製造請負契約書は、製造業者である請負人(受託者)が、物品・製品の製造を請負い、注文者(委託者)が、その対価として、報酬・料金・委託料を支払う契約です。
製造請負契約は、「有償で物を作る契約」という、ある意味非常にシンプルな契約です。
ただ、知的財産権の問題や、製造物責任などが関係してくるため、通常は、しっかりと作り込まれた契約書が使われる契約です。
このページでは、こうした製造請負契約のポイントや内容について、全般的にわかりやすく解説しています。
なお、請負契約の基本的な解説につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
【意味・定義】製造請負契約とは?
製造請負契約とは、文字どおり、物品・製品(有体物)の製造に関する請負契約です。
そして、請負契約は、民法では、以下のように規定されています。
民法第632条(請負)
請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
引用元:民法 | e-Gov法令検索
従って、製造請負契約の定義は、次のとおりです。
【意味・定義】製造請負契約とは?
製造請負契約とは、請負人(受託者)が何らかの物品・製品の製造を完成させること約束し、注文者(委託者)が、その物品・製品の製造の対価として、報酬を支払うことを約束する契約をいう。
このほか、製造請負契約の定義につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
製造請負契約の重要な契約条項一覧
製造請負契約では、次の契約条項が重要となります。
製造請負契約の契約の重要な契約条項
- 契約の目的
- 業務内容=物品・製品の仕様
- 契約形態
- 納期(納入期限・納入期日)
- 納入手続・納入方法・納入場所
- 検査
- 所有権の移転
- 危険負担の移転
- 製造物責任
- 契約不適合責任
- 報酬・料金・委託料の金額・計算方法
- 報酬・料金・委託料の支払期限・支払期日
- 報酬・料金・委託料の支払方法
- 原材料の支給
- 設備等の貸与
- 知的財産権の使用許諾
- 改良発明の取扱い
- 再委託・下請負の可否
- 秘密保持義務
- 契約解除・中途解約
以下、それぞれ詳しく解説していきます。
【重要な契約条項1】契約の目的
「契約の目的」条項は契約の概要を規定する
契約の目的を規定する条項=目的条項は、一般的には、第1条に規定する条項です。
目的条項は、その契約の全体的な概要について規定します。
例えば、製造請負契約の場合は、次のような書き方になります。
【契約条項の書き方・記載例・具体例】請負契約における目的条項
第1条(目的)
本契約は、次の各号の内容について規定することを目的とする。
(1)注文者が請負人に対し物品の製造請負を発注し、請負人がこれを受注すること。
(2)請負人が前号の物品を製造し、注文者に対し、納入すること。
(3)注文者が請負人に対し前号の物品の製造の報酬を支払い、受注者が受領すること。
(※便宜上、表現は簡略化しています)
「契約の目的」条項は信義誠実の原則を規定する条項ではない
よくある話ですが、目的条項に、次のような「信義誠実の原則」を規定することがあります。
【契約条項の書き方・記載例・具体例】請負契約における目的条項
第○条(目的)
甲および乙は、信義誠実の原則に従って、本契約を履行するものとする。
(※便宜上、表現は簡略化しています)
このような規定は、別に規定しても構いませんが、法的には特に意味がありません。
というのも、信義誠実の原則は、民法上の大原則であるため、わざわざ契約で規定しなくても、当然に適用されるものだからです。
逆に、信義誠実の原則だけが規定されていて、契約の概要が記載されていない契約書は、そうした事情を理解していない人に起案された可能性があります。
秘密情報の目的外使用に影響を与える条項
目的条項は、書き方によっては、秘密保持義務、その中でも特に「秘密情報の目的外使用の禁止」に関係する可能性があります。
秘密情報の目的外使用を禁止する条項に違反するかどうかは、その「目的」が何であるのかが、ひとつの判断基準となります。
このため、秘密情報の取扱いについて、非常に厳しい義務が課される製造請負契約では、この「目的」を明確にすることが重要となります。
目的条項では、この目的の明確にするため、詳細な契約の目的を規定することもあります。
ただし、この「秘密情報の目的外使用」における「目的」については、必ずしも目的条項に規定する必要はなく、別の条項で規定しても差し支えありません。
契約解除を意識した目的条項とすることもある
請負契約では、目的条項が、注文者(委託者)による契約解除ができるかどうかに関係する可能性もあります。
注文者(委託者)は、請負人(受注者)が製造した物品・目的物に瑕疵(欠陥・ミス)がある場合は、請負契約の解除ができます。
ただ、契約の解除までできるのは、3つの条件を満たす必要があり、そのうちの1つが「契約の目的が達成できないこと」です。
このため、注文者(委託者)の側の場合、特殊な目的があるのであれば、その目的をハッキリと契約内容として規定しておくべきです。
もちろん、この「特殊な目的」についても、必ずしも目的条項に規定する必要はなく、別の条項で規定しても差し支えありません。
なお、請負契約における契約解除につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
このほか、一般的な業務委託契約における目的条項につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
ポイント
- 目的条項には契約の概要について規定する。
- 目的条項に信義誠実の原則を規定しても、法律上は意味がない。
- 「秘密情報の目的外使用の禁止」の判断基準である「目的」となる可能性も考慮して規定する。
- 請負人(受託者)が仕事を完成でき案買った場合における契約解除では、契約の目的が達成できるかどうかが重要となる。
【重要な契約条項2】業務内容=物品・製品の仕様
仕様書・設計図・図面等の書面で業務内容は確定する
業務内容=製造される物品・製品の仕様は、注文者(委託者)にとっても、また、請負人(受託者)にとっても、非常に重要な契約条項のひとつです。
業務内容を確定するために、一般的な製造請負契約では、仕様書・設計図・図面等の書面を作成します。
そのうえで、これらの書面そのものに相互に記名押印するか、または契約書に綴じ込んで記名押印することで、業務内容を確定します。
ちなみに、こうした仕様書・設計図・図面等のうち、当事者間で合意したものや、注文者(委託者)の承認を得たものを、一般に「承認図面」といいます。
大量生産が前提の場合は試作品・サンプルも製造する
特に、大量生産が前提の物品・製品の場合、こうした書面で確定する前に、試作品・サンプルを製造します。
こうした試作品・サンプルの製造により、契約当事者間で、業務内容=製造される物品・製品の仕様について、齟齬が生じないようにします。
また、試作品・サンプルの製造は、請負人(受託者)の技術レベルを試す意味もあります。
なお、このほか、製造請負契約における業務内容につきましては、非常に重要な点であるため、以下の別のページで詳しく解説しています。
【重要な契約条項3】契約形態
「請負契約」という表題・タイトルにできない場合は重要
「契約形態」の条項には、製造請負契約が民法上の「請負契約」に該当することを明確に規定します。
特にこれは、契約書の表題・タイトルが「製造業務委託契約」など、請負契約であることが明記されていない場合は重要です。
このような場合に、実態として請負契約としたいときは、契約条項として、請負契約であることを必ず明記します。
もっとも、よほど特殊な事情がない限り、実態として請負契約としたいのであれば、契約書の表題・タイトルには、何らかの形で「請負契約」のひと言を入れるべきです。
「製造請負契約」のような表記の表題・タイトルでも規定する
また、契約書の表題・タイトル「製造請負契約」である場合も、念のため、契約条項として、請負契約であることを明記するべきです。
というのも、あくまで契約書の表題・タイトルが契約内容の解釈影響を与えることは、めったにありません。
このため、契約書の表題・タイトルに「請負契約」の記載があったとして、契約内容が請負契約だと断定できなければ、別の契約と解釈される可能性があります。
このように、請負契約以外の契約と解釈されないように、表題・タイトルが「請負契約」となっている場合も、契約条項として、請負契約であることを明記します。
【重要な契約条項4】納期(納入期限・納入期日)
【意味・定義】納期とは?
納期」の条項には、納入期限・納入期日のいずれかを規定します。
法律上、納入期限と納入期日は別のものです。
ですから、製造請負契約書では、納入期限なのか納入期日なのかがわかるように明記する必要があります。
なお、納期は、下請法の三条書面でも記載が必須の項目です。
三条書面につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
納入期限と納入期日の違い
納入期限と納入期日は、文字どおり、「期限」なのか「期日」なのかの違いがあります。
納入期限と納入期日の違い
- 納入期限は「期限」なので、指定された「日まで」に納入するという意味。
- 納入期日は「期日」なので、指定されたピンポイントの「日」に納入するという意味。
製造請負契約の場合、納入期日ではなく、納入期限を設定されると、注文者(委託者)にとって問題となることがあります。
というのも、注文者(委託者)の側で、物品・製品の保管や受け入れ体制が整っていなければ、いくら納入期限より早く納入されても、困ることがあります。
このため、大量の物品・製品や、特殊な管理が必要な物品・製品の製造請負契約の場合は、納入期限ではなく、納入期日を設定することがあります。
「納期」とは書いてはいけない
このように、納入期日と納入期限では、意味が大きく違ってきます。
このため、契約書の条項として、「納期」という表現は、安直に使ってはいけません。
【契約条項の書き方・記載例・具体例】納期に関する条項
第○条(納期)
本件製品の納期は、平成●年9月30日とする。
(※便宜上、表現は簡略化しています)
このような記載では、この日付が「納入期限」なのか「納入期日」なのかが、ハッキリしません。
ですから、「納期」ではなく、「納入期限」「納入期日」なのかを明確に記載するべきです。
なお、このほか、一般的な業務委託契約における納入につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
ポイント
- 納期は「納入期限」「納入期日」の略称。
- 納入期限は「期限」なので、指定された「日まで」に納入するという意味。
- 納入期日は「期日」なので、指定されたピンポイントの「日」に納入するという意味。
- 製造請負契約書に「納期」と書くと、納入期限のことか納入期日のことかがわからなくなる。
【重要な契約条項5】納入手続・納入方法・納入場所
そもそも「納入」が何かを明らかにする
何をもって「納入」が完了するのかをイメージする
納入に関する条項は、納期以外にも、「納入手続」「納入方法」「納入場所」などを規定します。
ただ、場合によっては、そもそも何をもって「納入」したことになるのか、ということを定義づける必要があります。
例えば、典型的な製造請負契約のように、特定の物品・製品がダンボールなどに梱包されて引渡されるのであれば、特に「納入」を定義づける必要がありません。
しかし、請負人(受託者)が注文者(委託者)の事業所・工場等のラインで請負業務を実施する場合などは、何をもって納入とするのか、ハッキリしません。
このような場合は、「納入」そのものを定義づけたり、これから触れる納入手続や納入方法などを明記することで、間接的に「納入」とは何か、ということを明記する必要があります。
「検査」の行程と一緒にしない
一般的な納入は、製造請負契約によって製造された物品・製品の引渡しと受領の一連の行程を意味します。
つまり、単に物品・製品(の占有権)が、請負人(受託者)から注文者(委託者)に移っただけです。
専門的には、物品・製品の占有が請負人(受託者)から注文者(委託者)に移転したに過ぎません。
よく勘違いされがちですが、納入と検査の行程は、別の行程であって、相互になんら関係があるわけではありません。
ですから、納入があったからといって、検査に合格したということにはなりません(ただし、検査を省略している場合を除く)。
納入手続には納品書・受領書(受領証書)を規定する
民法上は納入手続は必ずしも規定する必要はない
「納入手続」の条項では、文字どおり、製造請負契約により製造された物品・製品の納入に関する一連の手続きを規定します。
典型的な例としては、以下のような流れになります。
納入手続の流れ
- 請負人(受託者)からの物品・製品の引渡しと同時に、注文人(委託者)に対し、納品書が交付される。
- 納品書の交付と引き換えに、請負人(受託者)に対し、受領書(受領証書)が交付される。
- 受領書(受領証書)の交付があったことをもって、納入が完了する。
こうした納品書や受領書(受領証書)の交付や交換は、民法上は、必ずしも必要とされていない手続きです。
納品書・受領書(受領証書)を交付する意味
ただ、これらの納品書・受領書(受領証書)は、次のような意味があります。
納品書・受領書(受領証書)の意味
- 納品書:物品・製品を受領した記録になる。
- 受領書(受領証書):物品・製品を納入した記録=証拠(特に納入があった日の記録)となる。
特に、請負人(受託者)の立場としては、受領書(受領証書)は、注文者(委託者)が「確かに物品・製品を受け取りました」という、証拠になります。
いわば、物品・製品における「領収書」のようなものです。ですから、請負人(受託者)の側であれば、必ず受領書(受領証書)を受取るようにするべきです。
なお、当然ながら、これらの納品書・受領書(受領証書)は、領収書と同様に、重要な会計上の証憑となりますので、この点でも、重要な書類です。
意外と重要な「納入があった日」
また、受領書(受領証書)は、「納入があった日」の証拠にもなります。
この「納入があった日」は、後で触れる、検査期間の起算点になることがあります。
また、同様に、支払期限の起算点となることもあります。
このように、「納入があった日」は、意外と重要ですので、受託者の立場の場合は、必ず受領書(受領証書)を受取るようにしてください。
業務委託契約の規定がなくても受領書(受領証書)の発行は請求できる
なお、民法第486条により、注文者(受託者)は、請負人(委託者)に対し、受領書(受領証書)の交付を請求することができます。
民法第486条(受領証書の交付請求)
弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる。
引用元:民法 | e-Gov法令検索
このため、注文者(委託者)は、受領書(受領証書)の交付を拒否できません。
納品書・受領書(受領証書)の書式も決めておく
製造請負契約では、場合によっては、納品書・受領書(受領証書)の書式を決めておくことがあります。
特に、納品書は、単に納入した物品・製品の概要にとどまらず、それ以上の内容の記載される場合があります。
例えば、出荷検査の結果や、品質を保証する内容(実質的には保証書の内容)が記載されることもあります。
こうなると、納品書の交付が、法的には、単なる物品・製品の引渡しだけではなく、別の性質(=品質保証等)を帯びてきます。
この点から、特に請負人(受託者)の立場としては、納品書の書式まで製造請負契約で決める場合は、特に注意が必要です。
納入の受領を拒否されることもある
物品・製品の納入があった場合、注文者(委託者)は、必ずしもこれらを受領するとは限りません。
場合によっては、受領を拒否することがあります。
受託者としては、こうした委託者による受領拒否に対応した条項を、製造請負契約に規定する必要があります。
また、下請法が適用される製造請負契約では、こうした受領拒否は、下請法違反となることがあります。
このほか、受領遅滞・受領拒否につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
納入方法では特殊な納入方法について規定する
「納入方法」の条項では、特殊な方法で物品・製品が納入される場合に、その方法を規定しておきます。
例えば、工作機械の製造請負契約の場合、単に引渡しが納入である場合と、据付けまでが納入である場合があります。
この場合、後者の据付けまでが納入である場合は、その旨を納入方法として規定しておきます。
なお、工作機械の据付けは、内容によっては建設工事になりますので、この場合は、「納入方法」として、別途で建設工事請負契約を結びます。
当然ながら、ごく単純な納入方法の場合、例えば、物品・製品が梱包されたダンボールを引渡す場合などは、納入方法の規定を省略しても差し支えありません。
納入場所は大きく分けて3種類
「納入場所」の条項では、製造請負契約により製造された物品・製品を納入する場所を規定します。
物品の納入の場合、納入場所は、大きく分けて、次のいずれかです。
納入場所の例
- 委託者(注文者)の指定する住所
- 受託者(請負人)の工場などの事業所
- 委託者(注文者)が指定する船舶・航空機・車両(トラック、トレーラー、タンクローリーなど)がいる場所
特に、国際取引では、港や空港での引渡しとなることが多く、納入方法・所有権の移転・危険負担の移転・費用負担なども、条件(FOB、C&F、CIFなど)によって大きく違うため、注意が必要です。
なお、納入場所は、下請法の三条書面でも記載が必須の項目です。
三条書面につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
ポイント
- 「何をもって納入が完了するのか」をイメージしながら規定する。
- 納入と検査は別の行程であるため、納入の行程が完了してから検査の行程が始まる。納入と検査は混同しない。
- 納入の際には、一般的には納品書と受領書のやり取りをする。
- 委託者が物品・製品の受領を拒否することがあるため、受託者は、製造請負契約で対応を規定する。
- 納入場所は、委託者(注文者)の指定する住所、受託者(請負人)の工場などの事業所、委託者(注文者)が指定する場所・輸送機関のいずれか。
- 納入場所は下請法の三条書面の必須記載事項。
【重要な契約条項6】検査
検査条項には検査から合格までを規定する
「検査」の条項は、請負人(受託者)から納入された物品・製品について、合格か不合格かを判定し、最終的には合格するまでの、一連の行程を規定します。
民法の請負契約の規定には、検査について、一切規定がありませんので、製造請負契約では、検査については、詳細に決めておく必要があります。
ただ、逆にいえば、検査自体を規定せずに省略することもできる、ということです。
このため、そもそも、検査をするのかどうかについて、検討する必要もあります。
もっとも、一般的には、製造請負契約では、よほど小規模な取引でもない限り、(実際に検査するかどうかは別として)検査の条項そのものを省略することはありません。
検査仕様=検査項目・検査方法・検査基準を事前に決める
合格・不合格を巡ってトラブルとなる
製造請負契約では、検査する項目、検査の方法、検査の合否を決める客観的な検査基準を規定します。
製造請負契約の検査では、納入された物品・製品について、単に検査をすること自体を規定するだけでは、意味がありません。
というのも、何も検査項目・検査方法・検査基準を規定していないと、注文者(委託者)と請負人(受託者)の間で、検査の結果を巡ってトラブルになるからです。
つまり、納入された物品・製品について、注文者(委託者)は不合格だと考え、請負人(受託者)は合格だと考えた際に、客観的な検査基準がなければ、どちらが正しいのか、判定のしようがありません。
要求仕様が明らかな場合は検査項目・検査方法・検査基準は決めやすい
もっとも、製造請負契約の場合は、もともと要求仕様が明確なことが多いです。
この要求仕様を反映させることで、比較的簡単に検査項目・検査方法・検査基準を設定することができます。
契約条項としても、業務内容=製造される物品・製品が明確に規定されていれば、検査基準の規定を省略・簡略化することもできます。
あとは、検査項目・検査方法を規定することで、検査そのものによるトラブルを予防できます。
製造請負契約書とは別の書類にすることもある
なお、検査項目・検査方法・検査基準は、場合によっては契約書に反映しきれないくらい膨大なものになることもあります。
この場合は、製造請負契約書とは別の書類を作成して、相互に記名押印することで対処します。
また、製造請負契約ではあまりありませんが、当初の契約を結んだ時点で検査項目・検査方法・検査基準が決まっていない場合は、後日、決めることもあります。
この場合は、少なくとも物品・製品の納入があるまでに、同じく別途の書類を作成して、検査項目・検査方法・検査基準について合意しておくべきです。
なお、このような、後日、検査項目・検査方法・検査基準を決める方法により、実質的に業務内容が変わってしまう場合は、下請法違反となる場合もありますので、特に注文者(委託者)の立場では、慎重に対応するべきです。
このほか、一般的な検査と検査基準につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
検査のスケジュール=検査期間・検査期限
検査には期限を設定する
意外と忘れがちですが、「検査」の条項では、検査のスケジュール=検査期間・検査期限も設定します。
この検査期間・検査期限の設定は、特に請負人(受託者)の立場の場合は重要な規定です。
というのも、物品・製品の納入があった場合、いつまでたっても注文者(委託者)が検査しない、ということがあります。
その結果、納入された物品・製品が合格なのか不合格なのかがわからない、という状態が続くことがあります。
こうしたリスクを防ぐために、検査期間・検査期限を設定します。
検査期間は「納入があった日」から起算する
なお、検査期間は、「納入があった日」を起算点として、7日間とか、10日間というように、具体的な日付を規定します。
例えば、具体的には、次のような規定となります。
【契約条項の書き方・記載例・具体例】検査に関する条項
第○条(検査)
受託者からの本件製品の納入があった場合、委託者は、納入があった日から起算して10日間以内に、納入があった本件製品の検査を実施するものとする。
(※便宜上、表現は簡略化しています)
(※便宜上、表現は簡略化しています)
検査期間内に検査しなければどうなるのかも規定する
ただし、検査期間は、単に設定するだけでは意味がありません。
検査期間の規定では、その期間を過ぎても検査がされない場合はどうなるのか、という効果を規定します。
より具体的には、請負人(受託者)の立場としては、検査期間を過ぎた場合は、納入された物品・製品は自動的に検査に合格したものとみなすこととします。
こうすることで、注文者(委託者)が検査を怠った場合でも、自動的に検査は合格となりますので、特に問題とはなりません。
「検査期間経過=自動合格」とする場合の注文者(委託者)の注意点
逆に、注文者(委託者)の立場としては、こうした「検査期間経過=自動合格」という検査期間の条項が設定された場合は、注意が必要です。
このような条項は、次のような場合でも、納入された物品・製品が検査に合格したものとみなされてしまいます。
検査がおこなわれない具体例
- 繁忙期で人員が足りない場合
- 会社が長期休暇に入った場合
- 現場が「うっかりして」検査を忘れた場合
このため、検査期間経過=自動合格とはせずに、可能であれば、検査期間経過=自動不合格とします。
もっとも、これでは請負人(受託者)が納得しないでしょう。
このため、検査期間を長めに設定する、検査期間を延長できる手続を規定する、というような対応も検討するべきです。
このほか、検査のスケジュール=検査期間・検査期限につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
不合格の場合の対処
検査合格の場合は業務終了
検査の結果、納入された物品・製品が合格であった場合は、その時点で業務は、終了します。
一般的な請負契約では、検査結果が合格の場合、注文者(委託者)が、請負人(受託者)に対し、合格の旨を何ら方法で通知し、かつ、検査済証(合格証書)を発行するように規定します。
なお、すでに触れた民法第486条を根拠に、請負人(受託者)は、注文者(委託者)に対し、検査済証(合格証書)の交付を請求することができます。
民法第486条(受領証書の交付請求)
弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる。
引用元:民法 | e-Gov法令検索
このため、注文者(委託者)は、業務委託契約に検査済証(合格証書)の交付の規定がないことを理由に、検査済証(合格証書)の交付を拒否できません。
この検査済証(合格証書)には、必ず検査に合格した日=検査合格日を規定します。
検査合格日は、いわゆる「契約不適合責任の期間」の起算点となることが多いので、特に重要です。
このため、請負人(受託者)の立場の場合、必ず検査済証(合格証書)を受取るようにしてください。
不合格の種類に応じて対処を規定する
検査が不合格となった場合は、合格となるまで、どのような対処をするのかが重要となります。
このため、製造請負契約の検査の条項では、検査の不合格の種類に応じて、対処を規定します。
具体的には、次の3種類の不合格の種類に応じて、それぞれ対処を規定します。
検査の不合格の種類
- 仕様不適合または誤納(別の物品・製品の納入):やり直しまたは正規品の納入
- 数量不足:追加納入
- 数量過剰:請負人(受託者)の費用負担での引取りまたは注文者(委託者)による買取り
場合によっては不合格時の特別採用を規定する
【意味・定義】特別採用・特採とは?
なお、検査の結果が不合格であったとしても、その原因が軽微な瑕疵・欠陥であり、本来の契約の目的を果たせる場合は、値引きをしたうえで、注文者(委託者)が、不合格となった物品・製品を引取る場合があります。
これを、特別採用といい、省略して、「特採」ともいいます。
【意味・定義】特別採用(特採)とは?
特別採用とは、製造請負契約において、製造された物品・製品に瑕疵・欠陥があった場合において、その瑕疵・欠陥が軽微なものであり、契約の目的の達成に支障がないときに、委託者が、値引きしたうえで、これを引取ることをいう。略して「特採」(読み方:とくさい)ともいう。
特別採用は申出る権利者を決めておく
一般的な製造請負契約では、特別採用は、注文者(委託者)の側だけが申出ることができます。
ただ、場合によっては、請負人(受託者)の側から申出ることができるように規定することもあります。
請負人(受託者)の側としてみれば、軽微とはいえ、瑕疵・欠陥がある物品・製品を納入するのですから、なんとなく後ろめたい気持ちがあるとは思います。
しかしながら、多少の値引きがあるにしても、引取ってもらたったほうが、やり直しをするよりも安上がりな場合も多いです。
このため、注文者(委託者)との契約交渉の成り行きによっては、請負人(受託者)の側からも特別採用を申出ることができるように検討するべきです。
もちろん、いずれの場合も、両者の合意がなければ、特別採用は成立しません。
特別採用の原因となった瑕疵・欠陥にもとづく責任を明記しておく
なお、特別採用を規定する場合は、その原因となった瑕疵・欠陥にもとづいて、何らかの損害が発生した場合、注文者(委託者)と請負人(受託者)のどちらがその責任を負うのかを明記します。
というのも、この瑕疵・欠陥にもとづく責任について、何も明記していない場合は、次のとおり、立場によって主張が対立します。
特別採用にもとづく損害の責任の主張
- 注文者(委託者):物品・製品の瑕疵・欠陥にもとづく責任は、あくまその製造業者である請負人(受託者)が負担するべき。
- 請負人(受託者):そもそも物品・製品に瑕疵・欠陥があることを承知のうえ、値引きまでして引取った以上、その瑕疵・欠陥の責任は注文者(委託者)が負担するべき。
このような主張の対立がないように、特別採用を規定する場合は、その原因となった瑕疵・欠陥にもとづく責任についても、明記するべきです。
注文者(委託者)は下請法に注意
検査のスケジュールは三条書面の記載事項
下請法が適用される製造請負契約では、注文者(委託者)が物品・製品の検査をする場合は、「検査を完了する期日」が、三条書面の必須記載事項となっています。
ですから、検査があるにもかかわらず、三条書面≒製造請負契約書を作成した際に「検査を完了する期日」を記載しない場合は、下請法違反となります。
このため、注文者(委託者)は、検査そのものの実施を規定しているにもかかわらず、検査のスケジュールを規定しないことにより、検査を引き伸ばす、ということはできません。
なお、三条書面につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
検査の省略は自動的に合格となる
また、下請法が適用される製造請負契約の場合、注文者(委託者)が納入された物品・製品の検査を省略したときは、その物品・製品は、自動的に合格となります。
こうなると、物品・製品が仕様と違っていたり、後で物品・製品に欠陥があったとしても、返品は認められません。
下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準 第4-4-(2)-オ
(途中省略)なお、次のような場合には委託内容と異なること又は瑕疵等があることを理由として下請事業者にその給付に係るものを引き取らせることは認められない。
(ア~エまで省略)
オ 給付に係る検査を省略する場合
(以下省略)
このため、下請法が適用される製造請負契約の場合は、注文者(委託者)としては、安易に検査を省略するべきではありません。
「検収」は安易に使わない
なお、製造請負契約書では、「検収」という用語を使っていることがあります。
この「検収」という用語は、法令用語ではないため、法的な定義はありません。
管理人の経験では、以下のいずれかの意味で使われている場合が多いです。
検収のパターン
- 「納入」(+受入検査≠品質検査)の意味で使われる場合
- 「検査」の意味で使われる場合
- 「納入」+「検査」の意味で使われる場合
- 「納入」+「検査」の行程の一部の意味で使われる場合
- 定義が不明な場合
いずれにしても、定義を明確にしている場合は問題ではありませんが、そのように定義を明確にしたうえで「検収」という用語を使っている契約書は、それほど多くは見かけません。
このように、契約書の書き方として、特に定義づけもしないで検収を使うと、相手方に意図が伝わらず、誤解の原因となります。
ですから、「検収」という用語は、使ってはいけません。
どうしても使わざるを得ない場合は、明確な定義を規定したうえで使います。
ポイント
- 検査条項には検査から合格までの一連の行程を規定する。
- 検査条項には、単なる検査の手続きだけではなく、検査方法や検査基準を規定する。
- 特に請負人(受託者)の立場の場合、検査には期限を設定し、注文者(委託者)が検査を怠る・拒否することを防止する。
- 同様に、請負人(受託者)の立場の場合、検査期間を過ぎた場合は、検査は自動合格とする。
- 不合格の場合の対処も規定しておく。
- 軽微な欠陥がある場合は、注文者(委託者)が値引きして引き取る(=特別採用)こともある。
- 「検査を完了する期日」は、下請法の三条書面の必須記載事項。
- 下請法が適用される場合、検査を省略すると自動的に合格となる。
- 「検収」は定義が決まっていない用語であるため、安易に使わない。使う場合は明確に定義を規定する。
【重要な契約条項7】所有権の移転
委託者:早いほうがいい・受託者:遅いほうがいい
「所有権の移転」の条項は、製造請負契約で製造された物品・製品の所有権の移転について規定します。
より具体的には、物品・製品の所有権の移転の条件と時期について、規定します。
この点について、注文者(委託者)にとっては、所有権の移転が早ければ早いほど有利といえます。
逆に、請負人(受託者)にとっては、所有権の移転が遅ければ遅いほど有利といえます。
委託者にとっての所有権のポイント
委託者にとっての所有権の移転の時期
- 請負契約では、所有権の移転は、委託者にとっては、契約の目的そのもの。
- 特に、その物品・製品・成果物を自ら使用する場合(例:製品に組込む部品として使用する場合)や、第三者に売却する場合、所有権が委託者に移転しないと、理論上は、委託者は、物品・製品・成果物の使用や売却ができない。
- このため、委託者にとっては、所有権の移転の時期は、なるべく早いほうがいい。
受託者にとっての所有権のポイント
受託者にとっての所有権の移転の時期
- 請負契約では、所有権の移転は、受託者にとっては、業務実施の過程にすぎない。
- ただ、委託者からの支払いを所有権の移転の条件とする、つまり、委託者からの支払いまで所有権を留保することで、万が一、委託者が報酬・料金・委託料を支払わない場合に、物品・製品・成果物の返還請求ができる。
- このため、受託者にとっては、所有権の移転の時期は、なるべく遅いほうがいい。
- ただし、委託者による第三者に対する販売や譲渡が前提の物品・製品・成果物については、即時取得・善意取得(民法第192条)の制度があるため、所有権留保の実効性は低い。
この他、所有権の移転につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
【重要な契約条項8】危険負担の移転
【意味・定義】「危険」とは?
「危険負担の移転」の条項は、製造請負契約で製造された物品・製品に何らかの損害が生じた場合における負担について規定します。
ここでいう損害とは、物品・製品が、契約当事者の責任によらず(厳密には注文者の責任による場合も含みます)に、損壊・滅失することをいいます。
例えば、倉庫に保管していた物品・製品が地震などの天災によって損壊した場合、その損害は、注文者(委託者)と請負人(受託者)のどちらが負担するのか、という問題です。
なお、危険負担の「危険」とは、以下のとおりです。
【意味・定義】危険とは?
危険負担の移転条項における危険とは、後発的事由によって、債務の給付が不能となること。
製造請負契約における危険負担の移転の条項では、こうした損害の負担=危険は、請負人(受託者)が負担しつつ、いずれかの時点で、注文者(委託者)に移転するように規定します。
一般的には納入時に移転する
一般的には、こうした物品・製品の損壊・滅失の危険・リスクは、その物品・製品を支配下に置いている(法的には占有している)当事者が負担します。
このため、製造請負契約では、物品・製品の納入=引渡しがあった時点で、請負人(受託者)から注文者(委託者)に危険負担が移転することが多いです。
ただし、これは、契約当事者間での立場や力関係によっては、違った内容となることもあります。
この他、危険負担の移転につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
【重要な契約条項9】製造物責任
【意味・定義】製造物責任とは?
製造物責任は、一般的には、製造物責任法(PL法)第3条に規定されている製造業者の責任のことです。
製造物責任法第3条(製造物責任)
製造業者等は、その製造、加工、輸入又は前条第3項第2号若しくは第3号の氏名等の表示をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない。
【意味・定義】製造物責任とは?
製造物責任とは、製造物の欠陥により、人の生命、身体または財産に損害が発生した場合における、製造業者が負担する責任をいう。
製造物責任は無過失責任
ここで重要となるのが、製造物責任は無過失責任である、という点です。
つまり、製造物責任法第4条に規定する「免責事由」に該当しない限り、製造業者の過失の有無に関係なく、責任が発生する、ということです。
製造物責任法第4条(免責事由)
前条の場合において、製造業者等は、次の各号に掲げる事項を証明したときは、同条に規定する賠償の責めに任じない。
(1)当該製造物をその製造業者等が引き渡した時における科学又は技術に関する知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかったこと。
(2)当該製造物が他の製造物の部品又は原材料として使用された場合において、その欠陥が専ら当該他の製造物の製造業者が行った設計に関する指示に従ったことにより生じ、かつ、その欠陥が生じたことにつき過失がないこと。
このため、製造請負契約では、一般的な契約における責任=「過失」がある場合よりも、厳しい責任が求めらることがあります。
実際に製造していなくても「製造業者等」になりうる
特に注文者(委託者)の立場の場合に注意しなければならないのが、実際に物品・製品を製造していない場合であっても、製造物責任を負う「製造業者等」に該当しうる、ということです。
製造物責任法第2条(定義)
(第2項まで省略)
3 この法律において「製造業者等」とは、次のいずれかに該当する者をいう。
(1)当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者(以下単に「製造業者」という。)
(2)自ら当該製造物の製造業者として当該製造物にその氏名、商号、商標その他の表示(以下「氏名等の表示」という。)をした者又は当該製造物にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者
(3)前号に掲げる者のほか、当該製造物の製造、加工、輸入又は販売に係る形態その他の事情からみて、当該製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者
このように、製造物責任法では、典型的な「製造業者」は、第2条第3項第1号で規定されています。
この他にも、必ずしも物品・製品を製造していない事業者であっても、第2号や第3号に該当し、「製造業者等」とみなされます。
これは、例えば、以下のような事業者が該当します。
製造物責任法第2条第3項第2号・第3号の製造業者等の例
- ファブレスメーカー
- 自己名義で販売するプライベートブランドの販売業者
- 製造業者に該当する場合であっても、製造業務をすべて外注している事業者
製造物責任の規定のしかた
「最終的に誰が責任を負うのか」が問題となる
すでに触れたとおり、製造物責任は、無過失責任です。
つまり、注文者(委託者)・請負人(受託者)の双方に、一切過失がない場合であっても、なんらかの形で、第三者から製造物責任を追求される可能性がある、ということです。
このため、特にエンドユーザー(消費者・事業者を問わず)から製造物責任を追求された場合、最終的に誰が責任を負うのか、という点が問題となります。
当然ながら、この点は、注文者(委託者)と請負人(受託者)との間で、完全に利害が対立します。
注文者(委託者)の立場の場合
製造請負契約で製造された物品・製品は、請負人(受託者)が製造したものです。
注文者(委託者)の立場では、こうした物品・製品の製造物責任は、請負人(受託者)が負うべきと考えます。
このため、注文者(委託者)の側が作成した製造請負契約書には、一般的には、注文者(委託者)だけが、一方的に製造物責任を負う旨が規定されていることが多いです。
こうすることで、万が一、製造された物品・製品について、エンドユーザー(消費者・事業者を問わず)から製造物責任を追求されたとしても、最終的には、請負人(受託者)に対して、その責任を追求できます。
請負人(受託者)の立場の場合
他方、請負人(受託者)の立場では、確かに、物品・製品の製造自体は自社の責任かもしれません。
ただ、すべての責任が請負人(受託者)にある、とまでは言い切れない場合もあります。
特に、物品・製品が、注文者(委託者)が指定する仕様や図面などに従った場合は、(特に製造の過程で過失がないときは)すべての責任を負うべきとはいえません。
このように、注文者(委託者)の指定する仕様や図面が原因で製造物責任が発生した場合などは、注文者(委託者)の責任とするべきです。
少なくとも、責任の割合について、協議事項とするべきです。
ポイント
- 製造物責任とは、製造物の欠陥により、人の生命、身体または財産に損害が発生した場合における、製造業者が負担する責任。
- 製造物責任は無過失責任。このため、過失がなくても責任を負わなければならない。
- 製造請負契約における請負人(受託者)だけが、製造物責任法の「製造業者等」に該当するとは限らない。
- 製造請負契約における注文者(委託者)も、その先の取引先やエンドユーザーとの関係で、「製造業者等」に該当する可能性がある。
- 注文者(委託者)の立場では、なるべく請負人(受託者)に製造物責任を負担させるように規定する。
- 請負人(受託者)の立場では、少なくとも仕様や図面が注文者(委託者)の指示による場合は、注文者(委託者)に製造物責任を負担させるように規定する。
【重要な契約条項10】契約不適合責任
受託者(請負人)が検査合格後に負う責任
「契約不適合責任」の条項では、製造された物品・製品に欠陥(=瑕疵)があった場合における、請負人(受託者)の責任について規定します。
製造請負契約では、一般的に、検査に合格した後に発覚した物品等の欠陥=瑕疵について、請負人(受託者)が、期限を区切って契約不適合責任を負います。
契約不適合責任は3種類
検査合格後に請負人(受託者)が負う契約不適合責任には、大きく分けて、以下の3種類があります。
4種類の契約不適合責任
- 履行追完責任
- 代金減額責任
- 損害賠償責任
- 契約解除責任
契約不適合責任の期間を設定する
民法上の契約不適合責任の期間・年数は「知った時から1年間」
請負人(受託者)が契約不適合責任を負う期間は、民法上は、注文者(委託者)が契約不適合を「知った時から1年」とされています。
第637条(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
1 前条本文に規定する場合において、注文者がその不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
2 前項の規定は、仕事の目的物を注文者に引き渡した時(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時)において、請負人が同項の不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、適用しない。
引用元:民法 | e-Gov法令検索
このため、注文者(委託者)が契約不適合を知らないままであれば、消滅時効となる、「目的物の引渡しまたは仕事の完成の時点から10年後」まで契約不適合責任が存在することとなります。
民法の期間とは別の契約不適合責任の期間を設定できる
なお、建設工事請負契約にもとづく当事者の合意によって、契約不適合責任の期間を自由に変えることができます。
このため、一般的な製造請負契約では、契約不適合責任を民法等の法律とは別の期間を設定します。
この際、契約不適合責任の起算点、つまり、どの時点から契約不適合責任の期間を計算するのかを明らかにします。
例えば、納入があった日や検査に合格した日などが考えられます。
契約不適合責任の請求の手続きを明記する
また、契約不適合責任の条項では、注文者(委託者)による契約不適合責任の請求の手続きも明記します。
具体的には、契約不適合責任の期間内に、何をしなければいけないのか、ということも明記します。
典型的な例では、契約不適合があることを通知する、という規定があります。
また、このような通知だけでは足りず、契約不適合責任の請求も必要とする、という規定もできます。
このほか、契約不適合責任につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
ポイント
- 契約不適合責任とは受託者(請負人)が検査合格後に負う責任。
- 契約不適合責任は、履行追完責任、代金減額責任、損害賠償責任、契約解除責任―の4種類。
- 民法上の契約不適合責任の期間・年数は注文者が「知った時から1年間」。
- 特約で契約不適合責任の期間を短縮し、起算点を「知った時」から納入日、検査合格日などに変更する。
- 契約不適合責任の請求の手続きを明記する。
【重要な契約条項11】報酬・料金・委託料の金額・計算方法
「報酬・料金・委託料」の条項では、製造請負契約の対価である、報酬・料金・委託料について、金額か計算方法のいずれかを規定します。
金額を規定する場合は、数字を巡ってトラブルになることは、まずありません。
計算方法を規定する場合は、委託者(注文者)と受託者(請負人)の双方の計算結果が違わないように規定する必要があります。
また、消費税の表記(内税・外税の別)も忘れないようにしてください。
ちなみに、下請法が適用される製造請負契約において、報酬・料金・委託料の計算方法を規定した場合は、「…下請代金の具体的な金額を確定した後,速やかに,下請事業者に通知する必要がある。」とされています(下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準 第3 1(2))。
【重要な契約条項12】報酬・料金・委託料の支払期限・支払期日
支払期限・支払期日は前払いか後払い
「支払期限」の条項では、報酬・料金・委託料の支払期限がいつであるかを規定します。
支払期限は、大きく分けて、前払い、納入と同日(つまり引き換え)、後払いの3種類があります。
一般的な製造請負契約では、後払いとなることが多いですが、前払いとすることもあります。
また、支払回数については、取引の内容に応じて一括払い・分割払いのどちらかを選択します。
支払期限・支払期日の書き方は日付指定(絶対表記)か計算方式(相対表記)
支払期限には、具体的な日付を指定する方法と、ある日を起算点にして、その日から何日後と計算する方法があります。
前者の日付指定の方法(絶対表記)では、支払期限について、当事者間で誤解が生じることはありません。
他方、後者の計算による方法(相対表記)では、計算の解釈によって、当事者間で誤解が生じることがあります。
ですから、一般的な企業間の製造請負契約では、通常は、支払期限は、日付を指定することが多いです。
下請法の適用対象の場合は支払期日は納入日から60日後まで
なお、下請法が適用される製造請負契約の場合、支払期日は、「納期から60日以内」でなければなりません。
より正確には、下請法第2条の2第1項にあるとおり、納入があった日から「60日以内で、かつ、できる限り短い期間内」でなければなりません。
下請法第2条の2(下請代金の支払期日)
1 下請代金の支払期日は、親事業者が下請事業者の給付の内容について検査をするかどうかを問わず、親事業者が下請事業者の給付を受領した日(役務提供委託の場合は、下請事業者がその委託を受けた役務の提供をした日。次項において同じ。)から起算して、60日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない。
2 下請代金の支払期日が定められなかつたときは親事業者が下請事業者の給付を受領した日が、前項の規定に違反して下請代金の支払期日が定められたときは親事業者が下請事業者の給付を受領した日から起算して60日を経過した日の前日が下請代金の支払期日と定められたものとみなす。
また、同第2項にあるとおり、納入があった日から60日より後に支払期日が設定されている場合は、納入があった日から「60日を経過した日の前日」が支払期日とみなされます。
この他、支払期限・支払期日につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
ポイント
- 報酬・料金・委託料は支払期日・支払期限は、通常は前払いか後払い。
- 支払回数は分割・一括のいずれもありうる。
- 支払期日・支払期限は、なるべく誤解のないように、具体的な日付を指定する。
- 下請法が適用される製造請負契約の場合は、注文者(委託者)は、「納入があった日から60日以内で、かつ、できる限り短い期間内」に、請負人(受託者)に対して、報酬・料金・委託料を支払わなければならない。
【重要な契約条項13】報酬・料金・委託料の支払方法
一般的な支払方法は銀行振込
「支払方法」の条項では、報酬・料金・委託料の支払方法について規定します。
一般的な小規模な製造請負契約では、報酬・料金・委託料の支払方法は、現金の銀行振込であることが多いです。
この他、比較的規模が大きな製造請負契約では、手形、小切手、ファクタリング等の一括決済方式、電子記録債権などによる支払いもあります。
もちろん、ごく小規模な製造請負契約では、現金、クレジットカードなどのによる支払いでも差し支えありません。
銀行手数料は原則として注文者(委託者)の負担
また、銀行振込に要する銀行手数料については、次のとおり、支払い=金銭の弁済をする債務者である注文者(委託者)の負担となります。
民法第485条(弁済の費用)
弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は、債務者の負担とする。ただし、債権者が住所の移転その他の行為によって弁済の費用を増加させたときは、その増加額は、債権者の負担とする。
引用元:民法 | e-Gov法令検索
ただし、「別段の意思表示がないとき」とあるとおり、「別段の意思表示」=製造請負契約での特約がある場合は、その特約が優先されます。
このため、注文者(委託者)が、請負人(受託者)に銀行振込手数料を負担させるのであれば、その旨を製造請負契約に規定する必要があります。
下請事業者に銀行振込手数料を負担させる場合は事前に合意する
なお、下請法が適用される取引において、委託者=親事業者が受託者=下請事業者に振込手数料を負担させる場合は、事前に書面による合意が必要となります。
- 下請事業者の了解を得た上で,下請代金を下請事業者の銀行口座に振り込む際の振込手数料を下請代金の額から差し引いて支払うことは問題ないか。
- 発注前に当該手数料を下請事業者が負担する旨の書面での合意がある場合には,親事業者が負担した実費の範囲内で当該手数料を差し引いて下請代金を支払うことが認められる。
(以下省略)引用元: 下請取引適正化推進講習会テキストp.56
逆に言えば、このような合意がない場合において、委託者=親事業者が受託者=下請事業者に振込手数料を負担させた場合は、「下請代金の減額の禁止」や「買いたたきの禁止」に抵触する可能性があります。
手形・一括決済方式・電子記録債権は三条書面の記載事項
下請法が適用される製造請負契約の場合に、支払方法が手形、一括決済方式(債権譲渡担保方またはファクタリング方式もしくは併存的債務引受方式)、電子記録債権のときは、注文者(委託者)は、以下の内容を三条書面に記載しなければなりません。
三条書面の必須記載事項
- 下請代金の全部又は一部の支払につき,手形を交付する場合は,その手形の金額(支払比率でも可)及び手形の満期
- ⑩ 下請代金の全部又は一部の支払につき,一括決済方式で支払う場合は,金融機関名,貸付け又は支払を受けることができることとする額,親事業者が下請代金債権相当額又は下請代金債務相当額を金融機関へ支払う期日
- 下請代金の全部又は一部の支払につき,電子記録債権で支払う場合は,電子記録債権の額及び電子記録債権の満期日
引用元: 下請取引適正化推進講習会テキストp.26
このほか、支払方法につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
ポイント
- 比較的小規模の製造請負契約では、報酬・料金・委託料は、銀行振込が一般的。
- 銀行手数料は原則として注文者(委託者)の負担。請負人(受託者)に負担させる場合は、製造請負契約書に特約を規定する必要がある。
- 手形・一括決済方式・電子記録債権は三条書面の記載事項
【重要な契約条項14】原材料の支給
「原材料の支給」の条項では、有償・無償を問わず、注文者(委託者)から請負人(受託者)への原材料の支給がある場合における、原材料の取扱いについて規定します。
具体的には、「品名、数量、対価、引渡しの期日、決済期日及び決済方法」を規定します。
ちなみに、下請法が適用される場合において、有償原材料の支給があるときは、これらの事項は、三条書面への記載が必須となっています。
もっとも、この程度の内容であれば、下請法が適用されない製造請負契約でも規定しておくべきです。
この他、原材料の所有権・危険負担の移転なども規定します。
なお、場合によっては、別途の売買契約を締結して、原材料の支給について、より詳細な内容を規定する場合もあります。
【重要な契約条項15】設備等の貸与
場合によっては別途賃貸借契約書を作成する
「設備等の貸与」の条項では、有償・無償を問わず、注文者(委託者)から請負人(受託者)への設備等の貸与がある場合における、設備等の取扱いについて規定します。
設備等の内容にもよりますが、ごく小規模な設備の場合は、設備等の取扱いや管理等について、いわゆる「善管注意義務」を規定する程度で済ませる場合があります。
逆に、大規模な設備の場合は、善管注意義務だけではなく、より詳細な契約内容を規定する場合があります。
特に、有償の設備等の貸与がある場合は、製造請負契約書とは別に、設備等の賃貸借契約書・使用貸借契約書を作成することもあります。
客先常駐型の製造請負契約では偽装請負に注意
なお、客先常駐型の製造請負契約では、設備等の貸与について、詳細に規定しておかないと、偽装請負=労働者派遣法違反となります。
偽装請負と「みなされない」条件は、いわゆる「37号告示」で詳細に規定されています。
その条件のひとつに、「自己の責任と負担で準備し、調達する機械、設備若しくは器材(業務上必要な簡易な工具を除く。)又は材料若しくは資材により、業務を処理すること」という条件があります。
この点について、注文者(委託者)からの設備等の提供がある場合は、直ちにこの条件を満たさない、というわけではありません。
ただ、注文者(委託者)からの設備等の提供がある場合は、賃貸借契約などの製造請負契約とは別の双務契約を締結し、請負人(受託者)による適正な対価の支払い、経費や費用の負担などがなければなりません。
これらの点を含め、37号告示につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
ポイント
- 大規模な設備等の貸与がある場合は、別途賃貸借契約書・使用貸借契約書を取り交わす。
- 客先常駐型の製造請負契約では、安易な設備等の貸与は、偽装請負=労働者派遣法違反となる。
【重要な契約条項16】知的財産権の使用許諾
「知的財産権の使用許諾」の条項では、製造される物品・製品に使用される知的財産権の使用許諾について規定します。
製造請負契約では、物品・製品の製造のために、注文者(委託者)が保有する知的財産権を請負人(受託者)に使用許諾することがあります。
この場合、知的財産権の中でも、主に特許権や意匠権の使用許諾(正確には、実施権の設定・許諾)があります。
こうした知的財産権の使用許諾は、実質的にはライセンス契約であり、場合によっては、別途ライセンス契約書を作成して対応します。
これらの、特許権や意匠権の使用許諾につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
【重要な契約条項17】改良発明の取扱い
「改良発明の取扱い」の条項では、すでに触れた注文者(委託者)からの知的財産権の使用許諾があった場合において、請負人(受託者)が、その知的財産権を改良したときの取扱いを規定します。
一般的には、次の2つについて規定します。
改良発明の取扱いで規定する事項
- 請負人(受託者)が改良発明をなした場合の通知義務
- 改良発明にもとづく権利(特許を受ける権利など)の帰属・移転
ただ、特に2点目の改良発明にもとづく権利の帰属・移転については、独占禁止法に抵触する可能性があるため、慎重な対応が必要となります。
改良発明につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
また、改良発明における独占禁止法上の問題につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
【重要な契約条項18】再委託・下請負の可否
請負契約では再委託・下請負は自由
「再委託・下請負」の条項では、再委託・下請負について、禁止するかどうかを規定します。
請負契約は、「仕事の完成」を目的とした契約であり、その仕事を「誰が」完成させたかは、重要ではありません。
このため、民法上は、請負人(受託者)が再委託・下請負をすることは、禁止されていません。
逆にいえば、特に契約上の特約がなければ、請負人(受託者)は、無制限に再委託・下請負ができます。
再委託・下請負を禁止する場合は契約書に明記する
つまり、注文者(委託者)の立場として、請負人(受託者)による再委託・下請負を禁止する場合は、その旨を製造請負契約書の作成の際に記載しなければなりません。
特に、製造請負契約の中には、非常に高度な技術情報、特に特許権で保護されていないノウハウ=不正競争防止法上の営業秘密が開示される場合があります。
この他にも、製造される物品・製品そのものや使われ方が、事業戦略上の重要な情報であることもあります。
こうした情報の漏えいを防止する観点からも、注文者(委託者)の立場としては、再委託・下請負を禁止するべき場合があります。
この場合は、製造請負契約で、再委託・下請負を明確に禁止する規定とします。
この他、再委託につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
ポイント
- 請負契約では、請負人(受託者)は、自由に再委託・下請負ができる。
- 注文者(委託者)として、請負人(受託者)による再委託・下請負を禁止したい場合は、製造請負契約書にその旨を明記しなければならない。
【重要な契約条項19】秘密保持義務
「秘密保持義務」の条項では、主に次の内容を規定します。
秘密保持義務の内容
- 秘密情報の定義
- 秘密情報を第三者に開示し、漏えいしない義務(秘密保持義務)
- 秘密情報の目的外使用の禁止
これらの内容は、あくまで最低限の内容であり、場合によっては、さらに詳細な内容を規定することがあります。
すでに触れたとおり、製造請負契約では、特に注文者(委託者)の側から、高度な技術情報や、企業経営の根幹に関わる情報が開示されることがあります。
このため、場合によっては、別途秘密保持契約を締結することで、秘密保持義務が課されることもあります。
この他、秘密保持義務につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
【重要な契約条項20】契約解除・中途解約
民法上、請負契約では、注文者(委託者)の側は、中途解約をしやすいようになっています。
民法第641条(注文者による契約の解除)
請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。
引用元:民法 | e-Gov法令検索
他方、請負人(受託者)の側は、「注文者が破産手続開始の決定を受けたとき」に、中途解約ができます。
民法第642条(注文者についての破産手続の開始による解除)
1 注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができる。ただし、請負人による契約の解除については、仕事を完成した後は、この限りでない。
2 (以下省略)
引用元:民法 | e-Gov法令検索
このため、請負人(受託者)の立場として、より広い範囲で中途解約や契約解除ができるようにするためには、製造請負契約で中途解約・契約解除の条項を規定する必要があります。
このほか、中途解約・契約解除の条項につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
製造請負契約の重要な契約条項に関するよくある質問
- 製造請負契約とは何ですか?
- 製造請負契約とは、請負人(受託者)が何らかの物品・製品の製造を完成させること約束し、注文者(委託者)が、その物品・製品の製造の対価として、報酬を支払うことを約束する契約のことです。
- 製造請負契約では、どのような契約条項が重要となりますか?
- 製造請負契約では、主に次の契約条項が重要となります。
- 契約の目的
- 業務内容=物品・製品の仕様
- 契約形態
- 納期(納入期限・納入期日)
- 納入手続・納入方法・納入場所
- 検査
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- 8 【重要な契約条項6】検査
- 9 【重要な契約条項7】所有権の移転
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- 11 【重要な契約条項9】製造物責任
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- 13 【重要な契約条項11】報酬・料金・委託料の金額・計算方法
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- 16 【重要な契約条項14】原材料の支給
- 17 【重要な契約条項15】設備等の貸与
- 18 【重要な契約条項16】知的財産権の使用許諾
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- 20 【重要な契約条項18】再委託・下請負の可否
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