このページでは、製造請負契約・製造業務委託契約・取引基本契約における業務内容の確定方法について解説しています。

製造請負契約・製造業務委託契約・取引基本契約では、仕様書、設計図、図面等で、業務内容を確定させます。

また、取適法(旧下請法)が適用される製造請負契約・製造業務委託契約・取引基本契約の場合は、取適法第4条(旧下請法第3条)により、注文者は、いわゆる「4条明示(旧3条書面)」を作成して、製造業者(メーカー)に対して交付しなければなりません。この4条明示には、「給付の内容」として、製造請負契約・製造業務委託契約・取引基本契約の業務内容を記載しなければなりません。

なお、実際に製造請負契約・製造業務委託契約・取引基本契約を締結する際には、業務内容(特に設計に関する技術情報や金型)の情報漏えいや不正使用のリスクがあります。こうした情報漏えいや不正使用を防止するため、契約交渉の前の段階で、秘密保持契約を締結することが重要となります。

このページでは、こうした製造請負契約・製造業務委託契約・取引基本契約の業務内容のポイントについて、全般的にわかりやすく解説していきます。

なお、この他の、製造請負契約・製造業務委託契約の全般的な内容につきましては、以下のページをご覧ください。

【改正民法対応】製造請負契約とは?偽装請負にならない対策も解説

また、請負契約の基本的な解説につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

請負契約とは?委任契約や業務委託契約との違いは?




製造請負契約・製造業務委託契約・取引基本契約とは?

【意味・定義】製造請負契約とは?

製造請負契約とは、注文者(委託者)と請負人(受託者)との間で締結される、物品・製品(有体物)の製造に関する請負契約です。

そして、請負契約は、民法では、以下のように規定されています。

民法第632条(請負)

請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

従って、製造請負契約の定義は、次のとおりです。

【意味・定義】製造請負契約とは?

製造請負契約とは、請負人(受託者)が何らかの物品・製品の製造を完成させること約束し、注文者(委託者)が、その物品・製品の製造の対価として、報酬を支払うことを約束する契約をいう。

なお、請負契約につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

請負契約とは?委任契約や業務委託契約との違いは?

【意味・定義】製造業務委託契約とは?

「業務委託契約」には定義がない

製造業務委託契約は、業務内容によって、法的な意味・定義が変わってきます。というのも、そもそも「業務委託契約」という契約自体、定義がない契約です。

業務委託契約の定義につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

業務委託契約書とは?作成・書き方・注意点についてわかりやすく解説

このため、「製造業務委託契約」の定義は、どのような業務内容なのかによります。

請負型の製造業務委託契約は製造請負契約と同じ

この点について、業務内容が請負契約である場合は、その製造業務委託契約は、製造請負契約と同じ意味になります。

つまり、何らかの物品・製品の製造か完成させることが目的である業務委託契約は製造請負契約である、ということです。

こうした契約の場合、契約書のタイトルを「製造業務委託契約」としてしまうと、請負契約ではない(=次項で触れる準委任契約)かのような誤解を招きます。

このため、契約書のタイトルは、「製造請負契約」と明記するべきです。

準委任型の製造業務委託契約は「製造の作業」の業務委託契約

これに対して、請負型でない、準委任型の製造業務委託契約の場合もあります。

準委任契約は、民法では、以下のように規定されています。

民法第656条(準委任)

この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。

準委任型の業務委託契約につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

委任契約・準委任契約とは?請負契約や業務委託契約との違いは?

準委任型の製造業務委託契約は、単に物品・製品の製造の作業そのものを委託する契約であり、必ずしも、物品・製品の製造の「完成」を目的としたものではありません。

【意味・定義】準委任型の製造業務委託契約とは?

準委任型の製造業務委託契約とは、委託者が、受託者に対し、物品・製品の製造の作業の実施そのものを委託し、受託者がこれ受託する契約をいう。

なお、こうした準委任型の製造業務委託契約で、受託者が、委託者の事業所・工場などで業務を実施する場合があります。このような場合は、いわゆる「偽装請負」=労働者派遣法違反とみなされる可能性が高いので、注意が必要です。

なお、偽装請負につきましては、以下のページをご覧ください。

偽装請負とは?判断基準・違法性・罰則・リスクとその対策は?

【意味・定義】取引基本契約とは?

製造業の請負契約・準委任型には、この他にも、「取引基本契約」という契約があります。

この「取引基本契約」は、民法上の定義がある契約ではありませんが、一般的に、次の意味で使われます。

【意味・定義】基本契約(取引基本契約)とは?

基本契約とは、継続的な売買契約、請負契約、準委任契約の取引の基本となる、個々の取引に共通して適用される契約条項を規定した契約をいう。取引基本契約ともいう。

また、取引基本契約が結ばれた場合、個々の取り引きに関する契約は、「個別契約」といいます。

個別契約は、注文書・注文請書や、発注書・受注書など(場合によっては個別契約書)を取り交わすことで契約を締結します。

このように、取引基本契約は、反復・継続する契約の中で、毎回共通する条項を抽出して別の契約とし、主に初回の取引の際に締結するものです。

こうすることで、何度も繰り返して分厚い契約書を取り交わす必要がなくなります。

個別契約につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

個別契約とは?基本契約との違いや個別契約書の使い方について解説

ポイント
  • 製造請負契約とは、請負人(受託者)が何らかの物品・製品の製造を完成させること約束し、注文者(委託者)が、その物品・製品の製造の対価として、報酬を支払うことを約束する契約のこと。
  • 製造業務委託契約のうち、請負型のものは、製造請負契約と同じ。
  • 製造業務委託契約のうち、準委任型のものは、委託者が、受託者に対し、物品・製品の製造の作業の実施そのものを委託し、受託者がこれ受託する契約のこと。
  • 取引基本契約とは、継続的な売買契約、請負契約、準委任契約の取引の基本となる、個々の取引における共通した条項を規定した契約のこと。





製造請負契約書の作成義務がある場合とは?

取適法が適用される場合

取適法の適用対象の場合は4条明示の作成が必須

現行法では、製造請負契約は、法律上の規制がないので、特に契約書を作成する必要はありません。

ただし、取適法が適用される製造請負契約の場合は、4条明示をする必要があります。

【意味・定義】4条明示(取適法)とは?

4条明示(取適法)とは、製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法)第4条に規定された、委託事業者(旧親事業者)が中小受託事業者(旧下請事業者)に対し明示しなければならない事項(取引条件)をいう。旧下請法のいわゆる「3条書面」に代わるもの。

取適法が適用される場合は、注文者(委託者)は、委託事業者(旧親事業者)になります。

【意味・定義】委託事業者(取適法)とは?

取適法における委託事業者とは、取適法による規制を受ける事業者であって、資本金が一定の金額を超える法人または従業員の人数が一定の数を超える法人のうち、製造委託等をするものをいう。

この場合、注文者(委託者)は、4条明示を作成して、請負人(受託者)に交付しなければなりません。

なお、4条明示につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

取適法4条明示(いわゆる4条書面)とは?12の法定記載事項を解説

製造請負契約に取適法が適用される条件とは

取適法は、以下の6パターンのいずれかに該当する場合に適用されます。

パターン1
委託者受託者
資本金の区分3億1円以上の法人3億円以下の法人(または個人事業者)
業務内容
  1. 製造委託
  2. 修理委託
  3. 特定運送委託
  4. 情報成果物作成委託(プログラムの作成に限る
  5. 役務提供委託(運送、物品の倉庫保管、情報処理に限る
パターン2
委託者受託者
資本金の区分1千万1円以上3億円以下の法人1千万円以下の法人(または個人事業者)
業務内容
  1. 製造委託
  2. 修理委託
  3. 特定運送委託
  4. 情報成果物作成委託(プログラムの作成に限る
  5. 役務提供委託(運送、物品の倉庫保管、情報処理に限る
パターン3
委託者受託者
従業員の区分従業員300人超の法人従業員300人以下の法人または個人事業者
業務内容
  1. 製造委託
  2. 修理委託
  3. 特定運送委託
  4. 情報成果物作成委託(プログラムの作成に限る
  5. 役務提供委託(運送、物品の倉庫保管、情報処理に限る
パターン4
委託者受託者
資本金の区分5千万1円以上の法人5千万円以下の法人(または個人事業者)
業務内容
  1. 情報成果物の作成(プログラムの作成以外のもの)
  2. 役務提供委託(運送、物品の倉庫保管、情報処理以外のもの)
パターン5
委託者受託者
資本金の区分1千万1円以上5千万円以下の法人1千万円以下の法人(または個人事業者)
業務内容
  1. 情報成果物の作成(プログラムの作成以外のもの)
  2. 役務提供委託(運送、物品の倉庫保管、情報処理以外のもの)
パターン6
委託者受託者
従業員の区分従業員100人超の法人従業員100人以下の法人または個人事業者
業務内容
  1. 情報成果物の作成(プログラムの作成以外のもの)
  2. 役務提供委託(運送、物品の倉庫保管、情報処理以外のもの)

製造請負契約の場合は、資本金の金額や従業員の人数がパターン1~3のいずれかであれば、該当する可能性があります。

そのうえで、業務内容が「製造委託」であれば、取適法が適用されます。

【意味・定義】製造委託とは?

製造委託とは、「物品を販売し,または製造を請け負っている事業者が,規格,品質,形状,デザイン,ブランドなどを指定して,他の事業者に物品の製造や加工などを委託すること」をいう。

この他、製造請負契約において、取適法が適用されるかどうかにつきましては、以下のページをご覧ください。

取適法(旧下請法)が適用される条件とは?

フリーランス保護法が適用される場合

フリーランス保護法では委託者=注文者は契約書を作成する義務がある

また、フリーランス保護法が適用される製造請負契約の場合は、3条通知を作成する必要があります。

【意味・定義】3条通知(フリーランス保護法)とは?

3条通知とは、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス保護法)第3条に規定された、業務委託事業者(発注事業者)が特定受託事業者(フリーランス)に対し明示しなければならない通知(取引条件)をいう。

フリーランス保護法が適用される場合は、注文者(委託者)は業務委託事業者になります。

【意味・定義】業務委託事業者とは?

フリーランス保護法における業務委託事業者とは、特定受託事業者(従業員がいない個人事業者・一人法人)に対し業務委託をする事業者をいう。

この場合、注文者(委託者)は、3条通知を作成して、請負人(受託者)に明示しなければなりません。

なお、フリーランス保護法の3条通知につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

フリーランス新法(保護法)の三条通知(3条通知)とは?

フリーランス保護法が適用される条件とは

フリーラン保護法は、請負人(受託者)が個人事業者や一人法人の場合に適用されます。

より詳しくは、以下のとおりです。

フリーランス保護法第3条が適用される条件
  • 発注事業者が事業者であること(業種、規模、従業者の有無を問わない)。
  • 受注事業者(フリーランス)が個人事業者または一人法人(役員が1人だけの法人)であり、かつ、いずれも従業員を使用しないものであること。
  • 業務委託の内容が物品の製造・加工、情報成果物の作成、役務の提供(物品の修理を含み、発注事業者自らに役務の提供をさせることを含む)であること。
フリーランス保護法第3条が適用される条件のポイント
  • 発注事業者としては、すべての事業者が対象となる。
  • フリーランスは、個人事業者だけでなく役員が代表取締役だけの一人法人も対象となる。ただし、従業員を1人でも使用する場合は対象外となる。
  • 従業員とは、「1週間の所定労働時間が20時間以上であり、かつ、継続して31日以上雇用されることが見込まれる労働者」(派遣労働者を含む)のこと。
  • 従業員には同居家族は含まれない。
  • 取適法(旧下請法)とは異なり、役務の提供には建設工事も含まれる。
  • 取適法(旧下請法)とは異なり、再委託のもののみならず、発注事業者が「その事業のために」委託するものや、「(発注事業者)自らに役務の提供をさせることを含む」。

また、製造請負契約の業務内容は、フリーラン保護法の規制対象である業務委託に該当します。

【意味・定義】業務委託(フリーランス保護法)とは?

フリーランス保護法における業務委託とは、事業者がその事業のために他の事業者に物品の製造(加工を含む)、情報成果物の作成、役務の提供(自らに役務の提供をさせることを含む)を委託することをいう。

この他、フリーラン保護法が適用されるかどうかにつきましては、以下のページをご覧ください。

フリーランス新法(保護法)の適用対象は?事業者・取引(業務委託)や下請法との違いについて解説

家内労働法が適用される場合

家内労働法では委託者=注文者には家内労働手帳の作成義務がある

さらに、家内労働法が適用される製造請負契約の場合は、家内労働手帳を作成する必要があります。

【意味・定義】家内労働手帳とは?

家内労働手帳とは、家内労働法第3条に規定された、委託者が家内労働者に対し交付しなければならない手帳であって、取引条件、受領証明、支払証明が記載されたものをいう。

家内労働法が適用される場合は、注文者(委託者)は委託者になります。

【意味・定義】委託者(家内労働法)とは?

家内労働法における委託者とは、「物品の製造、加工等若しくは販売又はこれらの請負を業とする者その他前項の厚生労働省令で定める者であつて、その業務の目的物たる物品(物品の半製品、部品、附属品又は原材料を含む。)について家内労働者に委託をするもの」をいう(家内労働法第2条第3項)。

この場合、委託者(注文者)は、家内労働者に対し、次の3回のタイミングで、家内労働手帳を交付しなければなりません(家内労働法第3条)。

家内労働手帳を交付しなければならないタイミング
  1. 委託に係る物品を提供するときまで
  2. 製造又は加工等に係る物品を受領するつど
  3. 工賃を支払うつど

なお、家内労働手帳は、家内労働法施行規則で、様式(家内労働法施行規則様式1)が決まっています。

家内労働法が適用される条件とは

家内労働法は、前述の委託者が家内労働者に対して委託をする場合に適用されます。

ここでいう「委託」と「家内労働者」とは、それぞれ、次のとおりです。

家内労働法第2条(定義)

1 この法律で「委託」とは、次に掲げる行為をいう。

(1)他人に物品を提供して、その物品を部品、附属品若しくは原材料とする物品の製造又はその物品の加工、改造、修理、浄洗、選別、包装若しくは解体(以下「加工等」という。)を委託すること。

(2)他人に物品を売り渡して、その者がその物品を部品、附属品若しくは原材料とする物品を製造した場合又はその物品の加工等をした場合にその製造又は加工等に係る物品を買い受けることを約すること。

2 この法律で「家内労働者」とは、物品の製造、加工等若しくは販売又はこれらの請負を業とする者その他これらの行為に類似する行為を業とする者であつて厚生労働省令で定めるものから、主として労働の対償を得るために、その業務の目的物たる物品(物品の半製品、部品、附属品又は原材料を含む。)について委託を受けて、物品の製造又は加工等に従事する者であつて、その業務について同居の親族以外の者を使用しないことを常態とするものをいう。

3 (以下省略)

これをまとめると、以下の条件を満たした場合に、家内労働法が適用されます。

家内労働法が適用される条件
  • 注文者が製造・加工業、販売業者、これらの請負業者などであること。
  • 業務内容が物品の製造・加工などであること。
  • 原材料を注文者から提供を受けること。
  • 報酬が労働の対償であること。
  • 業務従事者が自分自身と同居の親族に限ること。

特定商取引法が適用される場合

特定商取引法の「業務提供誘引販売取引」に該当する場合は書面の交付義務がある

なお、製造請負契約には、特定商取引法が適用される場合があります。

特定商取引法第51条では、次の3つの条件に当てはまるものを「業務提供誘引販売取引」といい、規制対象としています。

【意味・定義】業務提供誘引販売取引とは?
  1. 物品の販売または役務の提供(そのあっせんを含む)の事業であって
  2. 業務提供利益が得られると相手方を誘引し
  3. その者と特定負担を伴う取引をするもの

概要書面とは?記載事項についても解説

業務提供誘引販売取引をおこなう者(注文者)は、請負人(業務を事業所等によらないで行う個人に限ります)に対し、契約を締結するまでに、その業務提供誘引販売取引の事業の概要について記載した書面=概要書面を交付しなければなりません(特定商取引法第55条第1項)。

この概要書面には、以下の内容を記載されていなければなりません。

概要書面の記載事項
  1. 業務提供誘引販売業を行う者の氏名(名称)、住所、電話番号、法人にあっては代表者の氏名
  2. 商品の種類、性能、品質に関する重要な事項(権利、役務の種類およびこれらの内容に関する重要な事項)
  3. 商品名
  4. 商品(提供される役務)を利用する業務の提供(あっせん)についての条件に関する重要な事項
  5. 特定負担の内容
  6. 契約の解除の条件そのほかの契約に関する重要な事項
  7. 割賦販売法に基づく抗弁権の接続に関する事項

業務提供誘引販売契約の内容を明らかにする書面とは?記載事項についても解説

また、業務提供誘引販売取引とおこなう者(注文者)は、請負人(業務を事業所等によらないで行う個人に限ります)に対し、「業務提供誘引販売契約の内容を明らかにする書面」≒契約書面を交付しなければなりません(特定商取引法第55条第2項)。

この契約書面には、以下の内容が記載されていなければなりません。

業務提供誘引販売契約の内容を明らかにする書面(≒契約書)の記載事項
  1. 商品の種類、性能、品質に関する事項(権利、役務の種類およびこれらの内容に関する事項)
  2. 商品(提供される役務)を利用する業務の提供(あっせん)についての条件に関する重要な事項
  3. 特定負担に関する事項
  4. 業務提供誘引販売契約の解除に関する事項
  5. 業務提供誘引販売業を行う者の氏名(名称)、住所、電話番号、法人にあっては代表者の氏名
  6. 契約の締結を担当した者の氏名
  7. 契約年月日
  8. 商品名、商品の商標または製造者名
  9. 特定負担以外の義務についての定めがあるときには、その内容
  10. 割賦販売法に基づく抗弁権の接続に関する事項

これらの事項につきましては、次の点にも注意が必要です。

注意事項

そのほか消費者に対する注意事項として、書面をよく読むべきことを、赤枠の中に赤字で記載しなければなりません。また、契約書面におけるクーリング・オフの事項についても赤枠の中に赤字で記載しなければなりません。さらに、書面の字の大きさは8ポイント(官報の字の大きさ)以上であることが必要です。

この他、製造請負契約における契約書等の作成義務につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

製造請負契約書の作成が義務となる場合は?―下請法・家内労働法・特定商取引法について解説

ポイント
  • 取適法が適用される製造請負契約では、注文者(委託者)は委託事業者となり、中小受託事業者(旧下請事業者)=請負人(受託者)に対し、4条明示をしなければならない。
  • フリーラン保護法が適用される製造請負契約では、注文者(委託者)は業務委託事業者となり、特定受託事業者=請負人(受託者)に対し、3条通知を明示しなければならない。
  • 家内労働法が適用される製造請負契約では、注文者(委託者)は委託者となり、家内労働者に対し、家内労働手帳を交付しなければならない。
  • 特定商取引法の「業務提供誘引販売取引」に該当する場合、注文者(委託者)は、請負人(受託者)に対し、概要書面や業務提供誘引販売契約の内容を明らかにする書面を交付しなければならない。





製造請負契約の業務内容は仕様書・設計図・図面等で確定する

製造請負契約では業務内容でトラブルになることは少ない

一般的な製造請負契約では、仕様書・設計図・図面等の書面を作成して業務内容を確定します。

製造請負契約では、事前に試作品などが製造され、委託者と受託者の間で、製造方法や完成品について誤解がないようにします。

このようなプロセスで注文者(委託者)の承認を得て確定した仕様書・設計図・図面等の書面を、一般に「承認図面」といいます。

【意味・定義】承認図面とは?

承認図面とは、製造請負契約において、注文者(委託者)の承認を得て確定した仕様書・設計図・図面等の書面をいう。

このような事情があるため、最終的に完成する製品(=業務内容)そのものについて、契約当事者同士でトラブルになることは、まずありません(そのぶん、事前のコストがかかります)。

ただし、納品後の検査の際に、仕様書・設計図・図面等に記載されたとおりに製造されたかどうか、という点については、トラブルになることがあります。

なお、納品後の検査につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください

業務委託契約における検査(検査項目・検査方法・検査基準)とは?書き方・規定のしかたは?

量産品でない場合はトラブルになるリスクがある

他方で、オーダーメイドやオリジナルの製品のように、大量生産するものではなく、ごく少数の生産をする製品の場合は、事情が異なります。

というのも、オーダーメイドやオリジナルの製品の場合、試作品の製造自体に膨大なコストかかる、あるいは、そもそも試作品自体を製造できない、ということがあります。

このため、契約当事者間で業務内容の認識にズレが生じないように、より詳細で明確な設計図の作成が重要となります。

ただ、既存の製品にオリジナルの印刷をするような、二次元的なデザインをする程度のオーダーメイド・ワンオフの製品であれば、設計を標準化することで、トラブルにならずに製造ができます。

取適法が適用される場合は業務内容は必須記載事項

なお、取適法が適用される製造請負契約の場合、業務内容は、すでに触れた4条明示の必須記載事項である、「中小受託事業者の給付の内容」に該当します。

【意味・定義】給付の内容(取適法・フリーランス保護法)とは?

給付の内容とは、取適法またはフリーランス保護法が適用される場合における、中小受託事業者または特定受託事業者が委託事業者または業務委託事業者に対し給付する委託の内容(業務内容)をいう。

この「中小受託事業者の給付の内容」ですが、単に書けばいいというものではありません。

「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の運用基準」によると、「中小受託事業者の給付の内容」については、次のとおり記載しなければなりません。

(3) 「中小受託事業者の給付の内容」とは、委託事業者が中小受託事業者に委託する行為が遂行された結果、中小受託事業者から提供されるべき物品及び情報成果物(役務提供委託又は特定運送委託をした場合にあっては、中小受託事業者から提供されるべき役務)であり、その品目、品種、数量、規格、仕様等を明示する必要がある。

また、主に、情報成果物作成委託に係る作成過程を通じて、情報成果物に関し、中小受託事業者の知的財産権が発生する場合において、委託事業者は、情報成果物を作成させるとともに、作成の目的たる使用の範囲を超えて知的財産権を自らに譲渡・許諾させることを「中小受託事業者の給付の内容」とすることがある。この場合は、委託事業者は、「中小受託事業者の給付の内容」の一部として、中小受託事業者が作成した情報成果物に係る知的財産権の譲渡・許諾の範囲を明示する必要がある。

フリー

この他、4条明示につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

取適法4条明示(いわゆる4条書面)とは?12の法定記載事項を解説

ポイント
  • 一般的な製造請負契約では、仕様書・設計図・図面等の書面を作成して業務内容を確定する。
  • 一般的な製造請負契約では、試作品の製造などがあるため、業務内容そのものの認識の違いによるトラブルは少ない。
  • オーダーメイドやオリジナルの製品は、少数生産の場合は、業務ないよを巡ってトラブルとなるリスクがある。
  • 業務内容は取適法の4条明示の必須記載事項。





製造請負契約の締結前では情報の不正使用のリスクに注意

製造請負契約では契約締結前のトラブルが多い

さて、ここまで、契約締結後の製造請負契約の業務内容に関する問題について解説してきました。

すでに触れたとおり、一般的な製造請負契約では、契約締結後であれば業務内容そのものについては、トラブルはあまりありません。

せいぜい、資本金が多い注文者(委託者)が、取適法の適用について注意するべき、という点があるくらいです。

実際にトラブルとなることが多いのは、製造請負契約の締結の前の段階の業務内容についてです。

契約締結前に「業務内容」が不正に使用される

製造請負契約を締結する場合、実務上、契約交渉の段階で、注文者(委託者)・請負人(受託者)双方が、ある程度の情報を開示します。

この情報の中には、当然、業務内容等(=仕様書、設計図、図面)や、製造方法、技術上のノウハウ、アイデア、金型、製造現場・工場内の情報などが(すべてではないにせよ)含まれています。

このような場合、注文者(委託者)と、請負人(受託者)は、それぞれ、相手方に対する情報開示に注意する必要があります。

特に、請負人(受託者)の側が立場が弱い場合は、注文者(委託者)による、請負人(受託者)が保有する情報の不正使用が発生するリスクがあります。

契約交渉の段階では交渉決裂も視野に入れる

製造請負契約に限った話ではありませんが、大前提として、「契約交渉は必ずしも成功するとは限らない」という点が、ポイントとなります。

つまり、相手方に情報を開示する場合は、契約交渉が途中で打ち切られて、破談・交渉決裂となることを想定する必要があります。

この点は、注文者(委託者)の立場にせよ、請負人(受託者)の立場にせよ、重要となります。

いずれの立場にせよ、破談・交渉決裂によって、開示した情報が不正使用される可能性を考えながら、情報を開示することが重要です。

【注文者=委託者のリスク】事業構想・設計情報(技術情報)の漏えいのリスク

製造請負契約における事業構想の漏えいのリスク

製造請負契約の交渉中に、注文者(委託者)の立場として請負人(受託者)に対して情報を開示する場合、まず気をつけなければいけないのは、事業構想の漏えいのリスクです。

「事業構想」というのは、要するに、その製造請負契約によって製造される物品・製品=完成品に関する情報のことです。

製造請負契約では、製造される物品・製品に関して、「何のために製造するのか」という点が重要となります。これは、完成品の製造に関するものは当然として、一部の部品の製造に関するものであってもです。

このため、契約交渉の段階から、注文者(=委託者)は、請負人(=受託者)に対して、こうした完成品に関する情報を開示せざるを得ません。

こうした完成品に関する情報は、人間の記憶に残りやすいため、漏洩するリスクが非常に高いといえます。

製造請負契約における技術情報の漏えいのリスク

また、製品の設計を注文者(委託者)がした場合、請負人(受託者)が実際にその製品を製造できるかどうかを検討する必要があります。

このため、注文者(委託者)は、請負人(受託者)に対し、なるべく試作品が製造できるレベルの設計に関する技術情報を開示することになります。

この際、こうした技術情報が、特許権や意匠権などの知的財産権として保護されていれば、情報開示は、特に問題とはなりません。

他方で、知的財産権として保護されてない場合や、主要な技術技術は知的財産権として保護されていても、周辺技術が知的財産権として保護されてない場合は、そうした技術情報や周辺情報が、不正使用されたり、漏えいしたりするリスクがあります。

【請負人=受託者のリスク】設計情報・金型・工場レイアウト不正使用のリスク

製造請負契約における設計情報・金型図面・金型の不正使用のリスク

製造請負契約の交渉中に、請負人(受託者)の立場として注文者(委託者)に対して情報を開示する場合、気をつけなければいけないのは、自社の技術情報の漏えいのリスクです。

特によくトラブルとなるのが、請負人(受託者)が製品や製品の金型を設計した場合です。この場合、請負人(受託者)が注文者(委託者)に対し、こうした製品の設計情報や金型図面に関する情報を開示することがあります。

この際、請負人(受託者)が何も対策をしていないと、契約交渉が破談・交渉決裂となった場合に、注文者(委託者)にその情報を不正使用されることになります。

特に金型図面や金型そのものについては、注文者(委託者)に不正使用されることが多いため、請負人(受託者)としては、取扱い・管理には十分に注意する必要があります。

製造請負契約における工場レイアウトの不正使用のリスク

また、意外に思われるかもしれませんが、いわゆる「工場レイアウト」、特に生産ラインのレイアウト等もまた、不正使用されることがあります。

ありがちなパターンとしては、注文者(委託者)が、「製品の製造が可能かどうかを判断するため」という名目で、請負人(受託者)の工場の見学に来る場合です。

こうした注文者(委託者)による工場見学は、実際には、請負人(受注者)の工場レイアウトや、生産体制、場合によっては特定の技術情報などを不正に取得することを目的としている場合もあります。

この場合、交渉中の製造請負契約が破談・交渉決裂となり、単に工場レイアウトの情報だけが、注文者(委託者)に渡る、ということにもなりかねません。

こうした場合、請負人(受託者)としては、工場レイアウトの不正使用を防ぐため、工場見学そのものを拒否するか、または、後で触れるような対策が必須となります。

ポイント
  • 製造請負契約における業務内容は、契約締結前の段階でのトラブルとなることが多い。
  • 製造請負契約の締結前に相手方に業務内容に関する情報を開示する場合は、特に情報漏えいや不正使用に注意する。
  • 製造請負契約の契約交渉では、破談・交渉決裂となることも想定して情報を開示する。
  • 注文者(委託者)は、事業構想・技術情報の漏えいに注意する。
  • 請負人(受注者)は、特に設計情報・金型・工場レイアウトの不正使用に注意する。





製造請負契約では契約交渉の前に秘密保持契約を締結する

秘密保持契約で秘密保持義務を課す

以上のように、製造請負契約の契約交渉では、注文者(委託者)と請負人(受託者)の双方に、情報を開示した相手方による情報の漏えい・情報の不正使用のリスクがあります。

このようなリスクを防ぐためには、契約交渉の前の段階で、秘密保持契約書を作成し、秘密保持契約を結ぶべきです。

秘密保持契約は、当然ながら、当事者を拘束する法的な民事上の義務(=秘密保持義務)が発生する、という点が重要です。

それ以上に重要な点として、開示された情報を不正競争防止法の営業秘密として保護を受けられるようにする、という目的もあります。

営業秘密につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

営業秘密の定義・要件・具体例とは?

秘密保持契約には少なくとも3つの義務を課す

秘密保持契約では、様々な条項が重要となりますが、製造請負契約の契約交渉を始める場合に重要となるのは、次の3つの義務です。

秘密保持契約で重要な3つの義務とは?
  • 秘密保持義務:秘密情報を第三者に開示し、または漏えいしない義務。
  • 秘密情報の目的外の使用禁止:秘密情報を秘密保持契約において規定した目的以外の目的のために使用しない義務。
  • 秘密情報の返還・廃棄・消去:一定の条件を満たした場合に、秘密情報を相手方に変換し、再生不能な状態で廃棄し、または消去する義務。

いずれの条項も、製造請負契約の交渉中はもとより、製造請負契約の交渉が破談・交渉決裂した場合を想定して、相手方による情報の開示、漏えい、不正使用がないようにするために規定するものです。

なお、秘密保持義務につきましては、併せて、以下のページをご覧ください。

業務委託契約における秘密保持義務・守秘義務に関する条項のまとめ

開示する情報は必要最低限とする

秘密保持義務・不正競争防止法はあてにはならない

もっとも、実際に秘密保持契約を締結したからといって、安心して情報を開示していい、というわけではありません。

秘密保持契約は、単に民事上の秘密保持義務を課したに過ぎませんので、それだけでは、情報の不正使用の抑止力としては、非常に弱いものでしかありません。

また、仮に開示した情報が不正競争防止法の営業秘密に該当したとしても、情報の漏えい、開示、不正使用があった場合、不正競争防止法による保護を受けることは、簡単ではありません。

そこで重要となるのが、いかに開示する情報を少なくするか、ということです。

開示する情報は必要最低限として不必要な情報は開示しない

契約交渉の段階で情報を開示する必要がある場合に重要となるのが、開示する目的を満たすための、必要最低限の情報だけを開示することです。

例えば、注文者(委託者)が請負人(受託者)に金型図面・金型・工場レイアウトなどの情報の開示を求める場合について考えてみましょう。

このような場合、本来であれば、注文者(委託者)は、請負人(受託者)が製品を製造できる能力があるかどうかを判断するために開示を求めるものです。

であれば、請負人(受託者)は、わざわざ金型図面・金型・工場レイアウトの情報を開示する必要はありません。請負人(受託者)による試作品の製造によって、その製品を製造できるかどうかの判断はできます。

にもかかわらず、注文者(委託者)が、ことさらに金型図面・金型・工場レイアウトの開示を求めてくる場合は、何か別の目的がある可能性を検討するべきです。

やむを得ず情報を開示する場合は不正使用されにくい対策を取る

また、やむを得ず情報を開示する場合であっても、不正使用をしにくい形で開示することも検討するべきです。

例えば、注文者(委託者)に要求によって、どうしても請負人(受託者)が工場レイアウトを開示する場合について考えてみましょう。

このような場合、通常は、カメラ、スマートフォン(携帯電話)などの撮影機器の持ち込みは禁止します。

どうしてもスマートフォン(携帯電話)の持ち込みを禁止しきれない場合は、撮影禁止用セキュリティシールを使って、カメラ機能を使えないようにします。

このような撮影禁止対策すら拒否するようであれば、工場見学が、工場レイアウトの撮影を目的としていると考えるべきです。

ポイント
  • 製造請負契約の交渉の前に、秘密保持契約を締結して、相互に秘密保持義務を課す。
  • 秘密保持契約では、最低限、1.秘密保持義務、2.秘密情報の目的外使用の禁止、3.秘密情報の返還・廃棄・消去―3つの義務を課す。
  • 開示する情報は、必要最低限とする。
  • どうしても情報を開示せざるを得ない場合は、不正使用されにくいような対策を取る。





その他の業務内容を決める全行程は?

この他の業務内容につきましては、以下の行程で決定し、契約書の記載することとなります。

業務内容の決め方・書き方の全行程一覧
  • ステップ1:契約形態(請負型か準委任型か)を決定する
  • ステップ2:業務内容の項目をリストアップして決定する
  • ステップ3:しない業務や別途見積りにする業務を決定する
  • ステップ4:個々の業務内容を定義づける
  • ステップ5:業務の実施方法を決定する
  • ステップ6:業務の実施の日程、時間、時刻(時間帯)や時間の上限などを決定する
  • ステップ7:使用するツールを決定する
  • ステップ8:決定した業務内容をすべて契約書等の書面に落とし込む

この業務内容の決め方・書き方の全行程につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

業務委託契約書における業務内容の決め方・書き方と全行程を解説





製造請負契約における業務内容に関するよくある質問

製造請負契約では、どのように業務内容を決めますか?
製品によって様々ですが、製造請負契約では、主に仕様書・設計図・図面等の書面などの「承認図面」や、金型などで業務内容を決めます。
製造請負契約で業務内容を契約書に書かないと法律違反になりますか?
取適法、フリーランス保護法、家内労働法、特定商取引法が適用される場合、それぞれの法律に違反します。