支払方法が銀行振込の場合に、契約書の支払期限・支払期日・支払日が銀行の休日だったときは、支払いは前倒しでないといけないのでしょうか?それとも、休日明けでも問題ないのでしょうか?
支払方法が銀行振込の場合、契約書の支払期限・支払期日・支払日が銀行の休日だったときは、法的には、休日明けに支払いがあったとしても、問題ありません。ただ、トラブル防止のためにも、前倒しで払うか、支払いを順延できる特約を設定しておくべきです。

このページでは、主に企業間契約の発注者・受注者の双方向けに、支払期限・支払期日が銀行等の金融機関の休日である場合における金銭の支払いについて解説しています。

支払方法が銀行振込だった場合に、支払期限・支払期日が休日=銀行等の休日であったときは、休日明けに支払いがあったとしても、民法第142条により、法的には契約違反にはなりません。

ただ、法的には問題ないとしても、受注者との不必要なトラブルを避けるために、発注者としては、銀行等の休日よりも前倒しして支払うか、または支払期限・支払期日を順延できる特約を契約書に明記するべきです。

なお、下請法が適用される取引の場合は、順延できたとしても、最長で2日間のみとなる場合がありますので、注意が必要です。

このページでは、こうした銀行等が休日だった場合の支払期限・支払期日に順延について、開業20年・400社以上の取引実績がある管理人が、わかりやすく解説していきます。

このページでわかること
  • 銀行等の休業日における支払期限・支払期日の順延が適法である根拠。
  • 下請法が適用される場合における支払期限・支払期日の順延。




銀行休業日の場合は支払期限・支払期日を順延できる

支払期限・支払期日の順延は形式上は契約違反に見える

支払期限・支払期日が銀行の休日だった場合、前倒しでの支払いは、当然、特に法的には問題ありません。

問題は、以下のとおり、たまたま休日だあった場合です。

【契約条項の書き方・記載例・具体例】支払期限の条項

第○条(支払期限)

本件業務の支払期限は、当月納入締切、翌月末日払いとする。

(※便宜上、表現は簡略化しています)

上記の記載例は、継続的な契約における締切制度の支払期限です。

この場合の「翌月末日」が土曜日・日曜日・祝祭日等の銀行の休業日だった場合、発注者は、その日は支払いができません。

このため、この「翌月末日」までに支払いの手続きをしていないと、発注者は、形式的には契約違反となる、とも解釈できます。

民法第142条により支払期限・支払期日は順延できる

ただ、民法第142条により、支払期日・支払期限が休業日の場合、直後の銀行の営業日まで支払いを順延しても問題とならないと思われます。

民法第142条(期間の満了

期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。

この規定は、あくまで期間の満了に関する規定ですが、判例(最高裁判例平成11年3月11日)により、債務の履行期日にも類推適用されます。

このため、業界の慣習等にもよりますが、一般的な企業間取引の契約であば、支払期限・支払期日が銀行の営業日だったとしても、直後の銀行営業日まで支払いを順延できる、と解釈できます。

トラブルを避けるために前倒しするか特約を規定する

しかしながら、こうした民法の規定や判例は、一般には周知されているとは言い難いものです。

このため、この民法の規定や判例にもとづいて発注者が支払いを順延した場合、受注者と支払期限・支払期日の解釈を巡ってトラブルになる可能性もあります。

こうしたトラブルを予防するためにも、支払いを順延するのではなく、前倒して支払うか、または契約に以下の特約を明記しておきます。

【契約条項の書き方・記載例・具体例】支払期限の条項

第○条(支払期限)

本件業務の支払期限は、当月納入締切、翌月末日(当該日が銀行の休業日に該当する場合は、その直後の最初の銀行の営業日)払いとする。

(※便宜上、表現は簡略化しています)

上記の記載例に追加したカッコ書きの 部分が特約となります。

これにより、発注者は、契約上も支払いを順延できます。

銀行営業日は「土日・祝日・12月29日から翌年1月3日まで」以外の日

なお、銀行は、銀行法第15条により、土日・祝日・12月29日から翌年1月3日まで日が休日となっています。

銀行法第15条(休日及び営業時間)

1 銀行の休日は、日曜日その他政令で定める日に限る。

2 銀行の営業時間は、金融取引の状況等を勘案して内閣府令で定める。

銀行法施行令第5条(休日)

1 法第十五条第一項に規定する政令で定める日は、次に掲げる日とする。

(1)国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日

(2)十二月三十一日から翌年の一月三日までの日(前号に掲げる日を除く。)

(3)土曜日

2 (以下省略)

このため、一般的にも、また、法令用語としても、「銀行営業日」は、上記の休日(土日・祝日・12月29日から翌年1月3日まで)を除いた日とされています。

【意味・定義】銀行営業日とは?

銀行営業日とは、土曜日、日曜日、祝日および12月29日から翌年1月3日まで以外の日をいう。





下請法では「60日ルールの例外」でも2日までしか順延できない

「60日ルール」とは?

下請法が適用される企業間取引の場合、下請代金の支払期限・支払期日は、次のように制限されています。

下請法第2条の2(下請代金の支払期日)

1 下請代金の支払期日は、親事業者が下請事業者の給付の内容について検査をするかどうかを問わず、親事業者が下請事業者の給付を受領した日(役務提供委託の場合は、下請事業者がその委託を受けた役務の提供をした日。次項において同じ。)から起算して、60日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない。

2 下請代金の支払期日が定められなかつたときは親事業者が下請事業者の給付を受領した日が、前項の規定に違反して下請代金の支払期日が定められたときは親事業者が下請事業者の給付を受領した日から起算して60日を経過した日の前日が下請代金の支払期日と定められたものとみなす。

このように、支払期日を納入等(給付・役務の提供)があった日(初日算入)から起算して、最長でも60日以内とするルールのことを、「60日ルール」と言います。

【意味・定義】60日ルール(下請法)とは?

60日ルールとは、下請法が適用される業務委託契約における支払代金の支払期日について、検査の有無にかかわらず、親事業者が下請事業者からの給付を受領した日・役務の提供を受けた日(初日を算入する)から起算して60日以内を最長とするルールをいう。

【60日ルールの例外】最長でも土日の2日しか順延できない

60日を超える場合は2日しか順延できない

このように、下請法が適用される企業間取引の契約であっても、支払期限・支払期日が銀行等の金融機関の休日・休業日に該当する場合は、次のとおり、例外として、支払期限・支払期日を順延できます。

● 金融機関の休業日

下請代金を毎月の特定日に金融機関を利用して支払うこととしている場合に,当該支払日が金融機関の休業日に当たることがある。このような場合,支払日が土曜日又は日曜日に当たるなど支払を順延する期間が2日以内である場合であって,親事業者と下請事業者との間で支払日を金融機関の翌営業日に順延することについてあらかじめ書面で合意している場合には,結果として受領日から60日(2か月)を超えて下請代金が支払われても問題とはしていない。

(以下省略)

ただし、順延できる期間は、あくまで「2日以内」となります。

また、親事業者(発注者)と下請事業者(受注者)との間で、書面での合意が必要となります。

銀行等の休業日の場合に60日ルールの例外が適用される条件
  • 支払日が土曜日又は日曜日に当たるなど支払を順延する期間が2日以内である場合
  • 親事業者と下請事業者との間で支払日を金融機関の翌営業日に順延することについてあらかじめ書面で合意している場合

順延後の支払期限・支払期日が60日以内の場合は2日以上順延できる

また、同様に、順延後の支払期限・支払期日が60日(2ヶ月)以内となるのであれば、次のとおり、2日以上の順延も可能です。

● 金融機関の休業日

(途中省略)

なお,順延後の支払期日が受領日から起算して60日(2か月)以内となる場合には,下請事業者との間であらかじめその旨書面で合意していれば,金融機関の休業日による順延期間が2日を超えても問題とはしていない。

なお、この場合も、書面での合意が必要です。

この場合は、年末年始・ゴールデンウィーク・3連休以上の休日などの銀行の休業日であっても、下請法違反となりません。

書面での合意が必須

このように、支払期限について順延する場合は、順延後の支払期限・支払期日が60日を超える場合、60日以内の場合のいずれであっても、書面での合意=契約書の作成が必須となります。

業務委託契約書を作成する理由

下請法が適用される契約では、「60日ルール」の例外として支払期限・支払期日を順延するために、特約として支払期限・支払期日の順延について規定した契約書が必要となるから。

親事業者による銀行等の休業日の「60日ルール」の対応は?

以上の点から、親事業者(発注者)としては、以下の対応が考えられます。

親事業者による銀行等の休業日の場合の60日ルールへの対応
  • 1.長期間の銀行等の休業(年末年始・ゴールデンウィーク等)にも対応できるよう、ある程度短めの支払期限・支払期日(例:納入等から起算して45日)を設定して、支払いを常に順延する。
  • 2.納入等から起算して60日の支払期限・支払期日を設定して、支払いを常に前倒しする。
  • 3.納入等から起算して60日の支払期限・支払期日を設定して、順延が2日以内の場合は支払いを順延し、順延が2日を超える場合は支払いを前倒しする。

3.については、状況に合わせて支払いを変えなければならないため、経理処理が非効率になります。

このため、通常は、経理処理の体制やシステムに合わせて、1.か2.の対応をします。





補足:下請法が適用される条件とは

下請法は4つの資本金のパターンと特定の業務内容に該当すると適用される

下請法では、すべての企業間取引が適用対象となるわけではありません。

下請法が適用となる企業間取引は、親事業者(委託者)と下請事業者(受託者)の資本金が、一定の区分のものに限られます。

この資本金の区分には、4つのパターンがあります。

そして、その4つのパターンに当てはまる企業間取引のうち、特定の業務内容のものが、下請法の適用対象となります。

下請法が適用される資本金の区分と業務内容

パターン1
親事業者下請事業者
資本金の区分3億1円以上3億円以下(または個人事業者)
業務内容
  1. 製造委託
  2. 修理委託
  3. 情報成果物作成委託(プログラムの作成に限る
  4. 役務提供委託(運送・物品の倉庫保管、情報処理に限る
パターン2
親事業者下請事業者
資本金の区分1千万1円以上3億円以下1千万円以下(または個人事業者)
業務内容
  1. 製造委託
  2. 修理委託
  3. 情報成果物作成委託(プログラムの作成に限る
  4. 役務提供委託(運送・物品の倉庫保管、情報処理に限る
パターン3
親事業者下請事業者
資本金の区分5千万1円以上5千万円以下(または個人事業者)
業務内容
  1. 情報成果物の作成(プログラムの作成以外のもの)
  2. 役務提供委託(運送・物品の倉庫保管、情報処理以外のもの)
パターン4
親事業者下請事業者
資本金の区分1千万1円以上5千万円以下1千万円以下(または個人事業者)
業務内容
  1. 情報成果物の作成(プログラムの作成以外のもの)
  2. 役務提供委託(運送・物品の倉庫保管、情報処理以外のもの)

これらの4つのパターンにつきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

下請法の対象かどうかの条件とは?





休日の支払いに関するよくある質問

支払い方法が銀行振込の場合に、契約書の支払期限・支払期日・支払日が銀行の休日だったときは、いつ支払うべきでしょうか?
契約書の支払期限・支払期日・支払日が銀行の休日だった場合、支払いを直後の銀行営業日に順延しても、法的には問題ありません。
下請法が適用される契約の場合、銀行休業日における支払いは、何日まで順延できるのでしょうか?
下請法が適用される契約の場合、銀行休業日における支払いは、支払期限・支払期日を納入等から60日後に設定しているのであれば、最長で2日まで順延できます。