こんにちは。契約書作成専門・小山内行政書士事務所代表の小山内です。

このページでは、業務委託契約において、受託者からよく主張される「二次使用権・二次利用権」について、わかりやすく解説しています。

また、併せて、「商品化権」について解説しています。

いわゆる「二次使用権・二次利用権」という概念は、著作権が発生する業務委託契約のなかでも、特に、キャラクターデザインの業務委託契約などで、受託者であるクリエーターの方が主張する権利です。

ただ、この「二次使用権・二次利用権」は、著作権法には存在しない概念です。

こんため、実際の業務委託契約の現場では、特に委託者の側が混乱する原因となります。

このページでは、そうした事情を踏まえて、「二次使用権・二次利用権」や、これによく似た「商品化権」について、わかりやすく解説していきます。

なお、業務委託契約における著作権の取扱い全般については、詳しくは、以下のページをご覧ください。

業務委託契約書における著作権・著作者人格権―その帰属・使用許諾・使用制限の問題点とは?

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「二次利用権・二次使用権」とは?

業務委託契約において、著作権の譲渡とは別に、受託者から、二次利用権・二次使用権を主張されることがあります。

具体的には、「著作権自体は譲渡するけども、二次利用・二次使用をする場合は、別途のライセンス料(ロイヤリティ)が発生する」という主張です(受託者によって多少違いはあります)。

特に、一部のフリーランスの(特にキャラクターデザインの)クリエイターの方からよく主張されます。

ポイントは、「著作権は譲渡する」という点を認めつつ、「二次利用・二次使用」(その定義は明らかではありませんが)する場合は話が別だ、ということです。

「二次利用権・二次使用権」は著作権法には存在しない

二次利用は著作権法では存在しない・二次使用は商業用レコードのこと

私自身、委託者側からの相談を受けて、初めてそのような話を聞いたときは、何のことか理解できませんでした。

というのも、著作権法では、二次利用という用語は存在しません。

また、二次使用というのは、「商業用レコードの二次使用」(著作権法第95条)の場合に使う用語です。

このため、音楽業界の取引きでもない限り、一般的な業務委託契約では使わない概念・用語です。

二次利用権・二次使用権=商品化の際に行使できる権利?

こうした事情であるにもかかわらず、著作権法の定義がない(二次使用については誤った使われ方)用語を使って契約交渉に臨まれると、非常に困惑します。

いろんな受託者からの主張を総合すると、キャラクター化やゲーム化など、いわゆる「商品化」した場合に、追加で何か(主に金銭)を請求できる権利のことを、一部のクリエイターの方々が、「二次利用権・二次使用権」と呼んでいるようです。

ちなみに、「二次利用権・二次使用権」は、二次的著作物(著作権法第2条第1項第11号)とも違った概念のようです。

このような、著作権法に規定のない概念を主張すること自体に問題があるわけではありません。

ただ、そのように、著作権法にない概念を主張するのであれば、既存の著作権法の概念で納得がいくような説明をしなければなりません。

ポイント

  • 著作権法では、「二次利用権」という用語は存在しない。
  • 著作権法では、「二次使用」は商業化レコードに関する考え方。

著作権=権利を譲渡したら原則として何も主張・請求はできない

著作権を譲渡する=権利者ではなくなる

当たり前ですが、そもそも、著作権をすべて譲渡してしまうと、受託者は著作権者ではなくなります。

このため、受託者が委託者に著作権を譲渡してしまうと、「二次利用権・二次使用権」(その定義は必ずしも明らかではありませんが)も含めて、著作権にもとづく要求は、何もできなくなります。

ですから、「著作権は譲渡するけども二次利用・二次使用をする場合が別」という主張はできません。

逆に、「二次利用・二次使用をする場合は話が別」なのであれば、著作権を譲渡したことになりません。

単に「二次利用権・二次使用権」と主張するのではなく法的に妥当な主張をする

ただ、理屈のうえでは、著作権の一部(特定の支分権)だけを委託者に譲渡し、受託者に残りの著作権を留保しておくことは可能です。

ですから、受託者としては、「著作権の全部を譲渡するのではなく、一部の支分権(○○権)は留保し、その○○権は使用許諾とし、その対価は○○としたい」というような主張もできます。

このように、単に「二次利用権・二次使用権」という、定義がない(二次利用権)、あるいは間違った用語(二次使用権)を使って主張するのではなく、法的に妥当な主張をしないと、契約交渉になりません。

なお、こうした、著作権を支分権単位に分割して権利処理をする方法は、理論上は可能ですが、現実的にはかなり難しい対応となります。

ポイント

  • 著作権を含む権利は、譲渡してしまうと、(元)権利者は、その権利にもとづく主張はできない。
  • 受託者として「二次利用権・二次使用権」を主張するのであれば法的に妥当な主張をする。

下請法(の考え方)には「二次利用」が存在する

なお、下請法では、法律の条文としてはありませんが、次のとおり、「二次利用」の考え方はあります。

知的財産権の譲渡・許諾等

情報成果物等の作成に関し,下請事業者に知的財産権が発生する場合があるが,親事業者が下請事業者に発生した知的財産権を,作成の目的たる使用の範囲を超えて無償で譲渡・許諾させることは,不当な経済上の利益の提供要請に該当する。また,親事業者が,情報成果物の二次利用について,下請事業者が知的財産権を有するにもかかわらず,収益を配分しなかったり,収益の配分割合を一方的に定めたり,利用を制限するなどして下請事業者の利益を不当に害する場合には,不当な経済上の利益の提供要請として問題となる。

なお,下請事業者の給付の内容に下請事業者に発生した知的財産権を含むこととし,3条書面に明確に記載した場合においても,当該知的財産権の対価について,下請事業者と協議することなく,一方的に通常支払われる対価より低い額を定めることは買いたたきとして問題となる

ただし、これは、あくまで「下請事業者が知的財産権を有する」場合についての話であり、著作権を譲渡した場合には該当しない話です。

ですから、いわゆる「二次利用権・二次使用権」の問題とは、若干違った話です。

なお、下請法につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

下請法とは?中小零細企業・個人事業者・フリーランスの味方の法律

「商品化権」とは?

「二次利用権・二次使用権」と同様の問題点としては、「商品化権」の問題もあります。この商品化権も、法律上は明確な定義がない概念です。

一般的には、著作権のほか、商標権、意匠権、場合によっては不正競争防止法に規定する特定の権利(ブランド関係)、いわゆる「パブリシティ権」などが混じった権利であって、なんらかの商品やサービスのために使用することができる権利のことをいいます。

こうした商品化権について、稀にではありますが、「著作権は譲渡するけども商品化権は留保する」として、商品化の場合は事前に協議をする(ひどい場合は承諾を得る)ように主張する受託者もいます。

これも、「二次利用権・二次使用権」と同じように、いったん著作権を譲渡してしまえば、受託者は権利者でなくなるのですから、著作権にもとづく主張は、一切できなくなります。

ポイント

商品化権には、法的な定義がない。