こんにちは。契約書作成専門・小山内行政書士事務所代表の小山内です。

このページでは、コンサルティング契約書のポイントについて、簡単にわかりやすく解説しています。

コンサルティング契約は、法律上は、明確な定義はありません。

このため、契約内容を自由に設定できる反面、すべての契約条項を詳細に契約に規定しなければなりません。

コンサルティング契約は、成果を巡って、クライアントとトラブルになることが多いため、特に契約内容は気をつけなければなりません。

実際のコンサルティング契約では、コンサルティング契約書の記載内容によって、コンサルティング契約やコンサルティング業務の内容を明確に定義づけることが、非常に重要となります。

このページでは、こうしたコンサルティング契約のポイントや内容について、全般的にわかりやすく解説しています。

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コンサルティング契約とは?

【意味・定義】コンサルティング契約とは?

一般的なコンサルティング契約は、受託者(経営コンサルタント)からの知識・情報・ノウハウ・助言=コンサル内容=コンサルティング業務の提供があり、これらのコンサル内容の提供の対価として、委託者(クライアント)からの金銭の支払いがある契約です。

コンサルティング契約の定義

コンサルティング契約とは、一般に、経営コンサルタント・コンサルティングファームから、クライアントに対し、知識・情報・ノウハウ・助言の提供=コンサルティング業務があり、その対価として、クライアントから報酬・料金が支払われるもの。

ただし、これは、あくまで一般的な意味での定義であり、民法などの法律にもとづく定義ではありません。

実際には、ひとくちに「コンサルティング契約」「コンサルティング業務」といっても、内容は様々です。

このため、コンサルティング契約の実務では、コンサルティング契約書で、契約内容を詳細に規定することが重要となります。

このほか、コンサルティング契約の定義につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

コンサルティング契約とは?意味・定義について解説

【重要な契約条項1】コンサルティング業務の内容

コンサルティング業務の内容は、クライアントにとっても、また、経営コンサルタントにとっても、非常に重要な契約条項のひとつです。

そもそも、コンサルティング業務は形がないものであり、その性質上、事前にすべての業務内容を明らかにすることは、事実上不可能です。

このため、どうしてもクライアントと経営コンサルタントとの間で、コンサルティング業務の内容=「何をしてくれるのか」「何をするのか」について、認識がズレるリスクがあります。

こうした認識のズレによるトラブルを防ぐためには、コンサルティング契約書で、いかに詳細・明確に業務内容を規定するかが重要となります。

なお、この点につきましては、非常に重要な点であるため、以下の別のページで詳しく解説しています。

コンサルティング契約における業務内容(提案書・企画書・見積書)の決め方・規定のしかた・書き方とは?

【重要な契約条項2】コンサルティング業務の提供方法・回数等

特に月額固定方式(顧問方式)の料金体系では要注意

コンサルティング契約では、業務内容と並んで、業務の提供方法や回数などもまた、重要となります。

これは、特に一般的なコンサルティング契約、つまり、知識・情報・ノウハウ・助言が提供されるコンサルティング契約で、問題となることがあります。

後で触れる報酬・料金・委託料の計算方法にもよりますが、こうしたコンサルティング契約であっても、料金体系がタイムチャージ方式(従量制)の場合、あまり問題となることはありません。

これに対して、料金体系が月額固定方式(顧問方式)の場合は、提供方法や回数が限定されていないと、トラブルになる可能性があります。

時間や回数でクライアントと経営コンサルタントとで利害が対立する

月額固定方式(顧問方式)では、次のとおり、クライアントと経営コンサルタントの間で、利害が対立します。

クライアントと経営コンサルタントの利害対立

月額固定方式(顧問方式)では、次のとおり、クライアントと経営コンサルタントの利害が対立する。

  • クライアント側:コンサルティングの時間や回数が多いほど、回数・時間あたりの報酬・料金・委託料=費用が安くなる。
  • 経営コンサルタント側:コンサルティングの時間や回数が少ないほど、回数・時間あたりの報酬・料金・委託料=利益が高くなる。

このため、一般的なコンサルティング契約では、月額固定方式(顧問方式)とする場合は、コンサルティング業務の提供の回数や時間に制限があります。

または、制限を越えた場合、料金料金がタイムチャージ方式(従量制)に切り替わるようにします。

コンサルティング業務の提供方法も決めておく

回数や時間以外で重要となるのが、コンサルティング業務の提供方法です。

これも、特に一般的なコンサルティング契約、つまり、知識・情報・ノウハウ・助言が提供されるコンサルティング契約で、問題となることがあります。

通常、こうしたコンサルティング業務の提供は、訪問(対面)、電話(Skype等のIP電話)、メール、チャットツールなどにより提供されます。

これも、提供される時間帯、レスポンス(返答・返信)の早さ、使うツールなど、契約書に規定するかどうかは別としても、ある程度は決めておくべきものです。

特に、経営コンサルタント側としては、クライアントの窓口が中小企業の経営者や個人事業者ともなると、真夜中に電話がかかってくる、ということにもなりかねません。

コンサルティング業務の提供の方法・回数等の具体例

コンサルティング業務の提供方法・提供回数の具体例

特に経営コンサルタントの側は、次の例のようにコンサルティング業務の提供方法・提供回数などを明確にしておく。

  • 訪問相談は毎月1回。1回あたり2時間まで。事前予約必須。
  • 電話・SkypeなどのIP電話での相談は毎月3回、1回あたり1時間まで。事前予約必須。営業時間内に限る。
  • 電子メール・チャットツールでの相談は毎月10往復まで。
  • 規定以上の相談の場合は別途見積もり。または回数・時間に応じてタイムチャージ。
  • (かなり高額な報酬・料金・委託料の場合や成果報酬型のコンサルティング契約の場合)訪問相談・電話相談無制限。ただし事前予約制。
  • (フルコミット型のコンサルティング契約の場合)委託者(クライアント)の事業所に常駐し、営業時間内は無制限にコンサルティング業務を提供。
  • (調査報告や成果物の作成がコンサル内容の場合)そもそも委託者(クライアント)からの相談は受付けず、成果物の提出だけがコンサルティング業務。

以上の内容は、あくまで一例に過ぎませんので、それぞれの経営コンサルタントによって、サービスの提供方法・回数は様々です。

ポイント

特に経営コンサルタントの側は、月額固定方式(顧問方式)こコンサルティング契約とする場合、コンサルティング業務の提供方法・回数等を明確に決めていないと、際限なくクライアントからコンサルティング業務の提供を求められる。

【重要な契約条項3】契約形態

コンサルティング契約は準委任契約か請負契約のいずれか

すでに触れたとおり、コンサルティング契約は、法律上の定義がない契約です。ただ、一般的には、民法上の準委任契約か請負契約のいずれかに該当します。

多くのコンサルティング契約では、経営コンサルタントによる、助言・知識・情報の提供があります。

この場合、コンサルティング契約は、民法上の準委任契約に該当します(民法第656条)。

委任契約・準委任契約とは?―(準)委任型の業務委託契約のポイント・当事者の権利義務を解説

また、例外として、一部のコンサルティング契約では、成果物の完成を目的としたものもあります。

この場合、コンサルティング契約は、民法上の請負契約に該当します(民法第632条)。

請負契約とは?―請負型の業務委託契約のポイント・当事者の権利義務を解説

コンサルティング契約書には、こうした契約形態について、しっかりと明記します。

準委任契約か請負契約ので責任の性質が変わってくる

準委任契約と請負契約は、外形的にはどちらも似たような業務を提供しているように見えますが、その法的な性質は、まるで違ってきます。

特に、経営コンサルタント側の責任の性質に大きな違いがあります。

準委任契約と請負契約の違いにつきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

【保存版】請負契約と(準)委任契約の13の違い

また、コンサルティング契約における準委任契約と請負契約につきましては、「コンサルティング契約は契約形態(準委任契約・請負契約)が重要」をご覧ください。

ポイント

  • 一般的なコンサルティング契約は、民法上の準委任契約か請負契約のどちらか。
  • いずれにしても、コンサルティング契約書に準委任契約か請負契約のどちらなのかを明記しておく。

【重要な契約条項4】報告義務

経営コンサルタントの側に報告義務が課される

一般的なコンサルティング契約では、経営コンサルタントに対する報告義務が課されることが多いです。

これは、当然ながら、クライアントの窓口や責任者が、クライアント業務やプロジェクトの進捗について把握するためです。

また、従業員の研修・教育などが目的のコンサルティング業務の場合は、効果測定のためでもあります。

もちろん、規模の小さな案件の場合、中小・零細企業の社長が窓口になる場合、個人事業者がクライアントの場合は、それほど厳密に規定する必要はありません。

定期報告・契約終了時の報告を規定する

報告には、定期報告と随時報告があります。

定期報告・随時報告

  • 定期報告:週次・月次の報告や契約終了時の報告のように、時期が決まっている報告。
  • 随時報告:クライアントからの請求があった場合におこなわれる報告。

いずれの場合も、時期・回数・報告内容などをコンサルティング契約の内容として規定しておきます。

この規定は、経営コンサルタントに課される義務ではありますが、同時に、過剰な報告の要求がないようにすることで、経営コンサルタントの負担を限定するものでもあります。

準委任契約型の場合は民法上の報告義務がある

なお、準委任契約型のコンサルティング契約の場合は、次のとおり、民法上、経営コンサルタントの側に報告義務が課されています。

民法第645条(受任者による報告)

受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。

この規定にあるとおり、報告しなければならないのは、「委任者(=クライアント)の請求があるとき」と「委任が終了した後」です。

このため、コンサルティング契約において、仮に報告義務について何も規定していなかったとしても、クライアントからの請求があった場合は、経営コンサルタントは、クライアントに対して、報告をしなければなりません。

ポイント

  • 一般的なコンサルティング契約では、経営コンサルタントに報告義務が課される。
  • 準委任契約型のコンサルティング契約であれば、民法上も、経営コンサルタントの側に報告義務がある。
  • コンサルティング契約では、報告の時期・回数・報告内容などを規定する。

【重要な契約条項5】成果物の作成

一部のコンサルティング契約では、成果物の作成が主要な目的となる場合があります。

例えば、なんらかの調査報告書・レポート(調査が主要な目的ともいえますが)や、業務マニュアルなどが該当します。

このようなコンサルティング契約の場合は、成果物の作成について、契約書で規定しておきます。

特に、(業務内容とも重複しますが)どのような成果物を作成するのかについては、非常に重要です。

こうした成果物の内容については、コンサルティング契約書を起案する時点で、なるべく明確に規定しておくべきです。

【重要な契約条項6】コンサルティング業務のスケジュール・成果物の納入

いわゆる「納期」を設定する

コンサルティング業務やコンサルティング契約がどのようなものであれ、スケジュールは、事前に決めておきます。

このスケジュールが、コンサルティング契約では、コンサルティング業務の実施期日または実施期限(=いわゆる「納期」)となります。

実施期日(特定の日に実施されるものか)か、実施期限(特定の日”まで”に実施されるものか)コンサルティング業務の性質によって、違ってきます。

ちなみに、スケジュールについて、提案書・企画書・見積書などで具体的に決まっている場合は、コンサルティング契約書に、これらを別紙として添付します。

こうすることで、改めて実施期日・実施期限について規定する必要がなくなります。

具体的な期日・期限が決められない場合は手続きを規定する

なお、長期間の継続的なコンサルティング契約の場合、具体的な期日・期限を決められない場合があります。

この場合は、具体的な期日・期限を決める手続きや、「コンサルティング業務を実施する期日・期限を決めるための」期日・期限を設定します。

例えば、翌月のコンサルティング業務の実施期日・期限を、前月の末日までに決める、という内容にします。

あるいは、長期の計画が必要な場合は、下半期のスケジュールについては、8月中に確定させる、という内容にします。

成果物の作成がある場合は納入期限を設定する

また、成果物の作成があるコンサルティング契約の場合は、一般的な成果物の作成に関する請負契約や売買契約と同様に、納入期限を設定します。

この際、特殊な方法で納入するべき成果物がある場合は、納入方法なども規定します。

具体的には、機密性が高い・センシティブな情報、容量が多いデータ、取扱いが難しい物体のサンプルなどが該当します。

このような成果物を取扱うコンサルティング契約では、納入・受領の手続き、つまり納品書の引渡しや受領書の交付などを規定することもあります。

なお、一般的な業務委託契約における納入・納期については、詳しくは、以下のページをご覧ください。

業務委託契約の納期(納入期限・納入期日)・作業期間とは?条項の規定のしかた・書き方・作り方は?

所有権の移転についても明記する

さらに、場合によっては、成果物の作成があるコンサルティング契約では、所有権の移転についても規定します。

これは、成果物そのものが有体物(実体のある物体)であり、かつ、財産的な価値がある場合は、特に重要です。

所有権の移転につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

業務委託契約の所有権の移転の時期とは?条項の規定のしかた・書き方・作り方は?

ポイント

  • コンサルティング契約では、コンサルティング業務のスケジュール(業務実施の日や成果物の納期)を規定する。
  • 具体的なスケジュールを決められない場合は、スケジュールを決める手続きを規定する。
  • 成果物の納入がある場合は、所有権の移転も明記する。

【重要な契約条項7】コンサルティング業務・成果物の検査

検査対象とするべきコンサルティング業務・成果物とは?

一般的なコンサルティング契約では、コンサルティング業務について、検査をするということは、めったにありません。

というのも、一般的なコンサルティング契約は、成果を保証するようなタイプの契約ではありません。

このため、そもそも、コンサルティング業務について、合格・不合格を判定する検査の必要がありません。

ただし、次のような、一部のコンサルティング契約では、検査の必要があります。

検査が必要なコンサルティング業務

  • 成果報酬型のコンサルティング契約
  • 成果物の作成(例:業務マニュアル等)が主要目的であるコンサルティング契約

このようなコンサルティング契約では、コンサルティング業務について、検査を実施します。

なるべく事前に検査基準を明らかにする

合格・不合格が判断つかない場合にトラブルとなる

検査を実施する際、明らかに合格の場合は、特にトラブルにはなりません。

また、よほど悪質な経営コンサルタントでない限り、明らかに不合格なコンサルティング業務を実施するようなことはありません。

問題は、合格か不合格かの判定がつきにくいようなコンサルティング業務が実施された場合です。

このような場合、当然ながら、クライアントとしては、不合格としてやり直しを請求したがりますし、経営コンサルタントとしては、合格として業務を終了したがります。

合格となる客観的な検査基準を設定する

こうした問題は、明確な検査基準がないからこそ発生します。

逆に、客観的に判定できる検査基準があれば、合格か不合格かを巡って、トラブルになる可能性は低くなります。

このため、成果報酬型のコンサルティング契約では、検査基準という名目かどうかは別として、必ず成果の判定基準を規定します。

また、成果物の作成が主な目的のコンサルティング契約でも、できればコンサルティング契約を起案した際に、契約内容として、検査基準を規定します。

遅くとも、成果物の納入がある前には、クライアントと経営コンサルタントが合意のうえで、検査基準を決めるよう、契約条項として規定するべきです。

この他、一般的な業務委託契約における検査につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

業務内容が業務実施後・納入後の検査に与える3つの影響

業務委託契約の検査(検査項目・検査方法・検査基準)とは?条項の規定のしかた・書き方・作り方は?

検査期日・検査期限を決めておく

検査期日・検査期限は「いつまでも検査しない」を防ぐ

なお、コンサルティング契約で検査がある場合、特に経営コンサルタントの側として気をつけるべき点は、検査期日・検査期限です。

これらは、文字どおりの意味で、検査期日は、検査を実施する期日であり、検査期限は、検査を実施する期限のことです。

こうした検査期日や検査期限をコンサルティング契約で規定しておかないと、クライアントが、「いつまでたっても検査をしない」ということがあります。

このため、経営コンサルタントとしては、コンサルティング契約に検査に関して規定する場合は、必ず検査期日・検査期限をセットで規定するようにしてください。

この他、一般的な業務委託契約における検査期日・検査期限と手続きにつきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

業務委託契約の検査期間・検査期限と検査手続きとは?条項の規定のしかた・書き方・作り方は?

検査期日・検査期限は三条書面の必須記載事項

なお、コンサルティング契約が下請法の適用対象となる場合、検査期日・検査期限は、いわゆる「三条書面」の必須記載事項です。

このため、こうしたコンサルティング契約の場合、親事業者=クライアントは、コンサルティング契約書に、必ず検査期日・検査期限を記載しなければなりません。

下請法が適用されるかどうかにつきましては、以下のページをご覧ください。

下請法が適用される4つの業務委託契約のパターン

下請法が適用される場合、理屈のうえでは、委託者(クライアント)=親事業者が、コンサルティング契約書を作成しなければなりません。

なお、三条書面につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

下請法の三条書面とは?―業務委託契約書の12の必須事項

ポイント

  • 成果報酬型のコンサルティング契約や成果物の納入があるコンサルティング契約では、検査についても規定する。
  • 単に検査について規定するだけではなく、できれば検査方法・検査基準についても規定する。
  • 特に経営コンサルタントの側は、検査の期日・期限についても忘れずに規定する。

【重要な契約条項8】コンサル内容の知的財産権の譲渡・使用許諾

コンサルティング業務の内容の権利は経営コンサルタントのもの

コンサルティング契約の定義のページで詳しく触れていますが、コンサルティング契約の本質は、クライアントにとって有用な知的財産の創造、開示、譲渡・使用許諾です。

コンサルティング契約とは?意味・定義について解説

どのようなコンサルティング業務であれ、経営コンサルタントによって、新たな知的財産(多くの場合は著作物か営業秘密≒ノウハウ)が創造され、クライアントに開示されます。

新たに創造されないにしても、少なくとも、すでに保有している知的財産が、クライアントにとって有用となるように、加工され、または組み合わされて、開示されます。

著作物営業秘密に関しては、詳しくは、それぞれ以下のページをご覧ください。

著作権・著作物・著作者人格権とは?業務委託契約との関係をわかりやすく解説

営業秘密の定義・要件・具体例とは?―業務委託契約との関係をわかりやすく解説

コンサルティング業務の内容はクライアントが勝手に使えない

こうした知的財産に関する知的財産権(=多くの場合は著作権または営業秘密に関する権利)は、なにも権利処理をしないと、経営コンサルタントが保有します。

知的財産権の制度は、知的財産そのものと、知的財産を創造する者・行為を強力に保護する制度です。

このため、たとえクライアントが報酬・料金・委託料を支払ったとしても、当然には、クライアントに知的財産権が譲渡されたり、使用許諾されたりしません。

つまり、クライアントとしては、報酬・料金・委託料を支払ったとしても、当然に、経営コンサルタントから提供されたコンサルティング業務の内容を使っていいことはなりません。

知的財産権の譲渡・使用許諾はクライアントにとって最も重要な条項

必ずコンサルティング契約には知的財産権の権利処理について規定する

このように、コンサルティング業務の結果として生じた知的財産権について、譲渡または使用許諾がない場合、クライアントは、その知的財産権を使用できません。

ですから、特にクライアントの側は、こうした知的財産権について、譲渡または使用許諾を受けるよう、コンサルティング契約の内容として規定しておく必要があります。

知的財産権の譲渡・使用許諾については、経営コンサルタントとしては、一方的に不利な内容となるため、まずコンサルティング契約に規定しません。

このため、クライアント側の立場の場合は、特に積極的にコンサルティング契約書確認し、知的財産権の取扱いがない場合は、修正してもらうように要求するべきです。

コンサルティング契約終了後も使用できるか

また、特に忘れがちなのが、契約終了後も、クライアントの側が、コンサルティング業務の内容である知的財産権を使用できるかどうかです。

当然ながら、こうした知的財産権の譲渡を受けた場合は、クライアントは、契約終了後も、その知的財産権を使用できます。

ところが、知的財産権の譲渡を受けるのではなく、使用許諾を受ける場合は、理屈のうえでは、コンサルティング契約が終了した後は、その使用許諾も終了してしまいます。

使用許諾が終了するということは、クライアントの側は、こうした知的財産権を使用できなくなる、ということを意味します。

このため、知的財産権の権利処理を譲渡ではなく、使用許諾とする場合は、クライアントの側は、契約終了後も知的財産権を使用できるよう、知的財産権の使用許諾の条項を、いわゆる「残存条項」とするようにします。

ポイント

  • コンサルティング業務の実施で創造された知的財産の知的財産権は、あくまで経営コンサルタントの権利。
  • これらの知的財産権は、クライアントは、当然には勝手に使えない。
  • 特にクライアントの側は、コンサルティング契約に、コンサルティング業務によって創造された知的財産権の譲渡または使用許諾について、必ず規定する。
  • 知的財産権を使用許諾とした場合、クライアントの側は、契約終了後も知的財産権が使用できるような契約内容とする。

【重要な契約条項9】費用負担

準委任契約型はクライアント負担・請負契約型は経営コンサルタント負担

コンサルティング契約の費用負担は、準委任契約型なのか、請負契約型なのかによって、違います。

準委任契約型のコンサルティング契約では、費用は、民法第649条および第650条により、クライアントの負担となります。

民法第649条(受任者による費用の前払請求)

委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない。

民法第650条(受任者による費用等の償還請求等)

1 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。

2 (以下省略)

これに対し、請負契約型のコンサルティング契約では、特に民法上の直接的な規定はありませんが、「仕事を完成させる」義務がある、経営コンサルタントの負担となります。

なるべく費用の負担当事者と金額・計算方法を決めておく

原則は経営コンサルタントの負担・一部例外はクライアントの負担

ただし、これは、あくまで民法上の原則の話です。

一般的なコンサルティング契約では、費用負担について、民法とは異なる内容を規定します。

具体的には、通常は、原則として、費用は経営コンサルタントの負担としたうえで、例外として、一部の費用をクライアントの負担とします。

このような契約内容のコンサルティング契約書を作成することで、民法とは異なる費用負担とすることができます。

費用の漏れがない書き方にする

費用負担の規定のいい書き方・具体例

費用負担の書き方のポイントは、一部の費用負担はクライアントとしつつ、それ他の費用負担はすべて経営コンサルタントの負担とするように規定することです。

具体的には、次のように規定します(甲:経営コンサルタント、乙:クライアントの場合)。

記載例・書き方

第○条(費用負担)

1 次の各号のコンサルティング業務の実施に要する費用については、乙の負担とする。

(1)交通費

(2)宿泊費

2 前項各号の費用以外のコンサルティング業務の実施に要する費用については、甲の負担とする。

(※便宜上、個々の費用の項目の表現は簡略化しています)

この規定の場合、交通費と宿泊費はクライアントの負担であり、他の費用については、当初想定していなかったものも含めて、経営コンサルタントの負担となります。

ただし、あとで触れますが、「交通費」「宿泊費」の定義や上限を規定しておかないと、その解釈を巡ってトラブルになります。

費用負担の規定の悪い書き方・具体例

このような規定ではなく、費用について、クライアント・経営コンサルタントの双方の負担する項目をそれぞれ規定すると、記載漏れの費用が発生した際にどちらが負担するのか、トラブルになります。

具体的には、次のような規定が問題となります(甲:経営コンサルタント、乙:クライアントの場合)。

記載例・書き方

第○条(費用負担)

1 次の各号のコンサルティング業務の実施に要する費用については、甲の負担とする。

(1)飲食代

(2)通信費

2 次の各号のコンサルティング業務の実施に要する費用については、乙の負担とする。

(1)交通費

(2)宿泊費

(※便宜上、個々の費用の項目の表現は簡略化しています)

このように規定した場合、飲食代・通信費については、経営コンサルタント負担、交通費・宿泊費についてはクライアント負担という点は問題はありません。

ただ、これら以外に費用が発生した場合に、どちらの負担となるのかが不明です。

このため、このような規定とするべきではありません。

費用の定義を明記する

なお、実際のコンサルティング契約書の費用は、もっと詳細に定義づける必要があります。

というのも、すでに触れたような「宿泊費」や「交通費」では、幅がありすぎて、解釈を巡って、契約当事者間で揉める可能性があります。

例えば、宿泊費といっても、カプセルホテルや民泊のような安価なものから、それこそスイートルームまで、非常に大きな幅があります。

同様に、交通費についても、電車ひとつとっても、各駅停車から新幹線までありますし、距離がある場合は飛行機を使ってもいいのか、座席のグレードはどうなのか、という問題まであります。

このように、費用を分担する場合は、費用の定義・範囲は、一般的な会計用語のレベルではなく、より詳細な定義とするべきです。

金額・計算方法や上限による設定も検討する

こうした費用の項目を検討する際、項目そのものを詳細に定義づける方法もありますが、他の方法もあります。

具体的には、金額や計算方法を指定する方法や、変動する可能性がある金額については、上限を設定する方法です。

例えば、電車の運賃のように、比較的金額や計算方法がわかりやすいものであれば、金額を固定して契約書に記載することあがります。

また、宿泊費のように、施設によって金額が変わる場合は、実費負担としたうえで、上限を設定することもあります。

このほか、費用負担につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

業務委託契約の費用負担とは?条項の規定のしかた・書き方・作り方は?

ポイント

  • コンサルティング契約には、費用について、「誰が」「何を」負担するのか、明記しておく。
  • 費用の負担については、漏れがないように、特定の費用をどちらかの当事者が負担し、それ以外の費用を残りの当事者が負担するように規定する。
  • 費用の定義を明確に規定する。
  • 費用は、金額を固定して規定するか、計算方法を規定する。
  • 場合によっては、金額の上限も設定する。

【重要な契約条項10】報酬・料金・委託料の金額・計算方法

報酬・料金・委託料の金額・計算方法は3種類

コンサルティング契約の報酬・料金・委託料の計算方法は、おおまかに分けて、次の3種類があります。

コンサルティング契約の料金体系

  • タイムチャージ方式(従量制)
  • 月額固定方式(顧問方式)
  • プロジェクト方式(成功報酬・成果報酬を含む)

以下、詳しく説明していきます。

【料金体系1】タイムチャージ方式(従量制)

タイムチャージ方式は、サービス提供時間と単価を積算して、報酬・料金・委託料が算出される料金体系です。

時間の量に応じて金額が算出される点では、従量制であるともいえます。

タイムチャージ方式では、「サービス提供時間」の定義が重要です。例えば、移動時間を含めるのかどうかが問題となります。

特に、経営コンサルタントによる遠方への出張がともなう場合に問題となります。

また、単価については、夜間、早朝、営業日以外の日など、時間帯によって異なるかどうかを明記します。

【料金体系2】月額固定方式(顧問方式)

月額固定方式(顧問方式)は、一定期間あたり(ほとんどの場合は1ヶ月)の報酬・料金・委託料が固定した料金体系です。

いわゆる「顧問契約」の一般的な料金体系=顧問料などが該当します。

この料金体系の場合、すでに触れたとおり、報酬・料金・委託料=顧問料の範囲内で、どのような方法・回数・時間のコンサルティング業務が提供されるのかがポイントです。

こうした点が明確でないと、経営コンサルタントの側は、際限なくクライアントからの要求に応えなければなりません。

【料金体系3】プロジェクト方式(成功報酬・成果報酬を含む)

プロジェクトの内容・定義が重要となる

プロジェクト方式は、特定のプロジェクト単位で、報酬・料金・委託料が固定した料金体系です。

この料金体系もまた、金額が固定しているという点では、すでに触れた月額固定方式(顧問方式)と似たような問題点があります。

つまり、対象となるプロジェクトの内容や定義が明確でないと、経営コンサルタントの側は、際限なくクライアントからの要求に応えなければなりません。

このため、プロジェクト方式の料金体系を採用する場合は、金額も重要ですが、対象となるプロジェクトの内容=業務内容や定義を明記することも重要となります。

成功報酬・成果報酬の場合は成果・成功の定義と計算方法が重要

成功報酬・成果報酬とする場合は、すでに触れたとおり、対象となるプロジェクトの成功・不成功の基準=報酬の発生条件が重要となります。

この基準は、クライアント・経営コンサルタントの双方がどのように解釈しても同じ結論となるように、通常は、客観的な指標=数字で設定します。

また、成果報酬・成功報酬の発生条件を満たした場合、報酬・料金・委託料の計算方法が重要となります(固定金額の場合を除きます)。

典型的な例としては、売上の割合(%)で設定する方法があります。

ただ、売上に関係しないコンサルティング業務の場合は、別の計算方法を設定しなければなりません。

ポイント

コンサルティング契約の料金体系は、タイムチャージ方式(従量制)、月額固定方式(顧問方式)、プロジェクト方式(成功報酬・成果報酬を含む)のいずれか。

【重要な契約条項11】再委託の可否

準委任契約型は再委託できない・請負契約型は再委託できる

民法上の原則では、コンサルティング契約が準委任契約型であれば、再委託はできません。

これは、そもそも準委任契約自体が、委任者=クライアントと受任者=経営コンサルタントとの信頼関係が基本となる契約です。

このため、委任者=クライアントの承諾がない限り、経営コンサルタントは、本来は部外者である第三者に対して、再委託ができません。

これに対し、請負契約型のコンサルティング契約では、「仕事の完成」そのものが目的ですので、誰がその仕事を完成させるかは、問題ではありません。

このため、特に注文者=クライアントの承諾がなくても、経営コンサルタントは、第三者に対して、再委託ができます。

なお、再委託に関する請負契約と委任契約の違いにつきましては、詳しくは、以下のページの中の「【違い6】受託者による再委託」をご覧ください。

【保存版】請負契約と(準)委任契約の13の違い

コンサルティング契約書に再委託の可否を明記する

ただし、これは、あくまで民法上の原則の話です。

実際には、準委任契約型のコンサルティング契約であっても、経営コンサルタントの側は、外部の提携先などに、一部のコンサルティング業務を再委託することもあります。

逆に、請負契約型のコンサルティング契約であっても、クライアントの側は、個人情報の漏えいなどのリスクの懸念があるため、再委託を禁止することがあります。

このように、コンサルティング契約の実態によって、再委託の可否は、民法の規定とは異なります。

このため、通常のコンサルティング契約では、再委託の可否を規定します。

クライアントの承諾がポイント

再委託の条項では、経営コンサルタントが第三者にコンサルティング業務を再委託する際に、クライアントの承諾が必要かどうかがポイントとなります。

この点については、クライアントとしては、事前に承諾を得るように規定するべきです。

他方、経営コンサルタントとしては、事前の承諾がなくても再委託ができるように規定するべきです。

なお、クライアントの承諾の有無に関係なく、再委託先の行動によって発生した損害等の責任は、原則として経営コンサルタントが負わなければなりません。

ただし、クライアントからの「指名」があった場合は別です。

この他、再委託につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

業務委託契約の再委託・下請負とは?条項の規定のしかた・書き方・作り方は?

ポイント

  • 一般的なコンサルティング契約では、実態に応じて、民法上の規定とは異なる形で、再委託の可否を規定する。
  • 再委託ができる場合は、クライアントの承諾が必要かどうかを明確にする。

【重要な契約条項12】秘密保持義務

コンサルティング契約ではセンシティブが情報が開示される

一般的なコンサルティング契約では、少なくとも経営コンサルタントの側に、厳重な秘密保持義務を課します。

コンサルティング業務の内容がどのようなものであれ、一般的なコンサルティング契約では、クライアントから経営コンサルタントに対して、何らかの秘密情報が開示されます。

こうした秘密情報は、企業経営の根幹に関わる、非常にセンシティブな情報であることがあります。

こうしたセンシティブな情報は、外部どころか、場合によっては、役員や従業員にすら、開示・漏えいしてはならない情報であることもあります。

このため、コンサルティング契約では、コンサルティング業務に応じた、経営コンサルタントに対する秘密保持義務が重要となります。

法律上は情報漏えいへの罰則がない

また、現行法では、一般的な経営コンサルタントは、許認可が必要ではないため、ほとんど法律上の規制がありません。

このため、仮に経営コンサルタントがクライアントの秘密情報を漏えいしたとしても、法律上の罰則が課されることは、めったにありません。

このように、情報漏えいがあったとしても、法律による抑止が効かないため、契約にもとづく秘密保持義務が重要となります。

なお、クライアントが保有する個人情報の漏えいがあった場合は、個人情報保護法による行政処分や罰則があります。

また、クライアントの営業秘密の漏えいがあった場合は、不正競争防止法違反となることもあります。

この他、秘密保持義務については、詳しくは、以下のページをご覧ください。

業務委託契約の秘密保持義務・守秘義務とは?条項の規定のしかた・書き方・作り方は?

ポイント

特にクライアントの側は、経営コンサルタントに対して、厳しい秘密保持義務を課すべき。

【重要な契約条項13】利益相反行為・利益相反取引の禁止

【意味・定義】利益相反行為・利益相反取引とは?

コンサルティング契約の中には、経営コンサルタントの利益相反行為・利益相反取引を禁止する条項を規定する場合があります。

一般的な意味での利益相反行為・利益相反取引は、いろんな意味がありますが、コンサルティング契約の場合は、次の意味があります。

利益相反行為・利益相反取引とは?

経営コンサルタントが、クライアントの競合他社=ライバル企業とコンサルティング契約を結ぶこと。

つまり、コンサルティング契約の条項としての「利益相反行為・利益相反取引の禁止」は、経営コンサルタントに対して、クライアントの競合他社とのコンサルティング契約を禁止する、という条項です。

経営コンサルタントのノウハウを独占するための条項

このような、利益相反行為・利益相反取引の禁止の条項を規定する理由は、クライアントが、経営コンサルタントのノウハウを独占したいからです。

言いかえれば、クライアントが、経営コンサルタントのノウハウを競合他社=ライバル企業に使わせたくない、ということです。

確かに、企業経営の観点からすると、わざわざ高い報酬・料金・委託料を支払ってまで、コンサルティング契約を結ぶのは、競合他社=ライバル企業と差別化して、優位に立つためでもあります。

せっかく高い報酬・料金・委託料を支払ってノウハウを得ても、同じノウハウを競合他社=ライバル企業が得てしまえば、差別化にはならず、優位に立つことはできません。

大手企業がクライアントの場合に限る

ただ、経営コンサルタントの側としては、利益相反行為・利益相反取引を禁止されてしまうと、業界ごとに1社しかコンサルティング契約を結ぶことができなくなります。

これでは、経営コンサルタントとしては、よほどの大手企業がクライアントでない限り、事業としては成り立たなくなります。

このため、利益相反行為・利益相反取引の禁止の条項は、一般的なコンサルティング契約ではあまり見かけることはありません。

例外的に、大手コンサルティングファームと大手企業との専属的なコンサルティング契約など、特殊な大型の案件では適用されることがあります。

ポイント

大型のプロジェクトの場合など、一部の特注なコンサルティング契約では、クライアントの側が経営コンサルタントによる競合他社との取引を制限するために、利益相反行為・利益相反取引の禁止を規定する。

【重要な契約条項14】免責・成果の不保証

経営コンサルタントは成果の保証はできない

経営コンサルタントの側にとって、コンサルティング契約において、最も重要な規定が、免責・成果の不保証に関する条項です。

経営コンサルタントが知識・情報・ノウハウ・助言の提供=コンサルティング業務を実施したとしても、クライアントの側には、必ずしも成果が出るとは限りません。

クライアントの側に成果が出るかどうかは、複数の様々な要素があり、コンサルティング業務の実施から得られるものは、その要素のひとつに過ぎません。

もちろん、難しい状態でも成果を出すのが、プロの経営コンサルタントとしての仕事ではありますが、それにも限界があります。

つまり、いくら経営コンサルタントが頑張ったとしても、コンサルティング業務の成果は、保証できるものではありません。

民法上はコンサルティング業務による結果の責任は問われないく

こうした知識・情報・ノウハウ・助言を提供するタイプのコンサルティング契約は、準委任契約型です。

準委任契約では、コンサルティング業務の過程には、責任(善管注意義務)が発生します。

業務委託契約における善管注意義務とは?その定義と4つのポイントを解説

このため、コンサルティング業務の提供の過程で、ミスや手抜きがあれば、責任を問われることになります。

一方で、コンサルティング業務の結果には、責任が発生しません。

このため、コンサルティング契約書で、免責条項や成果の不保証の条項を規定していなかったとしても、民法上は、コンサルティング業務の結果について、責任を問われることはまずありません。

コンサルティング契約書に免責・成果の不保証の条項を規定する

ただ、だからといって、コンサルティング契約に何も規定しないと、クライアントから、成果について保証を求められたり、責任を追求されたり、報酬・料金・委託料の値下げを要求されたりします。

一般的なクライアントは、民法上の経営コンサルタントの責任の有無については、知らないことが多いですから、コンサルティング契約に何も規定がないと、当然、成果の保証を求めます。

逆に、こうした責任の有無について詳しいクライアントであれば、なおさら、明確に免責・成果の不保証の規定がないことを利用して、成果の保証を求めます。

このため、コンサルティング契約書を作成する際は、必ず免責規定や成果の不保証の規定を明記しておきます。

成果の保証は成功報酬・成果報酬か返金保証で対応する

コンサルティング業務の成果は保証できない

ただ、経営コンサルタントとしては、集客の手段として、なんらかの形で成果を保証したい場合もあると思います。

この場合は、コンサルティング契約の契約条項として成果の保証を規定するのではなく、成果報酬か返金保証で対応するべきです。

すでに触れたように、コンサルティング契約では、いくら経営コンサルタントが頑張ったところで、必ず成果が出る、ということはありません。

にもかかわらず、契約条項として成果の保証を規定しまった場合、現実に成果が出なかったときは、クライアントとの間でトラブルになります。

成功報酬・成果報酬か返金保証で成果を保証する

このため、実際のコンサルティング契約では、成功報酬・成果報酬か、報酬・料金・委託料が先払いの場合は返金保証で対応します。

成功報酬・成果報酬と返金保証は、事実上の「成果保証」となりますので、集客の際のアピールとなります。

なお、成功報酬・成果報酬とする場合も、返金保証とする場合も、報酬・料金・委託料の発生条件や返金条件が重要となります。

というのも、これらの発生条件や返金条件が満たされているかどうかを巡って、クライアントとトラブルになるからです。

このため、コンサルティング契約書には、成功報酬・成果報酬や返金保証の条件を客観的に判定できるように、条件の基準(できればなんらかの指標・数字で)を明記します。

  • 経営コンサルタントの側は、コンサルティング契約において、コンサルティング業務の実施について、免責・成果の不保証について、必ず規定する。
  • 成果を保証したい場合は、成功報酬・成果報酬とするか、または返金保証で対応する。

【重要な契約条項15】損害額の予定

長期間のコンサルティング契約では中途解約が問題となる

コンサルティング契約は、契約途中で解約されることがあります。

この際、経営コンサルタントの側として困るのが、クライアントの側の都合で中途解約される場合です。

月次の顧問契約などのように、特に計画がない単純なコンサルティング契約であれば、それほど大きな問題とはなりません。

しかし、長期間の計画を立ててコンサルティング業務を実施している場合、その期間は、リソースの都合上、他のクライアントの受け入れを制限します。

このため、経営コンサルタントの側にとっては、売上に支障がでます。

中途解約の制限は現実的ではない

この点について、中途解約自体を制限することは、法律上は可能ではありますが、現実的ではありません。

通常、クライアント側の都合でコンサルティング契約を解約するということは、何らかの事情で、コンサルティングを受けられない、あるいは受けたくない、ということを意味します。

こうした状態であるにもかかわらず、無理やりコンサルティング業務を継続するのは、クライアントにとっても、経営コンサルタントにとっても、経営資源の無駄遣いでしかありません。

このため、特に長期間の計画的なコンサルティング契約では、中途解約を制限するのではなく、中途解約があった場合に、経営コンサルタント側が、何らかの形で補償を受けられるようにします。

中途解約の際に報酬・料金・委託料が「返金されない」ことを規定する

一般的なコンサルティング契約では、中途解約があった場合の補償として、報酬・料金・委託料の返金がないことを規定します。

これは、法的には、中途解約によって発生した、経営コンサルタントの側の逸失利益=(特別)損害の賠償をあらかじめ決めておく、ということになります。

このように、損害の賠償をあらかじめ決めておくことを、民法上は「損害額の予定」といいます。

民法第420条(損害額の予定)

1 当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。

2 賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。

3 違約金は、賠償額の予定と推定する。

クライアント側は減額を交渉するべき

なお、クライアントの側としては、自らの都合による中途解約であったとしても、部分的に返金してもらうよう、交渉するべきです。

というのも、中途解約となった場合に経営コンサルタントが被る損害は、逸失利益とすでに負担した(または将来負担することが確定している)費用です。

これらを合計したとしても、残りの契約期間の報酬・料金・委託料の全額には満たないはずです。

少なくとも、中途解約によって、残りの契約期間は、経営コンサルタントはコンサルティング業務をしなくてもよくなったわけですから、その分は負担がなくなっています。

このため、中途解約によって、負担が軽減した分や、負担しなくてもよくなった経費の分などは、返金してもらえるように、契約交渉をするべきです。

ポイント

  • 経営コンサルタントの側は、想定外の中途解約に備えて、コンサルティング契約において、報酬・料金・委託料について、「返金されない」ことを規定しておく。
  • クライアントの側は、中途解約をする場合に、一部でも返金を認めてもらえるように、コンサルティング契約を結ぶ前に交渉する。