こんにちは。契約書作成専門・小山内行政書士事務所代表の小山内です。

このページでは、業務委託契約における瑕疵担保責任(読み方:かしたんぽせきにん)について解説しています。

瑕疵担保責任は、受託者(請負人)が完成させるべき仕事に瑕疵(欠陥やミスのこと)があった場合に、受託者(請負人)が委託者(注文者)に対して負う責任です(民法第634条)。

瑕疵担保責任は、請負型の業務委託契約の場合に、受託者に発生する責任です(売買型でも発生しますが、若干性質がことなります)。

請負契約は、請負人が、仕事を完成させる契約ですので、ミスや欠陥がある不完全な仕事の場合は、そのミスや欠陥を修補しなければなりません。

このような、仕事にミスや欠陥があった場合に、請負人が対処する責任を瑕疵担保責任といいます。

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瑕疵担保責任とは?

瑕疵担保責任はそもそも売買契約における売主の責任

瑕疵担保責任は、そもそも売買契約の目的物に瑕疵(ミス・欠陥)があった場合に、売主がその瑕疵に対処するべき責任です。

売買契約における瑕疵担保責任の定義

売買契約における瑕疵担保責任とは、売買契約の目的物があった場合において、売主が果たすべき責任であって、契約解除または損害賠償の請求に応じる義務。

民法第570条には、売主の瑕疵担保責任について、次のとおり規定されています。

民法第570条(売主の瑕疵担保責任)

売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。

そして、民法第566条には、次のような内容が規定されています。

民法第566条の概要

  • 売買の目的物に欠陥がある場合、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約の目的を達成できないときは、買主は契約を解除できる。
  • 契約解除ができない場合は、買主は、損害賠償の請求だけができる。
  • 瑕疵担保責任の期間は、買主が瑕疵の事実を知ってから1年間。

【意味・定義】業務委託契約における瑕疵担保責任とは?

業務委託契約における瑕疵担保責任は、その業務委託契約が請負契約である場合に発生する、受託者(=請負人)の責任です。

請負契約につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

請負契約とは?―当事者の権利義務・ポイントについて解説

請負契約においては、瑕疵担保責任の定義は、次のとおりです。

請負契約における瑕疵担保責任の定義

仕事の目的物に瑕疵(ミス・欠陥)があった場合において、委託者(注文者)から請求された、瑕疵(ミス・欠陥)の修補・損害賠償・契約解除の請求に応じる、受託者(請負人)の責任(民法第634条民法第635条)。

厳密には、学術的には、請負契約における請負人の担保責任は売買契約における「瑕疵担保責任」とは別の考え方ですが、実務上は、慣例として、請負人の担保責任も瑕疵担保責任と呼んでいます。

瑕疵担保責任は無過失責任

仕事の完成を目的とした請負契約において、瑕疵担保責任は、仕事の完成を担保する責任でもあります。

このため、受託者(請負人)の責任によって瑕疵が発生した場合は、当然に、瑕疵担保責任が発生します。

そればかりか、受託者(請負人)に責任によらない瑕疵(委託者(注文者)の責任による場合は別)が発生した場合であっても、瑕疵担保責任が発生します。

このため、瑕疵担保責任は、いわゆる「無過失責任」といえます。

この点から、受託者の立場の場合、請負型の業務委託契約では、こういう自分のミス以外によって瑕疵担保責任が発生するリスクにも注意しなければなりません。

瑕疵担保責任の具体例(建設工事・製造・IT)

瑕疵担保責任の具体例としては、例えば、建物の建設工事請負契約があります。

建設工事請負契約とは?意味・定義について解説

建物の建設工事請負契約では、建物に欠陥があった場合は、請負人は、原則として、その欠陥を修補した上で、注文者に引き渡す義務があります。

これは、製造請負契約でも同様です。

製造請負契約とは?意味・定義について解説

また、請負型のソフトウェア・システム・アプリなどの、IT関連の開発業務委託契約における「バグ」も一種の瑕疵ですから、瑕疵担保責任の問題といえます。

ソフトウェア・プログラム・システム・アプリ開発業務委託契約における業務内容(仕様書・要件定義書)の決め方・書き方とは?

すべての業務委託契約で瑕疵担保責任があるわけではない

ちなみに、瑕疵担保責任は、すべての業務委託契約において受託者に発生するわけではありません。

たとえば、(準)委任型の業務委託契約では、瑕疵担保責任ではなく、善管注意義務が発生します。

善管注意義務につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

善管注意義務とは?その定義と4つのポイントを解説

瑕疵担保責任が発生する業務委託契約は、請負型のものと、売買型のものです。

もちろん、契約形態によっては、他の業務委託契約でも瑕疵担保責任が発生する可能性はあります。

また、請負契約・売買契約以外の契約であっても、特約で瑕疵担保責任を設定することができます(ただし、有効かどうかは別問題です)。

ポイント

  • 瑕疵担保責任はそもそも売買契約の規定
  • 請負契約における瑕疵担保責任は、仕事の目的に瑕疵(欠陥・ミス)があった場合に、注文者からの瑕疵の修補・損害賠償・契約解除の請求に応じる請負人の責任。
  • 瑕疵担保責任は無過失責任。請負人の責任の有無に関係なく発生する。
  • 業務委託契約において瑕疵担保責任が発生するのは請負型と売買型だけ。
  • 民法上、委任契約・準委任契約では瑕疵担保責任は発生しない。
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【意味・定義】瑕疵とは?

瑕疵は物質的・法律的な欠陥

受託者(請負人)に瑕疵担保責任が発生するかどうかは、仕事に瑕疵があるかどうかによります。

そこで問題となるのが、「瑕疵」とは何か、という瑕疵の定義です。

一般的には、瑕疵は、次のような意味です。

瑕疵の定義

瑕疵とは、物質的または法律的な欠陥をいう。

物質的欠陥・法律的欠陥の具体例

物質的欠陥とは、請負契約の目的物である製品に傷がついていたり、壊れていたりした場合が該当します。

法律的欠陥とは、請負契約の目的物に、なんらかの法律的な問題がある場合が該当します。

例えば、グラフィックデザインやイラストの作成の請負契約の場合に、目的物である著作物が他人の著作権を侵害している状態が該当します。

この場合は、納入されたデータに物質的な欠陥がなかったとしても、著作権侵害という法律的な欠陥=瑕疵があると考えられます。

業務委託契約では瑕疵を明確に定義づける

このように、瑕疵とは、物質的・法律的な欠陥のことを意味しますが、この定義では、契約実務では役に立ちません。

というのも、「では物質的・法律的な欠陥とは何か?」という、同じく定義の問題となるからです。

よくソフトウェア・プログラム・システム・アプリ開発業務委託契約にありがちな、「バグ=瑕疵なのか仕様なのか」という問題も、このような瑕疵の定義の問題です。

ソフトウェア・プログラム・システム・アプリ開発業務委託契約における業務内容(仕様書・要件定義書)の決め方・書き方とは?

このため、業務委託契約書を作成する際は、瑕疵の定義を契約内容として明記することが重要となります。

業務内容や検査基準・検査方法の明記も重要

「業務内容どおりの仕事」かどうかが瑕疵の判断基準

また、同じように、業務委託契約書には、業務内容を明記しておくことも重要です。

業務内容を明記しておくと、その業務内容どおりに受託者(請負人)が仕事を完成させたかどうかが、わかりやすくなります。

つまり、業務内容のとおりに仕事をしていない場合は、「瑕疵がある」と判断できます。

これは、委託者(注文者)と受託者(請負人)の双方にとって重要で、業務内容を明記していないと仕事を完成させたかどうかを巡って、トラブルになります。

なお、業務委託契約における業務内容につきましては、以下のページをご覧ください。

業務委託契約書での業務内容の5つのポイントとは?

客観的な検査基準・検査方法があればトラブルになりにくい

業務内容の明記に加えて、客観的な検査基準や検査方法を業務委託契約の内容として明記していれば、さらにトラブルになりにくくなります。

一般的な請負型の業務委託契約では、受託者(請負人)による納入・納品や作業実施があった後で、委託者(注文者)による検査があります。

この検査の際に、各種検査項目について、あらかじめ決められた検査方法による検査の結果、客観的な検査基準に適合している場合は、合格とし、不合格の場合は、「瑕疵」として取扱うようにします。

こうすることにより、より瑕疵に該当するかどうかが明らかになります。

逆に、検査基準や検査方法などが決まっていないと、結局は委託者(注文者)の恣意的な判断によって瑕疵かどうかが決められてしまい、トラブルの原因となります。

なお、業務委託契約における検査につきましては、以下のページをご覧ください。

検査期間・検査期限と検査手続きとは?契約条項の規定のしかた・書き方は?

改正民法における「瑕疵」の定義

なお、平成29年に成立したの改正民法では、次のような定義となっています。

瑕疵の定義

瑕疵とは、「目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない」(改正民法第636条)ことをいう。

この定義でも、何をもって「契約内容に適合しない」かどうかは、明らかではありません。

このため、改正民法が施行された後でも、業務委託契約で瑕疵の定義、業務内容、検査基準・検査方法を明記することが重要となります。

ポイント

  • 瑕疵とは物質的・法律的な欠陥のこと。
  • 業務委託契約では瑕疵の定義が重要。
  • 業務内容を明記することで間接的に瑕疵を定義づける。
  • 検査基準・検査方法を定義づけることで、瑕疵に該当するかどうかの基準を明らかにする。
  • 改正民法での瑕疵の定義は「目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないこと。」
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受託者=請負人が果たすべき3つの瑕疵担保責任

請負契約の瑕疵担保責任は修補・損害賠償・契約解除の3つ

仕事に欠陥があった場合、受託者(=請負人)は、瑕疵の修補、損害賠償、契約解除のいずれかの責任を負います。

民法第634条(請負人の担保責任)

1 仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。【瑕疵担保責任1】ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。

2 注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。【瑕疵担保責任2】この場合においては、第533条の規定を準用する。

民法第635条

仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。【瑕疵担保責任3】ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。

【瑕疵担保責任1】瑕疵の修補

瑕疵担保責任の1つめは、「瑕疵の修補」です。

これは、仕事の完成を妨げている瑕疵=物質的・法律的な欠陥を取除き、請負契約を追完させることです。

「相当の期間を定めて」とあるのは、その期間内は、委託者(注文者)は、受託者(請負)人が修補をするまで待たなければならない、ということです。

つまり、その期間内には、民法第634条第2項にある損害賠償の請求や、民法第635条にある契約の解除はできません。

なお、ただし書きにある「瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、」民法第634条第2項にある損害賠償の請求しかできません。

【瑕疵担保責任2】損害賠償

「修補の代わりの損害賠償」か「修補と損害賠償」のどちらか

瑕疵担保責任の2つめは、「損害賠償」です。

より正確には、「瑕疵の修補に代えた損害賠償」か「瑕疵の修補と損害賠償」のいずれかです。

このうち、どちらを選択するかは、委託者(注文者)が決めることができます(参照:最高裁判決昭和54年3月20日)。

「瑕疵の修補と損害賠償」が認められるのは、瑕疵の修補されたとしても、遅延などの理由によって、損害が発生する可能性があるからです。

修補・損害賠償の完了まで報酬は払わなくてもいい

なお、民法第634条第2項後段には、「この場合においては、第533条の規定を準用する。」とあります。

民法第533条は、いわゆる「同時履行の抗弁権」が規定された条項であり、具体的には、以下のとおりです。

民法第533条(同時履行の抗弁)

双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。

これにより、受託者(請負人)が修補や損害賠償を完了しない限り、委託者(注文者)は、報酬・料金・委託料の支払いを拒否できます。

【瑕疵担保責任3】契約解除

瑕疵担保責任の3つめは、「契約の解除」です。

契約の解除は、あくまで「契約をした目的を達することができないとき」に限ります。

なお、民法第635条のただし書きにあるとおり、「建物その他の土地の工作物」が目的物となる請負契約では、瑕疵により契約の目的が達成できなかったとしても、契約の解除はできません。

これは、受託者(請負人)に過大な負担となり、社会経済的にも大きな損失となる可能性があるからです。

なお、この規定は、平成29年成立の改正民法により、削除されます。

このため、改正民法が施行された後は、「建物その他の土地の工作物」が目的物となる請負契約であっても、瑕疵により契約の目的が達成できない場合は、契約の解除ができるようになります。

ポイント

瑕疵担保責任は、瑕疵の修補、損害賠償、契約解除(に応じる義務)の3つ。

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瑕疵担保責任の期間・年数

瑕疵担保期間・年数は原則1年間

請負契約における瑕疵担保責任の期間は、民法第637条に規定されています。

民法第637条(請負人の担保責任の存続期間)

1 前3条の規定による瑕疵の修補又は損害賠償の請求及び契約の解除は、仕事の目的物を引き渡した時から1年以内にしなければならない。

2 仕事の目的物の引渡しを要しない場合には、前項の期間は、仕事が終了した時から起算する。

つまり、受託者の瑕疵担保責任の期間は「仕事の目的物を引き渡した時」(=納入・納品の時点)または「仕事が終了した時」(=作業実施の時点)から1年間、ということです。

なお、この1年間は除斥期間とされますので、時効のように中断はしません。

建物その他の土地の工作物の瑕疵担保期間は5年または10年

ただし、例外として、建物その他の土地の工作物の請負契約の場合は、民法第638条が適用されます。

民法第638条

1 建物その他の土地の工作物の請負人は、その工作物又は地盤の瑕疵について、引渡しの後5年間その担保の責任を負う。ただし、この期間は、石造、土造、れんが造、コンクリート造、金属造その他これらに類する構造の工作物については、10年とする。

2 工作物が前項の瑕疵によって滅失し、又は損傷したときは、注文者は、その滅失又は損傷の時から1年以内に、第634条の規定による権利を行使しなければならない。

このように、「建物その他の土地の工作物または地盤の瑕疵」の瑕疵担保期間、引渡し後の5年間とされます。

このうち、「石造、土造、れんが造、コンクリート造、金属造その他これらに類する構造の工作物」は、引渡し後の10年間とされます。

なお、民法第638条第2項により、瑕疵によって工作物が滅失・損傷した場合、委託者(注文者)は、受託者(請負人)に対し、その滅失・損傷の時点から1年以内に、瑕疵担保責任を果たすように請求しなければなりません。

ポイント

  • 請負契約における瑕疵担保期間は、原則として1年。
  • 石造、土造、れんが造、コンクリート造、金属造その他これらに類する構造の工作物の請負契約では10年。
  • 上記以外の建物その他の土地の工作物または地盤の請負契約では5年。
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瑕疵担保期間・年数は原則として自由に変更できる

瑕疵担保期間・年数は延長できる

瑕疵担保期間は、契約当事者が合意すれば、変更することができます。

民法第639条(担保責任の存続期間の伸長)

第637条及び前条第1項の期間は、第167条の規定による消滅時効の期間内に限り、契約で延長することができる。

民法第639条では、瑕疵担保期間の「伸長」だけが規定されていますが、後で解説するとおり、そもそも瑕疵担保責任を負わない旨(いわゆる免責)の特約も有効ですから、瑕疵担保期間の「短縮」もできます。

余談ですが、このように、法律とは異なる合意が優先される規定のことを「任意規定」といいます。

瑕疵担保期間・年数は時効により最長で10年まで

なお、瑕疵担保期間をで延長できるのは、「第167条の規定による消滅時効の期間内に限り」ます。

このため、無制限に受託者(請負人)に瑕疵担保責任を課すことはできません。

民法第167条(債権等の消滅時効)

1 債権は、10年間行使しないときは、消滅する。

2 債権又は所有権以外の財産権は、20年間行使しないときは、消滅する。

繰り返しになりますが、請負契約の瑕疵担保責任にもとづく委託者(注文者)の権利は、以下の3つです。

請負契約の瑕疵担保責任にもとづく委託者(注文者)の権利

  • 修補請求権
  • 損害賠償請求権
  • 契約解除権

これらのうち、修補請求権と損害賠償請求権は債権ですから、瑕疵担保期間は、最長でも、10年までしか延長できません。

また、契約解除権については、債権ではなく、第2項の「財産権」に該当しますので、20年まで延長できるはずです。

ただ、契約の解除をした後で行使される、原状回復の請求権は債権ですので、結局は10年で消滅時効になります。

このため、判例では、契約解除権の消滅時効は、10年(商事≒企業間取引では5年)としています(大審院判決大正6年11月16日、最高裁判決昭和56年6月16日、最高裁判決昭和62年10月8日)。

特約で瑕疵担保責任を免責できる

民法第640条は瑕疵を告げなかった悪意の請負人の責任の規定

また、請負契約では、特約で瑕疵担保責任を負わない旨の合意=(いわゆる「免責」の合意)もできます。

瑕疵担保責任を負わない、とすることもできるのですから、瑕疵担保責任の期間の短縮もできます。

民法第640条(担保責任を負わない旨の特約)

請負人は、第634条又は第635条の規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることができない。

ここでいう「第634条又は第635条の規定による担保の責任」が瑕疵担保責任です。

この規定では、受託者(請負人)が瑕疵の存在を知っていた(=「悪意」)にもかかわらず、委託者(注文者)に告げなかった場合は、瑕疵担保責任を免れることができない、という内容になっています。

請負人が善意の場合は瑕疵担保責任を負わない特約は有効

この条文を読んで「おや?」と思ったかもしれませんが、この条文そのものには、瑕疵担保責任を負わない旨の特約については、直接言及されていません。

ただ、「…責任を負わない旨の特約をしたときであっても」とあるとおり、「瑕疵担保責任を負わない旨の特約」そのものは有効である、という前提の内容となっています。

このため、「…その責任を免れることができない」という点を反対に解釈して、「知りながら告げなかった事実」がない場合=受託者(請負人)が善意の場合は、瑕疵担保責任を負わない旨の特約は有効となります。

余談ですが、このような解釈のしかたを「反対解釈」といいます。

ポイント

  • 瑕疵担保責任の期間・年数を定める規定は任意規定。
  • 瑕疵担保期間は、当事者の合意によって最長で10年まで延長できる。
  • 受託者(請負人)が善意の場合は瑕疵担保責任を負わない旨の特約(=免責の特約)も有効。
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強行規定によって瑕疵担保責任の短縮が無効になる

住宅の品質確保の促進等に関する法律では瑕疵担保責任は10年

なお、瑕疵担保責任の期間を短縮する特約があったとしても、法令等によって、その特約が無効になることがあります。

その代表例が、住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品確法)です。

住宅品確法第94条第1項により、住宅を新築する建設工事の請負契約については、請負人は、注文者に引き渡した時から10年間、「住宅の構造耐力上主要な部分等」の瑕疵(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。)について、担保責任を負います。

なお、住宅品確法第94条第2項でわざわざ規定しているように、「前項の規定に反する特約で注文者に不利なものは、無効」となります。これが、いわゆる「強行規定」です。

ちなみに、住宅品確法第95条で、新築住宅の売主の瑕疵担保責任についても、同様の規定となっています。

製造物責任法の瑕疵担保期間・年数は3年または10年

同様に、製造物責任法(PL法)では、製造物の「欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害した」損害賠償請求権の時効を、つぎのとおり規定しています。

製造物責任法第5条(期間の制限)

1 第3条に規定する損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び賠償義務者を知った時から3年間行わないときは、時効によって消滅する。その製造業者等が当該製造物を引き渡した時から10年を経過したときも、同様とする。

2 前項後段の期間は、身体に蓄積した場合に人の健康を害することとなる物質による損害又は一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる損害については、その損害が生じた時から起算する。

この規定をわかりやすくまとめると、次のとおりです。

製造物責任法第5条の3つのポイント

  • 製造物の瑕疵担保期間は、「被害者又はその法定代理人が損害及び賠償義務者を知った時から3年間」。
  • ただし、最長でも「その製造業者等が当該製造物を引き渡した時から10年を経過したとき」まで。
  • 「身体に蓄積した場合に人の健康を害することとなる物質による損害又は一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる損害」の瑕疵担保期間は、「その損害が生じた時から」3年間
ポイント

瑕疵担保期間は法律(=強行規定)によって短縮できない場合もある。

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隠れたる瑕疵とは?

いわゆる「隠れたる瑕疵」「隠れた瑕疵」とは、委託者(注文者)が納入・納品の時点では気づかない瑕疵のことです。

請負契約の場合、瑕疵が隠れているかどうかは、問題にはなりません。

請負契約では、隠れているか、隠れていないかにかかわらず、瑕疵があったら、修補・損害賠償・契約解除のいずれかの対応になり、報酬・料金・委託料には直接かかわらないからです。

ちなみに、売買契約における売主の瑕疵担保責任は、「隠れたる瑕疵」に限定されたもので、隠れていない瑕疵については、売主は、瑕疵担保責任を負いません。