このページでは、秘密保持義務の要素のひとつである、秘密情報の使用許諾・目的外使用の禁止の条項について解説します。

秘密保持義務には、次の3つの要素があります。

秘密保持義務の3要素

  • 秘密情報の開示
  • (狭義の)秘密保持義務と例外
  • 秘密情報の使用許諾・目的外使用の禁止

上記の「秘密情報の開示」の条項により開示された秘密情報は、単に開示者から受領者に開示されただけに過ぎません。

つまり、開示されただけでは、受領者は、勝手に秘密情報を使用できませんし、仮に勝手に使用してしまうと、不正競争防止法違反となる可能性があります。

このため、受領者としては、秘密情報の使用について開示者から許諾を得る必要があります。

逆に、開示者としては、不必要に秘密情報を使用されないためにも、目的外使用を禁止しておく必要があります。

このページでは、こうした秘密情報の使用許諾と目的外使用の禁止について、解説します。

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秘密情報の使用許諾・目的外使用の禁止条項とは

秘密情報は勝手に使えない

受領者に対し開示された秘密情報は、開示者の財産であり、場合によっては不正競争防止法の営業秘密に該当します。

営業秘密の定義・要件・具体例とは?

このため、受領者には、秘密情報を自由に使用する権利はありません。

秘密情報を勝手に使用した場合、受領者は、民法上の不法行為(民法第709条)や、不正競争防止法第2条第1項第7号違反として、開示者から損害賠償を請求される可能性があります。

そこで、受領者としては、適法に秘密情報を使用するためには、開示者から、秘密情報の使用許諾を受ける必要があります。

秘密情報の目的外使用の具体例

逆に、開示者としては、秘密情報の使用許諾をする際、受領者に対して、目的外の使用を禁止します。

この目的外使用の禁止は、受託者が、当初の使用目的とは別の形で秘密情報を使用することを禁止する内容です。

例えば、次のような具体例が考えられます。

秘密情報の目的外使用の具体例

  • 顧客リストの開示がともなうソフトウェア開発業務委託契約において、受託者がその顧客リストを自社の営業活動に勝手に使用する場合
  • ある技術の評価の業務委託契約において、受託者、その技術について勝手に改良発明をする場合
  • 営業業務の業務委託契約において、受託者が、委託者の顧客情報を勝手に使用して、競合他社の商品・サービスの販売する場合

このようなことがないように、秘密保持義務では、目的外使用の禁止の内容を必ず規定します。

秘密情報の使用許諾・目的外使用の禁止条項の具体例・書き方

以上の点から、秘密情報の使用許諾・目的外使用の禁止の条項は、次のように規定します。

契約条項の記載例・書き方

第○条(秘密情報の使用許諾)

開示者は、受領者に対し、本契約の履行の目的のために、秘密情報の使用を許諾するものとする。

第○条(秘密情報の目的外使用の禁止)

受領者は、本契約の履行以外の目的のために、秘密情報を使用してはならないものとする。

(※便宜上、表現は簡略化しています)

これらの条項は、あえて別々にしていますが、次のように、ひとつの項にまとめてしまってもかまいません。

契約条項の記載例・書き方

第○条(秘密情報の使用許諾および目的外使用の禁止)

受領者は、本契約の履行の目的のために、秘密情報を使用できるものとし、当該履行以外の目的のために、秘密情報をしようしてはならないものとする。

(※便宜上、表現は簡略化しています)

ポイント

  • 開示者の秘密情報は、受領者が勝手に使っていいものではない。
  • 受領者としては、開示者から秘密情報の使用許諾を得る。
  • 開示者としては、秘密情報の使用目的を明確に規定し、受領者による秘密情報の目的外使用の禁止を予防する。

使用目的を明確に規定する

もっとも、いくら目的外使用を禁止したところで、肝心の「目的」の定義が明確でないと、受領者に拡大解釈されてしまいます。

このため、目的外使用を禁止する契約内容では、それ自体も重要ですが、目的の定義も重要です。

これは、秘密保持義務の内容の一部として規定してもいいですし、いわゆる目的条項の内容として規定してもかまいません。

目的条項につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

目的条項とは?条項の規定のしかた・書き方は?

ポイント

受領者による秘密情報が目的の範囲内か範囲外かを巡ってトラブルにならないように、目的は明記する。

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