こんにちは。契約書作成専門・小山内行政書士事務所代表の小山内です。

このページでは、(準)委任契約型の業務委託契約において、重要となる10の条項・ポイントについてまとめて説明しています。

(準)委任契約は、民法でも規定されている契約です。

ですから、多少いい加減な業務委託契約書を作成しても、民法の規定によって、契約内容は解釈されます。

ただ、そもそも業務委託契約書の内容として、(準)委任契約であることが規定されていなければなりません。

また、民法の(準)委任契約は、さまざまな幅広い状況を想定した内容となっています。このため、抽象的な規定が多く、ビジネスの実態とはかけ離れた内容となっています。

企業間取引で(準)委任契約型の業務委託契約を結ぶ場合は、このページにあるような条項を規定した業務委託契約書を作成する必要があります。

なお、(準)委任契約の基本的なポイントにつきましては、以下のページをご覧ください。

委任契約・準委任契約とは?―当事者の権利義務・ポイントについて解説

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(準)委任型の業務委託契約を結ぶ場合は民法の(準)委任契約を大幅に修正する

民法で規定されている(準)委任契約は、さまざまなシーンを想定しています。

企業間の業務委託契約もそうですが、個人間の契約、一般消費者と企業の契約など、幅広い状況に対応した内容となっています。

問題は、あまりにも適用される対象が広いため、抽象的な規定が多く、少なくとも企業間の業務委託契約の実態とは異なる内容もあります。

このため、企業間取引として、(準)委任型の業務委託契約を結ぶ場合は、業務委託契約書を作成することにより、こうした民法の規定とは別の特約を規定する必要があります。

ポイント

民法の(準)委任契約は、かなり幅の広い状況を想定した、抽象的な規定が多い。このため、企業間取引の実態に合わせて、業務委託契約書で修正する必要がある。

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【条項・ポイント1】業務内容

業務内容=「委託業務」

(準)委任契約は、「法律行為・法律行為以外の事務」の委託の契約、つまり委託業務の実施を目的とした契約です。

この「法律行為・法律行為以外の事務」は、(準)委任型の業務委託契約での業務内容=委託業務に相当します。

業務委託契約書に業務内容=委託業務を明記しておくことで、「何をもって委託業務を実施したといえるのか」を明確にしておきます。

業務内容=委託業務は、委託者(委任者)にとっては要望=権利であり、受託者(受任者)にとってはしなければならない義務となります。

「業務委託契約書に書けばいい」というものではない

業務内容は、単に業務委託契約書に書けばいい、というような簡単なものではありません。

すでに述べたとおり、業務内容は、受託者(受任者)が「委託業務を実施した」ということの、ひとつの基準となります。

業務委託契約書でいい加減な書き方や曖昧な書き方で業務内容を記載した場合、「委託業務を実施したかどうか」を巡って、委託者(委任者)と受託者(受任者)の間で、トラブルとなります。

ですから、業務内容は、業務委託契約書を作成する時点で、可能な限り、客観的で明確な書き方で記載します。

なお、業務委託契約書における内容の記載については、以下のページもご覧ください。

業務委託契約書での業務内容の5つのポイントとは?

いい加減な業務内容の書き方は下請法違反

下請法が適用される(準)委任型の業務委託契約(下請取引)の場合、業務内容は、「三条書面」の「下請業者の給付の内容」に相当します。

このため、業務委託契約書にいい加減な業務内容を記載した場合、親事業者(委託者・注文者)は、下請法違反となります。

「下請業者の給付の内容」をどの程度明確に書くべきかという点については、次のとおりです。

(3) 3条書面に記載する「下請事業者の給付の内容」とは,親事業者が下請事業者に委託する行為が遂行された結果,下請事業者から提供されるべき物品及び情報成果物(役務提供委託をした場合にあっては,下請事業者から提供されるべき役務)であり,3条書面には,その品目,品種,数量,規格,仕様等を明確に記載する必要がある。

なお、下請法と三条書面につきましては、詳しくは以下のページをご覧ください。

下請法とは?中小零細企業・個人事業者・フリーランスの味方の法律

下請法の三条書面とは?―業務委託契約書の12の必須事項

ポイント

業務内容=(準)委任契約で実施してもらう作業・行為の内容。請負契約のような「仕事の完成」というわかりやすい基準がないため、請負契約での業務内容以上に明確に規定することが、業務委託契約書の作成のコツ。

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【条項・ポイント2】受発注の手続き

発注と受注の方法を決める

反復・継続的に複数回の業務が発生する(準)委任型の業務委託契約の場合、受発注の手続きを明記しておきます。

具体例としては、継続的に発生する社内研修の際に、講師を依頼する基本契約書などが該当します。

反復・継続的な業務委託契約では、個々の取引き(「個別契約」といいます)の受発注について明記しておきます。

そうしないと、個々の取引きの関する個別契約が成立したのか、それとも成立していないのかが、ハッキリとしなくなります。

なお、1回限りの(準)委任契約では、特に考慮する必要はありません。

発注の方法・内容・スケジュールを明記する

具体的には、受発注の方法・内容・スケジュールを業務委託基本契約書に明記します。

受発注の方法は、電話、書面(注文書・注文請書、発注書・受注書など)、電子メール、EDIなど、さまざまな方法があります。

受発注の内容は、個々の取引きの業務内容、単価、個数、納期、納入場所、検査の日程など、個々の受発注の際に決める内容を記載します。

もちろん、具体的な内容については、それぞれの取引きのつど決めて、「受発注の方法」に従って、相手方に通知します。

受発注のスケジュールは、発注があってから、受注が完了するまで、誰が何をするのかを、具体的な期限を区切って記載します。

なお、この点につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

契約の成立・受発注の手続きとは?契約条項の規定のしかた・書き方は?

下請法では書面の交付での発注が義務づけられている

書面か事前に受託者(受任者)から承諾を得て電子メールなどの電磁的方法で発注

なお、下請法が適用される(準)委任型の業務委託契約(下請取引)の場合は、受発注の方法が限られています。具体的には、原則としては、書面(三条書面)の交付となります(下請法第3条第1項)。

ですから、下請法が適用される場合は、委託者(委任者)による電話での発注は、下請法違反となります。

また、電子メールなどの電磁的方法による発注も認められていますが、電磁的方法による発注をすること自体について、あらかじめ受託者(受任者)から承諾を得る必要があります(下請法第3条第2項)。

この承諾も、「書面又は電磁的方法による承諾」となっています(下請法施行令第2条第1項)。

つまり、電子メールなどの電磁的方法で受発注をしたい場合は、業務委託契約書でその旨を規定しておく必要があります。

下請法では紙出力のファックスは「書面」扱い

ファックスでの発注に関しては、「受信と同時に書面により出力されるファックスへ送信する方法は、書面の交付に該当する。」となっています(下請取引における電磁的記録の提供に関する留意事項 第1-1-(1)の注1)。

この点について、委託者(委任者)として注意するべき点は、紙出力でないファックスへの送信する場合です。

このような場合は、電磁的方法と同じ扱いとなります。

受信と同時に書面により出力されるファックスへ送信する方法は,書面の交付に該当するが,電磁的記録をファイルに記録する機能を有するファックスに送信する場合には,電磁的方法による提供に該当する(留意事項第 1-1-(1))。

第1 電磁的記録の提供の方法に関する留意事項

1 電磁的記録の提供の方法

下請法第3条第1項の書面の交付に代えて行うことができる電磁的記録の提供の方法は,以下のいずれかの方法であって,下請事業者がファイルへの記録を出力することによって書面を作成することができるものをいう。

(1) 電気通信回線を通じて送信し,下請事業者の使用に係る電子計算機に備えられたファイル(以下「下請事業者のファイル」という。)に記録する方法(例えば,電子メール,取引データをまとめてファイルとして一括送信する方法(EDI等),電磁的記録をファイルに記録する機能を有するファックス等に送信する方法等)

(注1)受信と同時に書面により出力されるファックスへ送信する方法は,書面の交付に該当する。

(注2)電子計算機とは,内部にCPU(中央演算装置)やメモリーを有し,電気通信回線を通じて電磁的記録を受信できるものをいう。

(以下省略)

商法第509条により発注を放置すると受注したことになる

業務委託契約での発注放置=自動受注

なお、反復・継続的な取引関係にある委託者(委任者)から発注があった場合に、受託者(受任者)が何の連絡もせずに、その発注を放置したときは、委託者(委任者)からの発注を受注したものとみなされます。

商法第509条(契約の申込みを受けた者の諾否通知義務)

1 商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けたときは、遅滞なく、契約の申込みに対する諾否の通知を発しなければならない。

2 商人が前項の通知を発することを怠ったときは、その商人は、同項の契約の申込みを承諾したものとみなす。

商法は、商行為、わかりやすくいえば企業間取引に適用されるルールですので、通常の業務委託契約に適用されます。

「発注放置=自動拒否」とするには業務委託契約書が必須

受託者(受任者)が、このような、いわば「発注放置=自動受注」というルールを適用したくない場合は、業務委託契約書で、特約を結ぶ必要があります。

商法第509条は、あくまで原則を規定したものであり、当事者の合意=契約・特約があれば、これとは違うルールにすることができます(商法第509条は、いわゆる「任意規定」です。)。

言いかえれば、商法第509条とは異なるルールが記載された物証(特に業務委託契約書)がなければ、原則どおり、「発注放置=自動受注」となります。

ですから、受託者(受任者)が「発注放置=自動受注」ではなく、「発注放置=自動拒否(個々の取引きの契約不成立)」としたいのであれば、そのような内容で業務委託契約書を取り交わす必要があります。

ポイント

受発注の手続きは意外と軽視しがち。しっかりと明確にしておかないと、「発注した」「いや受注していない」というトラブルになる。

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【条項・ポイント3】納入期限・納入期日・提供期日・提供期間

知的財産などの成果物を納入するタイプの(準)委任契約の場合、納入期限・納入期日、いわゆる「納期」を規定します。

これは、下請法の三条書面でも記載が必須の項目です。

納入期限とは、「期限」ですので、指定された「日まで」に納入するという意味になります。

納入期日とは、「期日」ですので、指定されたピンポイントの「日」に納入するという意味になります。

また、サービスの提供のようなタイプの(準)委任契約の場合は、サービスが提供される期日や期間を規定します。

この点につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

納期(納入期限・納入期日)・作業期間とは?契約条項の規定のしかた・書き方は?

ポイント

ひと言で「納期」といっても、様々な設定のしかたがある。

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【条項・ポイント4】委託業務の実施の場所

委託業務の実施場所の特定が必要な場合は必ず規定する

特定の場所で委託業務を実施してもらうタイプの業務委託契約の場合、業務実施場所を規定します。

これは、下請法の三条書面でも記載が必須の項目です。

個人事業者・フリーランスとの業務委託契約では必要のない場所の制限はしない

ちなみに、作業を提供してもらうタイプの(準)委任型の業務委託契約を個人事業者・フリーランスとの業務委託契約の場合、作業実施場所を契約内容に規定するのには、注意が必要です。

というのも、必要もないのに作業の実施場所を業務委託契約に規定した場合、業務委託契約ではなく、雇用契約・労働契約とみなされるリスクがあります。

ですから、業務内容の特性上、やむを得ない場合に限って、作業実施場所を規定します。

例えば、個人事業者であるの経営コンサルタントとの経営コンサルティング契約で、委託者(委任者)の社員に対する職場におけるパフォーマンス改善の指導などで、作業実施場所を委託者(委任者)が入居する建物などに特定しても、特に問題となりません。

ポイント

業務実施の場所は、下請法では記載必須の事項。ただし、ヘタに個人事業者・フリーランスを拘束すると、雇用契約・労働契約とみなされるリスクもある。

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【条項・ポイント5】業務内容の検査と検査基準・検査手続・検査期限

検査をするかどうかを規定する

検査の規定については、まず、検査自体をするかどうかを決める必要があります。

民法では、(準)委任契約における「検査」そのものが規定されていません。

言いかえれば、委託者(委任者)は、必ずしも検査をしなくてもいい、ということになります。

一般的な(準)委任型の業務委託契約でも、検査をするかどうかは、一概には決まっていません。

この点は、「仕事の完成」の検査を前提とした請負契約とは異なる点です。

なお、検査をしないのであれば、検査を省略する旨を規定します。

下請法が適用される場合は「検査省略=自動合格」

なお、下請法が適用される(準)委任型の業務委託契約の場合において、目的物の引渡しが伴うときは、委託者(委任者)が業務委託の目的物の検査を省略すると、その目的物は、自動的に合格となります。

目的物が業務委託契約の業務内容の規定と違っていたり、後で目的物に欠陥があったとしても、返品は認められません。

(途中省略)なお、次のような場合には委託内容と異なること又は瑕疵等があることを理由として下請事業者にその給付に係るものを引き取らせることは認められない。

(ア~エまで省略)

オ 給付に係る検査を省略する場合

(以下省略)

このため、下請法が適用される業務委託契約の場合は、親事業者(委託者・委任者)としては、安易に検査を省略するべきではありません。

検査をする場合は検査基準・検査方法を明確にする

検査をする場合、業務委託契約には、なるべく検査の基準と方法を明確に規定します。

(準)委任型の業務委託契約ではありがちですが、本当に委託業務が実施されたといえるのかどうかを巡って、よく委託者(委任者)と受託者(受任者)の間でトラブルになります。

これは、業務内容が明記されていない場合にもありますが、検査基準や検査方法が規定されていない場合にもある話です。

客観的な(できれば数値化した)検査基準と検査方法を業務委託契約に規定して、その検査方法に従って検査した結果によって、合格・不合格を判定するよにすれば、こうしたトラブルは防げます。

あらかじめ、つまり業務委託契約を結ぶ時点で検査基準と検査方法を決められなくても、少なくとも納入の前には検査基準と検査方法を規定するようにします。

この点につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

検査(検査項目・検査方法・検査基準)とは?契約条項の規定のしかた・書き方は?

検査期限(スケジュール)と検査手続きを明記する

検査期限は委託者(委任者)が「検査しない」ことを防ぐ

また、検査の規定では、検査の期限を設定します。

検査の期限を設定することで、委託者(委任者)がいつまで経っても検査をしない、というトラブルが防げます。

ちなみに、下請法が適用される業務委託契約では、検査をする場合は、「検査を完了する期日」が三条書面で記載が必須の項目となっています。

ですから、検査をするにもかかわらず、「検査を完了する期日」を業務委託契約書に記載しない場合は、下請法違反となります。

検査期限が過ぎた場合の取扱いも規定する

検査期限は、単に設定すればいい、というものではありません。

ポイントは、検査期限を過ぎた場合に、その検査がどうなるのかを規定しておくことです。

この点について、受託者(受任者)にとって有利なのは、検査期限を過ぎたら、業務内容は合格したものとみなす内容です。

逆に、委託者(委任者)にとって有利なのは、検査期限を過ぎたら、業務内容は不合格とみなす内容です。

また、検査内容(合格・不合格)の通知方法など、検査手続きについても規定します。

この点につきましては、以下のページもご覧ください。

検査期間・検査期限と検査手続きとは?契約条項の規定のしかた・書き方は?

ポイント

  • 検査については、民法では一切規定されていない。
  • このため、業務委託契約書を作成して詳細に規定する必要がある。
  • (準)委任契約では、契約履行の効率化のため、必要のない検査は規定しないか、自動化・省略できる規定とすることがある。
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【条項・ポイント6】報酬・料金・委託料

金額か計算方法のいずれかを規定する

報酬・料金・委託料につきましては、金額か計算方法のいずれかを業務委託契約に規定します。

金額を規定する場合は、数字を巡ってトラブルになることは、まずありません。

計算方法を規定する場合は、委託者(委任者)と受託者(受任者)の双方の計算結果が違わないように規定する必要があります。

また、消費税の表記(内税・外税の別)も忘れないようにしてください。

ちなみに、下請法が適用される業務委託契約のおいて、報酬・料金・委託料の計算方法を規定した場合は、「下請代金の具体的な金額を確定した後、速やかに、下請事業者に通知する必要がある。」とされています(下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準第3 1(2))。

著作権などの知的財産権が発生する場合はその対価も規定する

(準)委任型の業務委託契約では、著作権などの知的財産権が発生する場合もあります。

この場合、一般的には、その著作権等を譲渡するか、または使用許諾をするように規定します。

報酬・料金・委託料の規定では、この譲渡または使用許諾の対価についても、規定します。

多くの場合、委託業務の報酬・料金・委託料に含まれる形にしますが、別々の計算としてもかまいません。

ポイント

  • 報酬・料金・委託料は、金額または計算方法で決める。
  • 報酬・料金・委託料には消費税が含まれるか含まれないかを規定する。
  • 著作権等の知的財産権の対価も忘れずに規定する。
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【条項・ポイント7】費用負担

(準)委任契約では費用は原則として委託者(委任者)の負担

(準)委任契約では、民法の規定により、委託者(委任者)の負担とされています。

まず、民法第694条により、委託者(委任者)は、受託者(受任者)からの請求があった場合、前払いで費用を負担しなければなりません。

民法第649条(受任者による費用の前払請求)

委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない。

そして、受託者(受任者)が委託業務の実施に必要な費用を立替えて支出した場合は、その費用も後払いで支払わなければなりません。

民法第650条(受任者による費用等の償還請求等)

1 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。

2 (以下省略)

委託業務の実施による費用を受託者(受任者)負担とする場合は業務委託契約に明記する

このように、(準)委任型の業務委託契約では、費用は、委託者(委任者)の負担となります。

この点は、受託者(受任者)が費用を負担する、請負型の業務委託契約とは真逆の契約内容です。

このため、(準)委任型の業務委託契約でも、請負型と同じように、受託者(受任者)が費用を負担する場合、業務委託契約書を作成して、特約を規定する必要があります。

このほか、費用負担につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

費用負担とは?契約条項の規定のしかた・書き方は?

また、請負契約と(準)委任契約の違いにつきましては、以下のページをご覧ください。

【保存版】請負契約と(準)委任契約の13の違い

ポイント

  • (準)委任型の業務委託契約では、費用は原則として委託者(委任者)の負担。
  • 委託者(委任者)として費用を負担したくないのであれば、その旨を業務委託契約書を作成して規定する必要がある。
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【条項・ポイント8】成果物の著作権の処理(譲渡または使用許諾)

業務委託契約では著作権は譲渡されることが多い

(準)委任型の業務委託契約において、知的財産権、特に著作権が発生する場合、その処理について規定しておきます。

具体的には、(準)委任型のソフトウェア(プログラム・システム・アプリ)開発の業務委託契約が該当します。

一般的な業務委託契約では、受託者(受任者)から委託者(委任者)に対し、著作権が譲渡、つまり委託者(委任者)による買取りとされることが多いです。

買取りといっても、対価は、委託業務の報酬に含まれることがほとんどで、著作権の対価が別途規定されることはほとんどありません。

この点につきまして、詳しくは、以下のページをご覧ください。

著作権・著作者人格権の帰属・使用許諾・使用制限の問題点とは?

使用許諾=ライセンス契約

この他には、譲渡ではなく、使用許諾とする場合もあります。

つまり、著作権等の権利は受託者(受任者)に残しつつ、委託者(委任者)には著作権等の使用を許諾する、ということです。

このような、知的財産権の使用許諾の契約のことを、「ライセンス契約」といいます。

業務委託契約で知的財産権を使用許諾とする場合は、業務委託契約の一部として、ライセンス契約の内容も規定することになります。

ただ、ライセンス契約は、契約実務でも特に難しい種類の契約です。

このため、請負型のソフトウェア(プログラム・システム・アプリ)開発の業務委託契約における、いわゆる「モジュール」の使用許諾など、限られた場面でしか、知的財産権を使用許諾とすることはありません。

下請法でも知的財産権の譲渡・使用許諾は三条書面に記載必須の項目

なお、下請法が適用される業務委託契約の場合において、知的財産権が発生するときは、その譲渡・使用許諾について、三条書面に記載しなければなりません。

(途中省略)また,主に,情報成果物作成委託に係る作成過程を通じて,情報成果物に関し,下請事業者の知的財産権が発生する場合において,親事業者は,情報成果物を提供させるとともに,作成の目的たる使用の範囲を超えて知的財産権を自らに譲渡・許諾させることを「下請事業者の給付の内容」とすることがある。この場合は,親事業者は,3条書面に記載する「下請事業者の給付の内容」の一部として,下請事業者が作成した情報成果物に係る知的財産権の譲渡・許諾の範囲を明確に記載する必要がある。

ポイント

著作権が発生する業務委託契約では、必ず著作権の処理・取扱いを業務委託契約書を作成して明記する。

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【条項・ポイント9】再委託・再委任

(準)委任契約では再委託・再委任は原則としてできない

(準)委任契約では、契約当事者の信頼関係がベースにあるため、原則として、受託者(受任者)自身が、受託した業務を実施しなければなりません。

このため、受託者(受任者)は、第三者に対して、受託した業務の再委託・再委任ができません。

これは、民法の代理の規定を根拠としています。

民法第104条(任意代理人による復代理人の選任)

委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。

再委託・再委任を認める場合は業務委託契約書に特約として明記する

以上のように、(準)委任型の業務委託契約では、再委託・再委任はできません。

ただ、一般的な企業間取引においては、取引内容や業界の慣習によっては、再委託・再委任は、よくおこなわれています。

このため、特に受託者(受任者)の立場として、再委託・再委任を認めて欲しい場合は、特約として、その旨を業務委託契約に規定する必要があります。

このほか、再委託・下請負につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

再委託・下請負とは?契約条項の規定のしかた・書き方は?

ポイント

(準)委任契約では、受託者(受任者)本人が委託業務を実施するのが原則。

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【条項・ポイント10】契約解除・中途解約

(準)委任型の業務委託契約はいつでも解除できる

(準)委任契約では、契約当事者は、いつでもが契約解除ができます。

民法第651条(委任の解除)

1 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。

2 当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。

ここでいう、「いつでも」というのは、時期に限らず、特別な理由が必要がない、という意味です。

ただ、上記の規定の第2項にあるとおり、相手方にとって不利な時期に解除した場合は、損害賠償責任が発生します。

契約解除権は制限できない可能性がある

企業間取引の業務委託契約において、「いつでも解除できる」というのは、非常に困った話です。

確かに、民法第651条第2項には、解除された側に損害賠償請求権が認められていますが、それ以外に対処はないのでしょうか?

ひとつ考えられる方法は、特約として、この契約解除権に制限をかける条項を業務委託契約に規定する、ということです。

ただ、このような、(準)委任契約の解除権に制限をかける特約が有効かどうかは、判例や学説も定まっておらず、有効か無効かは、明確ではありません。

このため、仮に、(準)委任契約の解除権に制限をかける規定を契約書に記載したとしても、必ずしも有効となるとは限りません。

なお、この他の(準)委任契約の契約解除権については、詳しくは、以下のページをご覧ください。

(準)委任契約の契約解除・法定解除権とは?委任者・受任者双方について解説

ポイント

  • (準)委任型の業務委託契約では、契約当事者は、いつでも自由に契約解除ができてしまう。
  • 仮に業務委託契約書を作成して自由な契約解除権を制限したとしても、その制限自体が無効となる可能性がある。