こんにちは。契約書作成専門・小山内行政書士事務所代表の小山内です。

このページでは、製造請負契約・製造業務委託契約・取引基本契約における業務内容の確定方法について解説しています。

製造請負契約・製造業務委託契約・取引基本契約では、仕様書、設計図、図面等で、業務内容を確定させます。

また、下請法が適用される製造請負契約・製造業務委託契約・取引基本契約の場合は、下請法第3条により、注文者は、いわゆる「三条書面」を作成して、製造業者(メーカー)に対して交付しなければなりません。

この三条書面には、「給付の内容」として、製造請負契約・製造業務委託契約・取引基本契約の業務内容を記載しなければなりません。

なお、実際に製造請負契約・製造業務委託契約・取引基本契約を締結する際には、業務内容(特に設計に関する技術情報や金型)の情報漏えいや不正使用のリスクがあります。

こうした情報漏えいや不正使用を防止するため、契約交渉の前の段階で、秘密保持契約を締結することが重要となります。

このページでは、こうした製造請負契約・製造業務委託契約・取引基本契約の業務内容のポイントについて、全般的にわかりやすく解説していきます。

なお、この他の、製造請負契約・製造業務委託契約の全般的な内容につきましては、以下のページをご覧ください。

これだけは押さえておきたい!製造請負契約書の作成の20のポイント

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製造請負契約・製造業務委託契約・取引基本契約とは?

【意味・定義】製造請負契約とは?

製造請負契約とは、注文者(委託者)と請負人(受託者)との間で締結される、物品・製品(有体物)の製造に関する請負契約です。

そして、請負契約は、民法では、以下のように規定されています。

民法第632条(請負)

請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

従って、製造請負契約の定義は、次のとおりです。

製造請負契約の定義

製造請負契約とは、請負人(受託者)が何らかの物品・製品の製造を完成させること約束し、注文者(委託者)が、その物品・製品の製造の対価として、報酬を支払うことを約束する契約をいう。

なお、請負契約につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

請負契約とは?―請負型の業務委託契約のポイント・当事者の権利義務を解説

【意味・定義】製造業務委託契約とは?

「業務委託契約」には定義がない

製造業務委託契約は、業務内容によって、法的な意味・定義が変わってきます。

というのも、そもそも「業務委託契約」という契約自体、定義がない契約です。

業務委託契約の定義につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

業務委託契約書とは?その定義とポイントを簡単にわかりやすく解説

このため、「製造業務委託契約」の定義は、どのような業務内容なのかによります。

請負型の製造業務委託契約は製造請負契約と同じ

この点について、業務内容が請負契約である場合は、その製造業務委託契約は、製造請負契約と同じ意味になります。

つまり、何らかの物品・製品の製造か完成させることが目的である業務委託契約は、製造請負契約である、ということです。

こうした契約の場合、契約書のタイトルを「製造業務委託契約」としてしまうと、請負契約ではない(=次項で触れる準委任契約)かのような誤解を招きます。

このため、契約書のタイトルは、「製造請負契約」と明記するべきです。

準委任型の製造業務委託契約は「製造の作業」の業務委託契約

これに対して、請負型でない、準委任型の製造業務委託契約の場合もあります。

準委任契約は、民法では、以下のように規定されています。

民法第656条(準委任)

この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。

準委任型の業務委託契約につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

委任契約・準委任契約とは?―(準)委任型の業務委託契約のポイント・当事者の権利義務を解説

準委任型の業務委託契約は、単に物品・製品の製造の作業そのものを委託する契約であり、必ずしも、物品・製品の製造の「完成」を目的としたものではありません。

準委任型の製造業務委託契約の定義

準委任型の製造業務委託契約とは、委託者が、受託者に対し、物品・製品の製造の作業の実施そのものを委託し、受託者がこれ受託する契約をいう。

なお、こうした準委任型の製造業務委託契約で、受託者が、委託者の事業所・工場などで業務を実施する場合があります。

このような場合は、いわゆる「偽装請負」=労働者派遣法違反とみなされる可能性が高いので、注意が必要です。

偽装請負につきましては、以下のページをご覧ください。

偽装請負とは?偽装請負とみなされた場合の委託者・受託者のリスクは?

【意味・定義】取引基本契約とは?

製造業の請負契約・準委任型には、この他にも、「取引基本契約」という契約があります。

この「取引基本契約」は、民法上の定義がある契約ではありませんが、一般的に、次の意味で使われます。

取引基本契約の定義

取引基本契約とは、継続的な売買契約、請負契約、準委任契約の取引の基本となる、個々の取引における共通した条項を規定した契約をいう。

また、取引基本契約が結ばれた場合、個々の取引は、「個別契約」といいます。

個別契約は、注文書・注文請書や、発注書・受注書など(場合によっては個別契約書)を取交わすことで契約を結びます。

このように、取引基本契約は、反復・継続する契約の中で、毎回共通する条項を抽出して別の契約とし、主に初回の取引の際に締結するものです。

こうすることで、何度も繰り返して分厚い契約書を取交わす必要がなくなります。

ポイント

  • 製造請負契約とは、請負人(受託者)が何らかの物品・製品の製造を完成させること約束し、注文者(委託者)が、その物品・製品の製造の対価として、報酬を支払うことを約束する契約のこと。
  • 製造業務委託契約のうち、請負型のものは、製造請負契約と同じ。
  • 製造業務委託契約のうち、準委任型のものは、委託者が、受託者に対し、物品・製品の製造の作業の実施そのものを委託し、受託者がこれ受託する契約のこと。
  • 取引基本契約とは、継続的な売買契約、請負契約、準委任契約の取引の基本となる、個々の取引における共通した条項を規定した契約のこと。
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下請法が適用される場合は契約書の作成義務がある

原則として製造請負契約書を作成する義務はない

現行法では、製造請負契約は、法律上の規制がないので、特に契約書を作成する必要はありません。

ただし、下請法が適用される製造請負契約の場合は、契約書(いわゆる「三条書面」)を作成する必要があります。

製造請負契約において、下請法が適用されるかどうかにつきましては、以下のページをご覧ください。

下請法が適用される4つの業務委託契約のパターン

下請法では委託者=注文者は契約書を作成する義務がある

下請法が適用される場合は、注文者(委託者)=親事業者ということになります。

この場合、注文者(委託者)は、三条書面を作成して、請負人(受託者)に交付しなければなりません。

なお、三条書面につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

下請法の三条書面とは?―業務委託契約書の12の必須事項

ポイント

下請法が適用される製造請負契約では、親事業者=注文者(委託者)は、下請事業者=請負人(受託者)に対し、三条書面=製造請負契約書を交付しなければならない。

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製造請負契約の業務内容は仕様書・設計図・図面等で確定する

製造請負契約では業務内容でトラブルになることは少ない

一般的な製造請負契約では、仕様書・設計図・図面等の書面を作成して業務内容を確定します。

製造請負契約では、事前に試作品などが製造され、委託者と受託者の間で、製造方法や完成品について誤解がないようにします。

このようなプロセスで注文者(委託者)の承認を得て確定した仕様書・設計図・図面等の書面を、一般に「承認図面」といいます。

このような事情があるため、最終的に完成する製品(=業務内容)そのものについて、契約当事者同士でトラブルになることは、まずありません(そのぶん、事前のコストがかかります)。

ただし、検査の際に、仕様書・設計図・図面等に記載されたとおりに製造されたかどうか、という点については、トラブルになることがあります。

なお、検査につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

業務委託契約の検査(検査項目・検査方法・検査基準)とは?条項の規定のしかた・書き方・作り方は?

量産品でない場合はトラブルになるリスクがある

もっとも、オーダーメイドやオリジナルの製品のように、大量生産するものではなく、ごく少数の生産をする製品の場合は、事情が異なります。

というのも、オーダーメイドやオリジナルの製品の場合、試作品の税像自体に膨大なコストかかる、あるいは、そもそも試作品自体を製造できない、ということがあります。

このため、契約当事者間で業務内容の認識にズレが生じないように、より詳細で明確な設計図の作成が重要となります。

もっとも、既存の製品にオリジナルの印刷をするような、二次元的なデザインをする程度のオーダーメイド・ワンオフの製品であれば、設計を標準化することで、トラブルにならずに製造ができます。

下請法が適用される場合は業務内容は必須記載事項

なお、下請法が適用される製造請負契約の場合、業務内容は、すでに触れた三条書面の必須記載事項である、「下請事業者の給付の内容」です。

この「下請事業者の給付の内容」の意味は、次のとおりです。

(3) 3条書面に記載する「下請事業者の給付の内容」とは,親事業者が下請事業者に委託する行為が遂行された結果,下請事業者から提供されるべき物品及び情報成果物(役務提供委託をした場合にあっては,下請事業者から提供されるべき役務)であり,3条書面には,その品目,品種,数量,規格,仕様等を明確に記載する必要がある。(以下省略)

「下請事業者の給付の内容」のポイント

「…下請事業者が作成・提供する委託の内容が分かるよう,これらを明確に記載する必要がある。」が三条書面の「下請事業者の給付内容」ポイント。

三条書面につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

下請法の三条書面とは?―業務委託契約書の12の必須事項

ポイント

  • 一般的な製造請負契約では、仕様書・設計図・図面等の書面を作成して業務内容を確定する。
  • 一般的な製造請負契約では、試作品の製造などがあるため、業務内容そのものの認識の違いによるトラブルは少ない。
  • オーダーメイドやオリジナルの製品は、少数生産の場合は、業務ないよを巡ってトラブルとなるリスクがある。
  • 業務内容は下請法の三条書面の必須記載事項。
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契約締結前の情報の不正使用のリスクがある

契約締結の前にトラブルが多い

さて、ここまで、契約締結後の製造請負契約の業務内容に関する問題について解説してきました。

すでに触れたとおり、実は、一般的な製造請負契約では、契約締結後には、業務内容そのものについては、トラブルはあまりありません。

せいぜい、資本金が多い注文者(委託者)が、下請法の適用について注意するべき、という点があるくらいです。

実は、トラブルが多いのは、製造請負契約の締結の前の段階の業務内容についてです。

契約締結前に「業務内容」が不正に使用される

製造請負契約を締結する場合、実務上、契約交渉の段階で、ある程度の情報を開示します。

この情報の中には、当然、業務内容等=仕様書、設計図、図面や、製造方法、技術上のノウハウ、アイデア、金型などが(すべてではないにせよ)含まれています。

このような場合、注文者(委託者)と、請負人(受託者)は、それぞれ、相手方に対する情報開示に注意する必要があります。

特に、請負人(受託者)の側が立場が弱い場合は、注文者(委託者)による、請負人(受託者)が保有する情報の不正使用が発生するリスクがあります。

契約交渉の段階では交渉決裂も視野に入れる

製造請負契約に限った話ではありませんが、大前提として、「契約交渉は必ずしも成功するとは限らない」という点が、ポイントとなります。

つまり、相手方に情報を開示する場合は、契約交渉が途中で打ち切られて、破談・交渉決裂となることを想定する必要があります。

この点は、注文者(委託者)の立場にせよ、請負人(受託者)の立場にせよ、重要となります。

いずれの立場にせよ、破談・交渉決裂によって、開示した情報が不正使用される可能性を考えながら、情報を開示することが重要です。

【注文者=委託者のリスク】事業構想・設計情報(技術情報)の漏えいのリスク

事業構想の漏えいのリスク

製造請負契約の交渉中に、注文者(委託者)の立場として請負人(受託者)に対して情報を開示する場合、まず気をつけなければいけないのは、事業構想の漏えいのリスクです。

「事業構想」というのは、要するに、その製造請負契約によって製造される物品・製品=完成品に関する情報のことです。

製造請負契約では、製造される物品・製品に関して、「何のために製造するのか」という点が重要となります。これは、完成品の製造に関するものは当然として、一部の部品の製造に関するものであってもです。

このため、契約交渉の段階から、注文者(=委託者)は、請負人(=受託者)に対して、こうした完成品に関する情報を開示せざるを得ません。

こうした完成品に関する情報は、人間の記憶に残りやすいため、漏洩するリスクが非常に高いといえます。

技術情報の漏えいのリスク

また、製品の設計を注文者(委託者)がした場合、請負人(受託者)が実際にその製品を製造できるかどうかを検討する必要があります。

このため、注文者(委託者)は、請負人(受託者)に対し、なるべく試作品が製造できるレベルの設計に関する技術情報を開示することになります。

この際、こうした技術情報が、特許権や意匠権などの知的財産権として保護されてれば、情報開示は、特に問題とはなりません。

他方で、知的財産権として保護されてない場合や、主要な技術技術は知的財産権として保護されていても、周辺技術が知的財産権として保護されてない場合は、そうした技術情報や周辺情報が、不正使用されたり、漏えいしたりするリスクがあります。

【請負人=受託者のリスク】設計情報・金型・工場レイアウト不正使用のリスク

設計情報・金型図面・金型の不正使用のリスク

製造請負契約の交渉中に、請負人(受託者)の立場として注文者(委託者)に対して情報を開示する場合、気をつけなければいけないのは、なんと言っても自社の技術情報の漏えいのリスクです。

特によくトラブルとなるのが、請負人(受託者)が製品や製品の金型を設計した場合です。

この場合、請負人(受託者)が注文者(委託者)に対し、こうした製品の設計情報や金型図面に関する情報を開示することがあります。

この際、請負人(受託者)が何も対策をしていないと、契約交渉が破談・交渉決裂となった場合に、注文者(委託者)にその情報を不正使用されることになります。

特に金型図面や金型そのものについては、注文者(委託者)に不正使用されることが多いため、請負人(受託者)としては、取扱い・管理には十分に注意する必要があります。

工場レイアウトの不正使用のリスク

また、意外に思われるかもしれませんが、いわゆる「工場レイアウト」、特に生産ラインのレイアウト等もまた、不正使用されることがあります。

ありがちなパターンとしては、注文者(委託者)が、「製品の製造が可能かどうかを判断するため」という名目で、請負人(受託者)の工場の見学に来る場合です。

こうした注文者(委託者)による工場見学は、実際には、請負人(受注者)の工場レイアウトや、生産体制、場合によっては特定の技術情報などを不正に取得することを目的としている場合もあります。

この場合、交渉中の製造請負契約が破談・交渉決裂となり、単に工場レイアウトの情報だけが、注文者(委託者)に渡る、ということにもなりかねません。

こうした場合、請負人(受託者)としては、工場レイアウトの不正使用を防ぐため、工場見学そのものを拒否するか、または、後で触れるような対策が必須となります。

ポイント

  • 製造請負契約における業務内容は、契約締結前の段階でのトラブルとなることが多い。
  • 製造請負契約の締結前に相手方に業務内容に関する情報を開示する場合は、特に情報漏えいや不正使用に注意する。
  • 製造請負契約の契約交渉では、破談・交渉決裂となることも想定して情報を開示する。
  • 注文者(委託者)は、事業構想・技術情報の漏えいに注意する。
  • 請負人(受注者)は、特に設計情報・金型・工場レイアウトの不正使用に注意する。
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契約交渉の前の段階で秘密保持契約を締結する

秘密保持契約で秘密保持義務を課す

以上のように、製造請負契約の契約交渉では、注文者(委託者)と請負人(受託者)の双方に、情報を開示した相手方による情報の漏えい・情報の不正使用のリスクがあります。

このようなリスクを防ぐためには、契約交渉の前の段階で、秘密保持契約書を作成し、秘密保持契約を結ぶべきです。

秘密保持契約は、当然ながら、当事者を拘束する法的な民事上の義務(=秘密保持義務)が発生する、という点が重要です。

それ以上に重要な点として、開示された情報を不正競争防止法の営業秘密として保護を受けられるようにする、という目的もあります。

営業秘密につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

営業秘密の定義・要件・具体例とは?―業務委託契約との関係をわかりやすく解説

秘密保持契約には少なくとも3つの義務を課す

秘密保持契約では、様々な条項が重要となりますが、製造請負契約の契約交渉を始める場合に重要となるのは、次の3つの義務です。

秘密保持契約で重要な3つの義務

  • 秘密保持義務:秘密情報を第三者に開示し、または漏えいしない義務。
  • 秘密情報の目的外の使用禁止:秘密情報を秘密保持契約において規定した目的以外の目的のために使用しない義務。
  • 秘密情報の返還・廃棄・消去:一定の条件を満たした場合に、秘密情報を相手方に変換し、再生不能な状態で廃棄し、または消去する義務。

いずれの条項も、製造請負契約の交渉中はもとより、製造請負契約の交渉が破談・交渉決裂した場合を想定して、相手方による情報の開示、漏えい、不正使用がないようにするために規定するものです。

なお、秘密保持義務につきましては、併せて、以下のページをご覧ください。

業務委託契約の秘密保持義務・守秘義務とは?条項の規定のしかた・書き方・作り方は?

開示する情報は必要最低限とする

秘密保持義務・不正競争防止法はあてにはならない

もっとも、実際に秘密保持契約を締結したからといって、安心して情報を開示していい、というわけではありません。

秘密保持契約は、単に民事上の秘密保持義務を課したに過ぎませんので、それだけでは、情報の不正使用の抑止力としては、非常に弱いものでしかありません。

また、仮に開示した情報が不正競争防止法の営業秘密に該当したとしても、情報の漏えい、開示、不正使用があった場合、不正競争防止法による保護を受けることは、簡単ではありません。

そこで重要となるのが、いかに開示する情報を少なくするか、ということです。

開示する情報は必要最低限として不必要な情報は開示しない

契約交渉の段階で情報を開示する必要がある場合に重要となるのが、開示する目的を満たすための、必要最低限の情報だけを開示することです。

例えば、注文者(委託者)が請負人(受託者)に金型図面・金型・工場レイアウトなどの情報の開示を求める場合について考えてみましょう。

このような場合、本来であれば、注文者(委託者)は、請負人(受託者)が製品を製造できる能力があるかどうかを判断するために開示を求めるものです。

であれば、請負人(受託者)は、わざわざ金型図面・金型・工場レイアウトの情報を開示する必要はありません。請負人(受託者)による試作品の製造によって、その製品を製造できるかどうかの判断はできます。

にもかかわらず、注文者(委託者)が、ことさらに金型図面・金型・工場レイアウトの開示を求めてくる場合は、何か別の目的がある可能性を検討するべきです。

やむを得ず情報を開示する場合は不正使用されにくい対策を取る

また、やむを得ず情報を開示する場合であっても、不正使用をしにくい形で開示することも検討するべきです。

例えば、注文者(委託者)に要求によって、どうしても請負人(受託者)が工場レイアウトを開示する場合について考えてみましょう。

このような場合、通常は、カメラ、スマートフォン(携帯電話)などの撮影機器の持ち込みは禁止します。

どうしてもスマートフォン(携帯電話)の持ち込みを禁止しきれない場合は、撮影禁止用セキュリティシールを使って、カメラ機能を使えないようにします。

このような撮影禁止対策すら拒否するようであれば、工場見学が、工場レイアウトの撮影を目的としていると考えるべきです。

ポイント

  • 製造請負契約の交渉の前に、秘密保持契約を締結して、相互に秘密保持義務を課す。
  • 秘密保持契約では、最低限、1.秘密保持義務、2.秘密情報の目的外使用の禁止、3.秘密情報の返還・廃棄・消去―3つの義務を課す。
  • 開示する情報は、必要最低限とする。
  • どうしても情報を開示せざるを得ない場合は、不正使用されにくいような対策を取る。