準委任契約は取適法(旧下請法)の適用対象となりますか?
取適法は、請負契約だけでなく、準委任契約であっても適用対象となります。
このため、資本金の金額・従業員の人数の条件を満たし、「製造委託等」(製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託、特定運送委託のいずれか)に該当する場合は、取適法の規制対象となります。

このページでは、弊所によく寄せられるご質問である、準委任契約に取適法が適用されるかどうかについて、委託事業者(旧親事業者)・中小受託事業者(旧下請事業者)向けに解説しています。

取適法は、「請負契約だけが適用対象じゃないの?」と思われがちです。

確かに、取適法に改正される前の旧下請法は、正式には「下請代金支払遅延等防止法」であったとおり、そのように思われるのも無理はありません。

しかしながら、取適法や旧下請法の規制対象となっている「製造委託等」には、準委任契約も含まれます。

このページでは、こうした準委任契約が取適法の対象となり、適用される点について、開業22年・400社以上の取引実績がある行政書士が、わかりやすく解説していきます。

このページを読むことで、「準委任契約は取適法の適用対象」であることが理解できます。

このページでわかること
  • 準委任契約であっても取適法の適用対象となる条件。
  • 準委任契約であっても取適法の適用対象となる業務内容・契約内容。
  • 請負契約や準委任契約以外の契約であっても取適法の適用対象となる業務内容・契約内容。
  • 準委任契約であっても取適法の適用対象となる資本金の条件。

なお、このページは、改正下請法=取適法にもとづく解説となります。

下請法は、2026年1月1日の改正下請法の施行に伴い、取適法に改められました。

準委任契約への旧下請法の適用につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

準委任契約は下請法の適用対象となりますか?




準委任契約であっても取適法の規制対象

契約形態に関係なく取適法の規制対象

結論から言えば、準委任契約は、取適法・旧下請法のいずれの規制対象となり得ます。

取適法では、規制対象となる業務内容について、特に契約形態を限定してはいません。これは、旧下請法の頃から同様です。

このため、取適法において規制対象となる「製造委託等」、つまり製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託、特定運送委託のいずれかに該当した場合は、取適法の規制対象となり得ます。

この他、取適法の規制対象になるには、製造委託等に該当することに加えて、資本金の金額や従業員の人数の条件(後述)を満たしていることも必要となります。

なお、準委任契約の解説につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

委任契約・準委任契約とは?請負契約や業務委託契約との違いは?

「請負契約であるか準委任契約であるかを峻別する必要はない」

なお、この点について、「情報サービス・ソフトウェア産業における中小受託適正取引等の推進のためのガイドライン」では、次のとおり、「請負契約であるか準委任契約であるかを峻別する必要はない」と明記しています。

<請負契約と準委任契約について>
◆取適法の適用の有無を判断するに当たり、請負契約であるか準委任契約であるかを峻別する必要はない。取適法は、情報成果物作成委託、役務提供委託など委託の内容と資本金又は従業員数により判断される。

 

このガイドラインは、「情報サービス・ソフトウェア産業」を対象としたものですが、この考え方自体は、他の産業においても適用されるものです。

ポイント
  • 準委任契約も取適法の対象となり得る。
  • 契約形態に関係なく、製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託のいずれかに該当した場合は、取適法の規制対象となり得る。
  • 「取適法の適用の有無を判断するに当たり、請負契約であるか準委任契約であるかを峻別する必要はない。」





取適法における「委託」は請負契約だけとは限らない

取適法における「製造委託等」とは?

【意味・定義】製造委託等とは?

取適法では、第2条第6項により、「製造委託等」として、以下の5つの委託を定義づけています。

取適法における5つの「委託」
  • 製造委託(取適法第2条第1項)
  • 修理委託(取適法第2条第2項)
  • 情報成果物作成委託(取適法第2条第3項)
  • 役務提供委託(取適法第2条第4項)
  • 特定運送委託(取適法第2条第5項)

【意味・定義】製造委託とは?

【意味・定義】製造委託(取適法)とは?

製造委託とは、「物品を販売し、又は物品の製造を請け負っている事業者が、規格、品質、デザインなどを指定して、他の事業者に物品の製造や加工などを委託すること」をいう。

(※「物品」は動産のことであり、不動産は含まれない)

役務提供委託の定義は、取適法第2条第1項で次のように規定されています。

取適法第2条(定義)

1 この法律で「製造委託」とは、事業者が業として行う販売若しくは業として請け負う製造(加工を含む。以下同じ。)の目的物たる物品若しくはその半製品、部品、附属品若しくは原材料若しくは専らこれらの製造に用いる金型、木型その他の物品の成形用の型若しくは工作物保持具その他の特殊な工具又は業として行う物品の修理に必要な部品若しくは原材料の製造を他の事業者に委託すること及び事業者がその使用し又は消費する物品の製造を業として行う場合にその物品若しくはその半製品、部品、附属品若しくは原材料又は専らこれらの製造に用いる当該型若しくは工具の製造を他の事業者に委託することをいう。

(以下省略)

【意味・定義】修理委託とは?

【意味・定義】修理委託(取適法)とは?

修理委託とは、「物品の修理を請け負っている事業者が、その修理を他の事業者に委託したり、自社で使用する物品を自社で修理している場合に、その修理の一部を他の事業者に委託すること」をいう。

修理委託の定義は、取適法第2条第2項で次のように規定されています。

取適法第2条(定義)

1 (省略)

2 この法律で「修理委託」とは、事業者が業として請け負う物品の修理の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること及び事業者がその使用する物品の修理を業として行う場合にその修理の行為の一部を他の事業者に委託することをいう。

(以下省略)

【意味・定義】情報成果物作成委託とは?

【意味・定義】情報成果物作成委託(取適法)とは?

情報成果物作成委託とは、「ソフトウェア,映像コンテンツ,各種デザインなど,情報成果物の提供や作成を行う事業者が,他の事業者にその作成作業を委託すること」をいう。

情報成果物作成委託の定義は、取適法第2条第3項で次のように規定されています。

取適法第2条(定義)

(途中省略)

3 この法律で「情報成果物作成委託」とは、事業者が業として行う提供若しくは業として請け負う作成の目的たる情報成果物の作成の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること及び事業者がその使用する情報成果物の作成を業として行う場合にその情報成果物の作成の行為の全部又は一部を他の事業者に委託することをいう。

(以下省略)

【意味・定義】役務提供委託とは?

【意味・定義】役務提供委託(取適法)とは?

役務提供委託とは、「他社から運送やビルメンテナンスなどの各種サービス(役務)の提供を請け負った事業者が、請け負った役務の提供を他の事業者に委託すること」をいう。「ただし、建設業法に規定される建設業を営む事業者が請け負う建設工事は、」含まれない。

役務提供委託の定義は、取適法第2条第4項で次のように規定されています。

取適法第2条(定義)

(途中省略)

4 この法律で「役務提供委託」とは、事業者が業として行う提供の目的たる役務の提供の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること(建設業(建設業法(昭和二十四年法律第百号)第二条第二項に規定する建設業をいう。以下この項において同じ。)を営む者が業として請け負う建設工事(同条第一項に規定する建設工事をいう。)の全部又は一部を他の建設業を営む者に請け負わせることを除く。)をいう。

(以下省略)

ポイントは、カッコ書きのなかで、建設工事を「請け負わせる」契約が除外されている、という点です。

【意味・定義】特定運送委託とは?

【意味・定義】特定運送委託とは?

特定運送委託とは、「事業者が、販売する物品、製造を請け負った物品、修理を請け負った物品又は作成を請け負った情報成果物が記載されるなどした物品(例:作成を請け負ったデザインに基づいて製造されたペットボトル)について、その取引の相手方(当該相手方が指定する者を含む。)に対して運送する場合に、その運送の行為を事業者に委託すること」をいう。

特定運送委託の定義は、取適法第2条第5項で次のように規定されています。

取適法第2条(定義)

(途中省略)

5 この法律で「特定運送委託」とは、事業者が業として行う販売、業として請け負う製造若しくは業として請け負う修理の目的物たる物品又は業として請け負う作成の目的たる情報成果物が記載され、記録され、若しくは化体された物品の当該販売、製造、修理又は作成における取引の相手方(当該相手方が指定する者を含む。)に対する運送の行為の全部又は一部を他の事業者に委託することをいう。

(以下省略)

この特定運送委託は、2026年1月1日の改正下請法=取適法の施行に伴い、追加されたものです。

取適法における「委託」とは?

以上のように、法律の文言としては、いずれも文末で「委託することをいう。」となっています。

この点について、取適法における委託の定義は、製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の運用基準によると、以下のとおりです。

【意味・定義】委託(取適法)とは?

取適法における委託とは、「事業者が、他の事業者に対し、その給付に係る仕様、内容等を指定して一定の行為を依頼することをいう。」

このように、取適法における「委託」は、請負契約に限ったものでなく、それどころか、特に契約形態には言及がありません。

請負契約以外でも取適法の適用対象となる。

以上のように、準委任契約であっても、上記の「委託」と製造委託等に該当する場合は、取適法の適用対象となり得ます。

このため、取適法の規制対象となるのは、請負契約に限らず、また、準委任契約のみならず、あらゆる業務内容が、取適法の適用対象となる可能性があります。

特に、「役務の提供」とあるとおり、サービスに関係する業務委託についても、規制対象となります。

従って、業務委託契約の契約実務では、例外に該当しない限りは、常に取適法が適用されることを想定しておく必要があります。

ポイント
  • 取適法の規制対象となる業務は、「製造委託等」、つまり製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託、特定運送委託のいずれか。
  • 公正取引委員会の運用基準では、「委託」は、特に契約形態を限定していない。





補足:取適法における資本金・従業員の条件は?

取適法は4つの資本金・2つの従業員のパターンと特定の業務内容に該当すると適用される

取適法では、すべての企業間取引が適用対象となるわけではありません。

取適法が適用となる企業間取引は、委託者と受託者の資本金と従業員が、一定の区分のものに限られます。

この資本金・従業員の区分には、それぞれ4つと2つのパターン、合計で6つのパターンがあります。

そして、その6つのパターンに当てはまる企業間取引のうち、製造委託等に該当するのものが、取適法の適用対象となります。

取適法が適用される資本金の区分と業務内容

パターン1
委託者受託者
資本金の区分3億1円以上の法人3億円以下の法人(または個人事業者)
業務内容
  1. 製造委託
  2. 修理委託
  3. 特定運送委託
  4. 情報成果物作成委託(プログラムの作成に限る
  5. 役務提供委託(運送、物品の倉庫保管、情報処理に限る
パターン2
委託者受託者
資本金の区分1千万1円以上3億円以下の法人1千万円以下の法人(または個人事業者)
業務内容
  1. 製造委託
  2. 修理委託
  3. 特定運送委託
  4. 情報成果物作成委託(プログラムの作成に限る
  5. 役務提供委託(運送、物品の倉庫保管、情報処理に限る
パターン3
委託者受託者
従業員の区分従業員300人超の法人従業員300人以下の法人または個人事業者
業務内容
  1. 製造委託
  2. 修理委託
  3. 特定運送委託
  4. 情報成果物作成委託(プログラムの作成に限る
  5. 役務提供委託(運送、物品の倉庫保管、情報処理に限る
パターン4
委託者受託者
資本金の区分5千万1円以上の法人5千万円以下の法人(または個人事業者)
業務内容
  1. 情報成果物の作成(プログラムの作成以外のもの)
  2. 役務提供委託(運送、物品の倉庫保管、情報処理以外のもの)
パターン5
委託者受託者
資本金の区分1千万1円以上5千万円以下の法人1千万円以下の法人(または個人事業者)
業務内容
  1. 情報成果物の作成(プログラムの作成以外のもの)
  2. 役務提供委託(運送、物品の倉庫保管、情報処理以外のもの)
パターン6
委託者受託者
従業員の区分従業員100人超の法人従業員100人以下の法人または個人事業者
業務内容
  1. 情報成果物の作成(プログラムの作成以外のもの)
  2. 役務提供委託(運送、物品の倉庫保管、情報処理以外のもの)

これらの6つのパターンにつきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

業務委託契約・企業間取引に下請法が適用される条件とは?





準委任契約と取適法に関するよくある質問

準委任契約は取適法の適用対象となりますか?
準委任契約であっても、取適法の適用対象となり得ます。
請負契約や準委任契約以外であっても取適法の適用対象となるのでしょうか?
公正取引委員会による取適法の運用基準では、「委託」は、「事業者が、他の事業者に対し、その給付に係る仕様、内容等を指定して一定の行為を依頼すること」となっています。
このため、この委託に該当する契約の場合は、取適法の適用対象となる可能性があります。





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