方法
  16. 下請代金の一部を支払い又は原材料等の対価の全部若しくは一部を控除した場合は、その後の下請代金の残額
  17. 遅延利息を支払った場合は、遅延利息の額及び遅延利息を支払った日

    これらのうち、赤字のものは、契約書の記載内容には馴染まない、または記載できないものです。

    このため、赤字の部分については、必要に応じて、契約を結んだ後で、契約書や注文書・注文請書とは別の、補充書面または電磁的方法により記載しておきます。

    三条書面と五条書類・五条書類(書面)を兼用した契約書の記載事項

    以上の点から、三条書面と五条書類(書面)を兼用した契約書の記載内容は、次のとおりとなります。

    (【】内はどちらの三条書面と五条書類(書面)のごどちらの記載事項かを表しています。)

    1.三条書面と五条書類(書面)兼用の契約書の記載事項

    すべての契約書に共通する記載事項

    1. 契約当事者の名称=親事業者及び下請事業者の名称(番号,記号等による記載も可))【三条書面・五条書類(書面)】
    2. 発注年月日=製造委託、修理委託、情報成果物作成委託又は役務提供委託をした日【三条書面・五条書類(書面)】
    3. 業務内容=下請事業者の給付の内容【三条書面・五条書類(書面)】
    4. 納入日・納期・作業実施日=下請事業者の給付を受領する期日(役務提供委託の場合は、役務が提供される期日又は期間)【三条書面・五条書類(書面)】
    5. 納入場所・作業実施場所=下請事業者の給付を受領する場所【三条書面】
    6. 検査期間・検査期日=下請事業者の給付の内容について検査をする場合は,検査を完了する期日【三条書面】
    7. 報酬・料金・委託料(または、これらの計算方法)=下請代金の額(算定方法による記載も可)【三条書面・五条書類(書面)】
    8. 報酬・料金・委託料の支払期限・支払期日=下請代金の支払期日【三条書面・五条書類(書面)】

    2.現金以外で支払う場合の記載事項

    1. 手形を交付する場合は手形の金額(支払比率でも可)及び手形の満期【三条書面】
    2. 一括決済方式で支払う場合は、金融機関、貸付け又は支払可能額,親事業者が下請代金債権相当額又は下請代金債務相当額を金融機関へ支払う期日【三条書面】
    3. 電子記録債権で支払う場合は、電子記録債権の額及び電子記録債権の満期日【三条書面】

    3.有償支給原材料ががある場合の記載事項

    1. 原材料等を有償支給する場合は、品名、数量、対価、引渡しの期日、決済期日及び決済方法【三条書面】

    上記の1.の8つの記載事項は必須ですが、2.については現金決済であれば不要ですし、3.についても有償支給原材料がなければ不要です。

    なお、下請法が適用される場合における業務委託契約書の作成のポイントにつきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

    下請法が適用される業務委託契約書のポイント―最大で50万円の罰金も?





    補足1:下請法が適用される条件とは

    下請法は4つの資本金のパターンと特定の業務内容に該当すると適用される

    下請法では、すべての企業間取引が適用対象となるわけではありません。

    下請法が適用となる企業間取引は、親事業者(委託者)と下請事業者(受託者)の資本金が、一定の区分のものに限られます。

    この資本金の区分には、4つのパターンがあります。

    そして、その4つのパターンに当てはまる企業間取引のうち、特定の業務内容のものが、下請法の適用対象となります。

    下請法が適用される資本金の区分と業務内容

    パターン1
    親事業者下請事業者
    資本金の区分3億1円以上3億円以下(または個人事業者)
    業務内容
    1. 製造委託
    2. 修理委託
    3. 情報成果物作成委託(プログラムの作成に限る
    4. 役務提供委託(運送・物品の倉庫保管、情報処理に限る
    パターン2
    親事業者下請事業者
    資本金の区分1千万1円以上3億円以下1千万円以下(または個人事業者)
    業務内容
    1. 製造委託
    2. 修理委託
    3. 情報成果物作成委託(プログラムの作成に限る
    4. 役務提供委託(運送・物品の倉庫保管、情報処理に限る
    パターン3
    親事業者下請事業者
    資本金の区分5千万1円以上5千万円以下(または個人事業者)
    業務内容
    1. 情報成果物の作成(プログラムの作成以外のもの)
    2. 役務提供委託(運送・物品の倉庫保管、情報処理以外のもの)
    パターン4
    親事業者下請事業者
    資本金の区分1千万1円以上5千万円以下1千万円以下(または個人事業者)
    業務内容
    1. 情報成果物の作成(プログラムの作成以外のもの)
    2. 役務提供委託(運送・物品の倉庫保管、情報処理以外のもの)

    これらの4つのパターンにつきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

    下請法の対象かどうかの条件とは?





    補足2:三条書面・五条書類(書面)とは

    三条書面とは?

    三条書面とは、下請法第3条に規定されている書面です。

    下請法第3条(書面の交付等)

    1 親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、直ちに、公正取引委員会規則で定めるところにより下請事業者の給付の内容、下請代金の額、支払期日及び支払方法その他の事項を記載した書面を下請事業者に交付しなければならない。ただし、これらの事項のうちその内容が定められないことにつき正当な理由があるものについては、その記載を要しないものとし、この場合には、親事業者は、当該事項の内容が定められた後直ちに、当該事項を記載した書面を下請事業者に交付しなければならない。

    2 親事業者は、前項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該下請事業者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて公正取引委員会規則で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該親事業者は、当該書面を交付したものとみなす。

    【意味・定義】三条書面(下請法)とは?

    三条書面(下請法)とは、下請代金支払遅延等防止法(下請法)第3条に規定された、親事業者が下請事業者に対し交付しなければならない書面をいう。

    ここでいう「公正取引委員会規則」とは、「下請代金支払遅延等防止法第三条の書面の記載事項等に関する規則」(以下、「下請法三条規則」といいます)のことです。

    三条書面につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

    下請法の三条書面とは?12の法定記載事項について解説

    五条書類(書面)とは?

    五条書類(書面)とは、下請法第5条に規定されている書面です。

    下請法第5条(書類等の作成及び保存)

    親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、公正取引委員会規則で定めるところにより、下請事業者の給付、給付の受領(役務提供委託をした場合にあつては、下請事業者がした役務を提供する行為の実施)、下請代金の支払その他の事項について記載し又は記録した書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成し、これを保存しなければならない。

    【意味・定義】五条書類・五条書面とは?

    五条書類(書面)とは、下請法第5条にもとづき、親事業者が、作成し、保存しなければならない書類。

    ここでいう「公正取引委員会規則」とは、「下請代金支払遅延等防止法第五条の書類又は電磁的記録の作成及び保存に関する規則」(以下、「下請法五条規則」といいます)のことです。

    五条書類(書面)につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

    下請法の五条書類・五条書面とは?17の必須記載事項とは?





    下請法の三条書面と五条書類(書面)の違いに関するよくある質問

    下請法の三条書面と五条書類(書面)には、どのような違いがありますか?
    下請法の三条書面と五条書類(書面)には、主に保存当事者、記載内容、保存期間、電磁的方法において違いがあります。
    三条書面と五条書類(書面)と契約書は兼用できますか?
    三条書面と五条書類(書面)は、契約書と兼用することができます。ただし、五条書類(書面)については、契約書の記載に馴染まない記載事項もあるため、補充書面や電磁的方法により、補完する必要があります。