このページでは、委託者の立場の場合における、業務委託契約書の作成のポイントについて解説しています。

業務委託契約は、民法上の定義がない契約です。このため、業務委託契約書で、当事者の権利義務について、すべて規定する必要があります。

このページでは、こうした業務委託契約について、委託者の側の立場の場合に注意するべきポイントについて解説します。

なお、受託者の立場の場合の解説につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

【受託者側編】業務委託契約書の作成の21のポイント

また、業務委託契約の全般的な解説につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

業務委託契約書とは?チェックポイントや注意点は?

【業務委託契約のポイント1】目的条項

目的条項では契約の概要を規定する

目的条項は、契約の概要を規定する条項です。

目的条項のポイント
  • 目的条項では、契約の概要、つまり委託者・受託者の権利・義務の全体像を簡単に規定する。
  • 目的条項で、いわゆる「信義誠実の原則」を規定しても意味がないので、規定しない。
  • 目的条項は、請負型の業務委託契約では、契約不適合責任の追求ができるかどうかに関わる条項。
  • 目的条項は、準委任型の業務委託契約では、受託者が業務を実施できたかどうかの判断に関わる条項。
  • 目的条項は、秘密保持義務の目的外使用があったかどうかに関わる条項。

このほか、目的条項につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

目的条項とは?条項の規定のしかた・書き方は?

契約の概要を正確に記載する

委託者の立場の場合、目的条項では、契約の概要について、正確に記載します。

目的条項は、委託者にとっては、受託者による契約違反=債務不履行に関わってくる、非常に重要な条項です。

この点について、多くの業務委託契約は、請負型・準委任型のいずれかです。

請負契約とは?―当事者の権利義務・ポイントについて解説

委任契約・準委任契約とは?―当事者の権利義務・ポイントについて解説

請負型・準委任型のいずれの場合であっても、「契約の目的」が達成できているかどうかが、受託者による契約の履行がされたかどうかの判断基準となります。

契約の目的と債務不履行

契約の目的は、受託者による契約の履行があったかどうか=債務不履行(契約違反)かどうかの判断基準。

もちろん、受託者により契約の履行がなされているかどうかは、検査基準、次いで業務内容により判断されます。

ただ、こうした検査基準や業務内容でも、契約の履行がなされているかどうかがハッキリしない場合は、契約の目的も判断基準となります。

このため、目的条項が不明確な内容の場合、受託者による契約の履行がなされているかどうかを巡って、受託者との間でトラブルなることがあます。

なお、請負契約・(準)委任契約の契約解除につきましては、詳しくは、それぞれ次のページをご覧ください。

請負契約の契約解除・法定解除権とは?注文者・請負人双方について解説

(準)委任契約の契約解除・法定解除権とは?委任者・受任者双方について解説

【業務委託契約のポイント2】契約形態

契約形態の条項では請負契約・準委任契約などを規定する

契約形態の条項では、業務委託契約が、民法上のどの契約に該当するのかを規定します。

一般的な業務委託契約は、請負契約か、準委任契約のいずれかに該当することが多いです。

契約形態の条項のポイント
  • 契約形態の条項では、可能な限り、業務委託契約が民法上の何の契約であるかを特定し、明記する。
  • 一般的な業務委託契約は、請負契約か準委任契約のどちらかであるため、いずれかを明記する。
  • 例外として、寄託契約、売買契約、贈与契約である業務委託契約もあり得る。
  • 契約形態を規定しておかないと、トラブルになった場合、受託者が自分にとって都合のいい契約形態を主張してくる。
  • 契約形態を規定しておかないと、不要な印紙税を負担することになる。

このほか、契約形態の条項につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

契約形態とは?契約条項の規定のしかた・書き方は?

契約形態は必ず明記する

委託者の立場の場合、契約形態は、必ず明記してください。これは、受託者の場合であっても同様です。

業務委託契約は、法律上(民法上)の定義がない契約ですが、実際は民法上のいずれかの契約に該当します。

業務委託契約の7つのパターン―請負・委任・偽装請負・雇用・売買(譲渡)・寄託・組合

多くの業務委託契約は、請負契約か準委任契約のいずれかに該当します。

このため、請負契約に該当するのか、準委任契約に該当するのかをよく検討のうえ、どちらかを業務委託契約書に明記してください。

【保存版】請負契約と(準)委任契約の13の違い

ただし、ごくまれに、請負契約にも準委任契約にも該当しない業務委託契約もあります。

こうした業務委託契約の場合は、無理に請負契約や準委任契約にせずに、他の民法や商法の別の契約を検討してください。

【業務委託契約のポイント3】業務内容

業務内容の条項では委託業務の内容について規定する

業務内容の条項では、委託者が受託者に対し委託する、委託業務の内容について規定します。

この業務内容の条項は、業務委託契約の中でも、最も重要な規定です。

業務内容の条項のポイント
  • 業務委託契約は法律上の定義がないため、業務内容は、すべて業務委託契約で委託者と受託者が決めなければならない。
  • 業務内容は、受託者が「何をするのか」を決めるものであり、同時に、受託者が「ちゃんとしたのか」の判断基準となる。
  • 業務内容が不明確な業務委託契約は、さまざまなリスクがある。
  • 業務内容は、可能な限り特定し、詳細かつ明確に規定する。
  • 業務内容は、下請法の問題となりやすい条項。

このほか、業務内容の条項につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

業務委託契約書での業務内容の5つのポイントとは?

業務内容は明確に規定する

委託者の立場の場合、業務内容は、当然ながら、必ず規定してください。

業務内容は、委託者が何を依頼するのかを規定する内容ですので、業務委託契約のなかでも、最も重要な規定です。

注意すべき点は、いかに明確に業務内容を規定するか、ということです。

業務内容のポイント

業務内容は、明確に規定する。

業務委託契約では、想定していた水準を下回る業務を受託者から提供されることがあります。

こうした場合、不明確な業務内容では、受託者との間で、当初予定どおりの業務が実施されたどうかを巡って、トラブルとなります。

下請法が適用される場合は三条書面の必須記載事項

下請法では業務内容は委託者が明らかにする

業務委託契約は、委託者・受託者の資本金と業務内容によっては、下請法が適用されます。

下請法が適用される4つの業務委託契約のパターン

下請法が適用される業務委託契約の場合、委託者は、下請法上の親事業者に該当します。

委託者=親事業者は、下請法第3条にもとづき、受託者に対し、業務内容等が記載された書面(いわゆる「三条書面」)を交付しなければなりません。

下請法の三条書面とは?―業務委託契約書の12の必須記載事項

つまり、下請法が適用される業務委託契約では、業務内容を明らかにするのは、「委託者=親事業者の義務」ということになります。

業務内容を明らかにするのは委託者?受託者?

下請法が適用される場合、業務内容を明らかにするのは、受託者ではなく、委託者=親事業者の義務。

不明確な業務内容は検査結果が不合格の場合に悪影響が出る

業務内容を明確に規定していないと、特に業務内容の検査に影響が出ます。具体的には、業務内容の検査をした結果、委託者としては不合格と判断した場合に悪影響が出ます。

こうした検査結果が不合格であった場合に、業務内容が不明確なときは、委託者は、受託者に対し、無償でのやり直しの請求ができなくなります。

業務内容と検査につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

業務内容が業務実施後・納入後の検査に与える3つの影響とは?

【業務委託契約のポイント4】契約の成立・受発注の手続き

契約の成立の条項では個別契約の受発注の手続きを規定する

契約の成立の条項では、業務委託契約の成立の条件・時期を規定します。

また、いわゆる基本契約である業務委託契約では、個別契約の成立=個々の取引の受発注の手続きを規定します。

契約の成立・受発注の手続きの条項のポイント
  • 業務委託契約は、口頭でも成立する契約であるため、契約成立・変更を書面だけに限定する=口頭の手続きを排除するために、契約の成立の条項を規定する。
  • スポットの業務委託契約では、一般的には、業務委託契約書の取交しをもって、業務委託契約書に記載された日付の時点で、契約が成立する。
  • 個別契約の成立・受発注の手続きの条項では、個別契約の受発注の方法、スケジュール、成立条件を決める。
  • 受発注の際、委託者による発注の後で、受託者からの受注がない場合に、個別契約がどうなるのか=自動成立とするのか、自動不成立とするのかを規定する。
  • 受発注の際、委託者による発注の後で、受託者からの受注がない場合について、何も規定していない場合は、商法第509条にもとづき、個別契約は、自動成立となる。
  • 下請法が適用される業務委託契約や、建設工事請負契約では、契約書の作成が義務づけられている。

このほか、契約の成立・受発注の手続きの条項につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

契約の成立・受発注の手続きとは?契約条項の規定のしかた・書き方は?

個別契約は自動成立とする

委託者の立場の場合、受発注の手続きで重要となるのが、受託者からの受注がない場合の規定です。

個別契約の受発注の際、委託者からの発注があるにもかかわらず、なんらかの理由により、受託者からの反応がないことがあります。

こうした場合は、当然、受託者に対して連絡し、受発注について確認をするべきですが、こうした確認が必ずしもスムーズにいくとは限りません。

このため、個別契約があるような業務委託契約(取引基本契約)では、受発注の際に、受託者からの受注(=個別契約の承諾)について、期限を設定します。

そのうえで、その期限までに何ら反応がない場合は、個別契約が自動的に成立する内容とするべきです。

【業務委託契約のポイント5】報酬・料金・委託料の金額・計算方法

報酬・料金・委託料は金額または計算方法で規定する

報酬・料金・委託料の金額・計算方法の条項では、具体的な数字や計算方法により、報酬・料金・委託料を規定します。

報酬・料金・委託料の金額・計算方法の条項のポイント
  • 報酬・料金・委託料は、原則として金額で規定し、やむを得ない場合に限り、計算方法で規定する。
  • 報酬・料金・委託料の金額・計算方法は、下請法上、問題になりやすい。
  • 報酬・料金・委託料に課税される消費税については、必ず記載する。
  • 報酬・料金・委託料の書き方で、印紙税が変わる。このため、なるべく印紙税が少額で済むような報酬・料金・委託料の書き方とする。
  • 受託者がフリーランス・個人事業者である場合は、源泉徴収の金額も記載する。

このほか、報酬・料金・委託料の金額・計算方法の条項につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

報酬・料金・委託料の金額または計算方法とは?契約条項の規定のしかた・書き方は?

消費税・印紙税・源泉徴収に注意する

一般的な業務委託契約では、報酬・料金・委託料の金額や計算方法は、通常は、受託者の側から、事前に見積書で提示されます。この際、委託者としては、つい数字が多いか少ないかについて注目しがちです。

もちろん、こうした数字の多寡も重要ですが、この数字に消費税が含まれているのかどうかや、内訳による印紙税の計算の違いなど、意外にチェックするべき点はあります。

また、個人事業者・フリーランスが受託者の場合、報酬・料金・委託料の金額から源泉徴収が控除されることがある、という認識がないこともあります。

このように、受託者の側に源泉徴収について認識がない場合、個人事業者・フリーランスに「不当に値引きされた」と誤解され、トラブルになることがあります。

【業務委託契約のポイント6】報酬・料金・委託料の支払方法

支払方法の条項では報酬・料金・委託料の支払方法を規定する

支払方法の条項では、委託者が、受託者に対し、報酬・料金・委託料をどのような支払うのかを規定します。

一般的な業務委託契約の場合、金額が少額な場合は、銀行振込による支払いがほとんどです。

支払方法の条項のポイント
  • 少額の業務委託契約の支払方法は、銀行振込が一般的。
  • 多額の業務委託契約の支払方法は、手形・小切手・電子記録債権など。
  • このほか、多額の多額の業務委託契約の支払方法としては、債権譲渡担保方式、ファクタリング方式、併存的債務引受方式の3種類の一括決済方式がある。

このほか、支払方法の条項につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

支払方法とは?契約条項の規定のしかた・書き方は?

支払方法は銀行振込が一般的

一般的な業務委託契約では、委託者が支払方法を決めます。すでに触れたとおり、業務委託契約の支払方法としては、銀行振込が一般的です。

なお、銀行振込の際の振込手数料は、業務委託契約で特約を規定しない限り、支払う側=委託者の負担となります。

このため、振込手数料の負担をしたくない場合は、業務委託契約で、振込手数料は受託者が負担する旨を規定します(民法第485条)。

ただし、下請法が適用される業務委託契約の場合は、受託者に銀行振込の手数料の負担を求める場合は、下請法違反となる可能性もあります。

【業務委託契約のポイント7】報酬・料金・委託料の支払期限・支払期日

支払期限・支払期日の条項では報酬・料金・委託料の支払期限・支払期日を規定する

支払期限・支払期日の条項では、委託者が受託者に対し支払う報酬・料金・委託料の支払期限・支払期日を規定します。

支払期限・支払期日の条項のポイント
  • 支払期限は、誤解のないよう、なるべく日付を特定して規定する。
  • やむを得ない場合に限り、計算方法で規定する。
  • 締切計算をする場合は、「何をもって締切るのか」を正確に記載する。
  • 下請法が適用される業務委託契約では、支払期限は、特に問題となりやすいので、注意する。

このほか、支払期限・支払期日の条項につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

支払期限・支払期日とは?契約条項の規定のしかた・書き方は?

「月末締め翌月末払い」としない

委託者の立場の場合、支払期限・支払期日は、受託者に誤解されないよう、なるべく日付を特定した形で規定するべきです。

やむを得ず、「納入の日から起算して●日後」のような計算方法の形で規定する場合は、受託者との間で認識の齟齬がないように、十分に協議をしてください。

特に、いわゆる「月末締め翌月末払い」のような締切計算は、要注意です。

このような計算方法では、「何をもって締切るのか」を明確にしていないと、受託者との間で、月単位での支払期限・支払期日の誤解が生じることがあります。

下請法では支払期限・支払期日は「納入時から60日後」

下請法が適用される業務委託契約の場合、支払期限・支払期日は、納入または業務の実施があった日から60日以内に設定しなければなりません。

よく誤解されがちですが、この60日以内に支払期限・支払期日を設定する下請法の規制は、検査の有無は関係ありません。

下請法による支払期日の制限

下請法が適用される業務委託契約における支払期日は、検査の有無にかかわらず、下請事業者の給付を受領した日、つまり納入があった日または業務が終了した日から起算して60日以内。

この「60日ルール」は、あくまで原則であり、例外として、「60日ルール」が適用されない場合もあります。

ただ、この例外については、厳しい条件がありますので、下請法や関連するガイドラインをよく確認したうえで、支払期限・支払期日を設定するべきです。

【業務委託契約のポイント8】費用負担

費用負担の条項では費用を負担する当事者と費用の内訳・金額・計算等を規定する

費用負担の条項では、業務委託契約の履行に必要な費用(内訳・金額・計算等)について、誰がどのように負担するのかを明記します。

費用負担の条項のポイント
  • 民法上の原則としては、業務委託契約の履行の費用は、受託者が負担する。
  • 例外としては、準委任契約である業務委託契約の履行の費用は、委託者が負担する。
  • 業務委託契約では、トラブル防止のため、民法上の規定に関係なく、費用負担を明確に規定する。
  • 委託者による安易な費用負担は、業務委託契約ではなく、労働者派遣契約、雇用契約・労働契約とみなされるリスクとなる。
  • 印紙税は、折半が民法上の原則。ただし、印紙税法では、契約当事者に「連帯責任」が発生する。

このほか、費用負担の条項につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

費用負担とは?契約条項の規定のしかた・書き方は?

特に準委任型の業務委託契約では費用負担を明記する

委託者の立場の場合、なんとなく、業務委託契約に関する費用はすべて受託者の負担だと思い込みがちです。

しかし、準委任型の業務委託契約の場合、民法上の原則では、費用は、委託者の負担とされます(民法第650条)。

民法第650条(受任者による費用等の償還請求等)

1 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。

2 (以下省略)

このため、契約形態が準委任契約の場合は、何も特約を規定しておかないと、民法の原則どおり、費用は委託者の負担となります。

また、契約形態を明記しない、または明記できない場合も、費用負担について規定しておかないと、費用が委託者・受託者のどちらの負担なのかがハッキリしません。

このため、どのような業務委託契約であれ、費用負担についは、明記するべきです。

【業務委託契約のポイント9】納入・納入方法・納入場所

納入の条項では納入の定義・納入方法・納入場所を規定する

納入の条項では、受託者からなされる納入の定義と納入場所を規定します。

また、特殊な成果物の納入の場合は、納入方法も規定します。

納入の条項のポイント
  • 実は「納入」という用語には、法律的な定義がない。このため、必要に応じて、業務委託契約で納入を定義づける。
  • 成果物の引渡しがない業務委託契約では、納入ではなく、「業務の実施」。
  • 特殊な成果物の納入がある業務委託契約では、納入方法も規定する。
  • 有体物の成果物の納入がある業務委託契約では、住所で特定する形で納入場所を規定する。

このほか、納入(納入方法・納入場所)の条項につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

納入・納入方法・納入場所とは?契約条項の規定のしかた・書き方は?

納入の完了の定義・手続きを規定する

委託者の立場の場合、なるべく納入の完了の定義・手続きを規定するようにしてください。

納入日は、契約内容によっては、支払期限・支払期日、検査期間、契約不適合責任の期間の起算点となることがあります。

このため、「何をもって納入があったのか」=納入の完了が明確でないと、こうした期間・期日の計算も明確になりません。

ですから、納入が不明確な業務の場合は、納入日を明らかにする点を意識しながら、納入とその手続きを定義づけるべきです。

納入方法を定義づける

また、特殊な物品・製品・成果物、特に壊れやすいものや変質しやすいものは、「納入のしかた」によって、著しく価値が下がる場合があります。こうした特殊な物品・製品・成果物については、納入方法についても、業務委託契約で規定してください。

もちろん、物品・製品・成果物の納入がある一般的な業務委託契約では、納入のしかたによって損害が発生した場合、受託者の責任となります。

ただ、納入方法を具体的に定義づけていたほうが、受託者の責任を追求しやすくなります。

このため、委託者の立場としては、特に納入で損害が発生しやすい物品・製品・成果物を扱う業務委託契約では、納入方法を明記しておくべきです。

【業務委託契約のポイント10】納期(納入期限・納入期日)

納期の条項では納入期限・納入期日を規定する

納期の条項では、納入期限または納入期日を規定します。

納期の条項のポイント
  • 納入期限と納入期日は、同じようで別の意味。「納期」という表現では、このうちのどちらを意味するのかわからないため、契約書では、「納期」という表現は使わない。
  • 納入期限・納入期日は、誤解のないよう、日付・年月日で明記する。
  • 納入期限・納入期日だけではなく、実際に納入があった場合の手続きも明記する。

このほか、納入(納入期限・納入期日)条項につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

納期(納入期限・納入期日)・作業期間とは?契約条項の規定のしかた・書き方は?

「納期」ではなく納入期限・納入期日で規定する

委託者の立場の場合、納期の条項では、納入期限と納入期日のどちらかで規定します。

納入期限と納入期日の違い
  • 納入期限は「期限」なので、指定された「日まで」に納入するという意味。
  • 納入期日は「期日」なので、指定されたピンポイントの「日」に納入するという意味。

特に、物品・製品・成果物の納入がある業務委託契約の場合、受入体制ができていない時期に納入されると、困る場合があります。

こうした事情がある場合は、納入期日で納入の日付を特定します。

【業務委託契約のポイント11】受領遅滞(受領拒否・受領不能)

受領遅滞の条項では受領拒否・受領不能の場合の対応を規定する

受領遅滞の条項では、受託者からの納入があった際、委託者がその納入を拒否した場合や、納入の受入ができない場合の対処を規定します。

受領遅滞の条項のポイント
  • 受領遅滞とは、委託者による受領の拒否または受領の不能により、受領が遅れること。
  • 委託者としては、受領遅滞の条項では、なるべく責任を限定するように規定する。
  • 委託者にとっては、受領遅滞は、下請法や独占禁止法に違反する行為。

このほか、受領遅滞の条項につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

受領遅滞(受領拒否・受領不能)とは?契約条項の規定のしかた・書き方は?

正当な理由がない限り受領遅滞はしない

委託者の立場の場合、そもそも、正当な理由がない限り、受領遅滞を発生させてはいけません。受領遅滞が発生してしまうと、下請法や民法によって、非常に不利な立場となってしまいます。

また、業務委託契約では、受領遅滞があった場合に、受託者を免責する規定があることもあります。

こうした規定がある場合は、受託者の免責について緩和するよう、交渉するべきです。

特に、少なくとも正当な理由にもとづく受領遅滞が発生した場合は、受託者を免責するような内容としてはいけません。

【業務委託契約のポイント12】検査(検査項目・検査方法・検査基準)

検査の条項では検査項目・検査方法・検査基準を規定する。

検査の条項では、検査を実施する際の検査項目、各検査項目の検査の方法、検査結果の合否の判定基準(検査基準)を規定します。

検査の条項のポイント
  • 検査の条項では、なるべく客観的・一義的に、検査項目・検査方法・検査基準を規定する。
  • 不明確な検査項目・検査方法・検査基準は、検査の合否を巡って、トラブルとなる。
  • 下請法が適用される場合、検査は問題となりやすい。

このほか、検査の条項につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

検査(検査項目・検査方法・検査基準)とは?契約条項の規定のしかた・書き方は?

検査結果の合否を巡ってトラブルにならないようにする

業務委託契約では、検査結果を巡って、しばしばトラブルになります。

こうしたトラブルの多くの原因は、検査項目・検査方法・検査基準を規定しないことです。

言い換えれば、委託者の主観で検査の合否を判定してしまうと、受託者からの反発により、トラブルとなります。

このため、業務委託契約では、なるべく客観的な検査項目・検査方法・検査基準を規定するべきです。

恣意的な検査をしてはいけない

下請法が適用される業務委託契約の場合、委託者としては、特に「恣意的な検査」とみなされないよう、注意が必要です。

恣意的な検査があった場合、委託者は、下請法違反となります。

下請法では、恣意的な検査にもとづく場合、次の行為を禁止しています。

「恣意的」な検査による禁止行為
  • 受領拒否(下請法第4条第1項第1号)
  • 返品(下請法第4条第1項第4号)
  • 不当な給付内容の変更及び不当なやり直し(下請法第4条第2項第4号)

このため、受領拒否、返品、正当な給付内容の変更・やり直しをしようとする場合は、委託者としては、下請法に違反しないよう、十分に注意してください。

【業務委託契約のポイント13】検査期間・検査期限と検査手続き

検査期間・検査期限の条項では検査の期間・期限と検査の手続きを規定する

検査期間・検査期限の条項では、委託者による検査を実施する期間または期限と、検査の合否の場合の手続きを規定します。

検査期間・検査期限の条項のポイント
  • 検査期間・検査期限は、「委託者が検査をしない」ことを防止する規定。
  • 一般的には、納入の時点から起算して、検査期間・検査期限を設定する。
  • 検査期間・検査期限の経過=自動合格または自動不合格とする。
  • 検査結果が不合格の場合の対応を規定する。
  • 製造請負契約の場合は、特別採用・特採について規定する。

このほか、検査期間・検査期限の条項につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

検査期間・検査期限と検査手続きとは?契約条項の規定のしかた・書き方は?

委託者としては検査期間・検査期限はなるべく長くする

納入後の検査は委託者がするわけですから、委託者にとっては、検査期間・検査期限は、なるべく長い方がいいです。

また、検査期間・検査期限が経過した場合における検査の合否については、一般的には、自動的に合格となることが多いです。ただ、当然ながら、これは委託者にとって不利な条項ですので、可能であれば、自動的に不合格となるようにするべきです。

もっとも、自動不合格の内容は、委託者にとっては非常に有利な内容であり、受託者からの反発を招きかねません。

このため、長期間の検査期間・検査期限を設定するか、または、検査期間・検査期限を延長できる権利を設定する程度でとどめることも検討してください。

【業務委託契約のポイント14】所有権の移転の時期

所有権の移転の条項では所有権の移転時期を規定する

物品・製品・有体物の成果物の納入がある業務委託契約の場合、所有権の移転の条項で、これらの所有権の移転の時期について規定します。

所有権の移転の条項のポイント
  • 民法では所有権の移転の時期は決まっていない。このため、業務委託契約で規定する必要がある。
  • 一般的な業務委託契約では、所有権の移転の時期は、納入時か検査完了時。
  • 知的財産の媒体の所有権の移転と、その知的財産の知的財産権の移転は別物。このため、それぞれ別々に規定する。

このほか、所有権の移転の条項につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

所有権の移転の時期とは?契約条項の規定のしかた・書き方は?

委託者にとっては所有権の移転の時期は早いほうが有利

委託者の立場の場合、所有権の移転の時期は、早いほうが有利です。

業務委託契約の目的物である物品・製品・成果物の所有権は、一部の例外を除いて、受託者に発生した後で、何らかの時点で委託者に移転します。

委託者としては、納入された物品・製品・成果物の使用や売却をするためにも、なるべく早い時期に所有権と移転させるべきです。

とはいえ、現実的には、所有権の移転の時期は、早くても納入の時点とすることが多いです。

理論上は、納入の時期よりも早い時期に所有権を移転させることは可能かもしれませんが、実務的には、あまり意味がありません。

【業務委託契約のポイント15】危険負担の移転の時期

危険負担の移転の条項では危険負担の移転時期を規定する

物品・製品・有体物である成果物が発生する業務委託契約の場合、危険負担の移転の条項では、これらになんらかの損害が発生した場合の負担について規定します。

危険負担の移転の条項のポイント
  • 危険負担の移転の条項では、何らかの事情によって、業務実施ができない場合の危険の負担を決める。
  • 改正民法によって危険負担の移転の規定は改められ、納入の前後によって、受託者から委託者に危険負担が移転することとなった。
  • ただし、危険負担の時期を変更する場合は、業務委託契約で規定する必要がある。
  • 一般的な業務委託契約では、危険負担の移転の時期は、納入時または検査完了時。

このほか、危険負担の移転の条項につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

危険負担の移転の時期とは?契約条項の規定のしかた・書き方は?

委託者にとって危険負担の移転の時期はなるべく遅いほうが有利

危険負担は受託者から委託者に移転する

委託者の立場の場合、危険負担の移転の時期は、なるべく遅いほうが有利です。

危険負担とは、簡単にいえば、物品・製品・成果物等の目的物の引渡しがある業務委託契約において、何らかの後発的な原因で物品・製品・成果物に発生した損害の負担のことです。

【意味・定義】危険負担とは?

危険負担とは、後発的な事由によって、目的物になんらかの損害が生じた場合における損害の負担をいう。

多くの業務委託契約では、危険負担は、受託者から委託者に移転します。

このため、委託者としては、危険負担の移転の時期は、なるべく遅くまで引き伸ばしたほうが、有利となります。

実務的には危険負担の移転の時期は検査完了の時点とする

理論上、受託者から委託者に危険負担が移転する日は、最も遅くて、後払いの支払いの完了日です。

しかし、納入・検査が終わった物品・製品・成果物は、完全に委託者の支配下(占有)にあるわけです。

委託者の支配下にあるにもかかわらず、支払いが完了するまで受託者に危険を負担させる契約内容では、当然ながら受託者から反発を招きます。

このため、委託者の交渉上の立場が優位であったとしても、せいぜい、危険負担の移転の時期は、検査完了の時点とすることが多いです。

民法上、一般的な危険負担の移転の時期は、目的物の引渡し=納入の前後で、受託者から委託者に移転します。このため、検査完了の時点で危険負担を移転させる場合は、業務委託契約に特約として危険負担の移転の時期を規定します。

なお、受託者のほうが交渉上の立場が優位な場合は、危険負担の移転の時期は、納入の時点とされてしまうこともあります。

【業務委託契約のポイント16】契約不適合責任

請負型の業務委託契約では契約不適合責任(特にその期間)を規定する

請負型の業務委託契約の場合、契約不適合責任(旧民法における瑕疵担保責任)を規定します。

【意味・定義】契約不適合責任とは?

契約不適合責任とは、有償契約において、債務者により履行された債務が契約の内容に適合しない場合において債務者が負う責任をいう。

契約不適合責任の条項のポイント
  • 契約不適合責任の条項では、「契約不適合」の定義を規定する。
  • 注文者がその不適合を知った時から一年以内」(民法637条第1項)と異なるものを定める場合は、契約不適合責任の条項で受託者が契約不適合責任を負う期間を明記する。
  • 契約不適合責任の期間は、起算点を特定できるように規定する。

このほか、契約不適合責任につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

https://gyoumuitakukeiyakusho.com/contract-nonconformity-liability/

委託者としては契約不適合の定義を広くする

請負型の業務委託契約では、契約不適合責任は、目的物である物品・製品・成果物について、検査合格後に発覚した契約不適合(ミス・欠陥)に関する受託者の責任のことを意味します。

【意味・定義】請負契約における契約不適合責任とは?

請負契約における契約不適合責任とは、仕事の種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しない場合(契約不適合があった場合。瑕疵、ミス、欠陥等があった場合を含む。)において、注文者から請求された、履行の追完、報酬の減額、損害賠償、契約の解除の請求に応じる請負人の責任・義務をいう。

委託者の立場で気をつけるべき点は、契約不適合の定義を明確することです。そして、なるべく広い範囲の契約不適合について受託者の責任を追求できるようにするべきです。

実際に、検査合格後に目的物に契約不適合が発見されたとしても、受託者から、「契約不適合には該当しない」と主張された場合、その後の対応を巡ってトラブルになります。

このため、契約不適合責任の条項では、契約不適合の定義について、なるべく客観的に、かつ広い範囲とするべきです。

受託者としては契約不適合責任の期間を長期間とする

委託者として、契約不適合責任の範囲を広くするという意味では、契約不適合責任の期間を長く規定する、ということも検討するべきです。

民法上の請負契約における契約不適合責任の期間は、「注文者がその不適合を知った時から一年」とされています(民法第637条第1項)。

【根拠条文】請負契約の契約不適合責任の期間・年数

第637条(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)

1 前条本文に規定する場合において、注文者がその不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。

2 前項の規定は、仕事の目的物を注文者に引き渡した時(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時)において、請負人が同項の不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、適用しない。

しかも、消滅時効が10年(民法第166条)です。

根拠条文

第166条(債権等の消滅時効)

1 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

(1)債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき。

(2)権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。

(第2項以下省略)

つまり、委託者としては、最長で10年間、受託者に対して契約不適合責任を追求できます。

このため、委託者としては、民法上の契約不適合責任の期間をそのまま適用したとしても、事業上の契約としてはかなり有利な内容となります。このため、特に必要がなければ、あえて業務委託契約で契約不適合責任の期間を規定する必要はありません。

しかしながら、一般的な業務委託契約の契約不適合責任としては、最長で10年間はあまりにも長いです。このため、受託者から、契約不適合責任の期間を短縮するよう求められることが多いです。

また、同様に、「知った時から」という起算点についても、変更を求められます。この際、実際に契約不適合責任を追求する際にトラブルにならないよう、どの時点を起算点とするのかを明記します。

一般的には、納入、業務終了時、検査合格日などを契約不適合責任の期間の起算点とします。

【業務委託契約のポイント17】善管注意義務

準委任型の業務委託契約では受託者に善管注意義務が発生する

準委任型の業務委託契約では、受託者に善管注意義務が発生します(民法第644条)。

【意味・定義】善管注意義務とは?

善管注意義務とは、行為者の階層、地位、職業に応じて、社会通念上、客観的・一般的に要求される注意を払う義務をいう。

善管注意義務の条項のポイント
  • 契約形態が準委任型である業務委託契約では、特に契約に規定がなくても、受託者には、民法上、当然に善管注意義務が発生する。
  • 業務委託契約では、念のため、善管注意義務を規定しておく。

このほか、善管注意義務につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

善管注意義務とは?その定義と5つのポイントを解説

念のため業務委託契約で規定しておく

すでに触れたとおり、そもそも善管注意義務は、民法に規定された受託者の義務です。このため、わざわざ業務委託契約に規定しなかったとしても、受託者には、当然善管注意義務が発生します。

ただし、これはあくまで契約形態が(準)委任契約であることが明記されている場合です。契約形態が(準)委任契約であることが明記されていない場合は、受託者には、必ずしも善管注意義務が発生するとは限りません。

このため、業務委託契約には、(準)委任契約であることを明記するとともに、受託者に対する注意喚起のためにも、善管注意義務を規定するべきです。

【業務委託契約のポイント18】契約解除条項

契約解除条項では契約解除の事由を規定する

契約解除条項では、契約が解除できる事由・理由について規定します。

契約解除条項のポイント
  • 原則として、契約の解除はできない。
  • 契約の解除がしやすいように、契約解除条項で、契約解除ができる事由を追記する。

このほか、契約解除条項につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

契約解除条項とは?契約条項の規定のしかた・書き方は?

契約解除条項で契約解除の事由を追記する

委託者の立場の場合、受託者に比べ、民法上の契約解除権(=法定解除権)が幅広く認められています。このため、比較的、契約解除がしやすくなっています。

しかしながら、これはあくまで受託者との比較のうえでの話であり、実際には、法定解除権だけでは、そう簡単に契約解除はできません。

このため、契約解除条項では、次のような契約解除の事由を追記し、約定解除権を広く設定します。

契約解除事由の具体例
  1. 公租公課・租税の滞納処分
  2. 支払い停止・不渡り処分
  3. 営業停止・営業許可取り消し
  4. 営業譲渡・合併
  5. 債務不履行による仮差押え・仮処分・強制執行
  6. 破産手続き開始申立て・民事再生手続き開始申立て・会社更生手続開始申立て
  7. 解散決議・清算
  8. 労働争議・災害等の不可抗力
  9. 財務状態の悪化
  10. 信用毀損行為
  11. 契約違反・債務不履行

【業務委託契約のポイント19】秘密保持義務・守秘義務

秘密保持義務の条項では秘密情報の定義と秘密保持義務を規定する

秘密保持義務の規定では、秘密情報の定義と、秘密保持義務・秘密情報の目的外使用の禁止を規定します。

秘密保持義務・守秘義務条項のポイント
  • 秘密情報の定義を規定しないと、秘密保持義務の規定は機能しない。
  • 秘密情報の定義と併せて、秘密情報の例外を規定する。
  • 秘密保持義務の条項では、秘密保持義務と併せて、秘密保持義務の例外も規定する。
  • 秘密情報の目的外使用も禁止する。

このほか、秘密保持義務の条項につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

秘密保持義務・守秘義務とは?契約条項の規定のしかた・書き方は?

秘密情報の開示者・受領者のどちらかで内容は変える

業務委託契約では、契約内容によって、委託者は、秘密情報の開示者・受領者のいずれかのみ、または両者に該当する可能があります。

当然ながら、開示者のみに該当する場合は、受託者に対する秘密保持義務は、厳しくするべきです。

逆に、受領者のみに該当する場合は、秘密保持義務は、自身だけに課されるものですので、緩やかにするべきです。

なお、秘密情報の開示者・受領者の双方に該当する場合は、秘密情報の開示・受領の質・量により、秘密保持義務を対等のものとするか、または厳しい・緩やかにするのかを決めます。

【業務委託契約のポイント20】再委託・下請負

再委託・下請負の条項では再委託・下請負の可否について規定する

再委託・下請負の条項では、受託者による業務の再委託・下請負ができるかどうかを規定します。

再委託・下請負の条項のポイント
  • 再委託・下請負の条項では、受託者による第三者に対する再委託・下請負の可否について規定する。
  • 受託者による再委託・下請負ができるように規定する場合、なるべく条件付きでの再委託・下請負ができるよう規定する。
  • 条件付きの再委託・下請負の条項の場合は、詳細な条件や再委託・下請負の手続きを明記する。
  • 再委託・下請負の規定がない場合、請負型の業務委託契約の場合は、下請負は可能、準委任型の業務委託契約は、再委任は不可。
  • 再委託先・下請業者の行為の責任は、受託者が負うように規定する。

このほか、再委託・下請負の条項につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

再委託・下請負(外注)の許可・禁止条項とは?

委託者としてはなるべく再委託・下請負は禁止する

委託者の立場の場合、なるべく、受託者による再委託・下請負は禁止するべきです。

その理由は、再委託・下請負を認めてしまうと、委託者としては、再委託先や下請負先に対して、契約上の直接の請求ができなくなるからです。

特に、委託者から受託者に対し、秘密情報を開示している場合は、その管理についての監督が難しくなり、結果的に秘密情報が漏洩する可能性があります。このため、委託者としては、再委託・下請負は、なるべく禁止します。

やむを得ず、再委託・下請負を認める場合、条件付きにしたり、事前承認制にしたりして、なるべく再委託・下請負のリスクを下げておきます。

【業務委託契約のポイント21】合意管轄裁判所

合意管轄裁判所の条項では専属的合意管轄裁判所を規定する

合意管轄裁判所では、第一審の裁判を起こせる唯一の裁判所=専属的合意管轄裁判所を規定します。

合意管轄裁判所の条項のポイント
  • 合意管轄裁判所を規定する場合、必ず「専属的合意管轄裁判所」と規定する。そうでないと、唯一の裁判所を指定したことにならないこともある。
  • 合意管轄裁判所は、自社に近いほうが有利。
  • 専属的合意管轄裁判所は、必ず4つの要件を満たすように規定する。
  • 特許権等の裁判では、専属的合意管轄裁判所の条項は適用されず、東京地裁または大阪地裁の「専属管轄」が優先される。

このほか、合意管轄裁判所の条項につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

合意管轄裁判所とは?契約条項の規定のしかた・書き方は?

なるべく自社にとって都合のいい裁判所を選ぶ

委託者・受託者いずれの立場であっても、合意管轄裁判所は、自社にとって都合のいい場所の裁判所を選ぶべきです。

この点について、都合のいい場所は、企業によって様々ですが、一般的には、本社の所在地を管轄する裁判所です。

これは、通常は、法務部などの訴訟の担当者は本社にいる場合が多く、また、顧問弁護士も本社の近くに事務所があることが多いからです。

もっとも、法務の機能が本社以外にある場合や、顧問弁護士の事務所が本社の近くでない場合は、本社以外の場所の裁判所を合意管轄裁判所としても構いません。