内装工事の請負契約で契約書なしで施工した場合は、違法になるのでしょうか?また、契約は無効となるのでしょうか?
内装工事の請負契約で契約書なしで施工した場合は、建設業法第19条に違反し、違法行為となります。ただし、契約自体は有効に成立します。

このページでは、建設工事請負契約のうち、いわゆる「内装工事」において、契約書がない場合の問題点について解説します。

内装工事は、どんなに小規模であっても、また、施工金額にかかわらず、建設工事に該当します。

建設工事の請負契約では、建設業法第19条により、注文者・請負人の両者に契約書の作成義務が課されます。

このため、契約書なしの内装工事は、建設業法違反となります。

ただし、建設業法では、あくまで契約書の作成・交付の義務が課されているだけであり、契約書が無かったとしても、建設工事請負契約自体は有効に成立します。

このページでは、こうした「契約書なしの内装工事」の問題点・リスクについて、開業20年・400社以上の取引実績がある管理人が、わかりやすく解説していきます。

このページを読むことで、「契約書なしの内装工事」の具体的な法律違反等の問題点やリスクを理解できます。

このページでわかること
  • 内装工事の契約が法律的にはどのような契約に該当するのか。
  • 契約書なしの内装工事がどのような法律に違反するのか。
  • 契約書なしの建設工事請負契約は有効に成立するのか。
  • 建設業の許可がない場合でも建設業法に違反するのか。




内装工事=建設工事

【意味・定義】内装工事とは?

内装工事は、建設業法では、主に「内装仕上工事」が該当します。

この他、「電気工事」、「機械器具設置工事」、「熱絶縁工事」、「建具工事」なども該当することがあります。

このような工事は、建設業法では、すべて「建設工事」に該当します。

建設業法第2条(定義)

1 この法律において「建設工事」とは、土木建築に関する工事で別表第一の上欄に掲げるものをいう。

(以下省略)

「別表第一の上欄」とは、次の表の左の列のことです。

建設工事建設業
土木一式工事土木工事業
建築一式工事建築工事業
大工工事大工工事業
左官工事左官工事業
とび・土工・コンクリート工事とび・土工工事業
石工事石工事業
屋根工事屋根工事業
電気工事電気工事業
管工事管工事業
タイル・れんが・ブロツク工事タイル・れんが・ブロツク工事業
鋼構造物工事鋼構造物工事業
鉄筋工事鉄筋工事業
舗装工事舗装工事業
しゆんせつ工事しゆんせつ工事業
板金工事板金工事業
ガラス工事ガラス工事業
塗装工事塗装工事業
防水工事防水工事業
内装仕上工事内装仕上工事業
機械器具設置工事機械器具設置工事業
熱絶縁工事熱絶縁工事業
電気通信工事電気通信工事業
造園工事造園工事業
さく井工事さく井工事業
建具工事建具工事業
水道施設工事水道施設工事業
消防施設工事消防施設工事業
清掃施設工事清掃施設工事業
解体工事解体工事業

これらの詳細につきましては、国土交通省が定める「業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方(H29.11.10改正)」をご覧ください。

【意味・定義】建設工事請負契約とは?

請負契約は、民法では、以下のように規定されています。

民法第632条(請負)

請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

従って、建設工事請負契約の定義は、次のとおりです。

【意味・定義】建設工事請負契約とは?

建設工事請負契約とは、請負人(受託者)が何らかの建設工事を完成させること約束し、注文者(委託者)が、その建設工事の施工の対価として、報酬を支払うことを約束する契約をいう。

なお、請負契約につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

【改正民法対応】請負契約とは?委任契約や業務委託契約との違いは?




契約書なしの内装工事=建設工事は建設業法違反

建設業法第19条で書面作成義務が課されている

建設工事の請負契約を締結する場合、次のとおり、書面の交付が義務づけられています。

建設業法第19条(建設工事の請負契約の内容)

1 建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従って、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。

(1)工事内容

(2)請負代金の額

(3)工事着手の時期及び工事完成の時期

(4)工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容

(5)請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法

(6)当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め

(7)天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め

(8)価格等(物価統制令(昭和21年勅令第118号)第2条に規定する価格等をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更

(9)工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め

(10)注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め

(11)注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期

(12)工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法

(13)工事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容

(14)各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金

(15)契約に関する紛争の解決方法

(16)その他国土交通省令で定める事項

2(以下省略)

このように、建設業法では、書面の作成義務に加えて、作成するべき書面の詳細な事項まで規定されています。

契約書なしの内装工事は建設業法第19条違反した違法行為

しかも、単に契約内容を記載した書面を交付すればいいだけではなく、「署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない」となっています。

このため、契約書なしの内装工事は、建設業法第19条に違反した違法行為となります。

また、建設業法第19条では、主語が「建設工事の請負契約の当事者は」となっていますので、注文者(委託者)・請負人(受託者)の双方に義務が課されています。

このため、建設工事請負契約書を作成しないと、注文者(委託者)・請負人(受託者)の双方が建設業法違反となります。

業務委託契約書を作成する理由

建設工事請負契約では、建設業法第19条が適用され、書面の交付義務があり、建設工事請負契約書が必要となるから。

ポイント
  • 建設工事請負契約の当事者は、建設業法第19条により、建設工事請負契約書の作成義務がある。




契約書がない建設工事請負契約は無効?

建設工事請負契約は不要式契約であり口約束でも有効に成立する

契約書がない、つまり口約束だけの建設工事請負契約であっても、契約自体は有効に成立します。

建設工事請負契約は、契約自由の原則のうち、方式自由の原則により、契約の成立になんらかの方式を必要としていません。

【意味・定義】契約自由の原則とは?

契約自由の原則とは、契約当事者が、契約について自由に決められる原則をいう。契約自由の原則は、さらに以下の4つに分類される。

  • 契約締結自由の原則
  • 相手方自由の原則
  • 内容自由の原則
  • 方式自由の原則

このように、契約の成立のために、契約書の作成等の方式を必要としない契約のことを、不要式契約といいます。

【意味・定義】不要式契約とは?

不要式契約とは、契約の成立のために、契約書の作成等の方式を必要としない契約をいう。

逆に、契約の成立のために、契約書の作成等の方式を必要とする契約のことを、要式契約といいます。

【意味・定義】要式契約とは?

要式契約とは、契約の成立のために、契約書の作成等の方式を必要とする契約をいう。

建設工事請負契約は、上記のうちの不要式契約ですので、契約書が無かったとしても、有効に成立します。

建設業法第19条はあくまで書面の「交付」の義務

建設業法第19条に規定されている義務は、あくまで書面の作成と「交付」の義務です。

このため、建設業法第19条は、契約の成立そのものには無関係の規定です。

よって、契約書が無かったとしても、建設工事請負契約の契約自体は有効に成立します。

つまり、契約書がない口約束の建設工事請負契約であったとしても、施工をしなかったり、工事代金を支払わなかったりすると、債務不履行=契約違反となります。

ポイント
  • 契約書がない=口約束であっても、建設工事請負契約自体は有効に成立する。
  • 建設業法第19条は、あくまで書面の「交付」の義務を規定しているのであって、契約自体の有効性には関係がない。
  • 口約束の建設工事請負契約であっても、義務を履行しないと契約違反となる。




建設業の許可がなくても契約書を作成しなければならない

建設業の許可がない=小規模な工事=契約書の作成義務はない?

建設工事の中には、建設業の許可が不要なもの(=軽微な工事)もあります。

具体的には、以下のものです。

建設業の許可が不要な軽微な工事
  • 建築一式工事については、工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
  • 建築一式工事以外の建設工事については、工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事

※「木造」…建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるもの

※「住宅」…住宅、共同住宅及び店舗等との併用住宅で、延べ面積が2分の1以上を居住の用に供するもの

一般的な内装工事は、上記の建設業の許可が不要な軽微な工事に該当します。

このためか、建設工事請負契約書の作成義務があるのが建設業の許可を受けている建設業者だけだと誤解されることがあります。

建設業法第19条第1項の主語=建設工事の請負契約の当事者

しかし、建設業法第19条第1項の主語は、次のように記載されています。

建設業法第19条(建設工事の請負契約の内容)

1 建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。

(1)(以下省略)

建設業の許可を受けて建設業を営む者は、建設業法では、「建設業者」とされています(建設業法第2条第3項)。

これに対し、建設業法第19条第1項の主語は、「建設業者」となっておらず、「建設工事の請負契約の当事者」となっているといます。

これは、建設業の許可の取得の有無に関係なく、建設工事請負契約書の作成義務がある、ということです。

つまり、建設業の許可を取得していなくても、建設工事請負契約書の作成義務はあります。

ポイント
  • 許可を受けた建設業者でなくても、建設業法第19条にもとづき、建設工事請負契約書の作成義務がある。




建設工事請負契約書の作成のポイントは?

すでに触れたとおり、建設工事請負契約では、契約当事者には、建設業法第19条に規定する事項について、すべて契約書に規定する義務があります。

また、建設業法に規定する事項以外にも、次のような重要な契約条項があります。

建設工事請負契約の重要な契約条項
  1. 工事内容
  2. 契約形態
  3. 工事着手の時期および工事完成の時期
  4. 前金払いまたは出来高払いの支払時期・支払方法
  5. 設計変更・工事着手の延期・工事の中止の場合の取扱い
  6. 不可抗力
  7. 物価の変動・変更による請負代金(報酬・料金・委託料)・工事内容の変更
  8. 第三者の損害賠償金の負担
  9. 資材の提供
  10. 機械等の貸与
  11. 検査の時期・方法
  12. 引渡しの時期
  13. 所有権の移転
  14. 請負代金(報酬・料金・委託料)の金額または計算方法
  15. 請負代金(報酬・料金・委託料)の支払の時期
  16. 金銭の支払方法
  17. 瑕疵担保責任
  18. 損害保険
  19. 遅延利息・違約金・その他の損害金
  20. 知的財産権
  21. 再委託・下請負
  22. 秘密保持義務
  23. 契約解除・施工の中止
  24. 紛争解決方法(合意管轄・仲裁)

こうした建設工事請負契約の契約条項のポイントにつきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

【改正民法対応】建設工事請負契約書の書き方と24のポイントについて解説




契約書なしの内装工事に関するよくある質問

契約書なしの内装工事は違法ですか?
契約書なしの内装工事は建設業法第19条違反となり、違法となります。
契約書がない建設工事請負契約は無効ですか?
契約書がない口約束の建設工事請負契約であっても、有効に成立し、無効にはなりません。
内装工事は建設工事に該当しますか?
内装工事は建設工事のうち、主に「内装仕上工事」が該当します。この他、「電気工事」、「機械器具設置工事」、「熱絶縁工事」、「建具工事」なども該当することがあります。
建設業の許可が必要でなくても契約書を作成する必要がありますか?
建設業の許可が必要でなくても、建設業法第19条において、主語が「建設工事の請負契約の当事者」となっていることから、契約書の作成は必要です。




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