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このページでは、取適法(旧下請法)が適用される取引の委託事業者(旧親事業者)と中小受託事業者(旧下請事業者)に向けて、4条明示(旧3条書面)について解説しています。
4条明示(旧3条書面)とは、取適法第4条(旧下請法第3条)にもとづき、委託事業者(旧親事業者)が作成し、中小受託事業者(旧下請事業者)に対し、交付しなければならない書面のことです。
取適法(旧下請法)が適用される業務委託契約の場合、委託者=委託事業者(旧親事業者)は、受託者=中小受託事業者(旧下請事業者)に対し、4条明示(旧3条書面)を交付しなければなりません(4条明示(旧3条書面)の不交付は罰金が科されます)。
そこで、実務上は、業務委託契約書や注文書(+取引基本契約書)が4条明示(旧3条書面)の要件を満たすように考慮して作成します。
具体的には、公正取引委員会が定める「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第四条の明示に関する規則」を満たした内容にします。
このページでは、こうした4条明示(旧3条書面)の基本や業務委託契約書を4条明示(旧3条書面)とする場合の注意点について、開業22年・400社以上の取引実績がある行政書士が、わかりやすく解説していきます。
このページをご覧いただくことで、取適法(旧下請法)の遵守をはじめ、以下の内容を理解できます。
このページでわかること
- 4条明示(旧3条書面)の定義。
- 4条明示(旧3条書面)の必須記載事項。
- 業務委託契約書を4条明示(旧3条書面)にする場合のポイント。
- 電磁的方法や電子契約による4条明示(旧3条書面)の交付のポイント。
- 4条明示(旧3条書面)の不交付による取適法(旧下請法)違反の罰則、リスク。
なお、取適法(旧下請法)そのものにつきましては、以下のページをご覧ください。
【意味・定義】4条明示(旧3条書面)とは?
委託事業者(旧親事業者)が中小受託事業者(旧下請事業者)に対して交付する義務がある書面
4条明示(旧3条書面)とは、取適法(正式には「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」)第4条に規定されている書面です。
取適法第4条(中小受託事業者の給付の内容その他の事項の明示等)
1 委託事業者は、中小受託事業者に対し製造委託等をした場合は、直ちに、公正取引委員会規則で定めるところにより、中小受託事業者の給付の内容、製造委託等代金の額、支払期日及び支払方法その他の事項を、書面又は電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて公正取引委員会規則で定めるものをいう。以下この条において同じ。)により中小受託事業者に対し明示しなければならない。ただし、これらの事項のうちその内容が定められないことにつき正当な理由があるものについては、その明示を要しないものとし、この場合には、委託事業者は、当該事項の内容が定められた後直ちに、当該事項を書面又は電磁的方法により中小受託事業者に対し明示しなければならない。
2 委託事業者は、前項の規定により同項に規定する事項を電磁的方法により明示した場合において、中小受託事業者から当該事項を記載した書面の交付を求められたときは、遅滞なく、公正取引委員会規則で定めるところにより、これを交付しなければならない。ただし、中小受託事業者の保護に支障を生ずることがない場合として公正取引委員会規則で定める場合は、この限りでない。
【意味・定義】4条明示(取適法)とは?
4条明示(取適法)とは、製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法)第4条に規定された、委託事業者(旧親事業者)が中小受託事業者(旧下請事業者)に対し明示しなければならない事項(取引条件)をいう。旧下請法のいわゆる「3条書面」に代わるもの。
これは、旧下請法における3条書面に相当します。
委託事業者(旧親事業者)は、中小受託事業者(旧下請事業者)に対し製造委託等(業務委託)をした場合、直ちに4条明示(旧3条書面)を交付しなければなりません。
公正取引委員会規則=「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第四条の明示に関する規則」
取適法(旧下請法)第4条に規定する「公正取引委員会規則」とは、「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第四条の明示に関する規則」のことです。
この規則は、正式名称が非常に長いので、「取適法4条規則」、「4条明示規則」、「4条規則」と省略されます。
実際に4条明示(旧3条書面)を作成する際には、取適法第4条とともに、取適法4条規則も併せて確認しながら作成します。
委託事業者(旧親事業者)が中小受託事業者(旧下請事業者)に対し、取適法第4条と取適法4条規則に適合した書面を交付して、はじめて4条明示(旧3条書面)を交付したことになります。
逆にいえば、取適法第3条と取適法4条規則に適合していない書面を交付しても、4条明示(旧3条書面)を交付したことにはなりません。
取適法(旧下請法)の対象かどうかの条件とは?
取適法(旧下請法)が適用される対象かどうかの条件は、以下のパターンのいずれかとなります。
パターン1 | |||
|---|---|---|---|
| 委託者 | 受託者 | ||
| 資本金の区分 | 3億1円以上の法人 | 3億円以下の法人(または個人事業者) | |
| 業務内容 |
| ||
パターン2 | |||
|---|---|---|---|
| 委託者 | 受託者 | ||
| 資本金の区分 | 1千万1円以上3億円以下の法人 | 1千万円以下の法人(または個人事業者) | |
| 業務内容 |
| ||
パターン3 | |||
|---|---|---|---|
| 委託者 | 受託者 | ||
| 従業員の区分 | 従業員300人超の法人 | 従業員300人以下の法人または個人事業者 | |
| 業務内容 |
| ||
パターン4 | |||
|---|---|---|---|
| 委託者 | 受託者 | ||
| 資本金の区分 | 5千万1円以上の法人 | 5千万円以下の法人(または個人事業者) | |
| 業務内容 |
| ||
パターン5 | ||
|---|---|---|
| 委託者 | 受託者 | |
| 資本金の区分 | 1千万1円以上5千万円以下の法人 | 1千万円以下の法人(または個人事業者) |
| 業務内容 |
| |
パターン6 | ||
|---|---|---|
| 委託者 | 受託者 | |
| 従業員の区分 | 従業員100人超の法人 | 従業員100人以下の法人または個人事業者 |
| 業務内容 |
| |
これらのパターンのいずれかに該当する場合は、取適法(旧下請法)の適用対象となり、委託事業者(旧親事業者)は、中小受託事業者(旧下請事業者)に対し、4条明示(旧3条書面)をしなければなりません。
これらの取適法(旧下請法)が適用されるかどうかの条件につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
ポイント
- 取適法における4条明示とは、取適法=製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第4条に規定された、委託事業者が中小受託事業者対し交付しなければならない書面のこと。
- 取適法第4条と取適法4条規則に適合した4条明示を交付しなければ、委託事業者は4条明示をしたことにならない。
4条明示(旧3条書面)で記載する12の必須事項
4条明示(旧3条書面)の記載事項一覧
取適法第4条と取適法4条規則では、以下の内容が、4条明示(旧3条書面)の記載事項とされています。
4条明示(旧3条書面)の必須記載事項
- 委託事業者及び中小受託事業者の名称(番号、記号等による明示も可)
- 製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託又は特定運送委託をした日
- 中小受託事業者の給付の内容(役務提供委託又は特定運送委託の場合は、提供される役務の内容)
- 中小受託事業者の給付を受領する期日(役務提供委託又は特定運送委託の場合は、その委託に係る役務の提供を受ける期日又は期間)
- 中小受託事業者の給付を受領する場所(役務提供委託又は特定運送委託の場合は、その委託に係る役務の提供を受ける場所)
- 中小受託事業者の給付の内容(役務提供委託又は特定運送委託の場合は、提供される役務の内容)について検査をする場合は、その検査を完了する期日
- 代金の額
- 代金の支払期日
- 代金の全部又は一部の支払につき、一括決済方式で支払う場合は、金融機関名、貸付け又は支払を受けることができることとする額(支払額に占める一括決済方式による割合でも可)及びその期間の始期、委託事業者が代金債権相当額又は代金債務相当額を金融機関へ支払う期日(決済日)
- 代金の全部又は一部の支払につき、電子記録債権で支払う場合は、電子記録債権の額(支払額に占める電子記録債権による割合でも可)及び中小受託事業者が代金の支払を受けることができることとする期間の始期、電子記録債権の満期日
- 原材料等を有償支給する場合は、その品名、数量、対価、引渡しの期日、決済期日及び決済方法
- 上記1.~12.の事項のうち、その内容が定められないことについて正当な理由があり記載しない事項(未定事項)がある場合は、当該未定事項の内容が定められない理由、当該未定事項の内容を定めることとなる予定期日
引用元:中小受託取引適正化法テキストp.37
1.委託事業者及び中小受託事業者の名称(番号、記号等による明示も可)
「1.委託事業者及び中小受託事業者の名称(番号、記号等による明示も可)」は、文字どおり委託事業者(旧親事業者)と中小受託事業者(旧下請事業者)の名称(商号や屋号等)のことです。
番号や記号等による記載も可能ですが、この場合は、「事業者別に付された」ものであり、かつ、「委託事業者及び中小受託事業者を識別できるもの」でなければなりません。
製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第四条の明示に関する規則第1条
1 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(以下「法」という。)第四条第一項の規定による明示は、次に掲げる事項を記載し又は記録した書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)の交付又は電磁的方法による提供により行わなければならない。
(1)委託事業者及び中小受託事業者の商号、名称又は事業者別に付された番号、記号その他の符号であって委託事業者及び中小受託事業者を識別できるもの
2(以下省略)
引用元:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第四条の明示に関する規則 | e-Gov法令検索
なお、一般的な発注書・注文書を4条明示(旧3条書面)として運用する場合は、より厳格に当事者を識別できるよう、契約書の署名欄・記名欄と同様に、称号・名称に加えて、住所・所在地、署名者・記名者の役職と氏名を記載します。
2.製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託又は特定運送委託をした日
取適法(旧下請法)では製造委託等をした日=発注日
「製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託又は特定運送委託をした日」=製造委託等をした日とは、いわゆる「発注日」のことです。
なお、以下のとおり、発注日とは必ずしも契約締結の日とは限らず、「契約締結までに日数を要するのであれば、」委託事業者(旧親事業者)は、中小受託事業者(旧下請事業者)に対し、契約書とは別に、あらかじめ4条明示(旧3条書面)を交付しなければなりません。
- Q50:4条明示の書面は様式を問わないので契約書の交付を4条明示とすることも可能と聞いたが、発注後、契約締結まで日数を要する場合、どの程度までなら「直ちに」交付したといえるか。
- 「直ちに」とは「すぐに」という意味である。委託事業者には、発注した場合「直ちに」4条明示をする義務があるので、発注から契約締結までに日数を要するのであれば、発注後、直ちに明示したとはいえない。そのような場合には、契約書とは別に、発注後直ちに4条明示をしなければならない。
引用元:中小受託取引適正化法テキストp.45
フリーランス保護法では業務委託の合意日=契約成立の日
これに対し、フリーランス保護法では、三条通知において、「業務委託(略)をした日」を明示する義務があります。
公正取引委員会関係特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則第1条
1 業務委託事業者は、特定受託事業者に係る取引の適正化等に法律(以下「法」という。)第三条第一項に規定する明示(以下単に「明示」という。)をするときは、次に次に掲げる事項を記載した書面の交付又は当該事項の電磁的方法による提供により、示さなければならない。
(途中省略)
(2)業務委託(法第二条第三項に規定する業務委託をいう。以下同じ。)をした日
この「業務委託(略)をした日」とは、いわゆる「契約成立の日」のことです。
業務委託をした日は、次のとおり、発注事業者とフリーランスとの間で、「業務委託をすることについて合意した日」とされています。
イ 業務委託をした日(本法規則第1条第1項第2号)
業務委託(法第二条第三項に規定する業務委託をいう。以下同じ。)をした日」とは、業務委託事業者と特定受託事業者との間で、業務委託をすることについて合意した日をいう。引用元:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方第2部第1 1(3)イ
つまり、フリーランス保護法の「業務委託をした日」は、取適法(旧下請法)とは異なり、「発注日」ではなく「契約締結の日」のことを意味しています。
このため、取適法(旧下請法)とフリーランス保護法が重畳適用される場合は、発注日と契約締結の日をそれぞれ分けて記載する必要がある場合があります。
3.中小受託事業者の給付の内容(役務提供委託又は特定運送委託の場合は、提供される役務の内容)
業務内容は「品目、品種、数量、規格、仕様等を明確に記載する」
「中小受託事業者の給付の内容(役務提供委託又は特定運送委託の場合は、提供される役務の内容)」とは、いわゆる「業務内容」のことです。
「製造委託等代金(旧下請代金)支払遅延等防止法に関する運用基準」によると、「中小受託事業者(旧下請事業者)の給付の内容」については、次のとおり記載しなければなりません。
(3) 「中小受託事業者の給付の内容」とは、委託事業者が中小受託事業者に委託する行為が遂行された結果、中小受託事業者から提供されるべき物品及び情報成果物(役務提供委託又は特定運送委託をした場合にあっては、中小受託事業者から提供されるべき役務)であり、その品目、品種、数量、規格、仕様等を明示する必要がある。
また、主に、情報成果物作成委託に係る作成過程を通じて、情報成果物に関し、中小受託事業者の知的財産権が発生する場合において、委託事業者は、情報成果物を作成させるとともに、作成の目的たる使用の範囲を超えて知的財産権を自らに譲渡・許諾させることを「中小受託事業者の給付の内容」とすることがある。この場合は、委託事業者は、「中小受託事業者の給付の内容」の一部として、中小受託事業者が作成した情報成果物に係る知的財産権の譲渡・許諾の範囲を明示する必要がある。
引用元: 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の運用基準第3 1(3)
フリー
また、特に、システム等開発業務委託契約では、次のとおり、「中小受託事業者が4条明示された内容を見て「給付の内容」を理解でき、委託事業者の指示に即した情報成果物を作成できる程度の情報を明示することが必要である」とされています。
- Q53:情報成果物作成委託においては、委託内容の全てを4条明示することは困難である場合があるが、その場合どの程度詳しく書かなければならないか。
- 委託内容の全てを明示することは困難であったとしても、中小受託事業者が4条明示された内容を見て「給付の内容」を理解でき、委託事業者の指示に即した情報成果物を作成できる程度の情報を明示することが必要である。
また、4条明示する「給付の内容」は、委託事業者として中小受託事業者に対し、やり直し等を求める根拠となるものでもあるので、必要な限り明確化することが望ましい。引用元:中小受託取引適正化法テキストp.46
この他、業務内容の基本的な解説につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
知的財産権の譲渡・許諾の範囲を明確に記載する
なお、成果物の作成を通じて、中小受託事業者(旧下請事業者)の知的財産権が発生する場合は、4条明示(旧3条書面)の「中小受託事業者(旧下請事業者)の給付の内容」=業務内容として、次のとおり、知的財産権の譲渡または許諾の範囲を明確に記載する必要があります。
(途中省略)また、主に、情報成果物作成委託に係る作成過程を通じて、情報成果物に関し、中小受託事業者の知的財産権が発生する場合において、委託事業者は、情報成果物を作成させるとともに、作成の目的たる使用の範囲を超えて知的財産権を自らに譲渡・許諾させることを「中小受託事業者の給付の内容」とすることがある。この場合は、委託事業者は、「中小受託事業者の給付の内容」の一部として、中小受託事業者が作成した情報成果物に係る知的財産権の譲渡・許諾の範囲を明示する必要がある。
引用元: 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の運用基準第3 1(3)
よって、中小受託事業者(旧下請事業者)の知的財産権が発生する取引の場合は、知的財産権の譲渡または利用許諾等についても合意のうえ、その内容について、4条明示(旧3条書面)や個別契約書に記載する必要があります。
この他、業務委託契約における成果物の知的財産権の帰属・権利処理のしかたにつきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
4.中小受託事業者の給付を受領する期日(役務提供委託又は特定運送委託の場合は、その委託に係る役務の提供を受ける期日又は期間)
「中小受託事業者の給付を受領する期日(役務提供委託又は特定運送委託の場合は、その委託に係る役務の提供を受ける期日又は期間)」とは、いわゆる「納期」のことです。
また、納入がない契約の場合は、役務の「提供期日または提供期間」のことを意味します。
取適法(旧下請法)の条文上は、「期限」という表現はありませんが、実務上は、契約書において、以下のいずれかの記載をすることが多いです。
期限・期日・期限の記載
- 成果物の納入または役務提供の期日
- 成果物の納入または役務の提供の期限
- 役務提供の期間
納期、納入期日・納入期限、作業期日・作業期間等の解説につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
5.中小受託事業者の給付を受領する場所(役務提供委託又は特定運送委託の場合は、その委託に係る役務の提供を受ける場所)
物品の納入がある場合は納入場所の明記は必須
「中小受託事業者の給付を受領する場所(役務提供委託又は特定運送委託の場合は、その委託に係る役務の提供を受ける場所)」とは、物品や成果物を納入するタイプの委託では、いわゆる「納入場所・納品場所」のことです。
また、物品を納入しないタイプの委託では、「作業・役務の提供場所」になります。
なお、「給付」の内容によっては、物品・成果物の納入と作業の提供の両者が発生することがありますので、その場合は両者を規定します。
この他、納入場所につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
データの納入がある場合は納入場所の記載は不要
なお、データ形式の成果物がある場合は、納入場所の記載は、必ずしも必要とはなりません。
「中小受託取引適正化法テキスト」(p.133)によると、「また、委託内容から場所の特定が不可能な委託内容の場合には、場所の記載は要しない。」とされています。
また、委託内容から場所の特定が不可能な委託内容の場合には、場所の記載は要しない。
引用元:中小受託取引適正化法テキストp.133
このため、データ形式の成果物について、特に納入場所がない場合は、無理に場所を記載する必要まではありません。
この他、取適法(旧下請法)の4条明示(旧3条書面)における電子データの納品場所・納入場所の書き方につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
6.中小受託事業者の給付の内容(役務提供委託又は特定運送委託の場合は、提供される役務の内容)について検査をする場合は、その検査を完了する期日
検査を実施する場合は検査期間を設定する
「中小受託事業者の給付の内容(役務提供委託又は特定運送委託の場合は、提供される役務の内容)について検査をする場合は、その検査を完了する期日」とは、委託事業者(旧親事業者)が受入検査をする場合における、検査完了日のことで、一般的には検査期間の最終日のことを意味します。
契約実務上は、納入・納品のが完了した日から起算して、具体的な日付を区切って指定することが多いです。
【契約条項の書き方・記載例・具体例】検査に関する条項
第○条(検査)
受託者からの本件製品の納入があった場合、委託者は、納入があった日から起算して10日以内に、納入された本件製品の検査を実施するものとする。
(※便宜上、表現は簡略化しています)
なお、この記載事項は、あくまで「検査をする場合は」とあるとおり、検査がある場合に限った内容であり、検査をしない場合は記載する必要はありません。
ただし、取適法(旧下請法)が適用される取引では、検査を省略する場合は、自動的に合格扱いとなります(後述)。
この他、検査期間の解説につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
受入検査の省略=自動合格扱い
なお、取適法(旧下請法)が適用される業務委託契約の場合、委託事業者(旧親事業者)が検査を省略したときは、その検査は自動的に合格となります。
合格となる以上、いわゆる「返品」は認められません。
(3)なお、次のような場合には委託内容と異なること等があることを理由として中小受託事業者にその給付に係るものを引き取らせることは認められない。
(ア~オまで省略)
カ 給付に係る検査を自社で行わず、かつ、当該検査を中小受託事業者に文書で委任していない場合
引用元:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の運用基準第4 4(3)
このため、取適法(旧下請法)が適用される業務委託契約、特に製造請負契約の場合は、委託事業者(旧親事業者)としては、安易に検査を省略するべきではありません。
中小受託事業者(旧下請事業者)に受入検査を検査を委任する場合は必ず文書でおこなう
また、取適法(旧下請法)が適用される業務委託契約の場合、受入れに関する「検査を中小受託事業者に文書で委任」している場合を除き、検査の省略は、自動的に合格扱いになります。
(3)なお、次のような場合には委託内容と異なること等があることを理由として中小受託事業者にその給付に係るものを引き取らせることは認められない。
(ア~オまで省略)
カ 給付に係る検査を自社で行わず、かつ、当該検査を中小受託事業者に文書で委任していない場合
引用元:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の運用基準第4 4(3)
委託事業者(旧親事業者)が中小受託事業者(旧下請事業者)に対し検査を委任する場合は、最低限、文書での委任が前提となります。
この他、検査に関する条項につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
7.代金の額
あくまで金額で規定することが原則
「代金の額」とは、製造委託等代金(旧下請代金)の額、つまり報酬や委託料の金額または計算方法です。
これは、原則として、金額で規定することとなります。
4条明示をするに当たっては、原則として代金の額を具体的な金額で明示しなければならないが、具体的な金額の明示をすることが困難なやむを得ない事情がある場合には、代金の額として具体的な金額を定めることとなる算定方法を明示することが認められる(明示規則第1条第2項)。ただし、この場合の算定方法は、代金の額の算定根拠となる事項が確定すれば、具体的な金額が自動的に確定するものでなければならない。算定方法の明示と4条明示が別のものである場合においては、これらの相互の関連性(関連付け)を明らかにしておく必要がある。
引用元:中小受託取引適正化法テキストp.40
金額が確定したら別途書面で通知する
また、計算方法により記載した場合は、金額が確定したときは、委託事業者(旧親事業者)は、中小受託事業者(旧下請事業者)に対し、直ちに金額を書面で交付しなければばりません。
また、代金の具体的な金額を確定した後、速やかに中小受託事業者に当該金額を通知する必要がある
引用元:中小受託取引適正化法テキストp.40
この他、報酬・料金の金額・計算方法につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
8.代金の支払期日
「代金の支払期日」は、製造委託等代金(旧下請代金)の支払期日・支払期限のことです。
取適法(旧下請法)の正式名称が「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」であるとおり、この支払期日・支払期限の記載は、最も重要です。
取適法(旧下請法)では、支払期日は、「給付を受領した日」や「役務の提供を受けた日」から起算して最長でも60日となっています。
取適法(旧下請法)による支払期日の制限
取適法(旧下請法)が適用される業務委託契約における支払期日は、委託事業者(旧親事業者)による検査の有無にかかわらず、委託事業者(旧親事業者)が中小受託事業者(旧下請事業者)からの給付を受領した日・役務の提供を受けた日、つまり納入があった日または業務が終了した日(初日を算入する)から起算して60日以内が最長。
この制限のことを、「60日ルール」といいます。
【意味・定義】60日ルール(取適法)とは?
60日ルールとは、取適法(旧下請法)が適用される業務委託契約における製造委託等代金(旧下請代金)の支払期日について、検査の有無にかかわらず、委託事業者(旧親事業者)が中小受託事業者(旧下請事業者)からの給付を受領した日・役務の提供を受けた日(初日を算入する)から起算して60日以内を最長とするルールをいう。
なお、取適法(旧下請法)の60日ルールには、「初日不算入の原則」は適用されず、初日を算入しますので、注意してください。
【意味・定義】初日不算入の原則とは?
初日不算入の原則とは、日、週、月または年によって期間を定めた場合、期間の初日は算入しない原則をいう。
民法第140条(初日不算入の原則)
日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
引用元:民法 | e-Gov法令検索
この他、取適法(旧下請法)の60日ルールにつきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
また、支払期限につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
9.代金の全部又は一部の支払につき、一括決済方式で支払う場合は、金融機関名、貸付け又は支払を受けることができることとする額(支払額に占める一括決済方式による割合でも可)及びその期間の始期、委託事業者が代金債権相当額又は代金債務相当額を金融機関へ支払う期日(決済日)
「貸付け又は支払を受けることができることとする額(支払額に占める一括決済方式による割合でも可)」は、委託事業者(旧親事業者)が、製造委託等代金(旧下請け代金)のうち、どの程度の金額を一括決済方式で支払うのかを意味します。
「委託事業者が代金債権相当額又は代金債務相当額を金融機関へ支払う期日」は、製造委託等代金(旧下請代金)を引出せる期日、つまり支払期限に相当する日付です。
一括決済方式は、電子記録債権と同様に、手形に代わるものとして普及した支払方法です。
【意味・定義】一括決済方式とは?
一括決済方式とは、委託者と受託者に加えて、金融機関(主に銀行やファクタリング会社)との三面契約・三者契約により、委託者から受託者への支払いにもとづく金銭債権について、委託者と受託者の間に金融機関を入れることで、受託者への金銭の貸付または支払いによって、委託者からの支払いを現金化する支払方法をいう。
電子記録債権とは違って、銀行やファクタリング会社が直接当事者として関与して、受託者に対して金銭の貸付または支払いをすることによって、受託者が現金を受取ることができる、という特徴があります。
代表的な一括決済方式としては、債権譲渡担保方式、ファクタリング方式(債権買取方式)、併存的債務引受方式の3つがあります。
この他、一括決済方式による支払いにつきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
10.代金の全部又は一部の支払につき、電子記録債権で支払う場合は、電子記録債権の額(支払額に占める電子記録債権による割合でも可)及び中小受託事業者が代金の支払を受けることができることとする期間の始期、電子記録債権の満期日
「電子記録債権の額(支払額に占める電子記録債権による割合でも可)」は、委託事業者(旧親事業者)が、製造委託等代金(旧下請代金)のうち、電子記録債権で支払われる金額のことを意味します。
「電子記録債権の満期日」は、電子記録債権法第16条第1項2号に規定する支払期日、つまり支払期限に相当する日のことです。
下請代金の支払期日から電子記録債権の満期日(電子記録債権法第16条第1項2号に規定する支払期日をいう。)までの期間(手形の交付日から手形の満期までの期間に相当)は,120日以内(繊維業の場合は90日以内)とすること。
電子記録債権は、政府の指定を受けた電子債権記録機関に発生・譲渡などを記録することにより、決済手段として活用できる債権です。
電子記録債権法第2条(定義)
1 この法律において「電子記録債権」とは、その発生又は譲渡についてこの法律の規定による電子記録(以下単に「電子記録」という。)を要件とする金銭債権をいう。
(以下省略)
【意味・定義】電子記録債権とは?
電子記録債権とは、電子記録債権法にもとづく電子的な債権のことで、電子債権記録機関による電子的な記録により、手形や債権譲渡と同様の決済を電子的にできるものをいう。
この他、電子記録債権による支払いにつきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
11.原材料等を有償支給する場合は、その品名、数量、対価、引渡しの期日、決済期日及び決済方法
「有償支給」とは、売買契約によって原材料等を支給することを意味します。
このため、この記載事項は、いわば売買契約に関する基本的な規定するよう求めています。
なお、有償支給原材料等の対価の早期決済は、取適法第5条第2項第1号において禁止されています。
このように、原材料等を有償支給した場合は、4条明示(旧3条書面)の記載事項も増えます。
また、最終的に製品は中小受託事業者(旧下請事業者)から納入されるわけですから、委託事業者(旧親事業者)としては、よほど必要に迫られない限り、原材料等は無償支給とするべきです。
12.上記1.~11.の事項のうち、その内容が定められないことについて正当な理由があり記載しない事項(未定事項)がある場合は、当該未定事項の内容が定められない理由、当該未定事項の内容を定めることとなる予定期日
これらの以上の11項目について、内容が定められないことについて正当な理由がある場合は、未定事項として記載しないこともできます。
ただし、この場合は、「当該未定事項の内容が定められない理由」と「当該未定事項の内容を定めることとなる予定期日」の両方について、4条明示をしなければなりません。
これは、取適法第4条第1項ただし書きにも明記されています。
取適法第4条(中小受託事業者の給付の内容その他の事項の明示等)
1 委託事業者は、中小受託事業者に対し製造委託等をした場合は、直ちに、公正取引委員会規則で定めるところにより、中小受託事業者の給付の内容、製造委託等代金の額、支払期日及び支払方法その他の事項を、書面又は電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて公正取引委員会規則で定めるものをいう。以下この条において同じ。)により中小受託事業者に対し明示しなければならない。ただし、これらの事項のうちその内容が定められないことにつき正当な理由があるものについては、その明示を要しないものとし、この場合には、委託事業者は、当該事項の内容が定められた後直ちに、当該事項を書面又は電磁的方法により中小受託事業者に対し明示しなければならない。
2 (省略)
【補足】取適法により手形の交付は禁止となった
なお、旧下請法では認められていた手形による支払いは、改正された取適法では、以下のとおり代金の支払遅延とされ、禁止されました。
第5条(委託事業者の遵守事項)
1 委託事業者は、中小受託事業者に対し製造委託等をした場合は、次に掲げる行為(役務提供委託又は特定運送委託をした場合にあつては、第一号及び第四号に掲げる行為を除く。)をしてはならない。
(1)(省略)
(2)製造委託等代金をその支払期日の経過後なお支払わないこと(当該製造委託等代金の支払について、手形を交付すること並びに金銭及び手形以外の支払手段であつて当該製造委託等代金の支払期日までに当該製造委託等代金の額に相当する額の金銭と引き換えることが困難であるものを使用することを含む。)。
2 (省略)
業務委託契約書=4条明示(旧3条書面)にできる
4条明示(旧3条書面)の記載事項を網羅していれば業務委託契約書だけでいい
取適法(旧下請法)が適用される場合、委託事業者(旧親事業者)は、中小受託事業者(旧下請事業者)に対し、原則として取引きがあるつど、4条明示(旧3条書面)を交付しなければなりません。
この4条明示(旧3条書面)ですが、契約書と別々に交付しなければならないのかといえば、必ずしもそうではありません。
次のとおり、契約書において必須記載事項をすべて網羅しているいる場合は、別に4条明示(旧3条書面)を作成する必要はありません。
(途中省略)委託事業者と中小受託事業者の間で取り交わされる契約書等の内容が、明示規則で定める明示事項を全て網羅している場合には、当該契約書等を交付する方法により4条明示とすることが可能であるので、別に書面又は電磁的記録を作成する必要はない。
引用元:中小受託取引適正化法テキストp.121
このため、業務委託契約の場合は、業務委託契約書が取適法第4条と取適法4条規則に適合していれば、業務委託契約書を4条明示(旧3条書面)としても差し支えありません。
また、委託事業者(旧親事業者)は、別途4条明示(旧3条書面)を作成・交付する必要もありません。
業務委託契約書か取引基本契約書+注文書・注文請書(発注書・受注書)で対処する
実務上、取適法(旧下請法)が適用される業務委託契約では、業務委託契約書または取引基本契約書+注文書・注文請書(発注書・受注書)を作成することで対処します。
業務委託契約書を作成して対処するのは、いわゆる「スポット」での取引きのように、1回だけ、または数回程度の取引きの場合です。
取引基本契約書+注文書・注文請書(発注書・受注書)を作成して対処するのは、反復・継続しての取引きの場合です。
4条明示(旧3条書面)としての契約書の使い方
- スポット=1回だけの取引:業務委託契約書を使う。
- 継続的取引:取引基本契約書+注文書・注文請書(発注書・受注書)を使う。
取引基本契約書を使う場合、初回の取引で取引基本契約書を取交し、同時に注文書・注文請書(発注書・受注書)を取交します。
2回目以降の取引きでは、注文書・注文請書(発注書・受注書)のみを取交します。
なお、4条明示(旧3条書面)と注文書・発注書の関係につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
また、取適法(旧下請法)に適合した業務委託契約書につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
取適法(旧下請法)では受注書・注文請書の交付は不要
ちなみに、中小受託事業者(旧下請事業者)からの注文請書については、取適法(旧下請法)上は、必ずしも交付する必要はありません。
取適法(旧下請法)では注文請書の交付は不要
取適法(旧下請法)では、あくまで委託事業者(旧親事業者)から中小受託事業者(旧下請事業者)に対する4条明示(旧3条書面)(≒注文書)の交付が義務づけられているだけであり、中小受託事業者(旧下請事業者)から委託事業者(旧親事業者)への注文請書の交付は必須ではない。
ただし、注文請書は、いわゆる7条記録(旧5条書類)の一部となります。
【意味・定義】7条記録(旧5条書類)とは?
7条記録とは、取適法第5条にもとづき、委託事業者が、作成し、保存しなければならない書類。旧下請法における5条書類に相当。
この他、7条書類(旧5条書類)につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
また、委託事業者(旧親事業者)としては、注文請書がなければ、中小受託事業者(旧下請事業者)が受注した証拠が手元に残りません。
以上のように、7条記録(旧5条書類)の整備や、民事上の証拠とするためにも、委託事業者(旧親事業者)としては、注文請書の交付を受けておくべきです。
この他、取適法(旧下請法)における受注書・注文請書の必要性につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
ポイント
- 取適法(旧下請法)第3条と取適法4条規則に適合していれば、業務委託契約書を4条明示(旧3条書面)とすることは可能。
- 7条規則(旧5条書類)の一部や、民事上の証拠とするためにも、委託事業者(旧親事業者)としては、注文請書の交付を受けておくべき。
4条明示のしかた
4条明示は「書面又は電磁的方法」のいずれかによりおこなう
4条明示は、「書面又は電磁的方法(途中省略)により中小受託事業者に対し明示しなければならない」となっています(取適法第4条第1項)。
よって、委託事業者(旧親事業者)は、書面の交付か、または電磁的方法により、4条明示をすることとなります。
書面の交付の具体例は、紙の契約書や注文書・注文請書の取り交わし、紙出力のファックスなどが該当します。
電磁的方法は、電子メールの送信、SMS、SNSのDM、オンラインサービス、電子契約、ファックスの送信(ファイルに記録されるもの)、記録媒体の交付などが該当します。
書面の交付は必須?
取適法第4条の記載では、「書面又は電磁的方法(途中省略)により中小受託事業者に対し明示しなければならない」となっていることから、単に明示するだけで、交付まで求められていないようにも見えます。
しかしながら、4条明示を書面で行う場合は、次のとおり、改正後の取適法でも、単に見せるだけでなく交付まで求められます。
法第4条第1項の規定による明示は、明示事項を記載し又は記録した書面又は電磁的記録の交付又は電磁的方法による提供により行わなければならない。
このため、4条明示(旧3条書面)も、手渡しか、または郵送により、委託事業者(旧親事業者)が中小受託事業者(旧下請事業者)に対して交付しなければなりません。
書面以外の4条明示(旧3条書面)の交付の方法=電磁的方法
電子メール、オンラインサービス、電子契約、SMS、DMでの4条明示(旧3条書面)の交付も可能
書面以外の方法での4条明示(旧3条書面)の交付=電磁的方法としては、以下の方法が認められています。
取適法の電磁的方法
- 電子メールの送信
- EDI等の電子データ交換(オンラインサービス、電子契約サービス等を含む)
- SMS
- SNSのDM
- 記録媒体(USBメモリ、CD-R等)の交付
なお、これらは、いずれも「受信者を特定して送信することのできる」ことが必須となります。
明示事項を記録した電磁的記録を電磁的方法により提供する場合は、次のいずれかの方法によるが、その方法は、明示事項が中小受託事業者の使用に係る電子計算機(コンピュータ、スマートフォン等)の映像面に文字、番号、記号その他の符号で明確に表示されるものでなければならない。
ア 電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信を送信する方法(明示規則第2条第1項第1号)
「電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信を送信する方法」とは、電子メール、EDI等のほか、ショートメッセージサービスやソーシャルネットワーキングサービスのメッセージ機能等、受信者を特定して送信することのできる電気通信を送信する方法をいう。
イ 電磁的記録を記録した記録媒体を交付する方法(明示規則第2条第1項第2号) 例えば、委託事業者が明示事項を記載した電子ファイルのデータを保存したUSBメモリやCD-R等を中小受託事業者に交付することは、これに該当する。引用元:引用元:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の運用基準第3 3
中小受託事業者(旧下請事業者)の事前の承諾は不要
旧下請法においては、電磁的方法による3条書面の交付は、次のとおり旧下請事業者の事前の承諾が必須でした。
旧下請法施行令第2条(情報通信の技術を利用する方法)
1 親事業者は、法第3条第2項の規定により同項に規定する事項を提供しようとするときは、公正取引委員会規則で定めるところにより、あらかじめ、当該下請事業者に対し、その用いる同項前段に規定する方法(以下「電磁的方法」という。)の種類及び内容を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得なければならない。
2 (以下省略)
しかし、これらの規制は、取適法=改正下請法の施行により、撤廃されました。
現在では、中小受託事業者(旧下請事業者)からの事前承諾がなくても、電磁的方法により4条明示ができます。
なお、旧下請法における3条書面の電磁的方法による交付の事前承諾の条件につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
ウェブサイトや電子契約サービスによる明示はファイルの出力は必須ではない
旧下請法においては、ウェブサイトや電子契約サービスによる3条書面の交付の場合は、ファイルの出力が必須でした。
しかし、これらの規制は、取適法=改正下請法の施行により、撤廃されました。
現在では、ファイルへの出力は必須ではないものの、「明示すべき事項が中小受託事業者の使用に係る電子計算機の映像面に文字、番号、記号その他の符号で明確に表示されるものでなければならない」とされています。
製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第四条の明示に関する規則第2条
1 法第四条第一項の公正取引委員会規則で定める電磁的方法は、次に掲げる方法とする。
(1)電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。)を送信する方法
(2)電磁的記録を記録した記録媒体を交付する方法
2 前項の方法は、明示すべき事項が中小受託事業者の使用に係る電子計算機の映像面に文字、番号、記号その他の符号で明確に表示されるものでなければならない。
ファックスの送信は電磁的方法または書面扱い
なお、ファックスの送信は、取適法(旧下請法)では、記録や出力の方法によって、電磁的方法または書面のいずれかとして扱われます。
ファックスで送信された情報がファイルに記録される場合は、次のとおり、電子メール等の送信(=電磁的方法のひとつ)とされます。
例えば、次のような方法は、電子メール等を送信する方法に該当する。
(途中省略)
➍ 委託事業者が明示事項を記載した書面等を、電磁的記録をファイルに記録する機能を有する中小受託事業者のファクシミリへ送信する方法
引用元:中小受託取引適正化法テキストp.39
一方、紙出力のファックスの場合は、次のとおり、書面扱いとなります。
(注1)受信と同時に書面により出力されるファクシミリへ送信する方法は、「書面の交付」による明示に該当する。
引用元:中小受託取引適正化法テキストp.39
ポイント
4条明示(旧3条書面)の交付・提供の方法は、以下の4つ。
- 書面の交付
- 紙出力のファックスの送信
- 電子メールの送信、EDI(オンラインサービス、電子契約サービス)の利用、SMS、SNSのDM、オンラインのファックスの送信等
- USB・CD-ROM等の記録媒体の交付等
4条明示(旧3条書面)を交付しないと最大で50万円の罰金が個人単位にも科される
委託事業者(旧親事業者)が下請業者に対し4条明示(旧3条書面)を交付しない場合は、50万円以下の罰金が科されます。
取適法第14条(罰則)
次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした委託事業者の代表者、代理人、使用人その他の従業者は、五十万円以下の罰金に処する。
(1)第四条第一項の規定に違反して明示すべき事項を明示しなかつたとき。
(2)第四条第二項の規定に違反して書面を交付しなかつたとき。
(3)第七条の規定に違反して、書類若しくは電磁的記録を作成せず、若しくは保存せず、又は虚偽の書類若しくは電磁的記録を作成したとき。
ポイントは、委託事業者(旧親事業者)である法人だけに罰金が科されるのではなく、その違反行為をした委託事業者の代表者、代理人、使用人その他の従業者にも罰金が科される、ということです。
取適法第16条(罰則)
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の刑を科する。
つまり、会社で50万円を払えばいい、というものではないのです。しかも、50万円とはいえ、いわゆる「前科」がつきます。
なお、委託事業者(旧親事業者)である法人にも、罰金は科されます。
下請法第12条(罰則)
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前2条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の刑を科する。
ポイント
- 4条明示(旧3条書面)を交付しないことは犯罪行為。
- しかも法人だけでなく個人にも罰金が科される。
補足1:4条明示(旧3条書面)は保存義務や保存期間はない
4条明示(旧3条書面)には、委託事業者(旧親事業者)・中小受託事業者(旧下請事業者)ともに、保存義務や保存期間はありません。
そもそも、4条明示(旧3条書面)は、委託事業者(旧親事業者)から中小受託事業者(旧下請事業者)に交付する書面ですので、委託事業者(旧親事業者)の手元には残りません。
このため、4条明示(旧3条書面)を「保存する」こと自体、取適法(旧下請法)では想定されていません。
また、中小受託事業者(旧下請事業者)に交付された4条明示(旧3条書面)についても、特に取適法(旧下請法)では、保存期間は設定されていません。
4条明示(旧3条書面)の保存期間・保存義務
取適法(旧下請法)では、4条明示(旧3条書面)の保存期間や保存義務はない。
なお、これはあくまで取適法(旧下請法)における話であり、別の法律、特に会社法等にもとづく場合や、会計証憑として、4条明示(旧3条書面)の保存義務がある場合もあります。
補足2:4条明示(旧3条書面)はいつまでに交付する?
取適法(旧下請法)の委託事業者(旧親事業者)は、中小受託事業者(旧下請事業者)に対し製造委託等をした場合は、直ちに、4条明示(旧3条書面)を交付する義務があります。
ここでいう、「直ちに」とは、一般的な法令用語の意味としては、すぐに、という意味です。
【意味・定義】直ちにとは?
「直ちに」とは、即時に、すぐに、ということ。
これは、取適法(旧下請法)でも同様の意味で使われています。
- Q50:4条明示の書面は様式を問わないので契約書の交付を4条明示とすることも可能と聞いたが、発注後、契約締結まで日数を要する場合、どの程度までなら「直ちに」交付したといえるか。
- 「直ちに」とは「すぐに」という意味である。委託事業者には、発注した場合「直ちに」4条明示をする義務があるので、発注から契約締結までに日数を要するのであれば、発注後、直ちに明示したとはいえない。そのような場合には、契約書とは別に、発注後直ちに4条明示をしなければならない。
引用元:中小受託取引適正化法テキストp.45
つまり、委託事業者(旧親事業者)は、中小受託事業者(旧下請事業者)に対し業務委託(製造委託等)の発注をした場合は、すぐに4条明示(旧3条書面)を交付しなければなりません。
この他、4条明示(旧3条書面)や注文書・発注書の交付の時期につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
補足3:4条明示(旧3条書面)と「7条記録(旧5条書類)」の関係・違いとは?
7条記録(旧5条書類)とは?
なお、4条明示(旧3条書面)に似たようなものに、「7条記録(旧5条書類)」があります。
これは、委託事業者(旧親事業者)が作成して2年間保存しなければならない書類・書面です。
取適法第7条(書類等の作成及び保存)
委託事業者は、中小受託事業者に対し製造委託等をした場合は、公正取引委員会規則で定めるところにより、中小受託事業者の給付、給付の受領(役務提供委託又は特定運送委託をした場合にあつては、中小受託事業者から役務の提供を受けたこと)、製造委託等代金の支払その他の事項について記載し又は記録した書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第十四条第三号において同じ。)を作成し、これを保存しなければならない。
【意味・定義】7条記録(旧5条書類)とは?
7条記録とは、取適法第5条にもとづき、委託事業者が、作成し、保存しなければならない書類。旧下請法における5条書類に相当。
7条記録(旧5条書類)につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
4条明示(旧3条書面)と7条記録(旧5条書類)との違いは?
また、4条明示(旧3条書面)と7条記録(旧5条書類)には、以下の違いがあります。
| 4条明示と7条記録の違い一覧表 | ||
|---|---|---|
| 4条明示 | 7条記録 | |
| 当事者 | 親事業者が作成、下請事業者が交付を受ける | 親事業者が作成し保存する |
| 記載事項の内容 | 委託時の取引条件 | 委託後の取引の履歴 |
| 記載事項の数 | 12項目 | 17項目 |
| 保存期間 | 下請法上は特に規定なし | 2年間 |
| 電磁的方法 | 可能 | 条件を満たせば可能(下請事業者の承諾は不要) |
これらの4条明示(旧3条書面)と7条記録(旧5条書類)の違いの詳細につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
補足4:4条明示(旧3条書面)と注文書・発注書の関係
4条明示(旧3条書面)と注文書・発注書は、ともに契約の内容を通知する書面である点で共通しています。
他方で、4条明示(旧3条書面)と注文書・発注書は、取適法第4条にもとづき交付される明示の書面=4条明示(旧3条書面)であるか、または契約の申込みの意思表示を証する書面(注文書・発注書)、つまり民事上の効果の有無に違いがあります。
三条書面と注文書・発注書の違い
三条書面と注文書・発注書は、下請法第3条にもとづき交付される通知の書面(三条書面)であるか、または契約の申込みの意思表示を証する書面(注文書・発注書)=民事上の効果がある書面であるかの点。ただし、実務上は同様となるように運用がされることが多い。
この他、4条明示(旧3条書面)と注文書・発注書の関係につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
4条明示(旧3条書面)に関するよくある質問
- 4条明示(旧3条書面)とは何ですか?
- 4条明示(旧3条書面)とは、取適法第4条(旧下請法第3条)に規定された、委託事業者(旧親事業者)が中小受託事業者(旧下請事業者)対し交付しなければならない書面のことです。
- 4条明示(旧3条書面)の必須記載事項は何ですか?
- 4条明示(旧3条書面)には、以下の12の内容を記載しなければなりません。
- 委託事業者及び中小受託事業者の名称(番号、記号等による明示も可)
- 製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託又は特定運送委託をした日
- 中小受託事業者の給付の内容(役務提供委託又は特定運送委託の場合は、提供される役務の内容)
- 中小受託事業者の給付を受領する期日(役務提供委託又は特定運送委託の場合は、その委託に係る役務の提供を受ける期日又は期間)
- 中小受託事業者の給付を受領する場所(役務提供委託又は特定運送委託の場合は、その委託に係る役務の提供を受ける場所)
- 中小受託事業者の給付の内容(役務提供委託又は特定運送委託の場合は、提供される役務の内容)について検査をする場合は、その検査を完了する期日
- 代金の額
- 代金の支払期日
- 代金の全部又は一部の支払につき、一括決済方式で支払う場合は、金融機関名、貸付け又は支払を受けることができることとする額(支払額に占める一括決済方式による割合でも可)及びその期間の始期、委託事業者が代金債権相当額又は代金債務相当額を金融機関へ支払う期日(決済日)
- 代金の全部又は一部の支払につき、電子記録債権で支払う場合は、電子記録債権の額(支払額に占める電子記録債権による割合でも可)及び中小受託事業者が代金の支払を受けることができることとする期間の始期、電子記録債権の満期日
- 原材料等を有償支給する場合は、その品名、数量、対価、引渡しの期日、決済期日及び決済方法
いずれも、企業間取引の契約内容としては基本的なものであり、記載して当然の内容となっています。
- 4条明示(旧3条書面)には保存義務や保存期間はありますか?
- 取適法(旧下請法)では、4条明示(旧3条書面)には、特に保存義務や保存期間はありません。ただし、他の法律や会計証憑として保存義務が課される場合があります。
- 契約書を4条明示(旧3条書面)とすることはできますか。
- 必須記載事項をすべて記載していれば、契約書を4条明示(旧3条書面)とすることができます。
- 「書面の交付」以外に4条明示(旧3条書面)の交付方法はありますか?
- FAXの送信、電子メールの送信、ウェブサービスや電子契約サービスの利用、SMSやSNSのDMの送信、USBやCD-ROM等の交付の方法があります。
- 4条明示(旧3条書面)の不交付は、どのような罰則が科されますか?
- 4条明示(旧3条書面)の不交付は、50万円以下の罰金が科されます。しかも、法人だけでなく、担当者のレベルまで罰金が科されます。
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- 1 【意味・定義】4条明示(旧3条書面)とは?
- 2 取適法(旧下請法)の対象かどうかの条件とは?
- 3 4条明示(旧3条書面)で記載する12の必須事項
- 4 業務委託契約書=4条明示(旧3条書面)にできる
- 5 4条明示のしかた
- 6 4条明示(旧3条書面)を交付しないと最大で50万円の罰金が個人単位にも科される
- 7 補足1:4条明示(旧3条書面)は保存義務や保存期間はない
- 8 補足2:4条明示(旧3条書面)はいつまでに交付する?
- 9 補足3:4条明示(旧3条書面)と「7条記録(旧5条書類)」の関係・違いとは?
- 10 補足4:4条明示(旧3条書面)と注文書・発注書の関係
- 11 4条明示(旧3条書面)に関するよくある質問
- 12 取適法(旧下請法)違反とならない4条明示(旧3条書面)を作成しよう






