このページでは、(準)委任契約型の業務委託契約において、重要となる11の条項・ポイントについてまとめて説明しています。

(準)委任契約は、民法で規定されている典型契約のひとつです。

(準)委任契約は抽象的な規定が多く、ビジネスの実態とは必ずしも一致しないこともあります。

このため、企業間取引で(準)委任契約型の業務委託契約を締結する場合は、よりビジネスの実態に合わせた業務委託契約書を作成する必要があります。

このページでは、こうした(準)委任契約型の業務委託契約の重要なポイントについて、開業22年・400社以上の取引実績がある行政書士が、わかりやすく解説していきます。

このページでわかること
  • (準)委任契約型の業務委託契約で特に規定するべき重要な規定。

なお、(準)委任契約の基本的なポイントにつきましては、以下のページをご覧ください。

委任契約・準委任契約とは?請負契約や業務委託契約との違いは?




(準)委任契約型の業務委託契約で重要な11の契約条項・ポイント

(準)委任契約型の業務委託契約では、次の11の重要な契約条項・ポイントがあります。

(準)委任契約型の業務委託契約の重要な契約条項・ポイント
  • 契約条項・ポイント1:業務内容
  • 契約条項・ポイント2:受発注の手続き
  • 契約条項・ポイント3:納入期限・納入期日・提供期日・提供期間
  • 契約条項・ポイント4:委託業務の実施の場所
  • 契約条項・ポイント5:検査(検査項目・検査方法・検査基準)
  • 契約条項・ポイント6:検査期限・検査手続
  • 契約条項・ポイント7:報酬・料金・委託料
  • 契約条項・ポイント8:費用負担
  • 契約条項・ポイント9:成果物の著作権の処理(譲渡または使用許諾)
  • 契約条項・ポイント10:再委託・再委任
  • 契約条項・ポイント11:契約解除・中途解約

それぞれ詳しく見ていきましょう。





契約条項・ポイント1:業務内容

業務内容=「事務」

準委任契約で重要な契約条項・ポイントの1点目は、業務内容です。

準委任契約は、事務の委託」の契約です。

ここでいう事務は、一般的な用語としての事務(例:事務を執る、事務所、事務職など)ではなく、もっと広い概念です。

民法上は明文の定義がありませんが、作業、助言、企画、知識・技芸の教授など、「法律行為でない行為」が該当します。

【意味・定義】事務(準委任契約)とは?

準委任契約における事務とは、作業、助言、企画、知識・技芸の教授など、「法律行為でない行為」全般をいう。

このように、法律上は事務の定義は曖昧であるため、当然ながら、個別具体的な業務委託契約の業務内容については、法律上は何も規定されていないことと同じです。

業務委託契約書で業務内容を明記しておく

このため、業務委託契約でその「事務」の内容=業務内容を明記しておくことが重要なります。

業務委託契約書に業務内容を明記しておくことで、「何をもって委託業務の実施となるのか」を明確にしておきます。

業務内容=委託業務は、委託者(委任者)にとっては要望=権利であり、受託者(受任者)にとってはしなければならない義務となります。

このため、業務内容が明記されていないと、「委託業務の実施があったかどうか」を巡ってトラブルになります。

なお、業務委託契約書における業務内容の記載については、以下のページもご覧ください。

業務委託契約書における業務内容の決め方・書き方と全行程を解説

取適法(旧下請法)とフリーランス保護法に違反しない内容とする

いい加減な業務内容の書き方は取適法違反

取適法が適用される準委任型の業務委託契約の場合、業務内容は、4条明示(旧3条書面)の「中小受託事業者の給付の内容」に相当します。

【意味・定義】給付の内容(取適法・フリーランス保護法)とは?

給付の内容とは、取適法またはフリーランス保護法が適用される場合における、中小受託事業者または特定受託事業者が委託事業者または業務委託事業者に対し給付する委託の内容(業務内容)をいう。

このため、業務委託契約書を作成したとしても、いい加減な業務内容を記載した場合、委託者・注文者である委託事業者(旧親事業者)は、取適法違反となります。

「中小受託事業者の給付の内容」をどの程度明確に書くべきかという点については、次のとおりです。

(3) 「中小受託事業者の給付の内容」とは、委託事業者が中小受託事業者に委託する行為が遂行された結果、中小受託事業者から提供されるべき物品及び情報成果物(役務提供委託又は特定運送委託をした場合にあっては、中小受託事業者から提供されるべき役務)であり、その品目、品種、数量、規格、仕様等を明示する必要がある。

また、主に、情報成果物作成委託に係る作成過程を通じて、情報成果物に関し、中小受託事業者の知的財産権が発生する場合において、委託事業者は、情報成果物を作成させるとともに、作成の目的たる使用の範囲を超えて知的財産権を自らに譲渡・許諾させることを「中小受託事業者の給付の内容」とすることがある。この場合は、委託事業者は、「中小受託事業者の給付の内容」の一部として、中小受託事業者が作成した情報成果物に係る知的財産権の譲渡・許諾の範囲を明示する必要がある。

フリー

フリーランスとの業務委託契約ではフリーランス保護法違反に注意

また、フリーランス保護法にも、取適法と同様の規制があります。

フリーランス保護法が適用される準委任型の業務委託契約の場合、業務内容は、3条通知の「特定受託事業者の給付の内容」に相当します。

【意味・定義】給付の内容(取適法・フリーランス保護法)とは?

給付の内容とは、取適法またはフリーランス保護法が適用される場合における、中小受託事業者または特定受託事業者が委託事業者または業務委託事業者に対し給付する委託の内容(業務内容)をいう。

このため、業務委託契約書を作成したとしても、いい加減な業務内容を記載した場合、委託者・注文者である業務委託事業者は、フリーランス保護法違反となります。

「特定受託事業者の給付の内容」をどの程度明確に書くべきかという点については、次のとおりです。

「給付(法第二条第三項第二号の業務委託の場合は、提供される役務。第六号において同じ。)の内容」とは、業務委託事業者が特定受託事業者に委託した業務が遂行された結果、特定受託事業者から提供されるべき物品及び情報成果物(役務の提供を委託した場合にあっては、特定受託事業者から提供されるべき役務)であり、3条通知において、その品目、品種、数量、規格、仕様等を明確に記載する必要がある。

また、委託に係る業務の遂行過程を通じて、給付に関し、特定受託事業者の知的財産権が発生する場合において、業務委託事業者は、目的物を給付させる(役務の提供委託については、役務を提供させる)とともに、業務委託の目的たる使用の範囲を超えて知的財産権を自らに譲渡・許諾させることを「給付の内容」とすることがある。この場合は、業務委託事業者は、3条通知の「給付の内容」の一部として、当該知的財産権の譲渡・許諾の範囲を明確に記載する必要がある。

準委任契約にも取適法が適用される

なお、「準委任契約には取適法が適用されない」と考えられることがありますが、準委任契約であっても、取適法は適用されます。

この誤解は、取適法に改正される前の「下請法」という法律の名称から連想されるのでしょう。

しかし、旧下請法では、規制対象となる業務内容について、特に契約形態を限定してはいませんでした。これは、取適法に改正された現在でも、同様です。

また、「情報サービス・ソフトウェア産業における中小受託適正取引等の推進のためのガイドライン」では、次のとおり、「請負契約であるか準委任契約であるかを峻別する必要はない」と明記しています。

<請負契約と準委任契約について>
◆取適法の適用の有無を判断するに当たり、請負契約であるか準委任契約であるかを峻別する必要はない。取適法は、情報成果物作成委託、役務提供委託など委託の内容と資本金又は従業員数により判断される。

このガイドラインは、「情報サービス・ソフトウェア産業」を対象としたものですが、この考え方自体は、他の産業においても適用されるものです。

この他、準委任契約への取適法の適用につきましては、につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

準委任契約は取適法(旧下請法)の適用対象となりますか?

ポイント
  • 準委任契約における業務内容=事務。
  • 事務は、請負契約のような「仕事の完成」というわかりやすい基準がない。
  • 請負契約での業務内容以上に明確に規定することが、業務委託契約書の作成のコツ。
  • 取適法・フリーランス保護法が適用される業務委託契約では、契約書の作成は必須。
  • 準委任契約にも取適法は適用される。





契約条項・ポイント2:受発注の手続き

発注と受注の方法を決める

準委任契約で重要な契約条項・ポイントの2点目は、受発注の手続きです。

業務委託契約には、いわゆるスポット・単発での契約(一回的契約)と、反復・継続的に複数回の業務が発生する継続的契約の二通りのパターンがあります。

このうち、後者の継続的契約は、いわゆる取引基本契約とも言われます。

【意味・定義】基本契約(取引基本契約)とは?

基本契約とは、継続的な売買契約、請負契約、準委任契約の取引の基本となる、個々の取引に共通して適用される契約条項を規定した契約をいう。取引基本契約ともいう。

反復・継続的な業務委託契約では、個々の取引き(「個別契約」といいます)の受発注の手続きについて明記しておきます。

そうしないと、個々の取引きの関する個別契約が成立したのか、それとも成立していないのかが、ハッキリとしなくなります。

個別契約につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

個別契約とは?基本契約との違いや個別契約書の使い方について解説

発注の方法・内容・スケジュールを明記する

具体的には、受発注の方法・内容・スケジュールを業務委託基本契約書に明記します。

受発注の方法は、電話、書面(注文書・注文請書、発注書・受注書など)、電子メール、FAX、EDI、ウェブサービス、電子契約など、さまざまな方法があります。

受発注の内容は、個々の取引きの業務内容、単価、個数、納期、納入場所、検査の日程など、個々の受発注の際に決める内容を記載します。

もちろん、具体的な内容については、それぞれの取引きのつど決めて、「受発注の方法」に従って、相手方に通知します。

受発注のスケジュールは、発注があってから、受注が完了するまで、誰が何をするのかを、具体的な期限を区切って記載します。

なお、これらの受発注の手続きにつきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

業務委託契約における発注書・注文書の使い方は?契約の成立・受発注の手続きについても解説

取適法では4条明示での発注が義務づけられている

4条明示をすることで発注

なお、取適法が適用される準委任型の業務委託契約の場合は、受発注の方法が限られています。

具体的には、原則としては、書面の交付や電子契約等の4条明示によって、受発注しなければなりません(取適法第4条第1項)。

【意味・定義】4条明示(取適法)とは?

4条明示(取適法)とは、製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法)第4条に規定された、委託事業者(旧親事業者)が中小受託事業者(旧下請事業者)に対し明示しなければならない事項(取引条件)をいう。旧下請法のいわゆる「3条書面」に代わるもの。

ですから、取適法が適用される場合は、委託者(注文者)による口頭や電話での発注は、取適法違反となります。

なお、4条明示につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

取適法4条明示(旧下請法3条書面)とは?12の法定記載事項について解説

事前の受託者(受任者人)から承諾は不要

なお、改正前の旧下請法では、電磁的方法による発注をすること自体について、あらかじめ受託者(受任者人)から承諾を得る必要がありました(旧下請法第3条第2項同施行令第第2条第1項)。

この点について、改正下請法=取適法の施行に伴い、この事前の同意の規制は撤廃されました。

このため、現在の取適法では、中小受託事業者(旧下請事業者)からの事前の同意なく、電磁的方法によって、4条明示をすることができます。

取適法ではファックスは電磁的方法または書面扱い

なお、ファックスでの発注に関しては、取適法では、記録や出力の方法によって、電磁的方法または書面のいずれかとして扱われます。

ファックスで送信された情報がファイルに記録される場合は、次のとおり、電子メール等の送信(=電磁的方法のひとつ)とされます。

例えば、次のような方法は、電子メール等を送信する方法に該当する。

(途中省略)

➍ 委託事業者が明示事項を記載した書面等を、電磁的記録をファイルに記録する機能を有する中小受託事業者のファクシミリへ送信する方法

一方、紙出力のファックスの場合は、次のとおり、書面扱いとなります。

(注1)受信と同時に書面により出力されるファクシミリへ送信する方法は、「書面の交付」による明示に該当する。

フリーランス保護法では3条通知での発注が義務づけられている

また、取適法同様、フリーランス保護法が適用される準委任型の業務委託契約の場合は、受発注の方法が限られています。

具体的には、原則としては、書面の交付や電子契約等の3条通知によって受発注しなければなりません(フリーランス保護法第3条第1項)。

【意味・定義】3条通知(フリーランス保護法)とは?

3条通知とは、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス保護法)第3条に規定された、業務委託事業者(発注事業者)が特定受託事業者(フリーランス)に対し明示しなければならない通知(取引条件)をいう。

ですから、フリーランス保護法が適用される場合は、委託者(注文者)による口頭や電話での発注は、フリーランス保護法違反となります。

なお、3条通知につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

フリーランス新法(保護法)の三条通知(3条通知)とは?

商法第509条により発注を放置すると受注したことになる

業務委託契約での発注放置=自動受注

なお、反復・継続的な取引関係にある委託者(委任者)から発注があった場合に、受託者(受任者)が何の連絡もせずに、その発注を放置したときは、委託者(委任者)からの発注を受注したものとみなされます。

商法第509条(契約の申込みを受けた者の諾否通知義務)

1 商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けたときは、遅滞なく、契約の申込みに対する諾否の通知を発しなければならない。

2 商人が前項の通知を発することを怠ったときは、その商人は、同項の契約の申込みを承諾したものとみなす。

商法は、商行為、わかりやすくいえば企業間取引に適用されるルールですので、通常の業務委託契約に適用されます。

「発注放置=自動拒否」とするには業務委託契約書が必須

受託者(受任者)が、このような、いわば「発注放置=自動受注」というルールを適用したくない場合は、業務委託契約書で、特約を結ぶ必要があります。

商法第509条は、あくまで原則を規定したものであり、当事者の合意=契約・特約があれば、これとは違うルールにすることができます(商法第509条は、いわゆる「任意規定」です)。

【意味・定義】任意規定とは?

任意規定とは、ある法律の規定と異なる合意がある場合に、その合意のほうが優先される法律の規定をいう。

言いかえれば、商法第509条とは異なるルールが記載された証拠(特に業務委託契約書)がなければ、原則どおり、「発注放置=自動受注」となります。

ですから、受託者(受任者)が「発注放置=自動受注」ではなく、「発注放置=自動拒否(個々の取引きの契約不成立)」としたいのであれば、そのような内容で業務委託契約書を取り交わす必要があります。

ポイント
  • 受発注の手続きは意外と軽視しがち。しっかりと明確にしておかないと、「発注した」「いや受注していない」というトラブルになる。





契約条項・ポイント3:納入期限・納入期日・提供期日・提供期間

準委任契約で重要な契約条項・ポイントの3点目は、納期です。

知的財産などの成果物を納入するタイプの(準)委任契約の場合、納入期限・納入期日、いわゆる「納期」を規定します。

これは、取適法の4条明示やフリーランス保護法の3条通知でも記載が必須の項目です。

また、サービスの提供のようなタイプの(準)委任契約の場合は、サービスが提供される期日や期間を規定します。

これらの納期につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

納期(納入期限・納入期日)・作業期間(役務提供期間)とは?契約条項のポイントを解説

ポイント
  • ひと言で「納期」といっても、様々な設定のしかたがある。





契約条項・ポイント4:委託業務の実施の場所

委託業務の実施場所の特定が必要な場合は必ず規定する

準委任契約で重要な契約条項・ポイントの4点目は、業務の実施場所です。

特定の場所で委託業務を実施してもらうタイプの業務委託契約の場合、業務実施場所を規定します。

これは、取適法の4条明示やフリーランス保護法の3条通知でも記載が必須の項目です。

なお、取適法が適用される場合の電子データの納品場所・納入場所につきましては、につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

下請法の三条書面における電子データの納品場所・納入場所の書き方は?

個人事業者・フリーランスとの業務委託契約では必要のない場所の制限はしない

ちなみに、作業を提供してもらうタイプの(準)委任型の業務委託契約を個人事業者・フリーランスとの業務委託契約の場合、作業実施場所を契約内容に規定するのには、注意が必要です。

というのも、必要もないのに作業の実施場所を業務委託契約に規定した場合、業務委託契約ではなく、雇用契約・労働契約とみなされるリスクがあります。

ですから、業務内容の特性上、やむを得ない場合に限って、作業実施場所を規定します。

例えば、個人事業者であるの経営コンサルタントとの経営コンサルティング契約で、委託者(委任者)の社員に対する職場におけるパフォーマンス改善の指導などで、作業実施場所を委託者(委任者)が入居する建物などに特定しても、特に問題となりません。

この他、作業場所の指定につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

作業場所の指定は違法?業務委託契約(請負契約・準委任契約)の場合では?

ポイント
  • 業務実施の場所は、取適法では記載必須の事項。
  • ただし、ヘタに個人事業者・フリーランスを拘束すると、雇用契約・労働契約とみなされるリスクもある。





契約条項・ポイント5:検査(検査項目・検査方法・検査基準)

検査をするかどうかを規定する

準委任契約で重要な契約条項・ポイントの5点目は、検査です。

検査の規定については、まず、検査自体をするかどうかを決める必要があります。

民法では、(準)委任契約における「検査」そのものが規定されていません。

言いかえれば、委託者(委任者)は、必ずしも検査をしなくてもいい、ということになります。

検査をしないのであれば規定しないか省略する旨を明記する

一般的な(準)委任型の業務委託契約でも、検査をするかどうかは、一概には決まっていません。

この点は、「仕事の完成」の検査を前提とした請負契約とは異なる点です。

このため、検査をしないのであれば、特に検査について明記する必要はありません。

また、検査をしないことを明らかにするため、あえて検査を省略する旨を規定します。

取適法・フリーランス保護法が適用される場合は「検査省略=自動合格」

なお、準委任型の業務委託契約であっても、何らかの成果物などの目的物の納入があることがあります。

例えば、アジャイル型のシステムやアプリの作成業務委託契約におけるプログラム著作物などのコード類などが該当します。

こうした業務委託契約において、取適法・フリーランス保護法が適用される場合、委託者(委任者)が業務委託の目的物の検査を省略したときは、その目的物は、自動的に合格となります。

こうなると、目的物が業務委託契約の業務内容の規定と違っていたり、後で目的物に欠陥があったとしても、返品は認められません。

(3)なお、次のような場合には委託内容と異なること等があることを理由として中小受託事業者にその給付に係るものを引き取らせることは認められない。

(ア~エまで省略)

オ 給付に係る検査を省略する場合

(以下省略)

(途中省略)なお、次のような場合は、委託内容と適合しないことを理由として特定受託事業者にその給付に係る物を引き取らせることは認められない。

(①~②まで省略)

③ 給付に係る検査を省略する場合

(以下省略)

このため、取適法・フリーランス保護法が適用される業務委託契約の場合は、委託者(注文者)としては、安易に検査を省略するべきではありません。

検査をする場合は検査基準・検査方法を明確にする

検査をする場合、業務委託契約には、なるべく検査の基準と方法を明確に規定します。

(準)委任型の業務委託契約ではありがちですが、本当に委託業務が実施されたといえるのかどうかを巡って、よく委託者(委任者)と受託者(受任者)の間でトラブルになります。

これは、業務内容が明記されていない場合にもありますが、検査基準や検査方法が規定されていない場合にもある話です。

客観的な(できれば数値化した)検査基準と検査方法を業務委託契約に規定して、その検査方法に従って検査した結果によって、合格・不合格を判定するよにすれば、こうしたトラブルは防げます。

あらかじめ、つまり業務委託契約を結ぶ時点で検査基準と検査方法を決められなくても、少なくとも納入の前には検査基準と検査方法を規定するようにします。

この他、検査の条項につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

業務委託契約における検査(検査項目・検査方法・検査基準)とは?書き方・規定のしかたは?





契約条項・ポイント6:検査期限・検査手続

検査期限(スケジュール)と検査手続きを明記する

検査期限は委託者(委任者)が「検査しない」ことを防ぐ

準委任契約で重要な契約条項・ポイントの6点目は、検査期間と検査手続です。

検査の期限を設定することで、委託者(委任者)がいつまで経っても検査をしない、というトラブルが防げます。

ちなみに、取適法やフリーランス保護法が適用される業務委託契約では、検査をする場合は、「検査を完了する期日」が4条明示や3条通知でも必須の記載項目です。

ですから、検査をするにもかかわらず、業務委託契約書を作成した際に「検査を完了する期日」を記載しない場合は、取適法、フリーランス保護法違反となります。

検査期限が過ぎた場合の取扱いも規定する

検査期限は、単に設定すればいい、というものではありません。

ポイントは、検査期限を過ぎた場合に、その検査がどうなるのかを規定しておくことです。

この点について、受託者(受任者)にとって有利なのは、検査期限を過ぎたら、業務内容は合格したものとみなす内容です。

逆に、委託者(委任者)にとって有利なのは、検査期限を過ぎたら、業務内容は不合格とみなす内容です。

また、検査内容(合格・不合格)の通知方法など、検査手続きについても規定します。

この他、検査期間・検査期限につきましては、以下のページもご覧ください。

業務委託契約の検査期間と検査手続きとは?書き方・規定のしかたは?

ポイント
  • 検査については、民法では一切規定されていない。
  • このため、業務委託契約書を作成して詳細に規定する必要がある。
  • (準)委任契約では、契約履行の効率化のため、必要のない検査は規定しないか、自動化・省略できる規定とすることがある。





契約条項・ポイント7:報酬・料金・委託料

金額か計算方法のいずれかを規定する

金額による規定はトラブルが少ない

報酬・料金・委託料につきましては、金額か計算方法のいずれかを業務委託契約に規定します。

金額を規定する場合は、数字を巡ってトラブルになることは、まずありません。

ただし、個人事業者が受注者(受任者)となる場合は、源泉徴収の計算を巡ってトラブルとなることがあります。

このため、特に、相手方が個人事業者である場合は、委託者(委任者)の側は、報酬の金額に源泉徴収が含まれるのかどうかについて、注意を要します。

計算方法による規定はトラブルが多い

金額による規定に比べて、計算方法による規定は、計算のしかたの解釈を巡ってトラブルになることが多いです。

このため、委託者(委任者)と受託者(受任者)の双方の計算結果が違わないように規定する必要があります。

また、消費税の表記(内税・外税の別)も忘れないようにしてください。

このほか、報酬・料金・委託料の金額または計算方法については、詳しくは、以下のページをご覧ください。

業務委託契約書における報酬・料金の決め方・書き方とは?

取適法やフリーランス保護法が適用される場合は補充通知を出す

なお、取適法やフリーランス保護法が適用される場合、製造委託等代金(旧下請代金)や報酬について算定方法(計算方法)によって規定したときは、委託事業者・業務委託事業者は、中小受託事業者・特定受託事業者に対し、最終的な金額が確定した後で、速やかにその金額を明示する必要があります。

(2) (途中省略)この算定方法は、代金の額の算定の根拠となる事項が確定すれば、具体的な金額が自動的に確定することとなるものでなければならず、代金の具体的な金額を確定した後、速やかに、中小受託事業者に明示する必要がある。

(ア)(途中省略)報酬の具体的な金額を確定した後、速やかに特定受託事業者に当該金額を明示する必要がある。

ですので、算定方法(計算方法)で報酬・料金・委託料を決めた場合であっても、委託者(委任者)が最終的に確定した金額を受託者(受任者)に対し通知しないと、取適法やフリーランス保護法に違反することとなります。

著作権などの知的財産権が発生する場合はその対価も規定する

(準)委任型の業務委託契約では、著作権などの知的財産権が発生する場合もあります。

この場合、一般的には、その著作権等を譲渡するか、または使用許諾をするように規定します。

報酬・料金・委託料の規定では、この譲渡または使用許諾の対価についても、規定します。

多くの場合、委託業務の報酬・料金・委託料に含まれる形にしますが、別々の計算としてもかまいません。

ポイント
  • 報酬・料金・委託料は、金額または計算方法で決める。
  • 報酬・料金・委託料には消費税が含まれるか含まれないかを規定する。
  • 著作権等の知的財産権の対価も忘れずに規定する。





契約条項・ポイント8:費用負担

(準)委任契約では費用は原則として委託者(委任者)の負担

準委任契約で重要な契約条項・ポイントの8点目は、受託者(委任者)の費用負担です。

(準)委任契約では、民法の規定により、費用は、委託者(委任者)の負担とされています。

まず、民法第694条により、委託者(委任者)は、受託者(受任者)からの請求があった場合、前払いで費用を負担しなければなりません。

民法第649条(受任者による費用の前払請求)

委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない。

そして、受託者(受任者)が委託業務の実施に必要な費用を立替えて支出した場合は、その費用も後払いで支払わなければなりません。

民法第650条(受任者による費用等の償還請求等)

1 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。

2 (以下省略)

委託業務の実施による費用を受託者(受任者)負担とする場合は業務委託契約に明記する

このように、(準)委任型の業務委託契約では、費用は、委託者(委任者)の負担となります。

この点は、受託者(受任者)が費用を負担する、請負型の業務委託契約とは真逆の契約内容です。

このため、(準)委任型の業務委託契約でも、請負型と同じように、受託者(受任者)が費用を負担する場合、業務委託契約書を作成して、特約を規定する必要があります。

このほか、費用負担につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

業務委託契約における費用負担とは?書き方・規定のしかたは?

ポイント
  • (準)委任型の業務委託契約では、費用は原則として委託者(委任者)の負担。
  • 委託者(委任者)として費用を負担したくないのであれば、その旨を業務委託契約書を作成して規定する必要がある。





契約条項・ポイント9:成果物の著作権の処理(譲渡または使用許諾)

業務委託契約では著作権は譲渡されることが多い

準委任契約で重要な契約条項・ポイントの9点目は、成果物の著作権の処理です。

(準)委任型の業務委託契約において、知的財産権、特に著作権が発生する場合、その処理について規定しておきます。

具体的には、(準)委任型のソフトウェア(プログラム・システム・アプリ)開発の業務委託契約が該当します。

一般的な業務委託契約では、受託者(受任者)から委託者(委任者)に対し、著作権が譲渡、つまり委託者(委任者)による買取りとされることが多いです。

買取りといっても、対価は、委託業務の報酬に含まれることがほとんどで、著作権の対価が別途規定されることはほとんどありません。

この他、著作権の処理につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

業務委託契約(請負契約)で著作権はどのように発生・帰属・譲渡・処理をする?

使用許諾=ライセンス契約

この他には、譲渡ではなく、使用許諾とする場合もあります。

つまり、著作権等の権利は受託者(受任者)に残しつつ、委託者(委任者)には著作権等の使用を許諾する、ということです。

このような、知的財産権の使用許諾の契約のことを、「ライセンス契約」といいます。

業務委託契約で知的財産権を使用許諾とする場合は、業務委託契約の一部として、ライセンス契約の内容も規定することになります。

ただ、ライセンス契約は、契約実務でも特に難しい種類の契約です。

このため、請負型のソフトウェア(プログラム・システム・アプリ)開発の業務委託契約における、いわゆる「モジュール」の使用許諾など、限られた場面でしか、知的財産権を使用許諾とすることはありません。

取適法・フリーランス保護法では知的財産権の譲渡・使用許諾は4条明示や3条通知の必須記載事項

なお、取適法やフリーランス保護法が適用される業務委託契約の場合において、著作権を含む知的財産権が発生するときは、その譲渡・使用許諾について、4条明示や3条通知に記載しなければなりません。

(途中省略)また、主に、情報成果物作成委託に係る作成過程を通じて、情報成果物に関し、中小受託事業者の知的財産権が発生する場合において、委託事業者は、情報成果物を作成させるとともに、作成の目的たる使用の範囲を超えて知的財産権を自らに譲渡・許諾させることを「中小受託事業者の給付の内容」とすることがある。この場合は、委託事業者は、「中小受託事業者の給付の内容」の一部として、中小受託事業者が作成した情報成果物に係る知的財産権の譲渡・許諾の範囲を明示する必要がある。

(途中省略)また、委託に係る業務の遂行過程を通じて、給付に関し、特定受託事業者の知的財産権が発生する場合において、業務委託事業者は、目的物を給付させる(役務の提供委託については、役務を提供させる)とともに、業務委託の目的たる使用の範囲を超えて知的財産権を自らに譲渡・許諾させることを「給付の内容」とすることがある。この場合は、業務委託事業者は、3条通知の「給付の内容」の一部として、当該知的財産権の譲渡・許諾の範囲を明確に記載する必要がある。

ポイント
  • 著作権を含む知的財産権が発生する業務委託契約では、譲渡や使用許諾等、必ず著作権の取扱いを業務委託契約書を作成して明記する。





契約条項・ポイント10:再委託・再委任

(準)委任契約では再委託・再委任は原則としてできない

準委任契約で重要な契約条項・ポイントの10点目は、再委託・再委任です。

(準)委任契約では、契約当事者の信頼関係がベースにあるため、原則として、受託者(受任者)自身が、受託した業務を実施しなければなりません。

このため、受託者以外の第三者に対する委託業務の再委託・再委任は、原則としてできません(民法第644条の2第1項)。

民法第644条の2(復受任者の選任等)

1 受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。

2 (省略)

以上のとおり、「委任者の許諾を得たとき」か「やむを得ない事由があるとき」でなければ、再委託・再委任はできません。

ただし、これは、「委任者(=委託者)の許諾を得たとき」や「やむを得ない事由があるとき」は再委託・再委任ができる、ということでもあります。

再委託・再委任を認める場合は業務委託契約書に特約として明記する

以上のように、(準)委任型の業務委託契約では、再委託・再委任はできません。

ただ、一般的な企業間取引においては、取引内容や業界の慣習によっては、再委託・再委任は、よくおこなわれています。

このため、特に受託者(受任者)の立場として、再委託・再委任を認めて欲しい場合は、特約として、その旨を業務委託契約に規定する必要があります。

このほか、再委託・下請負につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

業務委託における再委託・下請(外注)の許可・禁止条項とは?

ポイント
  • (準)委任契約では、受託者(受任者)本人が委託業務を実施するのが原則。





契約条項・ポイント11:契約解除・中途解約

(準)委任型の業務委託契約はいつでも解除できる

準委任契約で重要な契約条項・ポイントの1点目は、契約解除(中途解約)に関する規定です。

(準)委任契約では、契約当事者は、いつでもが契約解除ができます。

民法第651条(委任の解除)

1 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。

2 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。

(1)相手方に不利な時期に委任を解除したとき。

(2)委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。

ここでいう、「いつでも」というのは、時期に限らず、特別な理由が必要がない、という意味です。

ただ、上記の規定の第2項にあるとおり、相手方にとって不利な時期に解除した場合は、損害賠償責任が発生します。

契約解除権は制限できない可能性がある

企業間取引の業務委託契約において、「いつでも解除できる」というのは、非常に困った話です。

確かに、民法第651条第2項には、解除された側に損害賠償請求権が認められていますが、それ以外に対処はないのでしょうか?

ひとつ考えられる方法は、特約として、この契約解除権に制限をかける条項を業務委託契約に規定する、ということです。

ただ、このような、(準)委任契約の解除権に制限をかける特約が有効かどうかは、判例や学説も定まっておらず、有効か無効かは、明確ではありません。

このため、仮に、(準)委任契約の解除権に制限をかける規定を契約書に記載したとしても、必ずしも有効となるとは限りません。

なお、この他の(準)委任契約の契約解除権については、詳しくは、以下のページをご覧ください。

(準)委任契約の契約解除権とは?「いつでも」解約できるとは?

ポイント
  • (準)委任型の業務委託契約では、契約当事者は、いつでも自由に契約解除ができてしまう。
  • 仮に業務委託契約書を作成して自由な契約解除権を制限したとしても、その制限自体が無効となる可能性がある。





(準)委任契約の関連ページ