こんにちは。契約書作成専門・小山内行政書士事務所代表の小山内です。

このページでは、民法上の(準)委任契約における契約の契約の解除や法定解除権について、簡単にわかりやすく解説しています。

委任契約・準委任契約とは?―(準)委任型の業務委託契約のポイント・当事者の権利義務を解説

(準)委任契約の当事者は、いつでもその解除をすることができます(民法第651条第1項)。

このため、(準)委任型の業務委託契約では、常に契約解除のリスクを考慮しておく必要があります。

一方で、(準)委任契約における契約解除権を制限する契約条項は、必ずしも有効とはいえません。

このため、業務委託契約で契約解除権を制限したとしても、安心はできません。

このページでは、こうした(準)委任契約における契約解除・法定解除権について、詳しく解説します。

なお、一般的な業務委託契約における約定解約権・法定解除権につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

業務委託契約の契約解除条項とは?条項の規定のしかた・書き方・作り方は?

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(準)委任契約の解除は委任者・受任者とも原則として自由

民法では、(準)委任契約の解除権について、次のような規定があります。

民法第651条(委任の解除)

1 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。

2 (省略)

ここでいう「いつでも」というのは、「特別な理由がなくても」という意味であり、時間の制約がない、という意味ではありません。

つまり、委任者(委託者)・受任者(受託者)の両者とも、特別な理由がなくても、(準)委任契約を解除できる、ということです。

(準)委任契約は、契約当事者の信頼関係が基本となる契約であるため、どちらかの契約当事者が契約を解除したいと考えれば、本条により、解除できます。

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解除により損害賠償責任が発生する

ただし、契約解除自体は比較的自由にできるものの、その解除によって相手方に損害があった場合は、次のとおり、その損害を賠償しなければなりません。

民法第651条(委任の解除)

1 (省略)

2 当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。

ここでいう、「相手方に不利な時期」とは、次のとおりです。

「相手方に不利な時期」とは

  • 【委任者側の解除】受任者が事務処理の準備に着手しかけた時期。
  • 【受任者側の解除】委任者が直ちに自分で事務の処理を開始することもできず、また、他の受任者に対して事務処理を委任することができない時期(大審院判決大正6年1月20日)
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(準)委任契約の解除権は制限できるか?

「自由に契約解除ができる」というメリット・デメリット

このように、民法上、委任契約の解除は、委任者・受任者とも、原則として自由とされています。

このため、契約の当事者としては、いつでも契約を解除できるというメリットがあります。

もちろん、損害賠償責任の発生については、注意が必要です。

これは、逆にいえば、常に相手方から契約解除をされるかもしれないデメリットがある、ともいえます。

(準)委任型の業務委託契約ではデメリットもある

企業間取引である業務委託契約としては、「自由にいつでも契約を解除できる」という点は、メリット・デメリットのいずれも考えられます。

【委託者】(準)委任契約の解除権のメリット・デメリット

  • メリット:受託者(受任者)による業務委託の実施に問題がある場合に、契約解除で対処できる(ただし、損害賠償のリスクもある)。
  • デメリット:受託者(受任者)から、事業上重要なタイミングで突然、契約解除されてしまう可能性がある(ただし、損害賠償も請求できる)。
【受託者】(準)委任契約の解除権のメリット・デメリット

  • メリット:委託者(委任者)の信用状態(支払能力)に問題がある場合や、報酬・料金・委託料が業務内容に見合っていない場合は、契約解除で対処できる(ただし、損害賠償のリスクもある)。
  • デメリット:委託者(委任者)から、突然契約解除されてしまう可能性がある(ただし、損害賠償も請求できる)。

このように、常に損害賠償請求と併せて考える必要があるものの、「いつでも」契約解除ができるというのは、特に継続的な企業間の取引きとしでは問題があります。

(準)委任契約の法定解除権は制限できない可能がある

このため、委託者・受託者どちらの立場であって、業務委託契約の内容として、法定解除権を制限できるかどうかが重要です。

この点については、古くから裁判で争われていてます。ただ、現状では、判例で統一的判断が形成されていはいません。

つまり、(準)委任契約における法定解除権の制限が有効となるか無効となるかは、事案ごとによって異なります。

このため、ビジネス上の業務委託契約としての委任契約では、たとえ契約書で解除権を別途で規定した場合であっても、常に契約を解除される可能性を考慮しておく必要があります。

ポイント

  • 特に理由が必要でない(準)委任契約の解除権は、ビジネス上の業務委託契約としてはデメリットもある。
  • ただ、デメリットを解消するために契約解除権を特約で制約したとしても、必ずしも有効となるとは限らない。
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(準)委任契約の解除は将来に向かってのみ効力がある

なお、(準)委任契約の解除は、将来に向かってのみ効力があるとされます。

民法第652条(委任の解除の効力)

第620条の規定は、委任について準用する。

民法第620条(賃貸借の解除の効力)

賃貸借の解除をした場合には、その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。この場合において、当事者の一方に過失があったときは、その者に対する損害賠償の請求を妨げない。

このため、一般的な契約解除のような、過去に遡って、契約を結んだ時点の状態に戻すこと(いわゆる「原状回復」)は必要ではありません。

専門的な表現をすれば、(準)委任契約の契約解除には、いわゆる遡及効がありません。

もっとも、民法第620条後段にあるように、契約中の過失にもとづく損害賠償請求は、過去に遡ってできます。

ポイント

(準)委任契約の契約解除は、過去に遡及せず、将来に向かってのみ効力が発生する。

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契約解除については必ず業務委託契約で規定する

このように、(準)委任契約は、民法の解除権にもとづき、委託者・受託者ともに、比較的自由に契約解除ができます。

しかしながら、こうした民法上の解除権による契約解除を行使した場合、すでに触れたとおり、相手方から損害賠償請求をされる可能性があります。

このため、損害賠償請求をされないような契約解除をするためには、特約として、業務委託契約に契約解除条項を規定しておく必要があります。

業務委託契約における契約解除条項・約定解除権につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

業務委託契約の契約解除条項とは?条項の規定のしかた・書き方・作り方は?